レセプトシステムとは?標準機能・導入効果・注意点を解説
2023.08.30
医療や介護に従事されている方にとって欠かせないレセプト。
日常的に行う業務だからこそ、シスエムの導入により大きな効果が期待できます。
なかには、「レセプトシステムとはどのようなものだろう?」「未だ具体的なメリットを描けていない」という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、レセプトシステムの標準機能や導入効果を解説します。
後半では、システム導入の手順と注意点も紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
レセプトシステムとは?
レセプトとは、医療機関・介護施設などが保険者(協会けんぽ・組合保険など)に対し、診察報酬を請求するための明細書のこと。
レセプトシステムは、診察データ・薬剤データと紐づき、レセプトを自動作成するシステムです。
レセプト作成時には、医師の作成したカルテを元に、診療内容の入力や保険点数の計算を行います。
計算ミスや誤入力を確認するための点検作業を含めて、非常に慎重性と正確性が求められる業務なので、現場職員の負荷も大きいと言われています。
レセプトシステムにより、今まで人手で行っていた業務を自動化できるため、現場の負担を減らして業務効率を向上できるでしょう。
レセプトシステムの標準機能
レセプトシステムは、単にレセプトを自動で作成するだけでなく、主に以下の機能を搭載しています。
- 診療内容の入力、保険点数の自動計算
- 記入データの点検
- 窓口会計の計算
- 処方箋の発行
- 診療明細書発行
なお、製品によっては追加機能があったり、上記機能のいずれかが充実していたりします。
レセプトシステムを選定する際は、システムごとの機能特性を十分に理解し、自社の要件に適したものを選定しましょう。
診療内容の入力、保険点数の自動計算
医師の診察が終わったら、紙や電子カルテの情報を元にレセプトへ診療内容を入力します。
本来、診療内容に応じて保険点数の計算が必要ですが、レセプトシステムであれば、診療内容に応じた品番やコードを入力することで自動入力できます。
記入データの点検
診療内容の誤入力や保険点数の計算ミスを減らすため、従来では専門知識のある職員が目視等でデータを点検していました。
その点、レセプトシステムでは、自動点検機能で入力されたデータの異常を自動検知できます。
過去のデータとの照合、病名と処方薬の突合、受給資格の確認など、様々なデータの点検をスピーディかつ正確に実施可能です。
窓口会計の計算
入力された診療内容に応じて、レセプトシステムが患者の自己負担額を自動で計算します。
領収証の発行や過去の請求内容や未収金の確認なども可能なので、窓口会計業務が非常にスムーズに行えます。
処方箋の発行
レセプトシステムが入力のガイドをしてくれるので、処方箋の作成を円滑化できます。
システムによっては、処方箋に二次元バーコードが記載してあり、調剤薬局でそれをスキャンすれば、すぐにデータの照合が可能です。
診療明細書発行
患者によっては、診療明細書の発行を求めるケースがあります。
やむを得ず全額自己負担診療を受けた場合や、健康保険組合へ払い戻し請求をする際などで必要です。
レセプトシステムであれば、診療内容などが自動入力されるので、明細書の発行も非常にスムーズです。
レセプトシステムを導入する6つのメリット
システムの導入を検討しているものの、具体的な導入メリットを描ききれていない方も多いでしょう。
本章では、6つの導入メリットを紹介します。
入力・確認作業の効率化を図れる
一番のメリットは、入力・確認作業の効率化を図れることです。
レセプトシステムでは、診療内容がコードで管理されているので、カルテを参照して該当コードを選べば、レセプトを自動作成してくれます。
従来のようにカルテを参照しながら手入力する必要がないため、入力作業を効率化できます。
また、業務を効率化することで、従来よりも少ない人員でレセプト業務を遂行できるようになります。
計算ミスなどのヒューマンエラーを防止できる
レセプトシステムには、入力内容の不備を検出する機能が搭載されています。
万が一、計算ミス・入力ミスが生じた場合も、即座に異常を検知でき対処が可能です。
なお前述のように、システム間の連携によりレセプトの自動計算・作成が可能なため、人手業務自体を削減できます。
人手業務が減ることでヒューマンエラーの発生を防止でき、レセプトの信憑性向上にもつながります。
レセプトの返戻率を改善できる
レセプト業務において非常に重要な指標とされるのが返戻率です。
レセプトシステムでは、病名や過去の診療情報から入力された項目が正しいかどうかを自動で検知する機能が備わっています。
これにより、診療内容を入力する際のコードや品番の入力ミスなどを最小限に抑えられます。
審査支払機関の返戻状況については、支払基金が令和3年5月分で0.66%、国保連合会では0.33%です。
一見少ないようにも感じますが、返戻件数247,049件であることを考慮すると、看過できない数値です。
また、返戻が発生した場合は、出し直しが発生したり、当月に診療報酬を計上できなかったりするため、システムによる返戻率の改善は大きなメリットと言えます。
参照:医療費請求業務システムにおける〜|一般財団法人医療保険業務研究協会
経費を削減できる
レセプトシステムを導入することで、作業内容が簡略化・効率化されるため、最小限の人員と時間で業務を遂行できます。
レセプト業務は従来、高度な専門知識と経験、正確性が求められるものでした。
また、データのダブルチェック、査定や返戻の対応などにも人員を割く必要があり、人件費増加が経営上の課題になる場合もありました。
レセプトシステムの導入にもコストはかかりますが、中長期的に見た場合経費の削減効果が大きいと言えるでしょう。
診療報酬の改定作業をスムーズに行える
レセプトシステムでは、診療報酬の情報をアップデートすることで、自動的に新点数に置き換わります。
2年に一度の診療報酬改定業務を人手で行うと、多くの手間と時間がかかります。
また、3月の改定内容公示から施行までに1ヶ月しか時間がないため、迅速な対応が求められます。
レセプトシステムであれば、アップデートや設定変更のみで対応が可能なため、法律・制度改正にも柔軟に対応できるでしょう。
診療データを有効活用できる
高度な医療レベルを追求する医療機関では、レセプトシステムを将来に向けて有効活用することが期待できます。
昨今AI分野の急速な発展も背景に「医療データ分析」の分野が注目されています。
電子カルテ、レセプト、CTスキャンなどのデータを横断的に取得・分析することで、患者の傾向を把握したり、病気の特徴や共通点の発見が可能になったりします。
その結果、画像診断の自動化、治験薬の開発、ヒトゲノムの解析など幅広い医療分野での応用が見込まれるのです。
基本的なレセプトシステムの導入手順
レセプトシステムを導入するための基本的な導入手順は、以下の通りです。
- 製品とベンダー(システム導入業者)の検討
- 見積もり依頼で導入コストを比較検討
- 患者、診療行為、医薬品などのデータを登録・移行
- 必要機材の搬入と設置
- 操作方法の確認とテスト運用
- 本運用
ただ、医療機関の状況やベンダーによって、手順が異なる場合もあります。
システムの導入経験が少なく不安に感じている場合は、導入サポートが充実した製品を選ぶと良いでしょう。
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レセプトシステム選びのポイント
システム導入にあたっては、どんなポイントに注目して比較検討をすれば良いかわからない方も多いかと思います。
参考となるポイントをまとめましたので、ぜひお役立てください。
レセプトシステムが対応する業務範囲
医療機関の種類や業務体制によって、必要な機能は異なります。
例えば、病院内に調剤薬局を併設している場合には、スムーズに薬の処方ができるようなシステムの連携や二次元バーコードの搭載が望ましいです。
また、介護施設での運用の場合には、介護保険に対応したレセプトシステムが必要不可欠です。
このように、検討しているレセプトシステムがどの業務範囲をカバーしているのかをしっかりと把握しておくことで、運用開始後のトラブルを回避することができます。
クラウド型かオンプレミス型か
レセプトシステムには、クラウド上にデータを保管するクラウド型と、ローカルネットワークで接続して独自サーバーでデータ管理をするオンプレミス型とがあります。
クラウド型であれば、サーバーの確保が不要なのでコストを抑えることができます。
一方、オンプレミス型はカスタマイズ性や障害対応へのスピードという点でメリットがあります。
予算や業務環境と照らし合わせながら、どちらにするかを検討してみましょう。
補助金制度の対象か
中小企業庁の施策「IT導入補助金2023」対象のレセプトシステムを導入すると、条件を満たすことで上限450万円(補助率1/2以内)の補助金が受けられる場合があります。
レセプトシステム導入には、どうしてもまとまった資金が必要になりますので、補助金の適用が受けられれば、負担軽減になるでしょう。
ただ、IT導入補助金の適用には、条件が設けられています。
導入するシステムによっては、補助金制度の対象外になる恐れがあるため、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
システムのサポート体制を確認する
近隣を含めたサポートセンターの数や、対応時間、対応方法(チャット、電話、対面など)を事前に確認しておきましょう。
レセプトシステム運用開始後は、操作に慣れるまで不明点が出てきたり、トラブルが発生したりする場合があります。
そんな時に迅速かつ柔軟に対応できるサポート体制があれば安心です。
診療報酬・介護報酬共に報酬改定毎に細かく変化していきます。また、顧客の負担割合も2割負担、3割負担の方も増え、年々複雑さを増しています。報酬単価も加算等細分化されており、最早手動では不可能ともいえる状況ではないでしょうか。システムを導入せずレセプト業務を導入している病院等はほぼ無いのが現状でしょう。業務の効率化と計算ミスを防ぐというのがこういったシステムの主な役割です。現在活用しているシステムを見直す際には、まずこの原点に立ち返り検討するとよいでしょう。
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レセプトコンピュータシステムΣのご紹介
ここでは、弊社「株式会社ワイズマン」が提供する「レセプトコンピュータシステムΣ」を紹介します。
レセプトコンピュータシステムΣの特徴
レセプトコンピュータシステムΣは、主に以下4つの特徴があります。
医療保険と介護保険の一元管理が可能
保険の種類によって診療報酬の算出方法に違いがありますが、医療・介護保険の情報を一元管理できます。
病院と介護施設を併設している場合など、業務上のメリットが大きいです。
レセプトの確認・修正が簡単
ひと月分の診療行為を一括で入力することができ、自動算定機能や算出不能警告メッセージ機能で、入力業務をサポートします。
スムーズに統計資料の作成が可能
抽出機能が充実していて、図表の種類も豊富なので、会議内容に合った柔軟な資料作成ができます。
電子カルテやオーダリングを導入している、あるいは今後導入の予定がある場合には、システム連携が可能なので、会計業務や処方箋の作成に関する業務効率の更なる向上が期待できます。
レセプトコンピュータシステムΣの機能
レセプトコンピュータシステムΣの搭載機能は、以下の3つの集約されています。
会計入力
コード入力、コマンド入力、検索入力の3タイプの入力形式に対応。
多角的にコードの検索が可能です。
また、計算補助機能として、自動算定や算定誘導を搭載しているため、医療事務初心者の方でも安心して業務に取り組めます。
弊社が提供する「電子カルテシステム ER 」との連携で、診療情報を自動共有し、窓口での会計入力作業を削減できます。
レセプトプレビュー
従来では日々レセプト作成の必要がありましたが、作成業務が自動化されているので、業務負荷は格段にアップします。
DPCや労災、新旧自賠責にも対応していますので、幅広い業務に対応可能です。
また、チェックソフトと連携させることで、より正確なレセプト点検ができます。
請求一覧
多様なデータの抽出方法や、柔軟な図表の作成が可能です。
医療機関の経営状況の確認や会計監査など、請求情報の資料化が必要な場合に役立ちます。
まとめ
今回の記事では、業務効率化やコスト削減を視野にレセプトシステム導入を検討する担当者へ向けて、標準機能や導入効果、注意点を重点的にご紹介しました。
これまで導入について考えたことはあっても、具体的メリットがわかりづらかったり、何を基準に選べば良いのかわからなかったりする方の参考になれば幸いです。
レセプトシステムは今後、DXの潮流や補助金などを背景に益々導入が加速すると思われます。
ぜひ、本記事を今後の医療機関経営にお役立てください。
監修:伊谷 俊宜
介護経営コンサルタント
千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。