2022.07.22
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【斉藤正行のはなまる介護~現場に寄り添うこれからの介護業界展望~】第3回 「科学的介護の実践により自立支援・重度化防止の推進を目指す」

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「介護に誇りと憧れを。」専門性の高いプロフェッショナルな介護の仕事を多くの人に憧れを持ってもらえるように地位向上を目指していきたい。

 その大きなきっかけとなるものが、科学的介護情報システム「LIFE」の活用によるエビデンスに基づく科学的介護を実践していくことです。医療分野と同等に、専門性の高いプロフェッショナルな領域であるとの地位向上にも繋がっていくことになるので、一歩一歩、時間をかけながらでも「LIFE」に向き合い、エビデンスに基づく「科学的介護の推進」に向けて取組んでいくことが、これからの介護現場に求められるようになってくるのです。

 そして、今回は、科学的介護の実践を通じて目指すべき新しい介護の在り方となる「自立支援・重度化防止の推進」についてお伝えしていきたいと思います。高齢者の自立支援を行うことは介護保険法にも定められた根幹的な考え方であります。しかしながら、この自立支援について、限定的な誤った捉え方をしている方も多いように感じます。例えば、自立支援の推進を「比較的軽度な高齢者に対して、機能訓練を行い、身体機能(ADL)を改善させる取組みである」との認識を持っているケースです。そうすると、認知症ケアを専門に向き合っている事業所や、中重度者・看取り期に向き合っている事業所では、「自立支援が昨今の流行りであることは承知しているが、自分達の事業所にはあまり関係がない」と考えることになってしまいます。それは大きな誤りです。

 まず、「自立支援」は「重度化防止」とセットで様々な議論が進められています。つまり、高齢者の自立を促進する。状態を改善すること=自立支援ではなく、現状を維持すること。もしくは重症化していく進行を緩やかにしていくための取組みを行うこと。これらを全て包含して、「自立支援・重度化防止の推進」として捉えなければなりません。従って、認知症の方でも、重度な方でも、全ての事業所、全ての利用者に対して向き合っていかなければならないテーマとなるのです。

 更には、その取組み内容についても、機能訓練による身体機能(ADL)に対するアプローチが自立支援ではありません。一時期、機能訓練特化型といった触れ込みで、午前と午後に短時間サービスを2回転していくデイサービスのモデルが一部もてはやされていましたが、それは機能訓練特化であり、自立支援ではありません。むしろのそのようなモデルで運営してきた事業所はこれから本当の意味での自立支援モデルへと変革を迫られることになります。自立支援の目指す取組みは、「身体機能(ADL)」へのアプローチのみならず、「口腔機能」「栄養状態」「認知機能」など、高齢者の状態像へのトータルアプローチが求められていくことになります。昨年の介護報酬改定においても、そのような総合的な取組みを評価する加算などが、多数拡充されることとなりました。

 そして、これから重要視されてくることとなる「自立支援・重度化防止の推進」を実践する上で大切なことは、何をもって、状態改善が図れたのか?現状を維持することが出来たのか?重症化の進行を緩やかに出来たのか?その評価指標を明確化することが重要であり、その仕組みこそが、科学的介護情報システム「LIFE」となるのです。専門性の高いプロフェッショナルな仕事として介護の地位向上に不可欠な取組みが「科学的介護」であり、「自立支援・重度化防止の推進」となることを踏まえて、これからの介護現場での取組みに活かしてもらいたいと思います。

「介護に誇りと憧れを。」専門性の高いプロフェッショナルな介護の仕事を多くの人に憧れを持ってもらえるように地位向上を目指していきたい。

 その大きなきっかけとなるものが、科学的介護情報システム「LIFE」の活用によるエビデンスに基づく科学的介護を実践していくことです。医療分野と同等に、専門性の高いプロフェッショナルな領域であるとの地位向上にも繋がっていくことになるので、一歩一歩、時間をかけながらでも「LIFE」に向き合い、エビデンスに基づく「科学的介護の推進」に向けて取組んでいくことが、これからの介護現場に求められるようになってくるのです。

 そして、今回は、科学的介護の実践を通じて目指すべき新しい介護の在り方となる「自立支援・重度化防止の推進」についてお伝えしていきたいと思います。高齢者の自立支援を行うことは介護保険法にも定められた根幹的な考え方であります。しかしながら、この自立支援について、限定的な誤った捉え方をしている方も多いように感じます。例えば、自立支援の推進を「比較的軽度な高齢者に対して、機能訓練を行い、身体機能(ADL)を改善させる取組みである」との認識を持っているケースです。そうすると、認知症ケアを専門に向き合っている事業所や、中重度者・看取り期に向き合っている事業所では、「自立支援が昨今の流行りであることは承知しているが、自分達の事業所にはあまり関係がない」と考えることになってしまいます。それは大きな誤りです。

 まず、「自立支援」は「重度化防止」とセットで様々な議論が進められています。つまり、高齢者の自立を促進する。状態を改善すること=自立支援ではなく、現状を維持すること。もしくは重症化していく進行を緩やかにしていくための取組みを行うこと。これらを全て包含して、「自立支援・重度化防止の推進」として捉えなければなりません。従って、認知症の方でも、重度な方でも、全ての事業所、全ての利用者に対して向き合っていかなければならないテーマとなるのです。

 更には、その取組み内容についても、機能訓練による身体機能(ADL)に対するアプローチが自立支援ではありません。一時期、機能訓練特化型といった触れ込みで、午前と午後に短時間サービスを2回転していくデイサービスのモデルが一部もてはやされていましたが、それは機能訓練特化であり、自立支援ではありません。むしろのそのようなモデルで運営してきた事業所はこれから本当の意味での自立支援モデルへと変革を迫られることになります。自立支援の目指す取組みは、「身体機能(ADL)」へのアプローチのみならず、「口腔機能」「栄養状態」「認知機能」など、高齢者の状態像へのトータルアプローチが求められていくことになります。昨年の介護報酬改定においても、そのような総合的な取組みを評価する加算などが、多数拡充されることとなりました。

 そして、これから重要視されてくることとなる「自立支援・重度化防止の推進」を実践する上で大切なことは、何をもって、状態改善が図れたのか?現状を維持することが出来たのか?重症化の進行を緩やかに出来たのか?その評価指標を明確化することが重要であり、その仕組みこそが、科学的介護情報システム「LIFE」となるのです。専門性の高いプロフェッショナルな仕事として介護の地位向上に不可欠な取組みが「科学的介護」であり、「自立支援・重度化防止の推進」となることを踏まえて、これからの介護現場での取組みに活かしてもらいたいと思います。

斉藤 正行氏

  • 一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長
  • 株式会社日本介護ベンチャーコンサルティンググループ 代表取締役
  • 一般社団法人日本デイサービス協会 名誉顧問
  • 一般社団法人日本在宅介護協会東京支部 監査
  • 一般社団法人全日本業界活性化団体連合会 専務理事
  • その他、介護関連企業・団体の要職を歴任

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