訪問介護の管理者の業務内容とは?多職種との兼務についても解説

2024.06.12

訪問介護では、管理者の設置が義務付けられています。
管理者は、訪問介護施設の運営に関わる重要な職種です。

しかし、具体的な業務内容や人員基準での定義が曖昧になっている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、訪問介護の管理者の業務内容や兼務できる職種、求められる能力について解説します。
訪問介護の管理者の決め方に困っている方は、ぜひ最後までご覧ください。

訪問介護の管理者とは?

訪問介護の管理者とは、「自施設の経営・管理を統括する責任者」を指します。
訪問介護サービスにおける管理者は、提供サービスの質の維持・向上、スタッフの管理、事業運営など、多岐にわたる重要な役割を担います。

そのため、介護現場での知識のみならず、運営にかかわる知識も必要です。
本章では、管理者の定義や資格要件について解説します。

人員基準で定められた管理者の定義

管理者とは、常勤で専ら管理業務に従事する者のことです。

訪問介護の管理者は、支障がない限り兼務も認められています。
訪問介護の人員基準では、管理者の他に、訪問介護員、サービス提供責任者が必要です。

訪問介護の管理者の資格要件

訪問介護の管理者に、資格は必要ありません。
ただ、他の業務と兼務する場合は福祉資格を持っておくことで、業務に役立ちます。

例えば、ケアマネージャーと兼務するためのケアマネージャー資格。
サービス提供責任者と兼務するための、介護福祉士資格などです。

これらの資格がある職員は、兼務で現場に入りやすくなります。
管理者の仕事は施設を運営する仕事のため、現場を知っていることはとても重要です。

訪問介護管理者の業務内容

訪問介護の管理者は、自施設全体にかかわる業務を担います。
サービスの提供のみならず、事業所の経営や人材育成の業務などさまざまです。

本章では、管理者の主な業務内容について解説します。

介護サービスの品質管理

提供されている介護サービスの品質管理は、管理者が担当する代表的な業務です。
管理者は提供している介護サービスを見直して、より良いものにしていく必要があります。

具体的には、利用者のケアプランを見て、国のガイドラインに沿っているかを見直します。
また、改善点がある場合は、サービス提供責任者に伝えて改善を促します。

それ以外にも、利用者の声に耳を傾けていくことも大切です。
自施設の状況を把握し、サービス向上のために適切な指示を下していくことが管理者の仕事です。

介護職員の管理

施設運営をしていくなかで、介護職員の管理も業務としてあります。

シフト管理をはじめとしたスケジュール管理から、職員への業務配分を考えます。
また、職員が安全に働ける環境を整えることや、職員を採用して育成していくことも重要な業務です。

現場の職員の意欲が向上する環境を整えることで、介護サービスの向上にもつながります。

事業所の経営・法令制度改定への対応

特に重要度が高い業務は、施設経営や法令制度改定への対応です。

予算の策定、収支の管理、必要な資金の調達など、事業所の財務健全性を保つための管理を行います。
また、介護業界では、介護保険法をはじめとする関連法令や制度の改定があります。

その都度、法令に対応した事業経営をする必要があり、一連の対応作業は管理者が統括します。

訪問介護の管理者に求められる能力

訪問介護の管理者を決めるには、複数の能力を持った人が適切です。
自施設で管理者を決める場合には、以下の2つの視点で人材を決めるのがおすすめです。

  • 経営能力
  • コミュニケーション能力

それぞれの能力について解説します。

経営能力

訪問介護の管理者に必要な経営能力は、財務管理、人材管理、サービスの質の維持・向上など、施設全体の運営を支えるための能力を指します。
管理者には、幅広い業務をこなせる人材を選びましょう。

財務管理では、加算を取得できる体制を整え、効率的な資金運用を通じて施設の財政健全性を保つ必要があります。
経営を安定させることで、給料や人材育成、サービスの質の向上にも役立てられます。

人材管理では、サービス提供の質を保ちつつ、職員にとって働きやすい環境を作り出すことも大切です。
人員・設備・運営基準を把握して、職員を適切にマネジメントする能力が求められます。

コミュニケーション能力

訪問介護の現場では、さまざまな立場の方とのコミュニケーションが日常的に発生します。
そのため、対話相手との円滑なコミュニケーションをするための能力が求められます。

例えば、相手の立場やニーズを理解し、適切な情報を提供するなどです。

信頼関係が築けると、サービス提供の質の改善につながります。
また、コミュニケーション能力によって、内外の問題や課題に対して、適切な対応策を提示できます。

介護職員との連携を促し、風通しの良い職場環境作りを進めていけます。

訪問介護の管理者と兼務できる業務

人材不足に悩んでいる場合は、管理者と他の職種を兼務する方法が効果的です。
管理者の負担は増えますが、人材を効果的に活用できます。

本章では、訪問介護の管理者と兼務できる職種について解説していきます。

サービス提供責任者

サービス提供責任者は兼務可能です。
サービス提供責任者とは、サービスの提供についてのまとめ役となるポジションです。

業務に支障がないと認められる場合は、管理者との兼務が認められています。
また、訪問介護員と管理者の兼務も認められている地域もあります。

訪問介護員は自治体によって、認められていない場合もあります。
詳しくは、各自治体に確認するようにしましょう。

同一敷地内の他の事業所の職務

法人である場合は、同一敷地内の他の事業所とも兼務可能です。
例えば、以下の事業所が管理者との兼務ができる事業所です。

  • 訪問看護(介護予防訪問看護)ステーションの管理者
  • 通所介護事業所(通所介護相当サービス)の管理者
  • 居宅介護支援事業所の管理者

どちらの事業所でも管理者である場合に限り、兼務が可能です。
そのため、どちらかの事業所で管理者でない場合は、兼務はできません。

管理者の負担を減らす場合は、介護ソフトの利用が効果的

自施設で管理者を決めるには、兼務をする可能性があります。
兼務を進めていくには、業務負担を減らさないと、管理者が疲弊してしまいます。

管理者の負担を減らすための代表的な施策が、介護ソフトの活用です。
介護ソフトには、以下の3つのメリットがあります。

  • 業務の効率化につながる
  • データ活用によるサービスの品質向上
  • 法改正への迅速な対応

本章では、介護ソフトの有用性について解説していきます。

業務の効率化につながる

1つ目の理由は、業務の効率化が進む点です。

訪問介護では、記録が紙ベースで記録されることが多くあります。
訪問介護記録、スケジューリング、職員の勤怠管理などさまざまです。

介護ソフトを活用することにより、これらの業務が簡単かつ迅速に行えます。
重要な情報の検索時間が大幅に短縮され、業務の効率化が図られます。

例えば、ファイルで管理していた訪問介護スケジュールは、介護ソフトを活用することによりタブレットやパソコンで閲覧可能です。
保管する棚も必要なくなるため、空きスペースを別の用途に活用できるようになります。

データ活用によるサービスの品質向上

2つ目の理由は、サービスの品質が向上する点です。

訪問介護では、担当する利用者が決まっています。
しかし、欠勤などにより、担当者が変わってしまう場合があります。

情報を引き継がれないまま担当者が変わってしまうと、提供サービスの品質が低下しかねません。
介護ソフトであれば、担当者が変わってもサービスの品質を保てます。

例えば、ワイズマンの「訪問サービス向け ケア記録支援ソフト すぐろくHome」であれば、申し送り事項を簡潔に伝えられます。
記録の作成もしやすいため、連絡漏れの心配もありません。

介護ソフトは、サービスの品質を向上する一助となります。

法改正への迅速な対応

3つ目の理由は、法改正への迅速な対応です。
訪問介護では、関連する法令が隔年で改定されます。

介護報酬改定など、その都度改定される法令に、知識をアップデートしていく必要があります。
介護ソフトでは、介護保険法をはじめとする関連法令の改正情報をソフトウェアが自動で更新し、運用に反映する機能があります。

これにより、管理者は法改正に迅速かつ適切に対応でき、常に法令遵守のもとでサービスを提供することが可能です。
また、法改正に伴う新たな報告要件にも、フォーマットの更新やデータ入力のガイドライン提供を通じて容易に対応できます。

正確かつ迅速な報告が可能になり、行政への対応負担を大幅に軽減できます。
介護ソフトは、3つの点から管理者の負担を減らします。

ワイズマンでは、訪問介護事業所向けの「訪問サービス向け ケア記録支援ソフト すぐろくHome」を提供しています。
スマートデバイスで記録作成・共有が完結できる「すぐろくHome」などのオプションもあります。

伊谷 俊宜氏
伊谷 俊宜氏

訪問介護事業所は全国に35,000件以上ありますが、一事業所あたりの平均利用者数は約33名とかなり少数となっていることがわかります。これは、小規模な事業所が数多く存在することを意味しています。経営者=管理者となっている事業所も数多く存在しています。それが悪いという意味ではありませんが、2024年介護報酬改定の内容をみても、国は間違いなく事業を『大規模化』する方向で政策誘導しています。訪問介護の基本報酬は減算され、新処遇改善加算で補う形での改定内容になっているのです。上位の処遇改善加算は小規模事業者には算定が難しい建付けとなっているため、小規模事業者はさらに厳しい経営を強いられるのは必至な状況です。少なくとも経営者が管理者というプレイヤーを兼務する必要のない経営体質を求められていると言えます。

訪問介護の管理者は、多職種との兼務も可能

訪問介護の管理者は、必ず設置が義務付けられている職種です。
業務に支障が出ない限りは、自施設や他事業所との兼務も可能です。

現場の職員と相談をしながら、管理者の兼務については考えていきましょう。
管理者の兼務を進めるには、介護ソフトの活用が効果的です。

事業所のご希望に合わせた、介護ソフトのオプションも変更できます。まずは、お気軽にお問い合わせください。

監修:伊谷 俊宜

介護経営コンサルタント

千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。

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