新型コロナ特例対応の電話/オンラインによる診療と調剤
Q3電話やオンラインによる「調剤や医薬品の配送」はどのような患者が対象か?
医科同様に、新型コロナウイルスの感染拡大による院内感染の影響や医療機関の受診が困難な患者への非常時の取扱いとして、薬局における電話/オンラインによる服薬指導と医薬品の配送の実施が可能となりました。服薬指導の手順や軽度な感染者への対応などは下図をご参考にしてください。
ポイントを整理すると、当該患者の処方箋の備考欄には、一般患者の場合には「0410対応」、軽度な感染者であれば「CoV自宅・CoV宿泊」と明示され、通常の処方箋との違いが判別しやすい形となります。処方箋を応需した薬局では、薬剤師が患者・服薬情報に基づき適切な対応ができる場合、薬剤の適正使用を確保するとともに、不正入手防止策を講じた上で、当該患者が電話/オンラインによる診療の場合に限らず、対面診療の場合でも電話/オンラインによる服薬指導と医薬品の配送に対応する必要があります。
また、当該患者に対する医薬品の処方は制限され、「新患」の処方日数が上限7日間とされたほか、麻薬及び向精神薬、ハイリスク薬の処方ができない取り決めとされ、「再来」の場合には処方日数は制約なく通常通り可能ですが、こちらも麻薬及び向精神薬の処方ができないこととなっています。
医薬品の配送に関しては、令和2年度 厚労省補正予算において「電話や情報通信機器による服薬指導等を行った患者に対して薬局が薬剤を配送等する費用を支援する」旨が決定され、日本薬剤師会等を通じて、患者が負担する配送料の全額または一部が助成される方針が固められたため、地域薬剤師会等における最新情報の確認が必要です。
さらには、医師が電話等により患者に対して一般用医薬品を用いた自宅療養等の助言等を実施した場合においては、薬局は当該患者の求めに応じて一般用医薬品を患者宅に提供する場合も想定されているため、そうした点にも留意していかなければなりません。
出所:厚労省「全国厚生労働関係部局長会議(2020.01.17)」老健局資料より一部引用
なお、今回の新型コロナウイルスの感染拡大による特例的な対応とは別に、2020(R2)年度調剤報酬改定では、オンライン服薬指導に対する調剤報酬上の評価(9月1日の改正薬機法施行後)が新たに盛り込まれ、環境整備が進められてきた状況です。オンライン服薬指導の評価が組み込まれた背景には、政府の目指す電子処方箋の本格稼働を見据えた「一気通貫の在宅医療」の実現に向けた仕組みとしての側面と、「地域医療構想」における病床の機能分化や削減の流れの一端で、訪問診療を受ける患者が全国的に大幅に増加し、在宅医療のニーズが一段と拡大していく中で受け皿としての機能やハードを整備する側面があります。つまり、オンライン診療およびオンライン服薬指導は一過性の措置ではなく、近未来を見越した制度的な仕組みだという点を認識することが重要です。
- 参考サイト:厚労省「令和元年度 全国厚生労働関係部局長会議資料(老健局)」より一部引用
https://www.mhlw.go.jp/topics/2020/01/tp0107-1.html
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ワイズマン編集部