【医療業界動向コラム】第31回 紹介受診重点医療機関の公表時期の見直しと外来機能分化の今とこれから
2023.02.15
見直し・遅れが生じている外来機能報告の報告期間について、令和5年2月3日付の事務連連絡「外来機能報告の報告様式2のスケジュール等について」にて、期日及び今後の予定が明らかにされた(図1)。
事務連絡「外来機能報告の報告様式2のスケジュール等について」(図1)
ところで、紹介受診重点医療機関とはその名の通り、主な患者は診療所や一般病床200床未満の病院からいただいた紹介状を持参して受診する医療機関。医療機関、となっているように病院だけではなく、診療所も対象になりうるが、基本的には一般病床200床以上の病院がその多くになるだろう。なお、地域医療支援病院と同様に入院時の加算等が算定できるもの(地域医療支援病院且つ紹介受診重点医療機関の場合は、地域医療支援病院入院診療加算を算定)で、一般診療では対応が困難な疾病や症状、検査などに対応する専門性が高い、重症者対応ができる医療機関という位置づけになる。そこで、紹介割合・逆紹介割合の基準を満たさなければ、外来診療料等が減額されることになっている(図2)。
紹介割合・逆紹介割合と減算規定(図2)
キーワードとなるのが、連携強化診療情報提供料(旧診療情報提供料Ⅲ)だ。連携強化診療情報提供料(旧診療情報提供料Ⅲ)を算定できる再診患者は逆紹介患者と同様に扱うことができる。この連携強化診療情報提供料を算定にするには、かかりつけ医機能との連携・紹介を受けた患者であって、月に1回以上の紹介元への患者の状況をフィードバックすることが必要になる。ここでいうかかりつけ医機能とは、今年の通常国会で成立を目指す医療法改正に盛り込む予定のかかりつけ医機能とは異なる、診療報酬上のかかりつけ医機能を指す(図3)。
診療報酬上のかかりつけ医機能(図3)
かかりつけ医機能と言えば診療所をイメージしがちだが、一般病床200床未満または療養病床を有する病院で地域包括ケア病床を有する病院においても診療報酬上のかかりつけ医機能を算定していくことが有用だ。退院後も通院/在宅フォローを行いつつ、急変時に対応できる体制を作るために、退院後も患者との関係を継続することにメリットがある。また、重症化した場合には紹介受診重点医療機関や地域医療支援病院への紹介・逆紹介にも診療報酬上のメリットが双方に出てくることになる。
紹介受診重点医療機関の公表、令和7年度からともいわれる医療機能情報提供制度(医療情報ネット)を通じたかかりつけ医機能の公表は地域住民へのアピールともなり、患者も巻き込んだ外来機能分化の時代がようやく始まることとなる。一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関等の機能を目指す病院においては、外来においても重症者を多く診ていく体制を推進していくために、リフィル処方箋を推進していくことも必要になってくるだろう。また、がん化学療法も入院から外来へのシフトを進めていくことも医療費適正化計画で今後求めらていくことになる。一方で、一般病床200床未満の病院等ではかかりつけ医機能の発揮(生活習慣病対応や在宅対応)や専門領域に注力していく方向になっていくが、いずれにせよ。地域住民の生活に超接近した体制と対応が必要になってくることになる。そして、2025年以降に始まるという新たな地域医療構想では、外来機能分化がポイントになってくるだろう。
山口 聡 氏
HCナレッジ合同会社 代表社員