介護の勉強会・研修おすすめネタ9選|参加率を上げるコツを徹底解説

2024.06.12

勉強会や研修を開催すると、従業員のスキルアップを促進できます。
しかし、勉強会の開催実績が増えるにつれて、ネタを出し尽くしたり、新たな研修内容が思いつかなかったりと悩むでしょう。

この記事では、介護の勉強会を開催するコツについて、研修内容となるネタを紹介します。
勉強会の開催方法と手順をあわせて解説するため、参加率の高い勉強会や研修を開催しましょう。

介護の勉強会・研修を行う目的と重要性

介護の勉強会・研修の開催を検討している事業所は、「なぜ勉強会を行うのか?」などの目的を明確にしておくべきです。
一般的に介護の勉強会・研修を行う目的は、以下の3つです。

  • 従業員のスキルアップによりサービスの品質を高める
  • 人材確保・離職防止につながる
  • 従業員のモチベーションを向上させる

自施設の課題も考慮し、勉強会の目的や内容を検討しましょう。

従業員のスキルアップによりサービスの品質を高める

介護の勉強会や研修を開催する目的は、従業員のスキルアップによりサービスの品質を高めることです。
勉強会によって、従業員のスキルや知識を高めれば、ケアサービスの品質を高められます。

介護業界の最新技術や法令制度などは日々変化しており、常に最新の知識へアップデートしなければなりません。
勉強会や研修でこれらを教育すれば、従業員一人一人のスキルアップにつながります。

人材確保・離職防止につながる

介護の勉強会や研修を開催することで、人材確保・離職防止につながります。
従業員の視点から見ると、研修によって自身のスキルアップを実感できれば、モチベーションを高められます。

また、従業員への教育に積極的な施設は、「より自分の能力を高めたい」と考える従業員から信頼されやすいものです。
結果的に、新たな人材の確保や離職防止につながります。

従業員のモチベーションを向上させる

従業員のモチベーションを向上させる施策として、勉強会や研修の開催がおすすめです。
勉強会や研修では、通常業務と異なる形でスキルアップ・知識習得の機会を設けられるため、日々の業務でマンネリ化している従業員のモチベーションを向上できます。

また、普段は時間の関係で指導しづらい細かな点まで教育できるため、従業員の仕事に対する熱意を高めやすいでしょう。
介護の勉強会や研修を実施すれば、従業員のモチベーションを向上させて生産性を高めることが可能です。

介護の勉強会・研修におすすめのネタ

介護の勉強会・研修のネタとして、主に以下のようなものがおすすめです。

  • 認知症に関する知識
  • 緊急時の対応と危機管理
  • ケアプランに関する知識
  • 接遇・コンプライアンスに関する知識
  • 虐待・身体拘束の防止
  • ボディメカニクスに関する知識
  • 介護制度の詳細や法改正について
  • ストレスマネジメント
  • チームワーク強化

それぞれの内容を確認して、実施する研修内容を決める参考にしてください。

認知症に関する知識

介護の勉強会で提供するネタに困ったときには、認知症に関する知識を教育しましょう。
介護現場では、認知症の高齢者と関わる機会が多いため、適切な処置や対応など知識が必要です。

認知症は、症状が進行するにつれ、徘徊・誤飲・幻覚・被害妄想などの行動を引き起こします。
その都度、介護スタッフには正しい対応が求められるため、適切に対応できる知識とスキルを身につけなければなりません。
認知症の進行具合によって、どのような症状が現れるか理解しておけば、介護現場で適切に対応できるでしょう。

緊急時の対応と危機管理

利用者の生活や健康を預かる立場として、緊急時の対応と危機管理に関する知識を学んでおく必要があります。
これは、緊急時に対応を誤れば命にかかわるケースもあるためです。

例えば、利用者が転倒して頭を強く打ったり、誤薬により容態が悪化したりした場合、命に関わる事態へ発展する恐れがあります。
もちろん、事前に防止策を講じることが重要ですが、勉強会で正しい対処法を教育しておけば、万が一の際でも適切に対処できる可能性が高まります。

ケアプランに関する知識

介護現場で働く上で、ケアプランに関する知識習得は必要不可欠です。
ケアプランは、利用者ごとの課題やニーズ・対応方法などが記載されているため、読み方や記入方法を正しく理解しておく必要があります。

またケアプランは、外部機関や利用者の家族と連携して情報共有するケースもあるため、関係者間のコミュニケーション方法を研修で周知させましょう。

接遇・コンプライアンスに関する知識

介護の勉強会のネタとして、接遇・コンプライアンスに関する知識がおすすめです。
介護事業所を長期的に運営していくためには、顧客満足度を高める必要があります。

「心のこもったおもてなし」ができるよう接遇に関する知識を教育し、利用者が快くサービスを受けられるよう研修を行いましょう。

虐待・身体拘束の防止

介護事業所として、起きてはならない事件を未然に防ぐために、虐待・身体拘束の防止に関する研修を実施しましょう。
虐待は決してあってはならないトラブルであり、肉体的な虐待だけでなく暴言や無視などの精神的な虐待も防止しなければなりません。

また介護現場では、状況によって身体拘束が必要となるケースもありますが、原則としては利用者の身体的自由を奪わないよう配慮する必要があります。
「どのような状況であれば身体拘束が必要か」のシミュレーションをして、虐待・身体拘束を防止しましょう。

ボディメカニクスに関する知識

移乗や歩行介助などの負担を軽減するためには、勉強会でボディメカニクスに関する知識を教育しておきましょう。
ボディメカニクスとは「body(身体)」と「mechanics(機械学)」をつなげた造語です。

具体的には、人間の動作や姿勢に関わる体の骨格や関節・筋肉や内臓などの力学原理を応用する技術のことです。
ボディメカニクスに関する知識を研修すれば、重労働な介護現場で働く従業員の身体的負担を軽減できます。

介護制度の詳細や法改正について

介護事業所において法令違反やトラブルを防止するためには、介護制度の詳細や法改正について教育しておくことが大切です。
現在の介護制度を理解して、法改正のたびに知識をアップデートすれば、法律に違反するリスクを回避しやすくなります。

従業員一人一人が、介護制度の詳細や法改正について理解を深めるために、勉強会を開催しましょう。

ストレスマネジメント

多忙な業務に追われて精神的負担も大きい介護業界で働くには、ストレスマネジメントが必要です。
ストレスマネジメントでは、ストレスの原因を認識し軽減するためのケア方法を教育しましょう。

また介護現場では、対人ストレスが溜まりやすいため、アンガーマネジメントも必要です。
アンガーマネジメントは、怒りの感情をコントロールする手法であり、不要なトラブルやミスの防止に役立ちます。

介護の勉強会を開催するなら、介護知識だけでなくストレスマネジメントやアンガーマネジメントについての研修も実施しましょう。

チームワーク強化

日々の業務を円滑化するためには、チームワーク強化に関する研修が大切です。
従業員同士のコミュニケーションを活性化させ、チームワークを強化することで、スムーズな情報共有を実現できます。

情報共有が円滑化されれば、生産性が向上するだけでなく、緊急時の対応力も高められます。

介護の勉強会・研修の開催方法

従業員へ提供する研修のネタを決定した後は、勉強会の開催方法を決めておきましょう。
介護の勉強会・研修の開催方法として、主に以下が挙げられます。

  • 外部講師による勉強会
  • オンラインによる勉強会
  • 職種別・階級別の勉強会

それぞれの内容を確認して、事業所に適した方法で勉強会を開催しましょう。

外部講師による勉強会

介護の勉強会・研修を開催する方法として、外部講師を招くことも1つの手です。
介護用品メーカーの担当者や薬剤師・医師などの医療関係者を外部講師として招けば、勉強会を通じて各分野の専門知識を習得できます。

事業所にはいない専門性の高い人材を外部講師にした勉強会を開催すれば、専門知識や経験を活かして、従業員を教育してくれます。

オンラインによる勉強会

コストや手間を掛けずに勉強会を開くなら、オンラインでの開催がおすすめです。
子育てに忙しく研修に参加できないパート従業員でも、オンラインの勉強会であれば、自宅から学習できます。

また、オンラインの勉強会なら、事業所へ呼ぶことが難しい遠方の外部講師でも、講習してもらえる可能性が高まります。

職種別・階級別の勉強会

勉強会を開催する際には、職種や階級・経験ごとに実施するべきです。
職種別・階級別の勉強会を開催すれば、各従業員に必要な内容を高い精度で教育できます。

「新入社員向け研修」や「パート従業員向けの勉強会」、「ケアマネジャー向けの勉強会」など、職種や階級ごとに研修内容をわけて、人材教育を行いましょう。

介護の勉強会・研修を開催する際の手順

介護の勉強会・研修を開催する際の手順は、次のとおりです。

  • 勉強会の目的・課題を明確化する
  • 勉強会の開催方法を決定する
  • 勉強会のネタ・内容を決定する
  • 勉強会で積極的にコミュニケーションを取る
  • 勉強会・研修を振り返る

勉強会をスムーズに開催するために、上記の手順を確認しておきましょう。

勉強会の目的・課題を明確化する

介護の勉強会を開催するには、まず目的と課題を明確化することが大切です。
「どのような目的で勉強会を開催するか」「現在の介護現場におけるどの課題を解消したいか」など、目的と課題が明確化されていないと、勉強会で提供するべきネタを検討できません。

万が一、勉強会の目的が定まらない場合は、SMARTを意識したKPIを策定してください。SMARTとは下記の頭文字を取った目標設定のためのフレームワークです。

  • Specific:具体的な
  • Measurable:計測可能な
  • Assignable:達成可能な
  • Realistic:現実的な
  • Time-related:期限がある

例えば「オンライン勉強会により、半年後までに全従業員が独自のテストにおいて、60点以上を獲得する」などです。

また現在の課題を把握するために、従業員アンケートを実施して、リアルな現場の声に耳を傾けましょう。

勉強会の開催方法を決定する

介護の勉強会を開催する目的と課題が定まったら、事業所に適した勉強会の開催方法を決めましょう。

同じネタの勉強会でも、オンラインとオフライン・事業所内のケアマネジャーと専門性の高い外部講師から学ぶのでは、得られる効果が異なります。
事業所の目的と課題に適した開催方法を選択することで、研修による高い費用対効果が見込めます。

勉強会のネタ・内容を決定する

勉強会の開催方法が決定した後は、どのようなネタ・内容の研修を実施するべきかを検討します。
例えば、離職率の高さや従業員への負担が課題の場合は、業務フローを振り返ったり問題点を改善したりするための勉強会を開催しましょう。

勉強会のネタ・内容によって、従業員の学習内容・身につけるスキルが変わるため、目的と課題に適した研修内容を考案しましょう。

勉強会で積極的にコミュニケーションを取る

介護の勉強会では、従業員と積極的にコミュニケーションを取ることが大切です。
ただ授業を聞いてメモを取るだけの勉強会では、情報をインプットしてすぐに忘れてしまいます。

教育した内容を知識として定着させるには、積極的にコミュニケーションを取ってアウトプットする機会を設けることが大切です。
またテーマに沿ったワークショップやディスカッションを開催して、従業員のモチベーションを向上させながら、研修内容への理解を深めましょう。

勉強会・研修を振り返る

勉強会・研修を実施した後は、従業員の理解度や研修への取り組み方を把握するために、研修を振り返る必要があります。
勉強会の良かった点と悪かった点、受講者の率直な感想をアンケートで収集し、次の研修へ活かしましょう。

勉強会で組織全体のスキル・知識を向上させるには、短期的な効果を狙うのではなく、中長期的な目標を掲げて勉強会を開催することが大切です。
振り返りによって可視化された改善点や課題をもとに、次の勉強会開催方法やネタを考案してください。

介護の勉強会の参加率を上げるコツ

介護の勉強会を開催しても、従業員の興味を惹けずに研修自体がマンネリ化してしまうと、参加率が低下してしまいます。
従業員が積極的に学習する体制を整えるために、次のコツを実践しましょう。

  • 従業員アンケートを行う
  • 実技やグループワークを取り入れる
  • 外部講師を呼んでマンネリを防ぐ

それぞれのコツを押さえて、従業員が意欲的に学習したくなる勉強会を開催してください。

従業員アンケートを行う

介護の勉強会の参加率を上げるコツは、従業員アンケートを行って現場のニーズを汲み取ることです。
事前に従業員アンケートを実施して、「現在悩んでいることや改善したい仕事内容はないか」「どのような勉強会に参加したいか」といった現場のニーズを収集しておきます。

現場のニーズを満たすネタを勉強会で取り扱えば、従業員にとって有意義な時間になるため、参加率を向上できます。

実技やグループワークを取り入れる

講師や教育担当者が一方的に話すだけの勉強会では、従業員の集中力を維持しにくいです。
実技やグループワークを取り入れた勉強会を開催すれば、従業員の自発性を高められ、より有意義な勉強会や研修を実現できます。

さらに実技やグループワークは、座学で学べないような実践的なスキルやコミュニケーション能力・チームワークを養えます。
勉強会の参加率を上げながら、実践的なスキルアップができるため、実技やグループワークを取り入れた研修を開催しましょう。

外部講師を呼んでマンネリを防ぐ

介護の勉強会・研修を開催する際には、外部講師を呼んでマンネリを防ぐことが大切です。
同じ事業所内の上司や先輩従業員が講師として勉強会を開催しても、すでに知っている知識であったり基礎的な内容であったりすると、勉強会を開催する効果が低下します。

外部講師を呼べば、普段の勉強会とは異なる刺激・知識を提供でき、従業員のモチベーションを向上できます。
さらに事業所内では指導できない専門知識を教育できるため、専門性の高い知識・スキルの習得が可能です。

伊谷 俊宜氏
伊谷 俊宜氏

社会人の平均勉強時間は1日あたり13分だそうです。なかなかショッキングな数値ですが、私の体感としては介護業界は勉強熱心な方が多いと思います。しかしながら、勉強の内容が「介護」にまつわるものに偏っている傾向はあるのではないでしょうか。「介護業界なんだから介護の勉強をして何が悪い!」という声が聞こえてきそうですが、もちろん専門職として介護分野の知識を身につけることは非常に重要です。しかし、その結果現場でよく起こるのが、優秀な介護職の方がマネジメント職に抜擢されたものの上手くいかなかったりする現象です。これは「介護」の知識・スキルと「マネジメント」の知識・スキルは全く別物であるにも関わらず、なかなか後者を学ぶ機会がないことに起因しています。専門知識以外の分野の勉強も怠らず視野を広げていきましょう。

番外編:介護・福祉システムの導入ならワイズマンがおすすめ

弊社「株式会社ワイズマン」では、介護現場の課題を解消し業務を効率化するためのシステムを提供しています。
介護・福祉システムを導入すれば、業務負担を軽減し生産性を向上させて、高精度なケアを実現できます。

ワイズマンの介護ソフトは、事業所の収容人数や施設規模、業態別の課題に応じてさまざまな機能の組み合わせが可能です。
スマートフォンやタブレットを用いた介護記録やほかのシステムとの連携など、情報共有を円滑化する機能も備わっているため、事業所内だけでなく利用者家族や関係機関とのコミュニケーションを効率化できます。

介護の勉強会を開催して組織全体のスキルアップを行おう

介護の勉強会を開催すれば、組織全体のスキルアップを実現できます。
従業員のスキルアップにより、業務効率を向上させれば生産性を高めることも可能です。

さらにケアサービスを提供する従業員のスキル・知識が向上することで、高精度なケアによって利用者満足度を向上できます。
この記事で紹介した勉強会のネタや開催手順・参加率を上げるコツを参考に、組織全体のスキルアップを行いましょう。

監修:伊谷 俊宜

介護経営コンサルタント

千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。

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