サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは?入居条件や設備の特徴、サービス内容を解説

2022.12.03

サ高住は、介護の度合いが高くなく自立した方向けの住宅で、利用者が自分のペースで快適に過ごせる環境です。提供されているサービスは「一般型」と「介護型」でそれぞれ異なり、各住宅によっても異なります。

この記事ではサ高住の概要や、基本的なサービス内容や利用条件および費用、利用するメリット・デメリット、働くメリット・デメリット、ほかの施設との違いなどを解説します。

サ高住とは?

サ高住とは「サービス付き高齢者向け住宅」の略称で、安否確認と生活相談のサービスが付いたバリアフリー住宅のことです。サ高住は自由度が高いのが特徴で、自宅と同じように生活できます。身の回りのことはある程度できるものの、一人暮らしに不安を抱えている方が多く利用しています。

サ高住の種類

サ高住には一般型と介護型の2種類があります。それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

一般型サービス付き高齢者向け住宅

一般型サービス付き高齢者向け住宅とは、専任スタッフが日中に常駐し、基本的には安否確認と生活相談のサービスのみを提供している住宅です。利用者は自立あるいは軽度の要介護状態であり、自分のペースで自由に日常生活を送れるのが特徴です。要介護度が上がって介護が必要になったときには、個別に外部サービス(訪問介護など)を契約することになります。

介護型サービス付き高齢者向け住宅

介護型サービス付き高齢者向け住宅では、施設に常駐している職員から介護サービスを受けられます。一般型とは違って「特定施設入居者生活介護」の指定を受けており、介護サービスのほかに食事の提供や健康管理、レクリエーションなどのサービスが提供されます。

サ高住の設備の特徴

サ高住は高齢者が安心して住める住宅であることが「高齢者住まい法」によって定められており、設備の要件は以下のように定められています。

  • 各居住部分の床面積は25平方メートル(ただし、居間、食堂等が共同で利用するのに十分な面積を有している場合には18平方メートル)以上あること
  • 各専有部分に、台所、水洗トイレ、収納、洗面、浴室を備えてあること
  • バリアフリーの構造であること

サ高住の入居条件

サ高住に入居するためには、以下のうちのいずれか一方を満たす単身・夫婦世帯である必要があります。

  • 60歳以上の高齢者であること
  • 要介護認定を受けている60歳未満の方であること

この条件は「高齢者住まい法」によって定められています。また、ほとんどの施設では、入居に際して連帯保証人・身元引受人が必要となります。

サ高住の入居費用

サ高住の入居費用は一般型か介護型かによって異なります。どちらも初期費用と月額費用がかかりますが、一般型の場合には家賃の2〜3ヵ月分の費用を敷金として支払います。敷金は、退去の際には住宅の修繕やクリーニングにかかった費用などを除いて返還されます。一方、介護型では、初期費用は敷金ではなく入居一時金として支払うのが一般的です。

それぞれの費用の内訳や金額は以下のようになります。

一般型介護型
月額費用5〜25万円程度15〜40万円程度
項目・家賃
・管理費
・光熱費など
・家賃
・管理費
・光熱費
・食費
・要介護度に応じた介護サービス費

介護サービスの利用機会が多い介護型のほうが月額費用は高めとなっています。また、介護型は一般型と違って食事サービスを受けることが前提になっていますが、一般型では自立した方が多く、食事は自分で食材を買ってきて料理をすることができるため、基本的に月額費用には含まれていません。

サ高住のサービス内容

サ高住の主なサービス内容は以下の通りです。

一般型介護型
・安否確認
・生活相談
・安否確認
・生活相談
・生活支援
・身体介護
・リハビリ
・レクリエーション

サ高住の一般型は、安否確認と生活相談が中心です。安否確認は、職員が定期的に利用者の居宅を訪問する見守りサービスです。また、生活相談では利用者が普段の生活で困っていることがないかなどの相談に応じます。

一方、介護型では、一般型のサービスに加えて身体介護やリハビリ、レクリエーションなどのサービスが追加されます。介護型の利用者の多くは身の回りのことを自分でするのが困難なため、一般型にはないサービスも含まれています。

【入居者向け】サ高住を利用するメリット

【入居者向け】サ高住を利用するメリット

サ高住を利用することで、どのようなメリットがあるのでしょうか? サ高住への入居を検討している方だけでなく、これから働く方やすでに働いている方も知っておくべきメリットを4つ紹介します。

高齢者でも契約しやすい

サ高住は、高齢者にとって契約しやすい施設です。一般的な賃貸住宅は、収入面や孤独死のリスクといった理由から、高齢者は契約しにくい傾向にあります。しかし、サ高住は高齢者のための住宅なので契約がしやすく、入居条件さえ満たせば入ることができます。

入居者のペースで過ごせる

入居者が自分のペースで過ごせるのも、サ高住のメリットの一つです。サ高住は介護施設のように一日のスケジュールが決まっていないため、入居者の生活スタイルに合わせた過ごし方ができます。賃貸住宅に似ており、ほかの介護施設に比べてプライバシーが守られているのも特徴です。また、高齢者ケアに詳しい職員が常駐しており、一人暮らしの高齢者でも安心して生活が送れます。

バリアフリー設備が整っている

サ高住は、「高齢者住まい法」によって段差のない床や手すりの設置、通行幅を確保することなどが定められています。このようなバリアフリーを自宅で実現するのは簡単ではありませんが、サ高住に入居すればバリアフリーの安全な環境下で生活ができます。これは高齢者にとって大きなメリットです。

介護サービスを受けられる

サ高住では、入居してから介護が必要になった場合でも、そこで生活しながら介護サービスを受けられます。一般型の場合は外部の介護サービスと契約することになりますが、介護型の場合は常駐している施設スタッフから介護サービスを受けることができます。ただし、重度の認知症となった場合は、退去を求められることがあります。

【入居者向け】サ高住を利用するときの注意点

サ高住では、要介護度が高くなれば別の住居を探す必要があります。一般型で介護が必要になった場合には外部の介護サービスを利用することになりますが、この場合は要介護度が軽度であることが条件です。一般型は基本的に自立した高齢者を入居者として想定しているため、要介護度が重度になった場合には介護型に移るか、有料老人ホームなどほかの介護施設に移る必要があります。状況が変わってもずっと居られるわけではない点には注意が必要です。

【介護士向け】サ高住で働くメリット

ここからは、サ高住で働く方にとって、どのようなメリットがあるかを見ていきましょう。

身体的な負担が少ない

サ高住には基本的に重度の要介護者がいないため、身体介護がメインである特養や老健で働き身体を痛めてしまったという方でも働きやすい環境といえます。体力に不安があるものの、介護に長く関わりたい方にはおすすめです。

介護職の経験が少なくても働きやすい

サ高住での業務内容は生活相談や安否確認が中心となるため、求人では「無資格・未経験OK」としているケースもあります。このような業務では、資格や経験の有無よりも、利用者のニーズをしっかり汲み取り、コミュニケーションがしっかり取れるかが重視されます。

【介護士向け】サ高住で働くときの注意点

サ高住の利用者にとってのメリットは、1日のスケジュールに縛られず自分のペースで自由に行動できることです。しかし職員側からすると、利用者の生活リズムに合わせてサポートなどを行う必要があるため、1日のスケジュール管理が難しくなります。管理上のミスが起きないよう細心の注意を払いましょう。

サ高住とそのほかの施設の違いとは?

ここからは、サ高住とよく比較される有料老人ホーム、グループホーム、ケアハウスとの違いについて見ていきます。

有料老人ホームとの違い

有料老人ホームには、「介護付」「住宅型」「健康型」の3種類がありますが、「健康型」は有料老人ホームのうちわずか1%しかないため、ここでは「介護付」「住宅型」とサ高住との違いをご紹介します。

サ高住介護付有料老人ホーム住宅型有料老人ホーム
主なサービス・安否確認
・生活相談
(介護型は、介護サービスやリハビリ等も含まれる)
・介護サービス
・生活支援
・健康管理
・リハビリ
・レクリエーション
・生活支援
・健康管理
・レクリエーション
入居要件60歳以上の高齢者、あるいは要支援・要介護の認定を受けた60歳未満の方65歳以上の自立~要介護5までの方60歳以上の自立~軽度の要介護の方
自由度自由度が高く、自宅での生活と同じように生活できる外出や外泊に許可がいるなど、自由度は低い

両者の違いの特徴は生活スタイルにあります。サ高住は自由度が高く、自宅にいるときと同じような生活スタイルが実現可能です。一方、有料老人ホームは集団生活をするため、ある程度の制約がかかってきます。

グループホームとの違い

グループホームは認知症の方向けの施設で、リハビリやレクリエーションなどの認知症ケアが中心です。サ高住との違いは以下のようになります。

サ高住グループホーム
主なサービス・安否確認
・生活相談
(介護型は、介護サービスやリハビリ等も含まれる)
・生活介助
・見守り
・機能訓練
・リハビリ
・レクリエーション
入居要件60歳以上の高齢者あるいは、要支援、要介護の認定を受けた60歳未満の方次のいずれも満たす方
・65歳以上で要支援2または要介護1以上の方
・医師から認知症と診断されている方
・施設と同じ市区町村に住民票のある方
・集団生活に問題がない方
生活様式単身・夫婦世帯ごとの居室ユニットによる共同生活

グループホームは「ユニット」と呼ばれる最大9人までのグループで共同生活を行いますが、中~重度の認知症高齢者が多いのが特徴です。これは、重度の認知症になった場合に退去を求められるサ高住とは対照的です。グループホームの入居条件には、住民票の住所と同じ市区町村の施設しか利用できないといった制約もあります。

ケアハウスとの違い

ケアハウスにもサ高住と同様、自立した方向けの一般型と介護を要する方向けの介護型の2種類があります。部屋が個室になっているなどサ高住との共通点も多いですが、主な違いは以下のようになっています。

サ高住ケアハウス
一般型
ケアハウス
介護型
主なサービス・安否確認
・生活相談
(介護型は、介護サービスやリハビリ等も含まれる)
・食事の提供
・生活支援
・緊急時の対応
・食事の提供
・生活支援
・緊急時の対応
・介護サービス
・日常介助(食事、入浴、排泄)
・機能訓練
入居要件60歳以上の高齢者あるいは、要支援、要介護の認定を受けた60歳未満の方生活に不安のある60歳以上の自立〜要介護の方65歳以上で要介護1以上の方
入居のしやすさ比較的入居しやすい低価格ゆえに人気があり、入居しにくい

サ高住とケアハウスの大きな違いは、入居の難易度にあります。ケアハウスは社会福祉法人や医療法人が運営を行い、国からの支援を受けているため費用が比較的安くなっています。費用の安さから人気も高く、入居待ちになることも多いのが特徴です。

まとめ

サ高住には「一般型」と「介護型」の2種類があり、利用者の身体状態に合わせて選択できます。居宅スペースも広く、バリアフリー化がされているので、自宅での生活に不安がある方に向いています。

また、働く側にとってサ高住での業務は身体的な負担が少なく、資格や経験がなくても働きやすいのが特徴です。利用者に合わせた柔軟な対応が求められることもありますが、慣れてくれば長く続けやすい仕事といえるでしょう。

なお、サ高住のように柔軟な対応が求められる施設では、業務の効率化が重要です。例えば、「ワイズマンの介護ソフト(サービス付き高齢者向け住宅管理システムSP)」は、「一般型」「介護型」どちらにも対応し、利用者の情報管理や請求業務など、さまざまな業務の効率化をサポートします。安否確認の見守り情報をシステムに自動記録したり、ケア記録オプションを使うことで利用者の健康状態を適切に把握できたりします。

介護ソフトの資料請求や、デモンストレーションをご希望の方はこちらから簡単にお問い合わせいただけます。>>「サ高住向け介護ソフト(サービス付き高齢者向け住宅管理システムSP)

業務が効率化された施設は働きやすいため、サ高住で働く予定のある方はご紹介したような介護ソフトが導入された施設かどうかもチェックすることをおすすめします。また、すでに働いている方は、勤務先の施設に業務効率化ができる介護ソフトが導入されていないようであれば、担当者に導入の検討を依頼してみましょう。

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