2022.07.13
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【小濱道博の介護戦略塾】2022年在宅サービスの運営指導対策 <第2回>

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1.現在は2時間程度の半日型の指導が中心に

運営指導の事前通知書は、通常は、運営指導の実施日の1か月以上前を目安に通知書が郵送されます。しかし、利用者などのクレームや第三者からの告発情報の中に、虐待、身体拘束、不正な医療行為などの内容が含まれていると、間をおかずに数日前を実施日として通知されることがあります。虐待の疑いがある場合は、事前通知無しの無予告指導も行われます。

送付される運営指導実施通知書に記載される事項は、①運営指導の根拠規定と目的、②運営指導の日時・場所、③役所の担当者、④事業所の出席者、⑤準備すべき書類等(事前提出書類、当日準備物等)となっています。指導日の1~2週間前までに提出が求められる書類は、①自己点検表、②各種加算等自己点検シート、③事前提出書類などです。

自己点検表と各種加算等自己点検シートは、役所のホームページから自由に取得できることが多く、運営指導の有無にかかわらず、定期的に事業所内の事前準備に活用していれば慌てなくて済みます。

2.運営指導を行う担当者の人数は?

運営指導は、役所の担当者が1名で訪問することはありません。必ず複数人で行われます。小規模な介護事業所の場合は、2名体制で半日での実施が多いようです。その場合、2名が協力して書類などを確認することはありません。1名は人員基準と運営基準関連の確認、もう1名は介護報酬関連の確認などに分かれる完全分業制で実施されます。

施設等はその規模に応じて、4~6人体制で1日掛かりの運営指導となります。この場合も役割を分担して、確認作業を行うことが基本です。完全分業ですので、一つのセクションを複数の指導担当者で行うことはまれです。また早めに確認を終えた担当者が、他の担当者の作業を手伝うこともありません。早めに担当箇所の確認を終えた場合は、自分の担当部分の見直しや、事前の役割分担がされていない規定関係や会計区分などの箇所のチェックなどに時間を費やします。

3.標準確認項目と標準確認文書とは

運営指導は、「介護保険施設等指導指針」および「介護保険施設等に対する運営指導実施マニュアル」で示された別紙「標準確認項目」と「標準確認文書」に基づいて実施されます。ここに記載された確認項目と文書以外は、特段の事情が無い限り運営指導では見なくても良いとしました。この指針に沿って運営指導を行うことで、一件当たりの所要時間を短縮して、一日に複数件の運営指導を行うことが指示されています。

運営指導の頻度は、介護事業所の指定有効期間である6年間に、最低でも 1 回以上は実施することが基本となっています。ただし、介護施設と居住系サービスは3年に一回以上とされました。個人ファイルや提供記録等の確認は原則として利用者 3 名以内とすることを求めています。これは、2−3人程度の個人ファイルを確認することで、その事業所のレベルが有る程度分かります。問題ないと判断されたら、他のチェックポイントに移ります。問題有りと判断されたら、更に深掘りしてチェックすることになります。

運営指導において確認する書類関係は、原則として運営指導の前年度から直近の一年間とするとされました。このプロセスを実施することで、ある程度、事業所に存在する問題は把握できるという事です。問題が発覚した場合は一日以上の指導となり、悪質である可能性がある場合は監査に切り替わります。

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小濱 道博氏

小濱介護経営事務所 代表

株式会社ベストワン 取締役

一般社団法人医療介護経営研究会(C-SR) 専務理事

C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問

日本全国でBCP、LIFE、実地指導対策などの介護経営コンサルティングを手がける。

介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。

全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター、一般企業等の主催講演会での講師実績は多数。

介護経営の支援実績は全国に多数。

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