2021.03.05
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介護老人保健施設、医療法人、社会福祉法人、病院の経営状況のレポート公表  WAM

福祉医療機構はこのほど、コロナ禍前の2019年度の経営状況に係るレポートを公表した。レポートは施設・法人別において作成され、介護老人保健施設、医療法人、社会福祉法人、病院の経営状況が整理されている。 介護老人保健施設の経営状況については、上位施設類型移行と処遇改善関係の加算算定による増収が事業利益率の上昇と赤字割合の低下に寄与していた。今般のコロナ禍における経営では、一度施設でクラスターが発生すると容易に赤字になってしまう点、通所・訪問リハなどの併設居宅サービスの減収の影響が大きい点が経営への深刻な影響として懸念されている。 医療法人の経営状況においては、病院主体医療法人の経営状況は全体の傾向と同じく事業収益対事業利益率が低下したのに対し、老健主体医療法人の事業収益対事業利益率は上昇した。また、1床当たり病院事業収益の高い医療法人において増収となった法人が多くみられた。なお、コロナ禍により、急性期病院をはじめ多くの病院・施設の経営面で影響が生じており、医療法人の経営レベル(収支面、 投資面、財務面)で具体的にどの程度の影響を受けたかは2020年度の調査で明らかにする点を示唆した。 社会福祉法人の経営状況は、ほぼ横ばいで赤字割合も拡大傾向が一服した。収益・費用の増加においては、収益増は消費税増税対応や職員の処遇改善のための報酬改定等に伴うものとみられ、費用増は人件費率の上昇にみられるように人件費の増加が中心であった。2020年度の経営状況は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響は甚大であり、社会が抱える問題の顕在化や社会的弱者への支援のあり方が問われることとなった。 病院の経営状況に関しては、いずれの病院類型でも2019年10月の消費増税改定の影響もあり、入院単価などの収益は増加したが、一般病院、精神科病院では費用も増加していたことから医業利益率は前年度より低下した。2019年度決算では新型コロナウイルス感染症の影響は限定的であったとみられるが、2020年上半期は前年同期と比べ医業収益が1割以上低下した一般病院が約6割にのぼっていた。

■関連サイト: https://www.wam.go.jp/hp/keiei-report-r2/

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