看護師のスタッフ教育における具体的な目標や評価のポイントとは?指導法も解説
2024.11.20
新人看護師の知識やスキルを習熟させるために、スタッフ教育に注力することが大切です。
具体的な目標や評価のポイントを定めておけば、スタッフ教育をスムーズに実施できます。
しかし新人看護師の教育を実施する際に「どのような目標を定めるべきか悩んでしまう」方もいるでしょう。
本記事では、看護師のスタッフ教育における、目標設定や評価のポイントを詳しく解説します。
具体的な教育方法や研修プログラム例もあわせて解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
新人看護師のスタッフ教育とは
看護現場では、入社したての新人看護師を、現場で働けるよう教育する必要があります。
厚生労働省の「新人看護職員研修ガイドライン」では、医療機関で研修を実施するための体制づくりや環境の整備について、基準や目的を策定しています。
新人看護職員研修ガイドラインをもとに、スタッフ教育方法を見直しましょう。
まずは、下記のポイントを確認しておきましょう。
- スタッフ教育を実施する目的
- スタッフ教育の研修体制
スタッフ教育を実施する目的
新人看護師のスタッフ教育を実施する目的は、「新人看護職員研修ガイドライン」で次のように定められています。
看護は必要な知識、技術、態度を統合した実践的能力を、複数の患者を受け持ちながら、優先度を考慮し発揮することが求められる。 |
スタッフ教育を実施する目的は、看護師に必要な知識や技術を習得させ、看護現場で通用する人材に育てるためです。
また複数の患者に必要なサービスを提供するために、臨機応変な判断や対応ができるよう教育する必要があります。
看護知識や技術だけでなく、倫理観やチームワークなどさまざまなスキルを身に着けるために、スタッフ教育が必要です。
スタッフ教育の研修体制
スタッフ教育を実施する際には、研修体制を整える必要があります。
まずは研修体制における、次の役割を押さえておきましょう。
役割 | 概要 |
新人看護師 | 免許取得後に初めて就労する看護職員のこと |
実地指導者 | 新人看護師に対して、臨床実践に関する実地指導、評価などを行う者 |
教育担当者 | 実地指導者への助言や指導、新人看護師への指導、評価を行う者。 研修の企画、運営を中心となって行う役割 |
研修責任者 | 教育担当者、実地指導者、新人看護師の研修プログラムを策定し、企画および運営に対する指導や助言を行う者。 研修の企画、運営、実施、評価のすべての過程における責任者 |
プログラム企画・運営組織 | 研修プログラムの策定、企画および運営を行うための委員会などの組織 |
新人看護師のスタッフ教育は、所属部署の指導者や管理者だけでなく、組織全体で行う必要があります。
適切な指導力と知識、技術を有する指導者が、スタッフ研修を実施し、プログラムや企画を策定する責任者を設けることが大切です。
また、新人看護師が多職種の業務を理解できるよう、さまざまな職種と連携してスタッフ教育を実施しましょう。
スタッフ教育の到達目標
新人看護師が到達するべき目標を定めることで、スタッフ教育の質を向上できます。
研修で経験できる機会が少ないものもあるため、優先度の高いものから修得を促しましょう。
スタッフ教育の到達目標を設定する際には、次のポイントを考慮してください。
- 施設の規模、機能
- 看護部門の理念
- 看護師の構成
- 新人看護師を支援する体制
- 新人研修にかけられる時間や予算
- 目指す看護師像
上記のポイントを考慮して、次の手順で到達目標を設定しましょう。
- 目標の項目を選定する
- 具体的な目標を定める
- 到達目標の難易度を設定する
- 到達時期を設定する
状況によっては、1年目の研修期間で修得できない可能性があるため、到達期間を2年目以降に設定する必要があります。
スタッフ教育を実施する際は、次の到達目標を設定してください。
- 基本姿勢と態度の目標
- 技術的側面の目標
- 管理的側面の目標
厚生労働省の「新人看護職員研修ガイドライン」をもとに、それぞれの目標設定について解説します。
基本姿勢と態度の目標
看護師として働く基本姿勢と態度については、新人の時期だけでなくベテラン看護師になっても、遵守するべき項目です。
基本姿勢と態度の目標として、次のような項目を設定しましょう。
項目 | 具体的な到達ライン |
看護職員としての自覚と責任ある行動 | 医療倫理、看護倫理に基づき、人間の生命、尊厳を尊重し、患者の人権を擁護する |
看護行為によって、患者の生命を脅かす危険性もあることを認識し行動する | |
職業人としての自覚を持ち、倫理に基づいて行動する | |
患者の理解と患者、家族との良好な人間関係の確立 | 患者のニーズを身体、心理、社会的側面から把握する |
患者を一個人として尊重し、受容的、共感的態度で接する | |
患者、家族にわかりやすい説明を行い、同意を得る | |
家族の意向を把握し、家族にしか担えない役割を判断し支援する | |
守秘義務を厳守し、プライバシーに配慮する | |
看護は患者中心のサービスであることを認識し、患者、家族に接する | |
組織における役割・心構えの理解と適切な行動 | 病院および看護部の理念を理解し行動する |
病院および看護部の組織と機能について理解する | |
チーム医療の構成員としての役割を理解し協働する | |
同僚や他の医療従事者と適切なコミュニケーションをとる | |
生涯にわたる主体的な自己学習の継続 | 自己評価および他者評価を踏まえた自己の学習課題をみつける |
課題の解決に向けて必要な情報を収集し解決に向けて行動する | |
学習の成果を自らの看護実践に活用する |
技術的側面の目標
看護師の技術的側面での到達目標を設定すれば、医療現場で必要な技術や知識の修得を促せます。
技術的側面の目標として、次のような項目を設定しましょう。
項目 | 具体的な技術 |
環境調整技術 | ・療養生活環境の調整 ・ベッドメーキング |
食事援助技術 | ・食生活支援 ・食事介助 ・経管栄養法 |
排泄援助技術 | ・排便援助 ・導尿 ・膀胱内留置カテーテルの挿入と管理 ・浣腸 ・摘便 |
活動、休息援助技術 | ・歩行介助 ・移動の介助、移送 ・体位変換 ・廃用症候群予防 ・関節可動域訓練 ・入眠、睡眠への援助 |
清潔、衣生活援助技術 | ・清拭 ・洗髪 ・口腔ケア ・入浴介助 ・部分浴 ・陰部ケア ・おむつ交換 ・寝衣交換などの衣生活支援、整容 |
呼吸、循環を整える技術 | ・酸素吸入療法 ・吸引 ・ネブライザーの実施 ・体温調整 ・体位ドレナージ ・人工呼吸器の管理 |
創傷管理技術 | ・創傷処置 ・褥瘡の予防 ・包帯法 |
与薬の技術 | ・経口薬の与薬、外用薬の与薬、直腸内与薬 ・皮下注射、筋肉内注射、皮内注射・静脈内注射、点滴静脈内注射 ・中心静脈内注射の準備、介助、管理 ・輸液ポンプ、シリンジポンプの準備と管理 ・輸血の準備、輸血中と輸血後の観察 ・抗菌薬、抗ウイルス薬などの用法の理解と副作用の観察 ・インスリン製剤の種類、用法の理解と副作用の観察 ・麻薬の種類、用法の理解と主作用、副作用の観察・薬剤などの管理 |
救命救急処置技術 | ・意識レベルの把握 ・気道確保 ・人工呼吸 ・閉鎖式心臓マッサージ ・気管挿管の準備と介助 ・外傷性の止血 ・チームメンバーへの応援要請 |
症状、生体機能管理技術 | ・バイタルサインの観察と解釈 ・身体計測 ・静脈血採血と検体の取扱い ・動脈血採血の準備と検体の取り扱い ・採尿、尿検査の方法と検体の取り扱い ・血糖値測定と検体の取扱い ・心電図モニター、12誘導心電図の装着、管理 ・パルスオキシメーターによる測定 |
苦痛の緩和、安楽確保の技術 | ・安楽な体位の保持 ・罨法等身体安楽促進ケア ・リラクゼーション技法 ・精神的安寧を保つための看護ケア |
感染予防技術 | ・スタンダードプリコーション ・必要な防護用具 ・無菌操作の実施 ・医療廃棄物規定に沿った適切な取扱い ・針刺し切創、粘膜暴露などによる職業感染防止対策と事故後の対応 ・洗浄、消毒、滅菌の適切な選択 |
安全確保の技術 | ・誤薬防止の手順に沿った与薬 ・患者誤認防止策の実施 ・転倒転落防止策の実施 ・薬剤、放射線暴露防止策の実施 |
死亡時のケアに関する技術 | ・死後のケア |
管理的側面の目標
看護師のスタッフ教育では、薬剤や物品を含む管理的側面の目標設定が必要です。
管理的側面の目標として、次の項目を設定しましょう。
項目 | 具体的な到達ライン |
安全管理 | 施設における医療安全管理体制について理解する |
インシデント(ヒヤリ・ハット)事例や事故事例の報告を速やかに行う | |
情報管理 | 施設内の医療情報に関する規定を理解する |
患者などに対し、適切な情報提供を行う | |
プライバシーを保護して医療情報や記録物を取り扱う | |
看護記録の目的を理解し、看護記録を正確に作成する | |
業務管理 | 業務の基準、手順に沿って実施する |
複数の患者の看護ケアの優先度を考えて行動する | |
業務上の報告、連絡、相談を適切に行う | |
決められた業務を時間内に実施できるように調整する | |
薬剤などの管理 | 薬剤を適切に請求、受領、保管する |
血液製剤を適切に請求、受領、保管する | |
災害、防災管理 | 定期的な防災訓練に参加し、災害発生時には決められた初期行動を円滑に実施する |
施設内の消火設備の定位置と避難ルートを把握し患者に説明する | |
物品管理 | 規定に沿って適切に医療機器、器具を取り扱う |
看護用品、衛生材料の整備、点検を行う | |
コスト管理 | 患者の負担を考慮し、物品を適切に使用する |
費用対効果を考慮して、衛生材料の物品を適切に選択する |
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看護師のスタッフ教育における具体的な教育方法
看護師のスタッフ教育における具体的な教育方法は、下記の3種類に分類されます。
- 集合研修
- 現場研修
- 自己学習
上記の方法の特徴やメリット、デメリットを確認して、研修方法を策定しましょう。
集合研修
集合研修は、研修会場に新人看護師を集めて、講師による研修を実施する方法です。
オリエンテーションや外部講師を呼ぶ集合研修、多職種との合同研修で、スタッフの知識修得を促します。
集合研修は、座学による知識習得を促す研修方法です。
現場研修
現場研修では、現場で先輩スタッフから実務的な指導を行う研修方法です。
OJTとも呼ばれ、新人看護師1人につき先輩看護師を1人配属させます。
日々の病棟業務を通じて、アセスメントや患者ごとに応じた対応など、業務の手順や注意点を教育しましょう。
ローテーション研修では、複数の部署で実務研修を受けられるため、多職種の業務に携わる機会を設けられます。
自己学習
自己学習は、新人看護師が自ら知識や技術を学習する自発的な研修方法です。
学びレポートや疾患レポートなど、新人看護師の知識習熟を促進するために、課題を与えるケースがあります。
eラーニングシステムなどを導入すれば、スマホやPCからオンラインで学習できる体制を整えられます。
看護師のスタッフ教育における評価の考え方
スタッフ教育を実施する際は、研修方法だけでなく評価の考え方を押さえておくことが大切です。
新人看護師の知識や技術の習熟度に応じて、適切なフィードバックを行えば、能動的に研修へ取り組む体制を整えられます。
新人看護師の励まし、モチベーションを向上させるため、適切に評価しましょう。
スタッフ教育の評価の考え方として、次のポイントを押さえておくことが大切です。
- 評価時期
- 評価方法
- 研修手帳の活用
新人看護師のモチベーションを向上させて、能動的に研修へ取り組む体制を整えるために、評価の考え方を押さえておきましょう。
評価時期
評価時期は、医療機関の状況に応じて設定する必要があります。
厚生労働省の「新人看護師技術チェックリスト」では、入社後0カ月、1カ月、3カ月、6カ月、1年後の5段階に分けて評価時期を設けています。
項目ごとに0〜3の評価基準を設けており、入社から1年をかけて「一人でできる」状態に教育しましょう。
- 0:未経験
- 1:できない
- 2:指導があればできる
- 3:一人でできる
定期的に評価時期を設けて、項目ごとの習熟度をチェックすることで、現状の理解度やスキルを把握できます。
評価方法
スタッフ教育の評価方法は、自己評価と実施担当者や教育担当者による他者評価を取り入れることが大切です。
多職種からの評価や患者の視点からフィードバックを受ければ、現場視点での実務的な評価を得られます。
到達目標に関するチェックリストを設けて、現状の到達度や習熟度、課題を評価します。
また、フィードバックは、項目ごとの達成状況を明確化するだけでなく、「次の評価時期には一人でできるようになる」よう、強みやできた内容を褒めることが大切です。
研修手帳の活用
新人看護師が主体的に目標を設定し、習熟した項目や成果を可視化するために、研修手帳の活用が効果的です。
研修手帳は、看護師の成長過程を記録し、経験の蓄積を可視化する効果があります。
また研修手帳を活用すれば、組織内で新人看護師の習熟度や目標達成度を伝達する際に、スムーズに情報を共有できます。
研修手帳は、新人研修だけでなく継続教育の記録としても利用でき、長期的にスタッフ教育を支援することが可能です。
看護師のスタッフ教育で活用できる研修プログラム例
看護師のスタッフ教育では、研修プログラムを作成する必要があります。
厚生労働省の「新人看護職員研修ガイドライン」では、次の研修プログラム例を公開しています。
事業所の特性や規模に合わせて、研修内容や期間を策定しましょう。
看護師のスタッフ教育で注意するべき4つのポイント
看護師のスタッフ教育で注意するべきポイントは、次の4つです。
- 現場の常識を押し付けない
- フィードバックや指示は具体的にする
- スタッフの体調管理を徹底する
- コーチングとティーチングを使い分ける
スタッフ教育を円滑に進めるため、それぞれのポイントを確認しておきましょう。
現場の常識を押し付けない
スタッフ教育では、現場の常識を押し付けないことが大切です。
長年働いている看護師からすると、常識となっている事柄でも、新人看護師にとっては知らないことだらけです。
現場の常識を押し付けてしまうと、新人看護師が理解できない状態で研修が進んでしまい、十分に知識やスキルを習熟させられません。
現在、常識となっている事柄は、スタッフ教育で丁寧に教育する必要があります。
フィードバックや指示は具体的にする
スタッフ教育でフィードバックや指示を出す際は、具体性を持たせましょう。
抽象的な言葉や曖昧な表現では、新人看護師が課題や改善点を正確に把握できません。
例えば「患者対応が疎かになっている」と抽象的に伝えるのではなく、「患者さんとコミュニケーションをとる際に、目線を合わせて話を聞くと安心感を与えられる」など、具体的なフィードバックをすることが大切です。
具体性を持ったフィードバックや指示を出すことで、新人看護師が次回からどのようにアクションを改善するべきか、対処法をみつけやすくなります。
スタッフの体調管理を徹底する
看護職は体力を消耗する仕事なので、スタッフの体調管理を徹底する必要があります。
新人看護師にとって、慣れない業務や環境にストレスを感じる機会が多いです。
緊張やストレスによって、体調不良に陥るリスクが高まるため、体調管理を徹底させることが大切です。
十分な睡眠や栄養バランスの良い食事、適度な運動、メンタルヘルスケアなど、スタッフが体調不良に陥らないよう身体を資本として大切にするよう教育してください。
コーチングとティーチングを使い分ける
スタッフ教育では、コーチングとティーチングを使い分けましょう。
コーチングとは、受講者に対して必要なアドバイスを行い、自己解決を促す手法です。
対してティーチングとは、指示や解答を提示して、問題の解決策を教えます。
ティーチングばかりの研修では、スタッフの自主性を育めず、指示待ちの人材を育成してしまうのです。
コーチングとティーチングを使い分けて、スタッフの自主性を育むことで、考えて実行できる能動的な人材を育てられます。
看護師のスタッフ教育を成功させるための3つのコツ
看護師のスタッフ教育を成功させるためのコツは、次のとおりです。
- 新人教育の方針を統一化する
- スタッフの自主性・能動性を尊重する
- 教育担当者のスキルアップを行う
それぞれのコツを押さえて、新人看護師が分かりやすく、看護現場で必要な知識やスキルを習熟できる研修を実施しましょう。
新人教育の方針を統一化する
組織内でサービスの質を向上させるために、新人教育の方針を統一しましょう。
指導者によって指導内容や注意点、アプローチの方法が異なると、新人看護師が修得する知識やスキルに差が生じます。
患者の安全性とケアの質を確保するために、新人教育の目的や到達目標を統一化してください。
スタッフの自主性・能動性を尊重する
指示待ちの人材ではなく、考えて行動できる人材を育成するために、スタッフの自主性や能動性を尊重しましょう。
看護現場では、患者の容態が急変したり突発的なトラブルが起きたりと、自分で考えて行動しなければならない場面に直面します。
指示待ちの人材を育成してしまうと、緊急時に自分で考えて行動できず、対応が遅れる可能性があります。
看護現場において対応の遅れは、患者の命に関わる重大なミスへとつながるため危険です。
スタッフの自主性や能動性を尊重して、自ら考えて行動する研修方法を策定しましょう。
教育担当者のスキルアップを行う
新人看護師に適切なスキルや技術を教育するには、教育担当者のスキルが高くなければなりません。
教育担当者のスキルアップを行い、スタッフの習熟度に応じた研修プランを策定しましょう。
看護師のスタッフ教育を行うためには、次のようなスキルが求められます。
- 指導力
- 看護の知識やスキル
- コミュニケーション能力
- スタッフごとに応じた課題や改善策を立案する能力
- 研修プログラムを立案する能力
- スタッフの成果や能力を正当に評価する能力
指導力や看護現場で求められる知識やスキルだけでなく、知識を分かりやすく伝えるためのコミュニケーション能力が必要です。
またスタッフごとに応じた課題や改善策、研修プログラムを立案できる能力も求められます。
看護や介護の教育は、トレーナー毎の裁量に任せて実施しているケースが非常に多いのが現状です。その結果、トレーニーから「人によって言うことが違う」というお決まりのセリフを聞くことになり、最悪の場合早期退職ということにもなりかねません。
教育に関して、トレーナーの資質に任せて『属人的』におこなうやり方は、採用難の現代ではもはや時流ではないのです。まずは各法人毎の基準を明確にすることです。「うちの法人ではこのスキルはこの状態でできていると判断する」といった形で各スタッフに求めるスキルレベルを具体的に提示することが重要です。ここが曖昧なままだと、そもそもの看護のやり方が皆我流で属人的になってしまいかねません。うちはこう!という基準を明確にし一定のレベルまでは一律に教育できる体制構築が重要なのです。
なお、株式会社ワイズマンでは「介護現場のリスク管理とスタッフ教育の重要性についての資料」を無料で配布中です。
介護・福祉現場でのリスク管理やスタッフ教育を課題としている方を対象に作成しておりますので、ぜひダウンロードしてご活用ください。
看護師のスタッフ教育に向けて教育担当者の指導スキルを向上させよう
看護師のスタッフ教育を成功させるために、教育担当者の指導スキルを向上させましょう。
教育担当者の指導スキルが高いと、新人看護師に分かりやすく必要な知識を教育できます。
スタッフ教育の際は、現場の常識を押し付けずに、フィードバックや指示を具体的に行うことが大切です。
また、組織内で新人教育の方向性を統一化して、指導者ごとに提供する知識やスキルに差が生じないようにしてください。
教育担当者のスキルアップを行って、新人看護師を自主的に行動できる人材へ教育しましょう。
監修:伊谷 俊宜
介護経営コンサルタント
千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。