給付管理とは?ケアマネジャーが担当する給付管理業務の仕事内容を徹底解説
2023.02.27
給付管理とは介護保険サービスの利用によって発生する、介護給付費の請求にかかる一連の業務のことです。ここでは、主に居宅介護支援事業所で給付管理業務に携わっているケアマネジャーの方向けに、給付管理の作成書類の種類や主な流れと注意点を解説します。
初めて給付管理を行う方でも、流れや注意点を知っておくだけでスムーズに業務を進められるでしょう。また、業務効率を上げるためのツールについてもご紹介しているので、ぜひ最後までお読みください。
目次
給付管理とは
給付管理とは、介護サービスの利用者の介護費用または支援費用を管理する業務のことです。主にケアマネジャーが対応しますが、施設によっては介護事務員が対応するケースもあります。
居宅介護支援事業所などの介護事業者は、利用者が介護保険サービスを利用した際、介護給付費を請求する必要があります。請求先は、介護保険などの保険給付が公正に行われているかをチェックする公法人「国民健康保険団体連合会(以下、国保連)」です。
利用者はサービスを受けた場合、原則として費用の一割を負担し、残りの9割については介護事業者が国保連に対して請求を行います。その際に、ケアマネジャーが作成した給付管理票と請求書が必要です。請求を受けた国保連は、その内容を審査したうえで給付を行います。
給付管理で作成する書類
給付管理で扱う主な書類は以下の5つです。
- サービス利用票
- サービス利用票別表
- サービス提供票
- サービス提供票別表
- 給付管理票
どれも給付管理を行ううえで重要な書類です一つひとつ詳しく見ていきましょう。
サービス利用票
サービス利用票とは、利用者に提供するサービス内容などを一ヵ月ごとに記載した書類です。提供するサービスの予定表のようなもので、ケアマネジャーが利用者に渡します。
サービス利用票に記載する主な項目は以下の通りです。
- 保険者番号
- 保険者名
- 居宅介護支援事業者事業所名と担当者名
- 作成年月日
- 利用者確認
- 被保険者番号
- 被保険者氏名
- 生年月日
- 性別
- 保険者確認印
- 届出年月日
- 要介護状態区分
- 変更後の要介護状態区分と変更日
- 区分支給限度基準額
- 限度額適用期間
- 前月までの短期入所利用日数
- サービスを提供する時間帯
- サービス提供事業者の事業所名
- サービス内容
- 一ヵ月ごとのサービス計画や実績の記録
サービス利用票は2部作成のうえ、一部を利用者に交付、もう一部を居宅支援事業者側で保管します。
サービス利用票別表
サービス利用票別表は、利用者の負担額や支給限度額の概算が記載された書類です。サービス利用票と併せて作成し、利用予定サービスの介護給付費に関する情報を利用者に提供します。
サービス利用票別表に記載する主な項目は、以下の通りです。
- 被保険者番号
- 利用者名
- サービス提供事業所名
- サービス提供事業所番号
- サービス内容と種類
- サービスコード
- 単位数
- 割引適用後の率(%)
- 割引適用後の単位数
- サービスの利用回数
- サービスの単位数と金額
- 給付管理単位数
- 種類支給限度基準を超える単位数
- 種類支給限度基準内の単位数
- 区分支給限度基準を超える単位数
- 区分支給限度基準内の単位数
- 単位数単価
- 費用総額(保険/事業対象分)
- 給付率(%)
- 保険/事業費請求額
- 定額利用者の負担単価金額
- 利用者負担(保険/事業対象分)
- 利用者負担(全額負担分)
- 種類支給限度管理
- 要介護認定期間における短期入所利用日数
- 請求額の計算
請求額の計算は、さらに以下のような項目に分かれています。
- 保険請求分
- 公費請求額
- 利用者負担の減免(社会福祉法人等によるもの)
- 利用者請求額
多くの利用者が気になるのは、請求額がいくらになるのかという点でしょう。サービス利用票別表は、その請求額を明確に示し、確認してもらうことで、請求時のトラブルを防止する役割も担っています。
サービス利用票別表についても2部作成のうえ、一部を利用者に交付、もう一部は居宅支援事業者側で保管します。
サービス提供票
サービス提供票は、利用者に提供するサービス内容とサービス事業者が記載された書類のことです。サービス利用票の情報を転記したもので、各サービス事業者は票に基づきサービスを提供します。
しかし、場合によってはサービスが提供できないこともあるため、実際にサービスが提供できたかを実績欄に記載する必要があります。記載する項目は、サービス利用票と同じです。
サービス提供票別表
サービス提供票別表は、支給限度額を管理するための書類です。サービス提供票に記載された実績が数値化され記載されます。サービス事業者とケアマネジャーが情報のやり取りをするために使用し、介護給付費の請求に関するトラブル防止の役割も担っています。記載する項目は、サービス利用票別表と同じです。
給付管理票
給付管理票は、国保連に介護給付費請求をするために必要な書類です。毎月の提出が必要であり、給付管理業務において重要な書類となっています。
ケアマネジャーは、各サービス事業者から送られてきたサービス利用票控え、サービス提供票、サービス提供票別表を参照し、間違いがないかチェックしながら主に以下の項目を給付管理票に記載します。
- 保険者番号
- 保険者氏名
- 被保険者番号
- 被保険者氏名
- 生年月日
- 性別
- 要支援・要介護状態区分
- 支給限度基準額
- 限度額適用期間
- 作成区分(居宅介護支援事業所作成・被保険者自己作成・介護予防支援事業者・地域包括支援センター作成のうちから選択)
- 居宅介護・介護予防支援事業者の事業所番号
- 担当介護支援専門員番号
- 居宅介護・介護予防支援事業者の事業所名
- 支援事業者の事業所所在地と連絡先
- 委託した場合は委託先の支援事業所番号と介護支援専門員番号
- サービス事業者の事業所名
- 事業所番号
- 指定・基準該当・地域密着型サービス・総合事業識別のうち該当するものを選択
- サービス種類名
- サービス種類コード
- 給付計画単位数
給付管理票は、介護保険サービスを提供した月の翌月1日から10日の間に作成し、国保連に提出することが求められます。提出期限に遅れないよう、スケジュール管理や記載内容に誤りがないかなどのチェック体制の整備や強化が重要です。
給付管理業務の主な流れ
給付管理は、大きく以下のようなステップで行います。
- 一ヵ月単位のサービス提供プランを作成する
- サービス事業者に依頼・調整する
- サービス提供後に実施内容を確認する
- 国保連に給付管理票を送付する
それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。
①1ヵ月単位でのサービス提供プランを作成する
まず、利用者の1ヵ月ごとのサービス提供プランを作成します。そのあと、利用者に対して、1ヵ月ごとに受けるサービス実施予定が記載されたサービス利用票とサービス利用票別表を作成し、交付します。利用者がサービスの利用内容について確認・同意をしたら、署名と捺印を同意署名欄にもらいます。
②サービス事業者に依頼・調整する
次に、サービス事業者にサービス提供の依頼・調整を行います。その際、すでに作成したサービス利用票とサービス利用票別表を元にサービス提供票とサービス提供票別表を作成し、サービス事業者へ交付します。介護給付費の請求においてトラブルが起きないよう、各サービス事業者との連携が大切です。
③サービス提供後に実施内容を確認する
サービス提供後には、実施内容の確認が必要です。利用者にサービス提供が行われると、各サービス事業所からサービス提供票とサービス提供票別表が返送されるので、それらの書類をしっかり確認します。
何らかの理由によってサービスが予定通りに提供されなかった場合やサービス提供の予定と実績が食い違っている場合は、サービス事業者や利用者に確認を取り、実績に誤りがないか確認することが重要です。
④国保連に給付管理票を送付する
サービス提供の実績のチェックが終わったら、国保連に給付管理票を送付します。提出方法は以下のいずれかです。
- インターネット経由でデータを伝送
- データをCD等の電子媒体に保存して郵送または窓口に提出
- 紙媒体での提出(一定の条件を満たした場合のみ)
毎月10日までに提出できるよう、日程に余裕を持って書類作成を行いましょう。提出する際には、居宅介護給付請求書も併せて送付します。
給付管理業務を行う際の注意点
給付管理を行う際には、以下のような点に注意することも必要です。
- サービス利用者の満足度を確認する
- サービス事業者との連携を徹底する
これらの点を意識するかどうかで、サービスの質に違いが出てきます。
サービス利用者の満足度を確認する
健全なサービスの維持・向上のためには、以下の点についてモニタリングを行う必要があります。介護サービスを受けている利用者の満足度をしっかり確認しましょう。
- 利用者が適切なサービスの提供を受けているか
- 利用者とそのご家族がサービスについて満足しているか
- もう一度同じサービスを受けたいと思うか
大切なのは、利用者やご家族の目線でモニタリングを行うことです。利用者やご家族に負担がかかっているようであれば、サービス事業者と話し合い、改善を検討する必要があります。
サービス提供事業者との連携を徹底する
利用者が満足できるサービス提供のためには、サービス事業者との連携を徹底することが大切です。給付管理票やサービス提供票の内容に誤りがあると、毎月の介護給付費の請求が遅れる恐れがあります。
給付管理業務をスムーズに進めるためにも、サービスの実施状況に関する情報共有を、サービス事業者との間で徹底しなければいけません。連携がしっかり取れればミスも減り、サービスの質的向上にもつながるでしょう。
まとめ
給付管理は、居宅介護支援事業所でケアマネジャーが行う重要な業務の一つです。毎月10日までに給付管理票を国保連に送る必要があるため、スケジュール管理が大切となります。
各サービス事業所との連携がしっかり取れていないと、請求が遅れるばかりかほかの業務にも悪影響を及ぼす恐れがあります。スムーズにスケジュール管理をしながら給付管理業務を行いたい場合は、「居宅介護支援事業所向け介護ソフト」の利用がおすすめです。各サービス事業所との情報共有をスムーズにできたり、請求漏れを防止できたりします。
介護ソフトを導入し給付管理業務の負担が減れば、ほかの業務の質を高めることができ、利用者満足度の向上にもつながるでしょう。介護ソフトの資料請求や、デモンストレーションをご希望の方はこちらから簡単にお問い合わせいただけます。