【テンプレートあり】訪問介護の手順書とは?記入例についても解説
2024.08.20
訪問介護の手順書とは、訪問介護サービスの提供方法を示す書類のことです。
担当職員が変更になる場合や休む場合、サービスの質を保つために必要です。
しかし、一から手順書を作成するのは、時間と手間がかかります。
そのため、初めて作成する方は、記入例を参考にしながら作成すると良いでしょう。
本記事では、訪問介護の手順書の目的、記入例やセットで用意するべき書類について解説します。
訪問介護の手順書の作成に困っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
訪問介護で使用する手順書とは?
訪問介護の手順書とは、利用者へ提供するサービスの内容や具体的な手順を記載した書類です。
利用者の容態や日常生活の詳細も記載され、全介護スタッフが一貫したサービスを提供するために使用します。
「サービス指示書」「訪問介護計画書別紙」と呼称されることもありますが、いずれも大きな違いはありません。
※本記事では、「手順書」と表記します。
訪問介護で手順書を作成する目的
訪問介護では、利用者に向けて訪問介護計画書を作成します。
利用者の生活の質を向上させるために、訪問介護計画書に基づいた訪問介護サービスを提供することが重要です。
サービス提供責任者は、目的が意識された有意義な手順書を作成しなければいけません。
本章では、訪問介護で手順書を作成する目的3つについて解説します。
訪問介護計画書の目標を達成するため
訪問介護計画書の目標を達成するために、手順書の作成は欠かせません。
訪問介護計画書には、訪問介護サービスの内容を記載します。
サービス作成担当者が手順を示すことで、ホームヘルパーが訪問介護計画書に基づいた、適切なサ-ビスを提供できます。
また、訪問介護計画書には短期目標・長期目標が存在します。
サービス作成担当者は、目標に対してのサービスの効果、改善を図る必要があります。
手順書によって提供サービスを明確にすることで、訪問介護の改善を容易にしやすくするでしょう。
法令遵守のため
手順書の作成は、法令遵守の証拠として機能します。
訪問介護サービスの提供者として、法令に基づいた運営は大切です。
手順書を作成することで、法令順守をしている証拠として示せます。
厚生労働省によると、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第三十七号)の内、第28条管理者及びサービス提供責任者の責務に以下の文章があります。
3 サービス提供責任者は、第二十四条に規定する業務のほか、次に掲げる業務を行うものとする。
四 訪問介護員等(サービス提供責任者を除く。以下この条において同じ。)に対し、具体的な援助目標及び援助内容を指示するとともに、利用者の状況についての情報を伝達すること。
引用:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準|厚生労働省
手順書は、利用者の状況についての情報伝達の証拠として示せます。
訪問介護サービスの品質を均一化するため
訪問介護サービスの品質を保つためにも、手順書は必要です。
訪問介護サービスは、現場では1対1で仕事をすることがほとんどです。
しかし、急な体調不良や欠員が出た場合には、サポートの従業員が仕事をしなければなりません。
ただ、手順書にはサービスの手順が記載されているため、引き継いだ従業員でも同様の品質のサービスを提供できます。
【記入例あり】訪問介護手順書の記入方法について
訪問介護手順書は、サービス管理提供者が作成しなければいけません。
作成するには、誰が見ても分かりやすい手順書にする必要があります。
以下は、入浴介助が必要な利用者を想定した、訪問介護手順書の記入例です。
「記入例」
令和6年 2月 15 日 | 利用者名 | 渋谷 夏生様 | |
情報 | ・脳梗塞後遺症による左半身不自由。日常生活に支障あり、特に入浴が困難。 ・立位、移乗、歩行時に足元のふらつきがあり、転倒の危険性がある。 ・更衣がうまくできない。 ・大相撲観戦が趣味。動物が好きで、猫の話が好き。 | ||
実施内容 | 時間 | 手順 | 備考・特記事項 |
入室 | 5分 | ・チャイムを押して入室。 ・あいさつをした後に体調確認。 | ・雨の場合は、雨具は外に置いておく。 ・玄関をぬらさないようにする。 |
入浴介助の準備 | 5分 | ・浴室の安全を確認(滑り止めマット、手すりの確認)。 ・浴室の温度と水温を適温に設定。 | ・常に利用者の意思を尊重し、コミュニケーションを取りながら介助を進める。 |
入浴介助 | 30分 | 移動介助 ・移乗ボードや介護ベルトを使用して、安全に移動する。 ・利用者の自立を促すよう、できる限りの自助動作を促す。 洗体介助 ・利用者が自分で洗える部分は自立を促し、介助が必要な部分(背中等)はヘルパーが支援する。 ・洗体時の体位変換に注意し、皮膚の擦れなどを防ぐ。 更衣介助 ・清潔なタオルや衣類を用意し、プライバシーを守りつつ介助する。 ・乾燥を促すための体位や方法に配慮する。 ・衣類は利用者が着用しやすいように準備する(前開きの衣類やベルクロ式の靴など)。 ・不自由な側を先に着脱する。 | ・介助中は利用者の安全を最優先し、急な体調変化に備える。 ・皮膚状態を観察し、異常が見られた場合は速やかに報告する。 ・移動や体位変換は利用者の安全を確保しつつ、可能な限り自立を支援する。 |
体重測定 | 10分 | ・安定した場所で体重計を用意し、介助下で体重を測定する。 ・測定値を記録し、変動がある場合は報告する。 | |
退室準備 | 5分 | ・使用した介護用具を清掃し、元の場所に戻す。 ・利用者の体調と心地よさを再確認。 | ・書類やタブレットなど、忘れ物がないか確認する。 |
退室 | 5分 | ・次回の訪問日時を確認し、声をかけて退室。 |
記入例をもとに、手順書を作成するポイントについて解説します。
利用者情報について記入
利用者情報では、サービスを利用する利用者の具体的な情報を記入しましょう。
利用者の基本情報・健康状態・好み・趣味・アレルギーなどを記載します。
情報を記入する際には、アセスメントをして得た情報から記入します。
また、情報を利用者が見ることも考えて、記入しましょう。
内容・所要時間を記入
次に内容・所要時間を記入しましょう。
介護サービスの具体的な内容をリストアップし、それぞれのサービスに必要な所要時間を記載します。
内容については、入室から書き始め退室まで書くようにします。
所要時間は個々の利用者によって異なる可能性があるため、所要時間は目安として記入します。
実際に訪問介護サービスを実施し、状況に応じて改善・変更していきましょう。
また、余裕を持ったスケジューリングを心がけ、予期せぬ事態にも対応できるようにしておきましょう。
手順・留意事項について記入
手順については、介護する際の留意事項も記入してください。
特に「自立すべき場面」「介助が必要な場面」は必ず記入しましょう。
訪問介護計画書の目標にかかわってきます。
手順では、各サービスの詳細な実施手順を記載します。
例えば入浴介助では、準備・入浴・洗体・更衣の各ステップを詳細に分けましょう。
留意事項としては、各ステップでの安全確保、利用者のプライバシー保護、利用者の自尊心を守るための配慮など、特に注意すべき点を記載します。
想定される事態についても記入しておきましょう。
記入する上での注意点
手順書を記入する際には以下の点に注意しましょう。
- 誰でもわかりやすい表現で記載する
- 予想される禁止行為を書く
- 作成後は利用者やその家族に確認してもらう
- 「利用者が自ら行うこと」と「ヘルパーがすること」を明確にする
- 定期的に見直し、改善をする
手順書は、利用者や家族に見てもらうことも重要です。
利用者が確認することで、サービスの見通しが立ち、安心できるようになります。
また、サービスを向上するには定期的な見直しが必要です。担当職員とともに、振り返る時間を設けましょう。
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手順書とセットで作成すべき書類
手順書は、あくまでもサービスの質を高めるための書類です。
そのため、手順書で足りない情報は他の書類で補う必要があります。
以下は、手順書とセットで作成したい書類です。
- 居室見取り図
- 緊急時対応表
- 訪問介護計画書
本章では手順書とセットで作成したい3つの書類について解説します。
居室見取り図
居室見取り図とは、利用者の家の見取り図のことを指します。
文章だけだと、必要物品や危険な場所は分かりづらくなっています。
そのため、居室見取りを作成することで、必要な物品や危険な場所を共有しやすくなるでしょう。
緊急時対応表
緊急の際の対応方法を示した書類が、緊急時対応表です。
体調悪化や事故など、緊急事態の際に、冷静に対処できるように作成します。
服薬、かかりつけ医なども記入し、想定される状況の対応を記載するようにしましょう。
訪問介護計画書
訪問介護計画書は、訪問介護サービスのサービスを記載した計画書です。
厚生労働省から作成、説明、同意が義務化されています。
そのため、作成方法や書式を守ったうえで記入しましょう。
訪問介護計画書の書き方を詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:訪問介護計画書とは?作成の流れや記入例、作成のポイントを解説
訪問介護はそのサービスの特性上、同じ日時のサービスに毎回同じ訪問介護員がサービス提供するとは限りません。また、これまで訪問介護業界では登録ヘルパーがサービス提供の中心でした。例えば毎朝8時からのサービスでも曜日によって入る登録ヘルパー(訪問介護員)が変わるのはある種当たり前の業態でした。したがって、サービス内容の均一化という観点で手順書は非常に重要なものになります。昨今登録ヘルパーの採用難易度が跳ね上がっており、登録ヘルパーのサービス提供比率は下がっていますが、いずれにしてもサービス提供毎に人を固定できないケースが多いので、手順書作成の重要度は変わらないでしょう。サービス提供時間が定められている訪問介護に於いて、各サービス提供時間の目安を示すツールであることも非常に重要な役割を担っています。
手順書の作成・管理には管理ソフトがおすすめ
手順書を作成・管理するのであれば、管理ソフトの活用がおすすめです。
訪問介護では、複数の利用者の情報を管理します。
その際に、管理ソフトがあれば情報を一元化することが可能です。
また、実際の現場で感じたことを記録することで、手順書の質を高められます。
管理ソフトがあれば、デバイスから手順書を把握して、作成・変更が可能です。
事業所内での情報共有が楽になるため、訪問する担当者が変わっても同じサービスを提供できます。
訪問介護サービスの質を向上させるには、ホームヘルプサービス管理システムSPがおすすめ
訪問介護サービスの管理ソフトを検討されている方は、弊社の「ホームヘルプサービス管理システムSP」がおすすめです。
初めて管理ソフトを使う方でも、多くのメリットを実感できます。
ここでは、3つのメリットについて解説します。
効率的なスケジュール管理
訪問介護サービスにおける課題の1つは、効率的なスケジューリングです。
1日に何件も訪問するため、効率良くスケジューリングしなければいけません。
「ホームヘルプサービス管理システムSP」では、職員のスケジュールを作成し、急なキャンセルや予定変更にも柔軟に対応できます。
「すぐろくHome」を併せて導入すると、訪問の予定確認や実施報告、報告書の記録を現場で完結させることができ、事業所内での情報共有が楽にできます。
これにより、事業所の運営効率が大幅に向上し、職員の満足度も高まります。
質の高いケアの提供
各利用者様に対して一貫した高品質のケアを提供することは、訪問介護サービスにおける重要な課題です。
「すぐろくHome」を併せて導入すると、訪問の予定確認や実施報告、報告書の記録を現場で完結させることができ、事業所内での情報共有が楽にできます。
これにより、どの職員が訪問しても同じサービスの質を保ち、利用者様への信頼を深めることができます。
円滑なコミュニケーション
利用者様やその家族とのコミュニケーションは、訪問介護サービスの品質を決める重要な要素です。
医療・介護連携サービス「MeLL+」では、非対面でもリアルタイムでのコミュニケーションを可能にし、アプリを介して必要な情報共有や連絡のやり取りを実現します。
これにより、ご家族からの信頼を得やすくなり、サービスの質をさらに向上させることができます。
なお、株式会社ワイズマンでは「介護現場のリスク管理とスタッフ教育の重要性についての資料」を無料で配布中です。
介護・福祉現場でのリスク管理やスタッフ教育を課題としている方を対象に作成しておりますので、ぜひダウンロードしてご活用ください。
訪問介護手順書は、テンプレートを参考にして作成しよう
訪問介護手順書は、訪問介護計画書の目標を達成するためには欠かせない書類です。
そのため、訪問介護サービスの質を向上させるためには欠かせません。
特に欠勤や欠員など、普段と違う職員が対応する際に便利な書類です。
作成には、記入例のテンプレートを参考にしながら作成しましょう。
また、作成する際には、居室見取り図・緊急時対応表・訪問介護計画書も作成しましょう。
手順書と同時に作成することで、職員のサービスの質を高められるでしょう。
監修:伊谷 俊宜
介護経営コンサルタント
千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。