【斉藤正行のはなまる介護~介護現場での円滑なコミュニケーションの秘訣~】①「介護現場での円滑なコミュニケーションの秘訣は美点凝視」
今回からは、複数回にかけて、介護現場でのコミュニケーションをテーマに寄稿したいと思います。介護業界では離職率が高いことは昔から課題とされてきました。職員の離職に関する意識調査の結果を見ると、離職理由で常に上位となるのは「職場での人間関係の悩みや不満」であります。多くの介護現場で働く職員が、人間関係や、職員間のコミュニケーションに悩みを抱えていることは、私も見聞きすることが多いです。
そこで、今回より、職場内でのコミュニケーションを円滑に行っていくための秘訣をいくつかお伝えしていきたいと思います。実は、私自身、これまで学校を卒業してから3社の会社で務めてきましたが、その3社でも、学生時代のアルバイト先や、会社経営をするようになってからも含めて、人間関係で悩むことはほとんどありませんでした。
では、私はなぜ、人間関係を円滑に構築することが出来るのかというと、それは、『美点凝視』を徹底できているからだと思います。職場で人間関係に悩みを抱えている方には是非この『美点凝視』の考え方を意識してみてもらいたいと思います。
『美点凝視』という言葉はお聞きになったことがあるでしょうか?非常に単純な考え方です。文字通りの意味であり、他者と接する上において、相手の美点つまり良いところに着目するということです。なんだそんなことかと思われるかもしれませんが、実は大変に深いテーマであり、実践することは非常に難しい考え方でもあります。
人は誰しも長所と短所があります。もちろん、長所が沢山ある人。短所の方が沢山ある人もいると思います。そして、多くの人はついつい他人の短所に目がいきがちになってしまいます。他人の短所や嫌な面が見えてくるとその人に対して苦手意識をもつようになりがちです。私は、幸いにして生まれながら、人の長所に比較的目を向けることの出来るタイプでもありました。それでもこの『美点凝視』の考え方の重要性に気付くようになってからは、それまで以上に意識して他人の長所に目を向けるようにしています。そうすると、他人の短所や嫌な面が見えたとしても「この人にはこういう良くないところはあるな。でも、その分、この人には、こういう良いところも沢山あるよね。」と意識することが出来るようになります。そうすると短所や嫌な面が見えたとしてもその人に対しての好意を持つことが出来ます。
「鏡の法則」という理論があります。他人は自分の写し鏡であり、他人に対して敵意を示せば相手も敵意を返す。他人に対して好意を示せば相手も好意を示してくれるという理屈です。実際に、皆さんもそうではないでしょうか?恋愛感情は別にして、相手が自分に対して物凄く好意を示してくれている場合に、その相手のことを嫌な気持ちになるでしょうか?やはり嬉しい気持ちになるのが自然ではないでしょうか?『美点凝視』を常に意識し、相手の良い面を見つけだし、好意を示すことが出来れば、良好な人間関係を、円滑なコミュニケーションを生み出すことが出来るようになると思います。
介護の仕事は1人では決して出来ません。他職種連携のチームケアが不可欠です。素晴らしい介護サービスを提供するためにも、そして、ストレス少なく、良好な人間関係を構築していくためにも是非この『美点凝視』を意識してみてください。
斉藤 正行氏
一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長
- 一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長
- 株式会社日本介護ベンチャーコンサルティンググループ 代表取締役
- 一般社団法人日本デイサービス協会 名誉顧問
- 一般社団法人日本在宅介護協会東京支部 監査
- 一般社団法人全日本業界活性化団体連合会 専務理事
- その他、介護関連企業・団体の要職を歴任
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