【医療業界動向コラム】第32回 オンライン資格確認体制、58%の病院が参加

2023.02.21

令和5年4月から原則義務化となるオンライン資格確認体制の令和5年2月5日時点の導入状況が公表された(オンライン資格確認の義務化対象外となる医療機関・薬局も含めた集計)。病院と薬局は50%の施設が参加するものの、診療所(医科・歯科)においては4割に満たない状況となっており、結果として全体では半数に届かないという現況が明らかにされている(図1)。

図1:オンライン資格確認体制への参加状況

なお、原則義務化、という表現からもわかるように例外も存在する。例外とは、「やむを得ない事情」がある医療機関・薬局のことで期限が設定された経過措置が設けられている(図2)。

図2:経過措置

基本的には令和5年9月末までには導入を完了させる予定だが、訪問診療・オンライン診療等については運用開始となる令和6年4月までとなる。期限が設定されていることから猶予措置を受ける必要があり、令和5年3月31日までに事前の届け出が必要となる。その場合は、オンライン資格確認のポータルサイトを通じて行う。なお、郵送で対応もできることとなっており、猶予届出書に必要事項記載の上、支払基金に郵送するということになる。

すでに始まっている電子処方箋、診療情報を入力し共有・参照するHL7 FHIR規格を採用した電子カルテは、場所と時間に縛られない、診療を継続し、重複検査・投薬を適正化する「全国医療情報プラットフォーム」の構築の必須条件であり、骨太方針2022にも記載されたいわば国民との約束ともいえるもの。マイナンバーカードに健康保険証機能を紐づけるマイナ保険証は全国医療情報プラットフォームにアクセスするための鍵ともいえる(図3)。

図3:医療DXの推進でできる社会像

医療機関での体制整備を進める一方で、これからは地域住民による参画が重要になる。今後、マイナンバーカードには令和5年度末に向けて運転免許証の機能も紐づけることを目指している。報道では、すでに運転免許証よりもマイナンバーカードの申請件数が上回ったなどともいわれている。なお、高齢者など取得が難しい方やカードを紛失してしまった方に対しては、資格確認書を無償で発行する予定だ。さらに、マイナンバーカードの交付開始から10年目(18歳以上の場合は10回目の誕生日までが有効期限でもある)となる令和8年度にはセキュリティ面を考慮した新しい様式のカード(カード表面に顔写真や氏名、住所、生年月日等を掲載しないもの)に切り替えることも検討されている。

しかしながら、マイナ保険証を利用した受診はまだ少ないのが実情だろう。筆者自身も3か月毎に通院しているが、マイナ保険証を所有し持ち歩いているにも関わらず、これまでの習慣で健康保険証を出してしまっている。早く習慣を変えなければ、4月以降は負担が上がることになる。物価高が続く現状においては、消費者感情としては少しでも出費を抑えたいところ。医療機関側からのわかりやすい広報は社会生活の間接的な支援にもなるといえる。

山口 聡 氏

HCナレッジ合同会社 代表社員

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