老健(介護老人保健施設)の仕事がきついといわれる理由|仕事内容や職種、向いている人も解説
2023.02.13
介護老人保健施設(以下「老健」と称する)は、待遇に恵まれている代わりに仕事がきついという話をよく耳にします。介護職が身体への負担の高い仕事であるのは疑う余地がありません。それなのに老健での仕事が特にきついといわれるのは、老健とそのほかの介護施設とで、仕事内容に大きな違いがあるからともいえそうです。
そこで老健の仕事がきついと言われる理由について、仕事内容の観点から解説します。老健の仕事が向いている人についても解説していますので、老健での勤務を検討されている方はぜひ最後までお読みください。
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介護ソフトの導入時によくある問題と対策についても記載していますので是非ご活用ください。
目次
老健とは
老健とは、利用者が退院後に在宅復帰を果たすためにリハビリテーションを行う高齢者施設のことです。利用者の生活支援をメインで行う介護職に対し、医療・リハビリ職が中心となって健康管理や機能改善・維持するために支援を行います。
また、老健が目的としているのは、日々の生活を支えながらリハビリテーションを通じて利用者の在宅復帰を実現させることです。
老健についてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。
関連記事:「老健(介護老人保健施設)とは?種類や施設の特徴、入所条件やサービス内容を解説」
老健の仕事はきついといわれる理由
老健の仕事がきついといわれる理由としては、以下の理由が考えられます。
夜勤がある
老健を利用される方は在宅復帰に向けたリハビリテーションを目的とされているため、利用期間中は施設で生活をします。したがって老健の仕事には夜勤が必要です。
日勤と夜勤を繰り返す場合がほとんどであり、特に夜勤は代わりが効かないため、日頃の健康管理が欠かせません。ただし、入居型の介護施設で夜勤は必須であり、夜勤がきついのは老健に限った話ではありません。
スタッフ間の連携が難しい
前述のとおり老健の性質上、医療的要素が強いため医療・リハビリ職と情報連携する場面が必然的に増えます。介護職と医療・リハビリ職は、立場や役割の違いから理解し合えなかったり、意見が衝突したりすることが起こりえます。
ほかの職種と上手く連携していくためには、専門分野以外の知識やコミュニケーション力を磨くことが必要です。また、介護・医療間の情連連携を効率化する目的で介護ソフトを導入している事業所もあります。
入所者の入れ替わりが激しい
入所者の在宅復帰を目的とする老健では、入所期間が原則3ヵ月と定められています。そのため、ほかの介護施設と比べて入所者の入れ替わりが激しい傾向があります。
入所者の顔と名前が一致しなかったり、入所者の情報を把握しきれなかったりして覚えるのが大変と感じるのではないでしょうか。その反面、在宅復帰を目指す利用者の支援にやりがいを感じることもあるでしょう。
人手が不足している
介護人材の確保・介護現場の革新の「事業所における介護労働実態調査」データによると、全体のおよそ67%が人員の不足感があると回答しています。
利用者の人数や1日当たりの仕事量は固定されているため、人手不足によって職員1人当たりにかかる負担が大きくなります。急な欠員が出た場合には、その負担は一層増大します。
忙しい環境にあるからこそ、職員同士の連携が欠かせません。
(※)参考:社会保障審議会「介護人材の確保・介護現場の革新」
老健のきつさを解消するためにできること
老健の仕事のきつさを解消するための対策について考察します。
事業者ができること
事業者側でできる対策として介護ソフトの導入があります。
介護ソフトの導入によって業務の効率化につながり、老健で働く職員の負担を軽減することができます。
例えばワイズマンの「介護老人保健施設管理システムSP(介護老人保健施設向け介護ソフト)」を使うと、入所手続きから施設の稼働状況の把握、介護報酬請求、利用料・入金管理まであらゆる業務を効率化できます。
働く人ができること
職員側でできる対策には、チームワークを意識することが挙げられます。
職種が異なると対応する範囲も異なるため、連携を取りづらく感じることもあるかもしれません。。しかし、チームの一員であることを忘れずに、入所者のケアについて意見交換ができる関係作りを心掛けましょう。
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老健の職種
入所者の在宅復帰を目的としている老健では、職種ごとに人員基準が定められています。多くの職種と連携を取りながら入所者の支援に関わるため、職種によっては仕事内容の境界があいまいな場面もあります。
老健の仕事がきついといわれるのは、そういった要因があるためです。
医師
医師は入所者の身体的状況を把握したうえで、看護師やリハビリ職に対して指示を出します。そのほか、ショートステイや通所リハビリで来所される利用者の健康管理を担うことも医師の業務の一つです。
病院の医師とは異なり、老健で提供するサービスの調整係としての役割を担っています。
【人員基準】常勤1名以上、入所者100名につき1名以上
薬剤師
薬剤師は調剤業務や服薬指導、医薬品管理がメイン業務となるほか、最近では施設の感染対策も業務に含まれるケースが増えています。
入所者300名につき薬剤師1名との人員基準がありますが、入所者が300名以上の施設は少数であるため、薬剤師が常駐するケースはごく稀です。
【人員基準】実情に応じた適当数(入所者300名につき1名以上)
介護職員
介護職員は利用者の入浴介助、移動介助、排泄介助、食事介助、起床・就寝介助、レクリエーション、介護記録作成といった日常業務だけでなく、ほかの専門職との連携が必要なため、補助要員としてサポートに回ることもあります。
介護職員には、介護福祉士と初任者研修資格保持者がいます。
【人員基準】入所者3名につき1名以上
看護職員
看護職員は医師の協力の下で入所者の健康管理を行うほか、適切な医療的ケアについて検討し、ADLの維持・改善に向けたサポートを行います。
看護職員には、看護師と准看護師の2職種があります。
【人員基準】入所者3名につき1名以上
支援相談員
支援相談員は入所に伴う相談や入所者やご家族からの日常的な相談の窓口の役割を担います。相談だけでなくクレームの受付窓口も兼ねています。
資格要件は特にありませんが、制度に関する知識やコミュニケーション力が不可欠です。
【人員基準】1名以上、入所者100名につき1名以上
機能訓練指導員
機能訓練指導員は介護保険法で定められた職種の一つです。対象者やご家族の意向をもとに、どのような訓練が必要か判断して機能訓練計画表を作成します。
機能訓練指導員には理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)が含まれます。PTは運動機能、OTは精神心理機能、STはコミュニケーションや嚥下機能の維持・向上を図るプログラムを実施します。
【人員基準】入所者100名につき1名以上
栄養士・調理師
栄養士・調理師は入所者の栄養状態の維持・向上を図るため、食事に関するすべての調整を行います。栄養士は厨房スタッフに指示を出す司令塔の役割があります。
【人員基準】入所者100名につき1名以上
事務員
事務員は電話受付・接客対応・事務作業だけでなく、イベント・行事ではケアチームの一員となって意外な一面を見せることもあります。
【人員基準】実情に応じた適当数(入所者300名につき1名以上)
(※)参考:介護給付費分科会「介護老人保健施設(参考資料)」
老健で働く介護職員の1日の流れ
老健の介護職員の1日の仕事を日勤・夜勤に分けて紹介します。一例のため、業務内容・時間についてはこの限りではありません。
【日勤職員】
時間 | 業務 | 業務内容 |
---|---|---|
9:00 | 朝礼 | 夜勤者から日勤職員への申し送り |
10:00 | 入浴介助 | 入浴準備・入浴介助・後片付け |
12:00 | 昼食 | 配膳および食事介助、後片付け |
13:30 | リハビリ補助 | リハビリ職の補助 |
15:00 | おやつ・コーヒータイム | おやつや飲み物を入所者に提供 |
16:00 | 介護記録 | 日中の入所者の様子を記録 |
17:00 | 夜勤者へ申し送り | 経過観察が必要な入所者の申し送り |
18:00 | 退勤 | 伝達漏れがないことを確認して退社 |
【夜勤】
時間 | 業務 | 業務内容 |
---|---|---|
17:00 | 出勤 | 日勤者から夜勤職員への申し送り |
18:00 | 夕食 | 配膳および食事介助、後片付け |
19:00 | 就寝介助 | 更衣・排泄・口腔ケア介助 |
21:00 | 定期巡回 | 安否確認・排泄確認 |
0:00 | 定期巡回 | 安否確認・介護記録 |
3:00 | 定期巡回 | 安否確認・介護記録 |
6:00 | 朝食準備 | 入所者の起床介助、ホールへ誘導 |
7:00 | 朝食 | 配膳および食事介助、後片付け |
9:00 | 退勤 | 日勤者へ申し送り後、退社 |
老健で働くのが向いている人とは
実際に老健で働いてみて「こんなはずじゃなかった」となるのは、求職者も採用側も悲劇です。
そこで後悔することがないよう、老健で働くのが向いている人の特徴について解説します。
チームで仕事がしたい人
老健はほかの専門職と協力して仕事を行うため、役職に関係なくチームケアを常に心掛ける必要があります。そのため、コミュニケーション力は欠かすことのできないスキルです。
その一方で、一人の入所者にじっくり関わりたい人や、一人で黙々と仕事をするのが好きな人に老健は向いていません。
幅広い領域の知識を身につけたい人
老健の目的からして、医療・リハビリ職の役割が占める割合が高いのは明白です。介護以外の専門職と働くことで、医療的な知識を自然に学ぶことができるので、幅広い領域の知識を身に付けたい人にピッタリです。
逆に、自発的な勉強を苦手とする人に老健の仕事はおすすめできません。
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すでに介護ソフトを導入していている方も、介護ソフトの入れ替えを検討している方も、自身に最適なプロダクトを選ぶために重要な4つのポイントを解説していますので是非ご活用ください。
まとめ
老健における仕事のきつさがどういったものか、お分りいただけたかと思います。老健で働く職員には、短期間のうちに入退所を繰り返す入所者の情報管理を行い、仕事内容が異なる専門職との情報連携を取りながらチーム一丸となってサポートを進めていくことが求められます。
多忙な業務を抱えながら限られた人員で多くの業務を行うのは至難の業ですが、「ワイズマンの介護ソフト」をお使いいただくことで、入所予定や提供票に登録された情報を入退所状況として取り込めるので、入所予定の管理がスムーズに行えます。
もし、今働いている事業所に介護ソフトが導入されていないなら、業務効率化を図れるように担当者に導入を相談してみてください。これから老健の職員として働くのであれば、事業所に介護ソフトが導入されているかチェックされることをおすすめします。
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