かねてから課題だった記録業務の負担解消、施設間の提供サービスレベルの差を解消し、情報共有の伸展によるサービスの質の均一化を実現しつつあります。

社会福祉法人 九十九里ホーム
理事長 井上 峰夫 様

BEFORE

導入前

  • 療・保健・福祉サービスの総合的な提供の中、法人全体でサービスの均質化を推進する必要があった
  • 主にデイサービスにおいて相談員業務や個別機能訓練業務で、利用者スケジュールや日々の介護記録などに時間がかかり、残業時間が増えるなど負担が大きかった
AFTER

導入後

  • 日常的にスタッフ間の情報共有が進んだことで、ケアサービスの質の統一化、向上に向けた取り組みの検討が充実した
  • 利用者のスケジュール管理がしやすくなり、月末の実績管理も時間短縮されるなど、法人内のケアマネジャーとの連携も強化され、業務の省力化が進展した

システム導入の背景

老健開設時からワイズマンのシステム一筋に運用

理事長 井上 峰夫 様
理事長 井上 峰夫 様

社会福祉法人 九十九里ホームが介護福祉事業への取り組みをはじめたのは、1978年に特別養護老人ホーム松丘園を九十九里ホーム病院の敷地内に開設したのがきっかけです。当時は措置入所だったことから遠方からの入所者も多く、すぐに満床になったことから同園を増床したほか、他の法人施設から経営委託の申し入れ等があったこともあり、徐々に九十九里ホームは拡大しました。

一方で、「特養に入所しなくても適切なリハビリを行えば寝たきりにならなくてもすむ方が多数いました。それが病院でのリハビリテーション機能の強化、通院手段のない方への送迎付きデイケア、デイサービスの新設とつながり、さらに在宅療養へと地域の方々の求めに応えるサービスを提供してきた結果が、現在の医療・保健・福祉サービスの総合的な提供でした。様々な職種レベルで担当者会議を実施してきましたが、現場サイドではどうしても施設ごと独自のサービス提供に陥りがち。法人全体でサービスの均質化を図っていく一環として、介護業務支援システムの導入を決めました。」と、理事長の井上 峰夫 様は振り返ります。

複数施設の連携、情報共有に期待してワイズマンを選定

第二松丘園デイサービスセンター 生活相談員/介護福祉士 飯田 義和 様
第二松丘園デイサービスセンター 生活相談員/介護福祉士 飯田 義和 様

九十九里ホームでは従来、法人全体で介護保険請求を管理するシステムを運用してきましたが、施設サービス計画や日常生活自立度評価、提供した具体的なサービス内容など、ほとんどを手書きの帳票として管理していました。システム導入に際して法人内の各施設から代表が集まって発足したIT委員会では、こうした帳票記載業務を省力化することが第一の要件として挙げられました。

「主にデイサービスにおいて相談員業務や個別機能訓練業務で、利用者スケジュールや日々の介護記録などに時間がかかり、残業時間が増えるなど負担が大きいという課題がありました。」

(第二松丘園デイサービスセンター 生活相談員/介護福祉士 飯田 義和 様)

第二松丘園施設長 村越 善子 様
第二松丘園施設長 村越 善子 様

また、法人内でデイサービスの利用者が別施設のショートステイを利用するなど、同じ利用者が異なる施設のサービスを利用することも多くあります。

「各施設で利用者情報が重複記載していたり、経過記録を共有できなかったりする問題がありました。同じデイサービスでも施設によってサービスの内容が異なることもあり、サービスの均質化を推進する必要もありました」

(第二松丘園施設長 村越 善子 様)

といった課題もIT委員会で検討され、システム導入の目標を明らかにしていきました。

システム選定は、2013年の国際福祉機器展で各社の製品デモを見たうえで数社のシステムを具体的に検討しました。また近隣の導入施設の見学も行い、最終的に2社に絞り込んで提案を依頼し、検討を重ねた結果、ワイズマンシステムSPが採用されました。

「最終的に法人内の複数施設の連携が取りやすいことを重視して選定しました。ワイズマンASPサービスで提供されるため、1人の利用者の記録を複数施設で行え、情報共有もしやすいと考えました。また、長年勤務する年配の職員でも操作に抵抗感がないという印象も受けました。」

(第二松丘園 サービス提供責任者/介護福祉士 向井 栄志 様)

一方、井上理事長はワイズマンに対して、

「介護福祉システムにおける会社としての実績もさることながら、担当営業者が現場の実情をよく理解したうえで導入・運用サポートをしてくれるサービス体制を高く評価しています」

と強調します。

導入の効果

情報共有により法人内サービスの均質化が進展

導入されたワイズマンシステムSPは、「介護老人福祉施設管理システムSP」「介護老人保健施設管理システムSP」「施設ケアマネジメント支援システム SP」「デイサービス管理システムSP」「ホームヘルプサービス管理システムSP」など、9システムで300を超えるライセンスが利用されております。

介護保険請求系システムが2015年2月より稼働し、記録系システムは同年9月より本格的に運用を開始しました。約10カ月が経過し、まだ施設によって活用度合いに濃淡があるものの、ペーパーレスによる業務の省力化や情報共有の成果は各所に現われています。

「採用の大きなポイントだった利用者スケジュール管理が非常にしやすくなり、月末の実績管理も時間短縮されるなど、特にデイサービスでは法人内のケアマネジャーとの連携も強化され、業務の省力化が進展しました」

(第二松丘園デイサービスセンター 生活相談員/介護福祉士 飯田 義和 様)

一方、情報共有という点では、想定以上の成果を実感しています。

「第二松丘園のショートステイの利用者が、他の施設のデイサービス等を利用していると、施設によって機能訓練指導員が在席したり不在だったりすることもあり、機能回復の進み具合が異なることがあります。各施設がケア記録オプションを利用するようになり他の施設のケア記録が参照できるため、利用者さんの状態や身体機能などを把握することが容易になりました。また、経過記録を入力すればケア記録に転記できるため手間がかからないうえ、従来は経過記録にのみ細かな状況を書いていたので、他の部署のスタッフに自分の感じたことなどを伝えきれませんでした。ケア記録に転記されるため他の介護職や医務室の職員とも共有でき、1人の利用者さんに対してどのようにケアしていくかべきか、方針を一緒に検討できるようになり多職種協働が伸展したと感じています」

(機能訓練指導員/理学療法士 鶴岡 一江 様)

「このように日常的にスタッフ間の情報共有が進んだことで、法人内の相談員会議や介護長会議などでケア記録を元にケアサービスの質の統一化、向上に向けた取り組みの検討が充実してきました。以前のような同じ利用者さんが異なる施設で受けるサービスの内容や質に温度差があったという問題が解消しつつあります。」

(第二松丘園施設長 村越 善子 様)

とし、システム導入の大きな目標であった法人内のサービス品質の均質化が進展したことを実感しています。

利用者の近くで介護記録をすぐに参照できるようノートパソコンでシステム運用している
利用者の近くで介護記録をすぐに参照できるようノートパソコンでシステム運用している

九十九里ホーム第二松丘園は、記録業務のペーパーレス化による記載作業の省力化や情報共有により運用成果が随所に現われてきています。しかしながら、法人全体を見渡すとワイズマンシステムSPの活用度合いが、まだ施設によってばらつきがある点が課題です。

「施設によってパソコン自体の操作に不慣れな職員がいることも事実で、われわれは理解していない機能も直接ワイズマンの担当者に問い合わせて活用深度を深められることもありますが、まだ法人全体として活用し切れていないことが現在の課題です。その課題解消に向け、法人全体のシステム運用研修会の開催を計画しています。各施設における活用事例をそれぞれ担当者が発表しながら、施設間で機能理解を深め活用を向上させていく予定です。第一段階として、まずデイサービスにおける活用をテーマに実施していきます。こうした活用研修会を重ねることで各施設のシステム習熟度を高め、法人全体の活用の底上げを図っていきたいです。」

(第二松丘園 サービス提供責任者/介護福祉士 向井 栄志 様)

※掲載内容は取材当時のものです

社会福祉法人 九十九里ホーム 様

施設 介護老人福祉施設(特養)短期入所(ショートステイ)訪問介護通所介護(デイサービス)養護老人ホーム
所在地 千葉県匝瑳市飯倉21番地
URL http://www.99-home.com/
施設種別 社会福祉法人
関連施設 九十九里ホーム病院(一般66床、療養83床)、ミス・ヘンテ記念ケアセンター(老健定員80人、デイケア定員30人)、日向の里(老健定員80人、デイケア定員40人)、松丘園(特養定員150人、ショートステイ定員10人)、第二松丘園(特養定員104人、ショートステイ定員36人、デイサービス定員65人)、山田特別養護老人ホーム(定員70人、ショートステイ定員10人)、瑞穂園(特養定員29人、養護老人ホーム定員50人、デイサービス定員20人)、聖マーガレットホーム(障害者支援施設、定員80人)、九十九里ホームデイサービスセンター(定員45人)、ケアサロン悠々(デイサービス定員15人)、九十九里ホーム山田デイサービスセンター(定員30人)

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