デイサービス(通所介護)とは?種類や利用条件・費用、サービス内容を解説

2022.12.12

デイサービスでは、利用者が自宅で自立した日常生活を送れるように、身体状況や個々のニーズに合わせたさまざまなサービスを提供しています。施設に入居するのではなく、施設の従業員に送迎してもらい、日帰りで施設を利用します。

この記事では、デイサービスの種類やサービス内容、利用条件、費用、デイサービスを利用するメリット・デメリット、働くメリット・デメリット、デイサービスとデイケアの違いなどについて解説します。

デイサービスとは?

デイサービスは、要介護状態になった方が、自分の能力に応じて可能な限り自立した生活を営めるよう、日常生活における支援や機能訓練を行うサービスです。デイサービスを利用すると、利用者の孤独感の解消、心身機能の維持および向上、介護を行う家族の負担軽減が期待できます。

デイサービスは施設に入居せず、自宅から通所でサービスを受けます。サービスを受けるためには、事業所を探し、ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう必要があります。ケアプランとは、介護保険を利用する際に自治体に提出する必要がある大切な計画書です。利用者が介護サービスをいつ・どのように受けるのかがこまかく書かれています。

デイサービスの種類

デイサービスは、利用者の心身の状態や目的によって、大きく「一般型」「認知症対応型」「リハビリ特化型」「療養型」の4種類に分けられます。

一般型デイサービス

一般型デイサービスでは、食事や入浴などのサービス提供と機能訓練指導員による個別の機能訓練を利用者の身体状況に合わせて行います。病院から退院後もリハビリを継続したい方や、家でつまづきやすくなった方、膝が痛くて家に引きこもりがちの方など、自宅での生活に不安のある方が利用しています。

認知症対応型デイサービス

認知症対応型デイサービスは、認知症の方を対象としたデイサービスです。サービスの流れは一般的なデイサービスと同じですが、認知症の方に対応した運動やレクリエーションを取り入れた機能訓練サービスを提供しています。また、利用者定員を少人数に制限し、一般的なデイサービスよりも手厚いサービス提供を可能にしています。

リハビリ特化型デイサービス

リハビリ特化型デイサービスは、身体機能の回復・維持のための機能訓練に重点を置いているのが特徴です。一般的なデイサービスのように食事や入浴などのサポートがないので、機能訓練だけに集中したい方や費用を抑えたい方に向いています。

療養型デイサービス

療養型デイサービスは、介護保険が利用可能な「地域密着型通所介護」に含まれる居宅サービスの一つです。療養型通所介護とも呼ばれています。一般的なデイサービスと違い、難病や認知症、特定疾病による重度の要介護者など、医療的なケアや看護師の観察が常に必要な方を対象としています。

デイサービスの利用条件

デイサービスを利用できるのは、以下の条件のいずれか一方を満たす方です。

  • 65歳以上で要介護1〜5と認定された方(介護保険第一号被保険者)
  • 40際〜64歳で特定疾病に起因する要介護状態と認定された方(介護保険第二号被保険者)

デイサービスの利用にかかる費用

デイサービスの利用にかかる費用は、介護保険適用があるものとないものがある点に注意が必要です。また、「3時間以上4時間未満」といったように1時間ごとに区分された費用設定がされており、同じサービス時間でも事業所の規模が大きい方が費用は安くなる傾向にあります。

例えば、通常規模型通所介護費と大規模型通所介護費(Ⅰ)でのサービス時間が「7時間以上8時間未満」であった場合、介護保険適用対象の費用は以下の表のようになります。なお、市区町村によって異なる場合もありますが、1単位はおよそ10円です。

要介護度通常規模型通所介護費大規模型通所介護費(Ⅰ)
7時間以上8時間未満要介護1655単位626単位
7時間以上8時間未満要介護2773単位740単位
7時間以上8時間未満要介護3896単位857単位
7時間以上8時間未満要介護41,018単位975単位
7時間以上8時間未満要介護51,142単位1,092単位

(令和3年4月時点)

これらの費用には送迎にかかる費用が含まれていますが、食費やおむつ代などの日常生活費は含まれておらず、利用者が負担する必要があります。また、上記表以外のサービス加算として、入浴介助加算や栄養アセスメント加算の対象となるサービスを受けた場合には費用が加算されます。

デイサービスで受けられるサービス内容

デイサービスで受けられるサービス内容は、主に以下の4つです。

日常生活上の支援

デイサービスでは、日常生活における食事の提供や入浴、排泄のサポートを受けられます。健康的な生活を送るためには、毎日の食事は大変重要です。デイサービスでは栄養バランスのとれた食事を提供してもらえるだけでなく、ほかの利用者ともコミュニケーションが取れるので、楽しく食事ができ、心身ともに健康的になれます。また、一人暮らしの方では難しいと感じる入浴や排泄の介助を安全に受けられるので、精神面にも良い影響があるでしょう。

機能訓練

デイサービスでは、生活機能の維持・改善のために口腔機能向上サービスを受けられます。口腔機能は咀嚼、嚥下、味覚、唾液の分泌などと密接な関係があり、健康的な食生活を送るうえで大変重要です。口腔機能向上により、高齢者の窒息や誤嚥性肺炎などのリスクを下げる効果が期待できます。

生活機能向上グループ活動

デイサービスには、生活機能向上グループ活動というものがあります。利用者が日常生活で抱えている課題と向き合うための活動で、同じような課題を抱えているほかの利用者と一緒に活動します。このような高齢者同士の交流を通じ、これまでには得られなかったコミュニケーションの機会も生まれるでしょう。

【利用者向け】デイサービスを利用するメリット

【利用者向け】デイサービスを利用するメリット

デイサービスを利用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。デイサービスの利用を検討している方だけでなく、これから働く方やすでに働いている方も知っておくべきメリットを紹介します。

家族や周囲の介護の負担を減らせる

デイサービスを利用すると、利用者の家族や周囲の人々の負担軽減につながります。在宅介護を行う場合、家族は昼夜を問わず要介護者のことを考えて行動する必要があり、仕事をしている場合には支障が出るかもしれません。しかし、デイサービスを利用すれば家族が介護から離れる時間を作ることができて、時間的にも精神的にも余裕をもって介護にあたることができます。

健康維持および向上を目指せる

デイサービスを利用することで、健康の維持・向上が目指せます。普段は家にこもりがちな利用者でも、外出をすることで運動する良い機会が得られます。またデイサービスでは機能訓練や機能向上サービス、健康チェックなどをしてもらえるので、自分の健康状態と真剣に向き合う機会が増えるでしょう。

入浴サービスを受けられる

入浴サービスがある点もデイサービスのメリットです。高齢者の中には、自宅の浴室がバリアフリー化されておらず、安心して入浴ができない方もいます。バリアフリー化されていない浴室には、転倒やケガをするリスクが潜んでおり大変危険です。デイサービスで職員による入浴サポートを受けることができれば、安心して入浴の時間を楽しめ、きれいな身体を保つことができます。

楽しみや趣味を見つけられる

楽しみや趣味を見つけられるのもデイサービスのメリットの一つです。デイサービスにはレクリエーション活動があり、周りの方とコミュニケーションを取る機会が多くあります。一緒にレクリエーション活動を楽しむことで新しい趣味の発見につながったり、生きがいが見つかったりするでしょう。

【利用者向け】デイサービスを利用するときの注意点

デイサービスには介護保険が適用されますが、自己負担額も発生し、利用回数が多いほど費用がかかります。要介護度やサービス内容によって料金は異なりますが、利用回数に比例して費用が高くなる点は注意しましょう。

また、一般的なデイサービスではほかの利用者や職員と一緒にレクリエーションや食事を楽しみますが、こういった集団行動にストレスを感じる方もいらっしゃるでしょう。利用者がデイサービスを利用することに納得しているか、ストレスを感じていないかどうか、家族で話し合うことが大切です。

【介護士向け】デイサービスで働くメリット

ここからは、デイサービスで働くメリットを見ていきます。これからデイサービスで働いてみたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。

残業少なめ・夜勤なし

デイサービスの利用者は日帰りで施設を利用するため夜勤の業務がなく、1日の就業時間も決まっています。事務作業などで多少の残業が発生することはありますが、基本的に規則正しいスケジュールで働くことができ、仕事とプライベートの両立がしやすいでしょう。これは介護業界で働くうえで大きなメリットです。

身体的な負担が少ない

デイサービスの利用者は要介護度の低い方が多く、ほかの施設に比べると力仕事は少なめです。そのため身体的な負担が少なく、体力に自信のない方でも安心して仕事を続けることができるでしょう。

常にやりがいを感じられる

デイサービスの業務は利用者の介護支援だけではありません。利用者をサポートすることはその家族の方の負担を軽減することにもなるため、利用者だけでなく家族の方からも喜ばれます。自分の仕事が多くの人の役に立っていると感じられることで仕事のモチベーションも向上し、身体面だけでなく精神面でも多くの人を支えていると実感できるでしょう。

無資格・未経験でも働ける

デイサービスでは、無資格・未経験OKの求人が多くなっています。ただし、無資格の場合は業務範囲が狭くなり、介護助手や介護補助として働くことになります。単独で利用者の身体介護は行えません。

また、人と接する仕事なので、資格や経験よりもコミュニケーション能力を求められる傾向にあります。

【介護士向け】デイサービスで働くときの注意点

介護の専門性を高めたい方や国家資格取得のための実務経験を積みたい方にとっては、デイサービスでは介護の技術を身につけることは難しい傾向にあります。デイサービスでの業務内容は少し物足りなく感じるかもしれません。

また、デイサービスはほかの施設と比べて給与が低い傾向にあります。厚生労働省が発表した「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、令和3年のデイサービスの常勤職員(月給者)の平均給与は27万8,180円となっており、これは介護施設の中で最も低い数値です。理由の一つとして考えられるのは、デイサービスには夜勤がないためです。夜勤があるほかの施設では夜勤手当が支給されていますが、デイサービスには夜勤自体がないため、平均給与を下げる結果となっているといえます。

デイサービスとデイケアの違い

ここでは、よく比較されるデイサービスとデイケアとの違いについて見ていきます。

デイケアは医療機関や介護老人保健施設(老健)がサービス提供をしており、主にリハビリなどの医療的ケアが中心です。通所リハビリテーションとも呼ばれます。デイサービスとの主な違いは以下の通りです。

デイサービスデイケア
利用対象者要介護1~5の方要介護1~5でかつ専門的なリハビリが必要であると医師が認めた方
施設の主なスタッフ・看護職員
・介護職員
・機能訓練指導員
・生活相談員
・医師
・看護職員
・介護職員
・理学療法士
・作業療法士
・言語療法士
サービスの目的介護サービスを中心に、自宅での自立した日常生活を送れるようサポートし、家族の負担を軽減する日常生活への復帰のために、リハビリなどの医療的ケアを中心に、身体機能の回復・維持、認知機能の改善を目指す
主なサービス内容・日常介助(食事、入浴、排泄)
・機能訓練
・レクリエーション
・器具を使ったリハビリ
・口腔機能向上のためのリハビリ
・食事・栄養改善指導
料金デイケアの方が料金はやや高め(下記表を参照)デイケアの方が料金はやや高め(下記表を参照)

このように、デイサービスとデイケアはサービス内容やその目的、対応するスタッフ、対象者などに違いがあります。

また、デイケアの方が医療寄りのサービス提供を行なっているため、デイサービスに比べて料金はやや高めです。

例えば、通常規模の事業所で「7時間以上8時間未満」のサービス提供を受けた場合、両者の料金には以下のような違いがみられます。なお、市区町村によって異なる場合もありますが、1単位はおよそ10円です。

要介護度デイサービスデイケア(病院または診療所の場合)
7時間以上8時間未満要介護1655単位757単位
7時間以上8時間未満要介護2773単位897単位
7時間以上8時間未満要介護3896単位1,039単位
7時間以上8時間未満要介護41,018単位1,206単位
7時間以上8時間未満要介護51,142単位1,369単位

まとめ

デイサービスは、利用者の日常生活での自立促進のために心身機能の維持・向上を目指しますが、役割はそれだけではありません。在宅で介護を行う利用者の家族の負担を軽減する役割も担っています。

働く方の視点では、デイサービスでの仕事は夜勤がなく身体的な負担が少ないため、体力に自信のない方でも無理なく働けるのが大きな特徴です。しかし、利用者と接する仕事以外に事務作業も多く存在し、事務作業が長引くと残業時間が長くなってしまう場合もあります。施設によっては、そうした業務の効率化のために介護ソフトを導入している場合もあります。

例えば、「ワイズマンの介護ソフト(デイサービス管理システムSP)」では、デイサービス業務の計画・準備から報告までの業務をワンストップで行えます。多くの介護事業所での導入実績のあるワイズマンの介護ソフトなら、業務時間の短縮や事務作業の省力化が期待できます。

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デイサービスで働くことを検討する際には、業務効率化ができる介護ソフトが導入されている施設かどうかもチェックポイントの一つに入れることをおすすめします。また、すでに働いている方で、勤務先の施設で業務効率化ができていない場合、より働きやすい職場環境を目指せるように担当者に介護ソフト導入の検討を依頼してみましょう。

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