訪問看護の立ち上げに使える助成金一覧|自治体の制度例や資金調達方法を併せて解説!

2024.05.07

訪問看護ステーションの立ち上げには、多くの費用がかかります。
資金調達の方法として、補助金・助成金を検討する方も多いのではないでしょうか。

本記事では、訪問看護の立ち上げに使える助成金制度について詳しく解説します。
後半では、そのほかの資金調達方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

訪問看護の立ち上げにかかる費用目安

訪問看護ステーションを立ち上げる際には、開業に必要な費用目安を把握しておく必要があります。
訪問看護事業の立ち上げ費用は、800〜1,500万円ほどが目安です。

内訳は以下のとおりです。

初期費用法人設立の費用
事務所の費用
設備・備品の費用
自動車等の費用
広告宣伝の費用…etc
300〜600万円
運転費用(半年分)人件費
家賃
水道光熱費
自動車の費用
ICT・通信費
諸経費…etc
500〜900万円
合計(立ち上げ費用)800〜1,500万円

なお、初期費用は、従業員数や事業所の規模によっても大きく変わるため、予算に合った事業規模を決めておくことが大切です。

さらに訪問看護を立ち上げる際には、初期費用だけでなく当面の運転資金を用意しておかなければなりません。
訪問看護ステーションを立ち上げる前に、必要な初期費用と運転資金を計算して、準備しておきましょう。

関連記事:訪問看護ステーションの立ち上げ時に知っておくべきこと|必要資金・手順を解説

訪問看護ステーションの立ち上げに使える助成金

訪問看護ステーションの立ち上げに使える助成金として、次の制度があります。

  • 両立支援等助成金
  • 業務改善助成金
  • 65歳超雇用推進助成金
  • IT導入補助金
  • ICT補助金
  • 特定求職者雇用開発助成金

開業資金・運用資金をスムーズに調達するために、助成金制度の詳細を確認しておきましょう。

両立支援等助成金

両立支援等助成金は、職場環境の改善に取り組む事業所を支援するための助成金制度です。
事業所のあらゆる職場改善を支援するために、次のような項目にコースを分けています。

  • 出生時両立支援コース
  • 介護離職防止支援コース
  • 育児休業等支援コース
  • 不妊治療両立支援コース
  • 育休中等業務代替支援コース

参照元|厚生労働省「仕事と家庭の両立支援に取り組む事業主等のみなさまへ」

なお「育休中等業務代替支援コース」は、令和6年1月より新設されました。
それぞれのコース別に概要と支給要件を紹介しますので、訪問看護の立ち上げ時に活用しましょう。

出生時両立支援コース

出生時両立支援コースは、男性労働者が育児休業を取得しやすい労働環境を整えるための助成金制度です。
子どもの出生後8週間以内に育児休業を利用させた事業所が対象です。

「支給要件」

  1. 育児休業を取得できる雇用環境を整備している
  2. 育児休業を取得する従業員の業務引き継ぎ・整理・見直しなどに取り組む施策を実施している
  3. 男性従業員が育児休業を取得する場合に5日以上連続して休みを取らせている

「支給額」

  1. 20万円を支給する(1事業主1回限り)
  2. (1)に加えて2万円を支給する(育児休業等に関する情報公表加算を満たしている場合のみ)

参照元|厚生労働省「両立支援等助成金(1)出生時両立支援コース」

両立支援等助成金の出生時両立支援コースでは、男性労働者が一定期間の育児休業を取得していることが助成金の支給条件です。
さらに育児休業をスムーズに取得するための、業務の引き継ぎや担当業務の見直しなど、支給対象となる条件は複数存在します。

男性労働者の育児休業取得率によって、さらに支給額が加算されるケースもあるため、訪問看護を立ち上げる前に育児休業制度を充実させておく必要があります。

介護離職防止支援コース

介護離職防止支援コースは、従業員が介護と仕事を両立できるように取り組みを行っている事業所へ支給される助成金制度です。
具体的には、従業員が家族を介護するために仕事を休業した後、職場へ戻りやすい体制を整えている事業所へ助成金が支給されます。

「休業取得時の要件」

  • 従業員の家族に要介護者がいることを把握した時点で、上司または人事担当者がプラン策定のための面談を1回以上行っていること
  • プランには従業員がスムーズに介護休業を取得するための措置、業務の引き継ぎや整理が定められていること
  • 作成したプランに基づいて、業務の整理・引き継ぎなどを実施すること
    ただし従業員の家族の状況によって、対面での引き継ぎが困難な場合は、電話やメール・書面での引き継ぎを行う
  • 対象の従業員に対して、合計5日以上の介護休業を取得させること
    ただし5日以上の休業に関しては、所定労働日に対する休業日数、休業開始から1年以内に取得した休暇であること

「職場復帰時の要件」

  • 介護休業を終了した後、上司や人事担当者とフォロー面談を実施し、結果について記録していること
  • 原則として対象の従業員を、職場に復帰させること
  • 従業員が介護休業を終了した後に助成金を申請する日まで、雇用保険被保険者として3カ月以上にわたって継続雇用していること
    ただし、対象の従業員が介護休業を終了した日の翌日から起算して、3カ月の間において、予定していた日数の5割未満しか実際に就業しなかった場合は支給対象外

介護離職防止支援コースでは、「休業取得時」と「職場復帰時」の2種類に分けて、助成金が支給されます。

「支給額」

  • 休業取得時:30万円(1事業所につき1年度あたり、従業員5人までが対象)
  • 職場復帰時:30万円(休業取得時の助成金対象の従業員が職場復帰したときのみ支給対象)

参照元|厚生労働省「両立支援等助成金 (2) 介護離職防止支援コース」

従業員が家族の介護が原因で離職しないよう、介護離職防止支援コースを受給できる体制を整えましょう。

育児休業等支援コース

育児休業等支援コースは、働きながら育児を行う従業員の雇用継続を図るため、育児休業や有給休暇の円満な取得や職場復帰の制度を整えている場合に支給される助成金制度です。
具体的には、職場生活と家庭生活を両立する支援を促し、従業員の雇用を安定させることが目的です。

「育児休業等支援の支給要件」

  • 育児休業の制度内容及び手続について、労働協約または就業規則に規定している
  • 労働者の円滑な育児休業の取得及び職場復帰について、プランにより支援する方針をあらかじめ全労働者へ周知している
  • 育児休業を開始する前に、上司や人事担当者が育児休業を取得する従業員と面談を実施し、面談シートを作成する(ただし育児休業取得者と対面での面談が難しい場合は、電話やメールでの相談・調査をした記録でも可)
  • 従業員が育児休業を取得する際に、作成したプランに基づいて業務の引き継ぎを行っている
    また、育児休業を取得している従業員がスムーズに職場復帰できるよう、職務や業務内容に関する情報・資料の提供を定める措置を実施している
  • 育児休業を取得する従業員に対して、連続3カ月以上の育児休業を取得させている
  • 育児休暇を取得する従業員を、育児休業開始日に雇用保険被保険者として雇用している

「支給額」

育児休業取得時/30万円(育児休業取得者1人あたり)

参照元|厚生労働省「両立支援等助成金 (3) 育児休業等支援コース」

その他にも、介護休業等支援コースでは、育児休業の取得だけでなく職場復帰・復帰後の支援など、従業員が育児休業を取得しやすくなる取り組みを対象に助成金を支給しています。

育休中等業務代替支援コース

育休中等業務代替支援コースは、働きながら育児を行う従業員の雇用を安定させるために、対象の従業員の業務を代替する体制を整えた事業所に支給される助成金制度です。
育休中等業務代替支援コースは、次の要件を満たした事業所に対して助成金制度が用意されています。

「育休中等業務代替支援の要件」

  • 従業員の育児休暇が終了した後に原則として原職等に復帰させる旨を労働協約または就業規則に規定している
  • 育児休業を取得している間、対象の従業員が担当している業務・仕事に関しては、他の従業員に代替させている(業務代替者は複数人でも可)
  • 育児休業取得者の業務を見直し・効率化するため、次のいずれかを実施した旨が確認できる
    ・業務の一部の休止・廃止
    ・手順・工程の見直し等による効率化、業務量の減少
    ・マニュアルなどの作成による業務、作業手順の標準化
  • 育児休業取得者の業務を代替する従業員に対して、上司や人事担当者から代替する業務内容や給与・手当について、面談を実施して説明している
  • 代替業務に対応した賃金制度について、代替業務を開始する日までに労働協約や就業規則に規定している
  • 業務を代替した期間中、業務代替者全員に支払われた「代替え業務に対応した賃金」の総額が1万円以上である
  • 令和6年1月1日以降に開始する育児休業取得を7日以上取得させている
  • 育児休業取得者が職場復帰してから申請日まで、対象の従業員を雇用保険被保険者として3カ月上継続雇用している
    また3カ月の間に雇用形態や給与待遇を不合理に変更していない

「支給額」

手当支給など(育児休業)/業務体制整備経費 5万円

参照元|厚生労働省「両立支援等助成金 (6)育休中等業務代替支援コース」

従業員が育児休業を取得する際には、周囲の従業員が業務を代替しなければなりません。
周囲の従業員へ業務を代替してもらう負担がかかるため、手当を支給したり新しい従業員を雇用したりといった取り組みが必要です。

業務改善助成金

業務改善助成金は、生産性を向上させるための設備投資を助成する制度です。
例えば、システムの導入やパソコン・タブレット端末等の周辺機器も対象です。

助成される金額は、以下のうち安い方が適用されます。

  • 対象の設備投資費×助成率(変動制)
  • 助成上限額
出典:業務改善助成金|厚生労働省

なお、助成率は、事業所の最低賃金に応じて、以下のように変動します。

〜899円900〜949円950円〜
9/104/5(9/10)
※生産性要件に該当の場合()内が適用
3/4(4/5)
参照:業務改善助成金|厚生労働省

一方、助成上限は、最低賃金の引き上げ額と対象の従業員数に応じて変動します。

出典:業務改善助成金|厚生労働省

訪問看護事業においても業務効率を向上させる目的で、看護システムや車を導入した費用は、業務改善助成金の支給対象です。
さらに従業員の最低賃金を引き上げることで、労働環境を改善する際にも助成金が支給されます。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、さまざまな経営課題を解決するためにITツールを導入する費用を助成する補助金制度です。
下記の5つの枠から、事業所に適した目的の補助金を受給できます。

「補助金枠の内容」

  • 通常枠:事業所の課題にあったITツールを導入し、業務の効率化・売上アップをサポートする
  • インボイス枠:インボイス制度に対応した会計ソフト・受発注ソフト等を導入し、労働生産性の向上をサポートする
  • セキュリティ対策推進枠:サイバーインシデントに関するさまざまなリスク低減策を支援する

参照元|IT導入補助金2024

IT導入補助金枠補助率補助率
通常枠必要経費の1/2以内・1プロセス以上/5万円以上150万円未満
・4プロセス以上/150万円以上450万円以下
インボイス対応類型・会計・受発注ソフト等:
 1:3/4以内(小規模事業者)
   4/5以内(中小企業)
 2:2/3以内
・PC等ハード:
 3:1/2以内
・ソフト:
 1:50万円以下
 2:50万円超〜350万円以下
・PC等ハード:
 3:10万円以下
インボイス電子取引類型2/3以内下限なし〜350万円以下
セキュリティ対策推進枠1/2以内5万円以上100万円以下
参照元|IT導入補助金2024

訪問看護を立ち上げる際にも、ITツールを導入した方が業務を効率化させられます。
従業員の負担を軽減し生産性を向上させるために、IT導入補助金を活用してITツールを導入しましょう。

ICT補助金

ICT補助金とは、厚生労働省が推進する「ICT導入事業」の1つで、介護・医療業界におけるICTツールの導入費用を補助する制度です。
各自治体が主体となりICT補助金を提供しているため、具体的な支給対象・補助金額は管轄の自治体ホームページを確認しましょう。

なお、補助金の対象となる代表的な物は、次のとおりです。

  • 介護ソフト
  • 情報端末(タブレット端末・スマートフォン端末・インカムなど)
  • 通信環境機器(Wi-Fiルーターなど)
  • その他の費用(運用経費など)

ICT補助金では、ツールを導入・運用するためのクラウド利用料やサポート費・研修費なども支給されます
詳しくは、下記の厚生労働省のページより、概要と過去の導入効果報告を確認できるので、訪問看護を立ち上げる前にチェックしておいてください。

参照元|厚生労働省「介護現場におけるICTの利用促進」

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金は、ハローワークなどの紹介によって高年齢者や障がい者など就職困難者を継続して雇用する場合に、支給される助成金制度です。
雇い入れる就職困難者の条件や企業規模によって、助成金の支給額が変動します。

対象の労働者支給額対象期間
支給額
短時間労働者以外の者60歳以上の高年齢者、母子家庭の母など50万円25万円×2期
重度障がい者などを除く身体・知的障がい者50万円25万円×2期
重度障がい者など100万円33万円×3期
短時間労働者60歳以上の高年齢者、母子家庭の母など30万円20万円×2期
重度障がい者などを含む身体・知的・精神障がい者30万円15万円×2期
参照元|厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」

訪問看護の立ち上げに使える自治体の助成金例

訪問看護の立ち上げに使える助成金制度には、各自治体が提供している制度があります。
参考として、大阪府が提供している助成金制度を紹介します。

大阪府の助成金は、次のとおりです。

  • 訪問看護相互連携事業
  • 訪問看護ステーション規模拡大推進事業

訪問看護相互連携事業では、介護事業所と医療機関が相互に連携して、訪問看護サービスの向上を図るための必要経費を1/2助成しています。
具体的には、備品の購入費や設備・施設費、人件費など介護事業所と医療機関を連携させるために、必要な費用が助成対象です。

さらに訪問看護ステーションの経営を安定させ、24時間対応・緊急時の対応・重症者の対応をスムーズに行うため、訪問看護ステーション規模拡大推進事業を実施しています。
訪問看護ステーション規模拡大推進事業は、主に次の4つの事業に分類されます。

  1. 訪問看護連携システム導入支援事業
  2. 事務職員等の雇用支援事業
  3. 特定行為研修等の代替職員確保支援事業
  4. 機能強化支援事業

参照元|大阪府公式ホームページ「訪問看護ネットワーク事業」

訪問看護におけるITシステムの導入費や事務員を雇用する際の採用費、代替職員を確保するための費用など、事業所を運営するためのさまざまな費用が助成対象です。

助成金以外に立ち上げる時に使える資金調達方法

訪問看護ステーションを立ち上げる際には、助成金の他にも活用できる資金調達方法を把握しておくべきです。
助成金以外に使える資金調達方法として、次の方法があります。

  • 銀行や信用金庫から融資を受ける
  • 日本政策金融公庫から創業融資を受ける
  • 地方自治体の制度融資を活用する
  • クラウドファンディングを行う
  • ファクタリングを活用する

訪問看護事業を立ち上げる際には、助成金だけで開業資金を集められません。
それぞれの資金調達方法を解説しますので、開業資金を集める際の参考にしてください。

銀行や信用金庫から融資を受ける

訪問看護を立ち上げる際の資金調達方法として、銀行や信用金庫から融資を受ける方法があります。
銀行や信用金庫は、事業所の規模や将来の収益性から事業に融資するべきか判断するため、事業計画や収益見込みを提出して審査を受けます。

自己資金の他にも看護師や管理者としての経験・収益見込みなどによって、融資の有無を判断します。
なお経歴が浅く社会的信用が低い場合は、保証付融資を受けることで、審査を通過しやすくできます。

保証付融資を受ける際には、信用会社に信用保証料の支払いが必要になるため、開業資金にプラスして準備しておきましょう。

日本政策金融公庫から創業融資を受ける

日本政策金融公庫であれば、実績の少ない事業主でも融資を受けられる可能性が高いです。
日本政策金融公庫は、新創業融資としてスタートアップ企業の支援に力を入れています。

一般的に、銀行や信用金庫よりも融資の審査難易度が低いと言われており、金利が低い点も特徴です。

ただし日本政策金融公庫の創業融資を受けるには、開業資金の10分の1を自己資金で用意しなければなりません。
融資の限度額は3,000万円が上限で、うち1,500万円は運転資金です。

地方自治体の制度融資を活用する

地方自治体の制度融資を活用すれば、中小企業でも低金利で開業資金を調達できます。
制度融資は、地方自治体・金融機関・信用保証協会の3つの機関が連携して、実施する融資です。

各機関の役割は以下の通りです。

  • 地方自治体:信用保証料の補助や金利の一部負担
  • 金融機関:融資の実行
  • 信用保証協会:返済が滞った際の弁済

一般的な融資は、金融機関と事業者間で成立します。
一方、制度融資は、地方自治体・信用保証協会が事業者を支援するため、審査に通過しやすいと言われています。

なお、都道府県だけでなく市町村で制度融資を実施しているケースもあります。
訪問看護ステーションを立ち上げる前に、対象の自治体が提供している融資制度をチェックしておきましょう。

ファクタリングを活用する

ファクタリングを活用すれば、訪問看護ステーションの立ち上げ資金を調達できます。
訪問看護の報酬は、介護報酬や診療報酬を国保連(国民健康保険団体連合会)や支払基金(社会保険診療報酬支払基金)に請求することで、約2カ月後に入金されます。

ファクタリングは早期入金の意味合いを持ち、通常2カ月後に支給される報酬を1.5カ月ほど前倒しで入金してもらう制度です。
請求額の7〜9割程度を前倒しで入金してもらい、残金を通常の入金サイクルである2カ月後に支給してもらえるため、資金繰りが困難な開業当初に活用できます。

訪問看護の立ち上げる際に注意しておくべきポイント

訪問看護ステーションを立ち上げる際には、次のポイントに注意しておきましょう。

  • 初期費用だけでなく運用資金を計算しておく
  • 従業員が長く就業したい職場づくりを行う
  • 助成金を活用してICTを導入する

訪問看護ステーションの立ち上げを成功させるために、各注意点を確認して対策しておきましょう。

初期費用だけでなく運用資金を計算しておく

訪問看護ステーションを立ち上げる際の注意点として、初期費用だけでなく運用資金を計算しておきましょう。
というのも、介護報酬や診療報酬が入金されるまでに、約2カ月間かかるためです。

まとまった報酬を受け取れない状態でも、事業所を運営していかなければならず、初期費用だけでなく余裕を持った資金の用意が必要です。
開業してから6カ月以上の、人件費や事務所・設備代などのランニングコストを計算して、余裕を持った運用資金を用意しておきましょう。

従業員が長く就業したい職場づくりを行う

訪問看護ステーションを安定して運営していくためには、従業員が長く就業したくなる職場づくりが必要不可欠です。
看護・介護業界は、人材の流動性が高いと言われています。

多くの施設が人手不足に頭を抱えており、いかにして自施設へ定着してもらうかが課題です。
こうした課題を解決するためには、福利厚生や給与・休日・業務負担・人間関係など、従業員が離職する要因を改善し、長く働きたくなる職場づくりを行いましょう。

助成金を活用してICTを導入する

訪問看護ステーションを立ち上げる際には、助成金を活用してICTを導入しましょう。
ICTを導入すれば、従業員の負担を軽減して業務を効率化できます。

生産性・業務効率の向上だけでなく、利用者や家族の満足度向上にもつながるため、ICTの導入は重要です。
ICT補助金や各自治体が提供している助成金制度を活用すれば、ICTツールの導入費用が助成されます。

ICT導入費用を軽減して、円滑な資金繰りを実現するために、活用できる助成金制度を調べておきましょう。

伊谷 俊宜氏
伊谷 俊宜氏

訪問看護は、デイサービスや入所施設と比較して、かなり低コストでの開業が可能な業態です。参入しやすい業態であることもあり、2010年には5,713件だった訪問看護事業所数は、2023年には15,697件と10数年で約3倍と右肩上がりで増加しています。2022年度に訪問看護事業所は新規で1,968件開業しました。一方、同年度中に568件が廃止、225件が休廃止となっています(一般社団法人全国訪問看護事業協会提供資料より)。新規開業数に対して約4割の事業所が廃止または休止しているという数値はかなりインパクトがあるのではないでしょうか。その要因は色々考えられますが、開業前の事業計画の甘さも大きな要因のひとつです。誤解を恐れず申し上げると、事業計画は“悲観的”な数値で作成することがとても重要なのです。

訪問看護のICT導入にはワイズマンがおすすめ

訪問看護ステーションでICTの導入をお考えの方は、弊社「ワイズマン」の管理ソフトも検討してみてください。
ワイズマンの「訪問看護ステーション管理システムSP」では、利用者情報の管理はもちろん、医保療養費明細書や訪問看護計画書の作成が可能です。

各種書類に対応したテンプレートを搭載していてるため、従来の紙面管理よりも円滑に書類を作成できます。
また、自施設の経営状況を分析する際も、利用実績や加算状況などの必要情報を即座に収集できます。

日々の業務で発生する、データの入力・管理・出力・分析等を効率化でき、より主力業務に集中できるでしょう。

訪問看護ステーション管理システムSPの詳細や、そのほか介護・看護向け業務支援ソフトの詳細は、「製品カタログ」にて配信しております。

まとめ

訪問看護ステーションの立ち上げに使える助成金として、次の制度があります。

  • 両立支援等助成金
  • 業務改善助成金
  • 65歳超雇用推進助成金
  • IT導入補助金
  • ICT補助金
  • 特定求職者雇用開発助成金

訪問看護を立ち上げる際には、多くの費用がかかります。
各種、要件はありますが、補助金・助成金をうまく活用し、資金調達を成功させましょう。

監修:伊谷 俊宜

介護経営コンサルタント

千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。

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