【業務効率化】通所介護ソフトの導入メリットや比較のポイントを解説

2023.10.03

介護業界においては、介護スタッフの業務負担の大きさや慢性的な人材不足が問題となっています。
介護スタッフの負担を少しでも軽減させ、より良いサービスを提供する方へ注力したいと感じる事業所様は多いのではないでしょうか

近年、通所介護事業所の多くが抱える課題の解決だけでなく、事業所の管理や経営状態の把握までサポートを受けられる「通所介護ソフト」の導入がますます広がっています

ただ、通所介護ソフトの導入を検討していても、本当に必要なのか、業務にどう活かせるのか、については明確に分かりにくいところもあるでしょう。
またいざ選ぼうにも、どのような特徴・機能を選び取ればいいのかも見えにくくなっています

本記事では、通所介護ソフトの基礎知識をお伝えしつつ、導入メリットや比較ポイントを解説します。

【基礎知識】通所介護ソフトとは?

通所介護ソフトとは、通所介護(デイサービス)事業における書類作成、記録の業務をサポートするシステムです。
ソフトによって機能に違いはあるものの、大きく分けて以下の3つの業務をサポートします。

  • 請求業務
  • 計画業務
  • 記録業務

これまでは記録業務をメインとするシステムが多かったのですが、通所介護を取り巻く状況の変化に合わせてシステムの機能も増えてきました

近年のデイサービスの動向

デイサービス(通所介護)とは、要介護となった状態でも、利用者が日常生活を送れるように、必要な身の回りの世話(入浴や排せつ、食事などの介助)をしたり、機能訓練をおこなったりするサービスを指します。

以下のような悩みを持つ家族や要介護者からの要望により、デイサービスを希望されるケースが多く見受けられます

  • 家族が仕事で日中家を空けるので、その間様子を見ていてもらえる場所が欲しい
  • 要介護者への刺激になる場を提供してあげたい
  • 家族だけでは在宅での介護が困難

そして、こうした要望を持つ要介護者、家族の数は年々増えています。
2000年から2019年までの介護保険制度にかかわる調査では、要介護(要支援)認定者数が約3倍になっていることが分かっています。

また、介護サービス利用者については下記のように利用者数が増加しました。

2000年4月2019年4月
在宅サービス利用者数97万人378万人3.9倍
施設サービス利用者数52万人95万人1.8倍

(参照:厚生労働省「介護分野をめぐる状況について」)

介護サービスの利用者はいずれも増えており、高齢者の増加にともなって、今後さらに利用者数は増加していくと予想されます。

通所介護ソフトが注目される理由

介護サービスの利用者数が今後も増えていくことが予想されています。
しかし、介護スタッフが不足しており、必要な人員を確保できていないのが現状です。

介護職については慢性的な人材不足が続いており、またICT化への遅れも懸念されています。

また、システムを導入していても、現状の介護請求やスケジュール管理など多岐にわたる業務をカバーできていないケースもあります。
業務フローに合っていないシステムを使い続けてきた結果、スタッフに負担がかかってしまっていることも。

今後、介護支援を必要とする人口が増えることを見越して、人材不足やICT化の遅れによる業務負担などの課題をクリアしていくことが急務の課題と言えます。
そこで、注目されているのが「通所介護ソフト」です。

業務フロー全域をカバーした通所介護ソフトを活用することで、今後起こりうる人材不足やスタッフの業務負担に対処できると期待されています。

通所介護ソフトの活用例

通所介護ソフトの機能を含め、どのような場面でソフトを活用できるのか、イメージがつきにくいかもしれません。
一般的な通所介護サービスの流れを見て、どのような業務をカバーできるのか見てみましょう。

出勤~利用者のお迎えまで

スタッフの出勤時には、出退勤の管理をします。
当日の利用者を確認でき、利用者情報を把握できます。

これまで、利用者の変更があった場合には、送迎ルートも変更しなければならず、効率的な送迎ルートの作成には時間がかかっていました。

その点、通所介護ソフトには、自動で送迎ルートを作成してくれる機能もあります
また、当日の利用者についてや事業所全体での連絡事項がある場合には、連絡機能などを用いて、スタッフ同士で情報共有が可能です。

通所介護事業所では日々、出勤するスタッフが入れ替わることもあります。
連絡機能で業務連絡をおこなえるので、何か変化があれば書き記し、スタッフが入れ替わっても混乱を招かない仕組みを構築できます。

当日利用者の管理

当日の利用者の体調管理をソフトに記録します。
体温などの記録は、利用者の家族への連絡帳に記入が必要な場合がありますが、ソフトを導入していれば、一度の入力で介護実績と連絡帳の双方に記録が可能です。

2度手間、3度手間を省くことができ、転記ミスの防止にもつながります。
また、ソフトによっては、バイタル機器がソフトと連動し、計測するとそのまま反映されるものもあります。

入浴の有無や食事の介助、食事量なども利用者情報と常に照らし合わせてチェックできるので、当日のサービス内容を漏らすこともありません
さらに、動画での記録が可能なタイプであれば、機能訓練の様子を撮影して家族や医師への情報共有にも活かせます。

サービス終了~翌日準備

デイサービス終了後にはその日の介護実績について記録します。
体調管理やサービス内容については都度、端末からの入力が可能なため、入力漏れがないかのチェックのみで記録作業は完結です

また、翌日の利用者の確認をする際にも、ソフトから確認できます。
事業所全体に関わる連絡事項がある場合や、翌日の利用者について事前に知らせておきたいことがあれば、申し送り機能で共有できます

月末・月初

月末・月初に必要な請求書作成も、通所介護ソフトで対応できます。
日々の業務で入力している介護実績をもとに、国保連への請求データや利用者への請求書を作成します。

また、スタッフへの給与計算機能がある場合は、給与の計算も可能です。

通所介護システムを導入する4つのメリット

一日の業務の中で、通所介護ソフトがどのような機能を果たすのかが見えてきたかと思います。

しかし導入を検討する方にとっては、長期的にどのようなメリットがあるのかも気になるポイントではないでしょうか。
通所介護ソフトを導入するメリットとは、以下のようなものが挙げられます。

  • 入力業務の効率化
  • ヒューマンエラーの防止とデータの信憑性の向上
  • 経営判断の向上
  • 介護スタッフの負担軽減

ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。

入力業務の効率化

通所介護ソフトを導入することで、書類作成や入力業務を大幅に削減できます。

介護職の業務は、全体の4割を事務作業が占めるといわれています。
一人ひとりの利用者に対して、基本データの作成、計画書、記録書、請求書が必要で、それぞれ個別に作成されるケースが一般的です。

通所介護ソフトでは作成した書類データをほかの書類に連携できるため、二重入力や転記作業を最小限に抑えられます。
なお、これまで費やしていた作業時間をほかの業務に充てられるため、介護業務全体の効率化にもつながるでしょう。

ヒューマンエラーの防止とデータの信憑性向上

通所介護ソフトを活用すると、ヒューマンエラーを防止でき、請求データの信憑性が向上します。

従来では、計測値をメモに記録したあと、連絡帳や介護記録書に転記する必要がありました。
走り書きの文字を誤読するリスクも高く、別の利用者の記録と混同してしまうなどヒューマンエラーの発生が大きな課題でした。

しかし、手元の端末でそれぞれの利用者の体調記録を入力できれば、転記ミスや漏れを防げます。
また、転記ミスの心配がないことは、そのデータの信憑性の向上にもつながります

電子カルテにおいてはデータの「真正性」を三原則の1つとしています。
介護における記録についても同じように、信頼できるデータかどうか、他者によって書き換えされることがないか、などは重要な事項と言えるでしょう。

経営判断の向上

通所介護ソフトでは、スタッフの稼働率や利用者実績の統計を作成できる機能があります。
これまで手集計が主だった、経営判断に必要となるデータも自動集計できるようになります。

定期的に経営状況を可視化できるので、経営状況の把握、改善などの措置をとりやすいこともメリットです。

介護スタッフの負担軽減

もっとも大きな比重を占めている事務作業が効率化、簡素化されることで介護スタッフの負担が軽減されることも大きなメリットです。

これまでにも述べてきたように、同じ内容で何度も記録・入力しなければならないことや、利用者一人にたいして多岐にわたる書類作成が、介護スタッフの大きな負担となっていました。
なかには、業務をこなすために長時間労働を強いられるケースも見受けられます。

書類作成の時間が短縮されることで長時間労働の抑制になり、働きやすい環境につながります
また、働きやすい環境は離職防止にもなり、人材不足に悩まされることもないでしょう。

将来的に人材募集する時にも、業務が効率化されていることで同業他社と差別化ができます。

通所介護ソフトの比較ポイント5選

通所介護ソフトは、多くのシステム会社から開発されています。
いざ導入するとなると「何を基準に選べば良いか迷う」方も多いかもしれません。

それでは、通所介護ソフトを選ぶ際に比較するポイントを見てみましょう

操作しやすいか

比較する時に重視したいのが、通所介護ソフトの操作性です

デイサービス中にリアルタイムで記録することや、送迎前後に利用者の確認、変更などを行うことを考えてみてください。
操作画面が見えにくかったり、スムーズに入力できなかったりすければ、操作時には大きなストレスとなってしまいます

そのため、通所介護ソフトを選ぶ際は、現場スタッフが扱いやすいかどうかを軸に選定すると良いでしょう
例えば、スマートフォンのようなタップ式の入力方法や音声入力に対応していると、タイピングに不慣れな方でも負担なく操作できます。

多くの製品では、導入前のデモが用意されているため、通所介護ソフトを使い操作性を確認しておきましょう。

提供機能が自施設の業務フローに適しているか

ソフトによっては、記録に特化したタイプや、事業所全体の管理が可能なタイプがあります。
自施設がソフトを通じて効率化したい業務について考えてみましょう。

例えば、送迎スケジュールを作成したいと思っていても、記録特化型のソフトでは送迎スケジュールに対応していない場合もあります。
事業所全体の管理まで可能なタイプであれば、勤怠管理から給与計算まで可能であったり、シフト作成や会議スケジューリングに対応したりするものもあります。

製品ごとに搭載機能や対応業務が大きく異なるため、まずは自施設が解決したい業務課題を明確にし、それに合ったソフトを選びましょう。

他システムとの連携可否

2025年をめどに構築をめざす「地域包括ケアシステム」や、将来的にサービスの拡大を検討しているのであれば、システムの連携についても確認しておきましょう
メーカーによっては他社製品とも連携可能なものと、自施設製品のみでしか連携できないものがあります

LIFE(科学的介護情報システム)への対応可否

2021年度にスタートしたLIFE(科学的介護情報システム)への対応も重要な比較ポイントです。

LIFEへの申請は多くの事業所で希望されていますが、申請には定められたフォーマットに実績を記録しなければなりません。
転記する手間もまた、介護スタッフへの負担となってしまいます

実績登録から申請が自動で可能な機能もあるので、今すでにLIFEへ申請している、または今後申請したいという場合には対応可能なものを選びましょう。

伊谷 俊宜氏
伊谷 俊宜氏

通所介護(以下デイサービス)の利用者数は高齢化に伴い当然増えていますが、デイサービスの事業所数はここ数年横ばいとなっています。これは国の「デイサービスは増えすぎたので減らす」という意思表示でもあります。昨今報酬改定の度にデイサービスの報酬単価は減算されてきました。結果、デイサービス事業所の実に46.5%が赤字経営という状況に。
このような厳しい状況下で生き残れるデイサービスになるためには、当たり前ですが収入を増やし、支出を減らすしかありません。収入・支出双方の観点で重要になってくるのが通所介護ソフトです。自事業所の強化したいポイントやウィークポイントなど、まず課題を整理することをお勧めいたします。そのうえで、自事業所のニーズにマッチしたシステムを積極的に導入していきましょう。

ワイズマンの通所介護事業所向けシステムの特徴

ワイズマンでは通所介護事業所向けのソフトを提供しています。
通所介護にかかわる業務全般のサポートが可能で、事業所の業務の効率化や今後のより良いサービスにつながります。

タブレットに直接介護記録を入力可能

利用者の介助やケアをしながらの入力が可能な、タブレットでの入力・記録が可能です。
パソコンで改めて入力する手間がないので、一度の入力で正確な情報を記録できます。

バイタル機器の数値がそのままタブレットに反映

「バイタル連携オプションケアデータコネクトfor wiseman・すぐろくタブレット」では、バイタル値がそのまま端末に反映されます。
よりスムーズに、正確な利用者の体調管理が可能です。

LIFEの加算算定の管理もできる

デイサービス管理システムSPでは、LIFEの加算算定のデータ入力の手間も減らせます。
進捗管理も可能で、入力に漏れがないかなどをシステム上で確認できます。

まとめ

通所介護(デイサービス)はサービス内容も広いぶん、業務負担も大きくなりやすい分野です。
同様に、通所介護ソフトも、特化型から事業所の運営をサポートするものまで、幅広い機能のソフトが開発されてきました

「こんな課題を解決したい」と感じることが、システムで解決できる一方、必要以上の機能がある場合もあります。

システムの導入にはまず、事業所の課題や業務フローに即しているかを重視することが、スムーズな運用への第一歩です。
課題解決、業務改善のための通所介護ソフトの導入をこちらの記事を参考に、検討してみてくださいね。

監修:伊谷 俊宜

介護経営コンサルタント

千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。

デイサービスに関連するコラム

資料をダウンロード

製品・ソリューションの詳細がわかる総合パンフレットを無料でご覧いただけます

ダウンロードはこちら
検討に役立つ資料をダウンロード

製品・ソリューションの詳細がわかる総合パンフレットを無料でご覧いただけます

ダウンロードはこちら