訪問介護の運営指導とは?違反を防ぐための確認項目や必要書類を解説

2024.10.17

訪問介護事業所を運営する際は、運営指導に向けて対策する必要があります。
訪問指導は、介護事業所が適切に運営できているかを確認する定期指導で、管轄の自治体が実施します。

運営指導に向けて対策するために、「何をチェックされるか」確認項目と必要書類を把握しておきましょう。
本記事では、訪問介護の運営指導について詳しく解説します。
違反を防ぐための確認項目や必要書類もあわせて解説するため、ぜひ最後までご覧ください。

訪問介護の運営指導と集団指導・監査との違い

訪問介護事業所を運営する際は、行政が実施する運営指導に備える必要があります。
厚生労働省が公表する「介護保険施設等運営指導マニュアル」によると、運営指導の目的を次のように定義づけています。

介護保険制度において、サービスの直接的な担い手である介護保険施設等には、利用者の尊厳を守り、かつ質の高いサービス提供が求められています。国および地方自治体は、指導により、介護保険施設等が適正なサービスを行うことができるよう支援し、「介護給付等対象サービスの取扱い」および「介護報酬の請求」に関する「周知の徹底」を図り、「サービスの質の確保」や「保険給付の適正化」が果たされるよう努めなければなりません。

引用元:介護保険施設等運営指導マニュアル|厚生労働省老健局総務課介護保険指導室

介護事業所が質の高いケアサービスを提供し、介護保険請求を適切に実施できるよう行政機関による運営指導が行われます。
ただし運営指導の他にも、集団指導や監査もあるため、それぞれの違いを理解しておかなければなりません。

運営指導に備えて対策するために、集団指導や監査との違いを確認しておきましょう。

運営指導とは

運営指導は実地指導とも呼ばれ、管轄の自治体が介護事業所を訪問し、ケアサービスの質や事業所の運営体制、介護報酬の請求や加算算定状況について指導することを指します。
もともとは現地を訪れて実地で指導していたため「実地指導」と呼ばれていましたが、2022年にオンラインツールを活用した指導が実施できるようになり「運営指導」へと名前が変更されました。

運営指導は、有効期間内に少なくとも1回は実施されます。
訪問介護事業所の指定期間は6年間なため、運営指導が6年に1度以上実施されます。

ただし地域性や必要性に応じて、実施頻度が増える可能性もあるため、いつ運営指導が入っても問題がないよう対策しておくことが大切です。

集団指導との違い

集団指導は正確な情報を伝達、共有し、不正などの行為を防止することを目的としています。
そのため、運営指導とは指導の目的が異なります。

つまり介護事業所に対して新しい制度やケアサービス、介護保険制度に関する情報のインプットを図るために指導します。
対して運営指導は、集団指導で発信した情報が適切に事業所内でインプットされているかを確認するための指導です。

また運営指導が有効期間内に1回以上実施するのに対して、集団指導は年に1度以上は実施します。
1度の指導ではなく、場所や時期を分散させて複数回実施し、新規指定や管理者の変更があった場合にも集団指導を行います。

監査との違い

監査とは、運営指導によって人員基準違反や運営基準違反、不正請求などの疑いがある事業所に、不正の真偽を確かめるために実施される検査です。
厚生労働省が公表する「介護保険施設等運営指導マニュアル」によると、監査の定義は次のとおりでした。

監査は、介護保険施設等監査指針に基づき介護保険施設等において人員基準違反や運営基準違反、不正請求、高齢者虐待等が認められた場合やそのおそれがある場合に法第76条等に基づき、報告、帳簿書類等の物件の提示を求め、関係者の出頭、質問を行うことにより情報を収集するとともに現地に立ち入って検査を行い、事実関係を確認する行為です。

引用元:介護保険施設等運営指導マニュアル|厚生労働省老健局総務課介護保険指導室

運営指導によって不正や違反が疑われた事業所に対して、関係者に出頭を要請して質問したり、現地に立ち入って再度検査を実施したり、不正や違反の真偽を確かめます。
監査によって不正や違反の事実関係が発覚した場合、行政指導や行政処分の処分が決定されます。

違約金や運営停止処分を受けて、最悪の場合は廃業に追い込まれるため、運営指導によって不正や違反が疑われないよう適切に対策することが大切です。

訪問介護の運営指導の内容

訪問介護の運営指導の具体的な内容は、次のとおりです。

  • 介護サービスの実施状況指導
  • 最低基準等運営体制指導
  • 報酬請求指導

介護サービスの実施状況指導

介護サービスの実施状況指導とは、主に利用者へ提供するサービスの質を確認するための指導です。
確認項目および確認文書のうち、個別サービスの質に関する項目を実地で確認し指導します。

具体的には、ケアマネジメント・プロセスに基づくサービスが実施されているか、高齢者の虐待や適切な手続きを経ていない身体的拘束を行っていないかを確認します。
事業所で保管している利用者に関する文書を、行政機関が現地を訪れて閲覧し、内容に不備や不適切な表現がないか確認するため、必要な書類を用意しておきましょう。

最低基準等運営体制指導

最低基準等運営体制指導では、個別サービスの質を確保するために、体制に関する事項を確認し必要な指導を行います。
確認項目および確認文書により運営体制をチェックしますが、現地へ訪れるだけでなくオンラインで確認できる場合は、オンラインツールを利用して確認することも可能です。

主に人員基準、設備基準、運営基準などに規定されている運営体制が満たされているかチェックし、必要に応じて指導を行います。

報酬請求指導

報酬請求指導では、報酬基準に基づき介護保険給付の適正な事務処理を行っているかをチェックする指導です。
介護報酬の基本報酬部分について、算定している単位数が実際のサービスに相応したものであるかを確認し、介護報酬の請求に不正がないかをチェックします。

また、加算報酬の請求について、算定要件が満たされていても取り扱いが不十分である場合は、正しい知識をインプットし取り扱えるよう改善指導を行います。

訪問介護の運営指導を実施する際の流れ

訪問介護の運営指導を実施する際の流れは、次のとおりです。

  1. 運営指導を実施する通知が届く
  2. 事前書類を提出する
  3. 運営指導が実施される
  4. 指導結果が通知される

それぞれの流れを確認して、運営指導に対応する準備をしておきましょう。

1.運営指導を実施する通知が届く

運営指導を実施する前に、原則として1カ月前に通知が届きます。
具体的には、介護保険施設等指導指針において、次の内容が通知されます。

  • 運営指導の根拠規定および目的
  • 運営指導の日時および場所
  • 指導担当者
  • 介護保険施設の出席者(役職名で可)
  • 準備すべき書類
  • 当日の進め方、流れ(運営指導の形態、スケジュールなど)

事前に運営指導を実施する日程と必要書類が通知されるため、提出する書類を用意しておきましょう。

2.事前書類を提出する

運営指導を実施する日程より前に、事前書類を提出する必要があります。
ただし、事前書類の提出が常に義務付けられているわけではありません。行政機関が前もって介護事業所の情報を収集したい場合に、書類提出が求められます。

すでに自治体へ書類を提出している場合や、介護事業所のWebサイトで必要な情報を収集できる場合は、事前書類の提出が不要となる可能性が高いです。
また、運営指導で高評価を得られるよう、事前に自己点検を実施しておくことをおすすめします。

多くの自治体で、介護事業所が自己点検できるようセルフチェックシートが用意されています。
管轄の自治体Webサイトよりセルフチェックシートの有無を確認し、運営指導に向けて自己点検を行いましょう。

3.運営指導が実施される

運営指導当日は、上述した以下の3項目について行政機関から指導を受けます。

  • 介護サービスの実施状況指導
  • 最低基準等運営体制指導
  • 報酬請求指導

なお運営指導は立入検査ではなく、事業所が任意で協力し運営状況などについて指導するものです。
しかし運営指導を断り続けると、不正や誤った法解釈があると判断され、監査が入る可能性があるため、できる限り拒否せず受け入れましょう。

4.指導結果が通知される

運営指導の当日に、確認できた状況について、行政の担当者から助言を受けます。
後日、指導結果が通知されるため内容を確認しておきましょう。

違反が見られない場合は当日に助言を受けて指導が終わりますが、軽微な違反が見られる場合は、口頭での指導、改善指導が必要な場合は文書での指導を受けます。
文書通知の場合は、違反が見つかってから1カ月以内に改善報告を求められる可能性があります。

改善が見られない場合は、監査に切り替えて行政調査が入るため、違反を指摘された場合は速やかに対処しましょう。

訪問介護の運営指導で確認される項目

訪問介護の運営指導で違反や不正を指摘されないよう対処するには、行政から確認される項目を知っておく必要があります。
訪問介護の運営指導で確認される項目は、大きく分けて次の2種類です。

  • 個別サービスの質に関する事項
  • 個別サービスの質を確保するための体制に関する事項

個別サービスの質に関する事項

個別サービスの質に関する事項では、次のような項目をチェックされます。

  • ケアサービスの内容や手続きに監視て、利用者やその家族へ説明を行い、同意を得ているか
  • 重要事項説明書の内容に不備はないか
  • サービス担当者会議などに参加し、利用者の心身状況を把握しているか
  • サービス担当者会議などを通じて、介護支援専門員や他サービスとの密接に連携しているか
  • 居宅サービス計画に沿ったサービスが提供されているか
  • 居宅サービス計画などにサービス提供日および内容、支払い金額などが記載されているか
  • サービス提供記録に提供した具体的なサービス内容が記録されているか
  • 生命または身体を保護するため、緊急時ややむを得ない場合を除き、身体的拘束を行っていないか
  • 身体的拘束を行う場合に要件(切迫性、非代替性、一時性)のすべてを満たしているか
  • 身体的拘束を行う場合、拘束の様子や時間、利用者の心身状況と拘束する理由を記録しているか
  • 利用者の日常生活全般の状況および希望をふまえているか
  • サービスの目標を達成するための具体的なサービス内容などを記載しているか
  • 居宅サービス計画に基づいて訪問介護計画が立てられているか
  • 訪問介護計画は、利用者またはその家族への説明・同意・交付は行われているか
  • 訪問計画を作成後、計画の実施状況を把握し、必要に応じて計画を変更しているか

引用元:確認項目及び確認文書|厚生労働省

個別サービスの質に関する項目では、事業所が利用者に適切なケアサービスを実施しているか、サービス内容や従業員の対応についてチェックしています。

個別サービスの質を確保するための体制に関する事項

個別サービスの質を確保するための体制に関する事項でチェックされる内容は、次のとおりです。

  • 利用者に対して、訪問介護員の人数は適切か
  • 訪問介護員は、必要な資格は有しているか
  • 管理者は常勤専従か、他の職務を兼務している場合は、兼務体制が適切であるか
  • 被保険者資格、要介護認定の有無、要介護認定の有効期限を確認しているか
  • 利用者からの費用徴収は適切に行われているか
  • 領収書を発行しているか
  • 緊急事態が発生した場合、速やかに主治の医師に連絡しているか
  • 運営における重要事項(事業の目的や運営方針、従業員の職種や人員数、職務内容、営業日、営業時間、利用料金、対応地域、緊急時における対応、虐待防止の措置など)を定めているか
  • サービス提供は事業所の訪問介護員によって行われているか
  • 品質向上のために研修の機会を確保しているか
  • ハラスメント防止措置を講じているか
  • 感染症や災害発生時にサービスを継続、早期の業務再開できる計画を策定し、必要な措置を講じているか
  • 訪問介護員に業務継続計画の周知、研修を定期的に実施しているか
  • 定期的に業務継続計画の見直しを行っているか
  • 感染症の発生や蔓延を防止する措置を講じているか
  • 利用者やその家族から個人情報の利用に関する同意を得ているか
  • 退職者を含む、従業者が利用者の秘密を保持することを誓約しているか
  • 虚偽や誇大となる広告を掲載していないか
  • 苦情受付の窓口を設置するなど、苦情処理に関する措置を講じているか
  • 苦情を受け付けた場合、内容を記録し保存しているか
  • 事故発生時に管轄の自治体と利用者家族、居宅介護支援事業者などに連絡しているか
  • 事故状況や処置の内容が記録されているか
  • 損害賠償すべき事故が発生した場合に、速やかに賠償を行っているか
  • 虐待の発生や再発を防止するための措置を講じているか

引用元:確認項目及び確認文書|厚生労働省

個別サービスの質を確保するための体制に関する事項では、適切なケアサービスを提供するため、事業所内のルールや風土、必要な人員数や環境を整えているかをチェックします。

訪問介護の運営指導で提出する必要書類(確認文書)

訪問介護の運営指導で提出する必要書類は、大きく分けて次の2種類です。

  • 個別サービスの質に関する事項の確認文書
  • 個別サービスの質を確保するための体制に関する事項の確認文書

運営指導で確認する項目ごとに、必要書類となる確認文書が定められています。
各文書を確認して、運営指導に向けて用意しておきましょう。

個別サービスの質に関する事項の確認文書

個別サービスの質に関する事項の確認文書は、次のとおりです。

  • 重要事項説明書(利用者や家族の同意があったことがわかるもの)
  • 利用契約書
  • サービス担当者会議の記録
  • 居宅サービス計画
  • サービス提供記録
  • 身体的拘束の記録(身体的拘束がある場合)
  • 訪問介護計画
  • アセスメントの結果がわかるもの
  • モニタリングの結果がわかるもの

引用元:確認項目及び確認文書|厚生労働省

個別サービスの質を確保するための体制に関する事項の確認文書

個別サービスの質を確保するための体制に関する事項の確認文書は、次のとおりです。

  • 従業員の勤務体制および勤務実績がわかるもの(勤務体制一覧表、勤務実績表など)
  • 従業者の勤怠状況がわかるもの(タイムカード、勤怠管理システムなど)
  • 資格要件に合致していることがわかるもの(資格証の写しなど)
  • 管理者の雇用形態がわかるもの
  • 介護保険番号、有効期限などを確認している記録
  • 請求書
  • 領収書
  • 運営規程
  • サービス提供記録
  • 運営規程
  • 研修の計画および実績がわかるもの
  • ハラスメントによる就業環境悪化防止のための方針
  • 業務継続計画
  • 研修の計画および実績がわかるもの
  • 訓練の計画および実績がわかるもの
  • 感染症の予防、蔓延防止対策を検討した委員会の開催状況、結果がわかるもの
  • 感染症の予防、蔓延の防止のための指針
  • 感染症の予防、蔓延の防止のために研修や訓練を実施した状況、結果がわかるもの
  • 個人情報の利用に関する同意書
  • 従業者の秘密保持誓約書
  • パンフレットやチラシ
  • Web広告
  • 苦情の受付簿
  • 苦情への対応記録
  • 市町村、利用者家族、居宅介護支援事業者等への連絡状況がわかるもの
  • 事故発生時の処置に関する記録
  • 損害賠償の実施状況がわかるもの
  • 虐待防止対策を検討する委員会の開催状況や結果がわかるもの
  • 虐待防止のための指針
  • 虐待防止のために、研修や計画、担当者を設置していた事実を確認できるもの

引用元:確認項目及び確認文書|厚生労働省

訪問介護の運営指導をセルフチェックする自己点検票

訪問介護の運営指導で不備や違反を指摘されないよう、自己点検票を活用しましょう。
各自治体で、運営指導に向けてセルフチェックする自己点検票が公表されています。

本記事では、参考として東京福祉局が公表している訪問介護事業における自己点検票をもとに、セルフチェックするべき項目を解説します。

参照元:介護サービス事業所等自己点検票(指定訪問介護事業)|東京福祉局

1.基本方針

基本方針の項目では、利用者が求める適切なケアサービスを実施する事業かをチェックします。
つまり訪問介護事業を運営するための、基本方針を誤っていないかチェックする項目です。

2.人員に関する基準

人員に関する基準では、次のような内容をチェックします。

  • 事業所ごとに配置するべき訪問介護員の人数は常勤換算方法で2.5以上か
  • 利用者数に応じて適切なサービス提供責任者を配置しているか
  • 事業所ごとに専任で業務に従事する管理者を配置しているか
  • サービス提供責任者は、常勤で職務に従事し、次のいずれかに該当するか

1.介護福祉士

2.実務者研修、介護職員基礎研修を修了した者

3.訪問介護員養成研修1級課程を修了した者

4.看護職員(看護師、准看護師、保健師)

3.設備に関する基準

設備に関する基準のチェック項目は、次のとおりです。

  • 事業運営に必要な広さを有する専用区画が設けられているか
  • 事務所は、利用申し込みの受付、相談などに対応するのに適切なスペースが確保されているか
  • 指定訪問介護の提供に必要な設備および備品を確保しているか
  • 手指を洗浄するための設備や感染症予防に必要な設備を備えているか

4.運営に関する基準

運営に関する基準では、次の内容をセルフチェックしましょう。

  • 事業所単位でPDCAサイクルを回し、サービスの品質向上に務めているか
  • 管理者は従業員と業務の管理を一元的に行っているか
  • 管理者とサービス提供責任者は、条例で定められる業務と現場で求められる業務を行っているか
  • 運営についての重要事項に関する規程を定めているか
  • 訪問介護事業の運営にあたって、入浴、排泄、食事などの介護または調理、洗濯、掃除などの家事を総合的に提供し、サービス内容が特定の援助に偏らないか
  • 月ごとの勤務表を作成し、適切な訪問介護サービスを提供できるよう勤務体制を整備しているか
  • 従業員のスキルや知識向上のため研修や教育を実施しているか
  • ハラスメント防止措置を講じているか
  • 業務継続計画を策定し、計画に従い必要な措置を講じているか
  • 業務継続計画に必要な研修や教育を実施しているか
  • 利用者やその家族に重要事項を記した文書を交付して、説明し同意を得てからサービスを提供しているか
  • 正当な理由なく、訪問介護サービスの提供を拒んではいないか
  • サービス提供が困難な場合は、居宅介護支援事業者への連絡や他事業所の紹介など、適切な処理を行っているか
  • サービス提供の際に、利用者の被保険者証によって、被保険者資格、要介護認定の有無、要介護認定の有効期間を確認しているか
  • 利用者に関するサービス担当者会議を通じて、利用者の心身の状況、置かれている環境、他の保健医療サービスや福祉サービスの利用状況を把握しているか
  • 訪問介護サービスを提供するため、居宅介護支援事業者との密接な連携に努めているか
  • 居宅介護支援事業者に対する情報の提供、保健医療サービスまたは福祉サービスを提供する者と密接な連携に努めているか
  • 法定代理受領サービスの提供を受ける際に、必要な援助を行っているか
  • 居宅サービス計画に沿ったケアを実施しているか
  • 身分を証する書類の携行しているか
  • サービスの提供記録を残しているか
  • 適切な利用料を受け取っているか
  • 保険給付の請求申請に必要となる証明書の交付しているか
  •  訪問介護計画を作成し、利用者へ共有、必要があれば内容を変更しているか
  • 緊急時の対応や衛生管理に関する管理を行っているか
  • 利用者に必要のないサービスを提供していないか
  • 虚偽や誇大となる広告を掲載していないか
  • 苦情処理窓口を設置し、苦情の内容を記録しているか
  • 区市町村が実施する社会福祉に関する事業に協力しているか
  • 虐待防止対策の研修や教育を行っているか

5.変更の届出など

変更の届出では、事業所の名称や所在地に変更がある場合、10日以内に管轄の自治体へ届けるかを確認する項目です。
また事業を廃止、休止する際は、1カ月前までに届出を行う必要があります。

6.介護給付費の算定および取り扱い

介護給付費の算定および取り扱いでは、次のような項目をチェックします。

  • 法律で定められた単位数ごとに算定されているか
  • 訪問介護の所要時間は、標準的な時間で所定単位数を算定しているか
  • その他、加算算定要件を満たした場合に、単位数を加算しているか

介護給付費の算定および取り扱いは、法律で定められた単位数、算定要件を満たしているかをチェックする項目です。

訪問介護の運営指導を対策する際のポイント

訪問介護の運営指導を対策する際のポイントは、次のとおりです。

  • 基本報酬、加算の算定要件を理解し、適切に算定しているか
  • 請求した介護報酬とサービス提供の実績に、差異がないか
  • 日常的に書類の不備がないか
  • 研修の実施状況や苦情の内容を記録しているか
  • 事務所内を常に整理整頓して、清潔に保たれているか

事務所内を整理整頓しておけば、必要書類をすぐに発見し、内容を確認できます。
その他にも自己点検票のセルフチェック項目にあるよう、介護給付費の算定要件を確認し、適切に処理できているか確認することが大切です。

研修や業務継続計画、ハラスメント防止委員会、虐待防止対策委員会などを開催した際は、実施内容や日付を記録として残しましょう。

伊谷 俊宜氏
伊谷 俊宜氏

訪問介護に限らずですが、運営指導で一番注力してみられるのは、給付に関わる部分です。訪問介護事業にて、請求が適正かどうか?という点が最も重視されます。そのため、給付に関わる帳票の整備が非常に重要なのですが、基本的に契約書に始まり、訪問介護計画書や実施記録など、ほぼすべての帳票が給付に関わるので、どの帳票も当然疎かにすることはできません。特に特定処遇改善加算を算定している事業所は、その算定要件をよく理解し、要件を満たしているか定期的に確認する必要があります。

〇計画的な研修の実施
〇会議の定期的開催
〇文書等による指示及びサービス提供後の報告

上記を怠ったことにより不正請求とみなされ、指定取消という非常に重たい行政処分が下った事例もあります。運営指導対策としてシステム活用は非常に有効です。

訪問介護の運営指導は自己点検票を活用して対策しよう

訪問介護の運営指導は、自治体が公表する自己点検票を活用して対策しましょう。
運営指導で不備や違反が見つかった場合は、監査が入り行政処分を受ける可能性があります。

行政処分を受けると違約金の支払いや運営停止を命じられるため、訪問介護事業所の経営に悪影響を及ぼします。
訪問介護事業では、6年に1度以上は運営指導が入るため、日ごろから必要書類に不備がないよう対策しておくことが大切です。

事務所内を清潔に保ち整理整頓しておくことで、必要書類を速やかに用意し、内容を確認できます。
違反や不正がないよう、常に従業員の教育を徹底し、適切なケアサービスを提供しましょう。

監修:伊谷 俊宜

介護経営コンサルタント

千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。

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