【2025年最新】訪問看護の緊急時加算とは?要件や計算方法などを解説
2025.03.04

訪問看護ステーションの運営において、適切な加算請求は、質の高いサービス提供を維持するうえで重要です。
特に、緊急時加算は、利用者の急変に対応した際の適切な報酬を得るための重要な制度です。
一方で、緊急時加算は要件や計算方法が複雑で、請求漏れが発生しやすい点に注意する必要があります。
本記事では、2025年最新の情報に基づき、訪問看護における緊急時加算の要件・計算方法・請求手順などについて解説します。
緊急時加算を正しく理解し、適切に活用することで、質の高い訪問看護サービスの提供と、安定した経営につなげましょう。
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目次
訪問看護における緊急時加算(緊急訪問看護加算)とは

訪問看護における緊急時加算(緊急訪問看護加算)とは、利用者、またはその家族からの緊急の要請に基づき、緊急訪問看護を実施した際に算定できる加算です。
利用者の急変時など、迅速な対応が必要な状況において、適切な医療的介入とケアを提供するための経済的支援として位置付けられています。
本章では緊急時加算の要件や対象となるサービスについて解説します。
緊急時加算の算定要件
2024年の介護報酬改定に伴い、緊急時加算にⅠとⅡの2種類が設けられました。
ⅠとⅡそれぞれの算定要件を順番に確認しましょう。
緊急時加算Ⅰの算定要件
緊急時加算Ⅰの算定要件は以下のとおりです。
- 利用者またはその家族等から電話等により看護に関する意見を求められた場合に常時対応できる体制にあること。
- 緊急時訪問における看護業務の負担の軽減に資する十分な業務管理等の体制の整備が行われていること。
参照元:令和6年度介護報酬改定における改定事項について|厚生労働省
緊急時加算Ⅰの算定には、24時間365日いつでも緊急時に対応できる体制が不可欠です。
加えて、看護業務の負担に配慮した業務管理などができている必要があります。
ただし、「看護業務の負担の軽減に資する十分な業務管理等の体制」にも満たすべき要件が設けられています。
満たすべき要件は以下のとおりです。
- ア 夜間対応した翌日の勤務間隔の確保
- イ 夜間対応に係る勤務の連続回数が2連続(2回)まで
- ウ 夜間対応後の暦日の休日確保
- エ 夜間勤務のニーズを踏まえた勤務体制の工夫
- オ ICTやAI、IoT等の活用による業務負担軽減
- カ 電話等による連絡および相談を担当する者に対する支援体制の確保
参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について|厚生労働省
緊急時加算Ⅰを取得するには、上記のうち、アまたはイを含むいずれか2つを満たさなければなりません。
緊急時加算Ⅱの算定要件
緊急時加算Ⅱの要件は以下のとおりです。
- 緊急時訪問看護加算(Ⅰ)の(1)に該当するものであること。
引用:令和6年度介護報酬改定における改定事項について|厚生労働省
訪問看護の緊急時加算の計算方法

本章では訪問看護の緊急時加算の計算方法について解説します。
緊急時訪問看護加算は、月の初回訪問時の訪問看護の所定単位数に加算されます。
加算される単位数は、指定訪問看護ステーションと病院・診療所の訪問看護で異なるので注意しましょう。
また、2024年度の改定以降、さらに緊急時訪問看護加算ⅠとⅡの2種類に細分化されています。
具体的な単位数は、以下の表のとおりです。
加算区分 | 指定訪問看護ステーション | 病院または診療所 | 一体型定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の場合 |
緊急時訪問看護加算Ⅰ | 600単位/月 | 325単位/月 | 325単位/月 |
緊急時訪問看護加算Ⅱ | 574単位/月 | 315単位/月 | 315単位/月 |
加算額は、算定された単位数に1単位あたりの点数(地域によって異なる)を乗じて算出します。
また、緊急時訪問があった場合、その所要時間に応じた単位数を算定し、加算額に反映させましょう。
緊急時加算の請求手順

本章では緊急時加算の請求手順について解説します。
請求に必要な書類についても説明するので、ぜひ参考にしてください。
請求の流れ
訪問看護における緊急時加算の請求手順の基本的な流れは以下のとおりです。
ステップ | 内容 | 備考 |
1. 緊急時対応の実施 | 利用者からの緊急連絡を受け、訪問看護師が緊急時対応を実施する。(この際、対応内容を詳細に記録する。) | 記録には、対応日時・利用者の状態・実施した処置・経過などを正確に記載する。 |
2. 記録の作成・確認 | 緊急時対応内容を訪問看護記録などに詳細に記録する。記録は、加算請求の根拠となるため、正確かつ詳細な記述が必要。 | 記録内容に不備があると、加算請求が認められない可能性がある。 |
3. 請求システムへの入力 | 訪問看護記録に基づき、利用したサービスと緊急時加算を請求システムに入力する。 | 加算の種類や単位数を正確に入力する。 |
4. 請求明細書の作成・確認 | 請求システムから請求明細書を作成し、内容に誤りがないかを確認する。 | 明細書には、サービス内容・加算の種類・単位数・金額などを正確に記載する。 |
5. 請求書の提出 | 作成した請求書を、所定の期日までに保険者に提出する。 | 提出方法は、郵送・オンライン提出などがある。 |
6. 請求結果の確認 | 保険者から請求結果の通知が届く。内容を確認し、問題があれば速やかに対応する。 | 請求が却下された場合は、その理由を確認し、必要な修正を行い、再請求を実施する。 |
上記は一般的な流れであり、具体的な手順は各保険者の規定や、使用している請求システムによって異なります。
不明な点があれば、保険者やシステム提供元に確認しましょう。
請求に必要な書類と準備方法
緊急時加算の請求に必要な書類は、保険者によって異なる場合があります。
一般的に必要な書類と、準備方法は以下のとおりです。
書類 | 準備方法 | 備考 |
訪問看護記録 | 緊急時対応の実施内容を詳細に記録する。日時・利用者の状態・実施した処置・経過などを正確に記載しておく。 | 記録は加算請求の重要な根拠であるため、不備があると請求が却下される可能性がある。 |
請求明細書 | 使用している請求システムを用いて作成する。サービス内容・加算の種類・単位数・金額などを正確に入力しておく。 | 明細書は、保険者への請求の際に必要不可欠な書類であるため、誤りがないように慎重に作成する。 |
その他書類(必要に応じて) | 医師の指示書・緊急時の連絡記録など、保険者から求められた書類を用意する。 | 保険者によって必要な書類は異なるため、事前に確認が必要。 |
請求に必要な書類は、正確かつ丁寧に作成・準備することが重要です。
あらかじめ必要な書類を確認し、漏れがないようにしましょう。
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緊急時加算の算定漏れを防ぐためのポイント

訪問看護における緊急時加算は、利用者の急変時などに対応した際の適切な報酬を得るための重要な制度です。
算定漏れを防ぎ、適切な報酬を得るためには、以下の2つのポイントに注意しましょう。
- 緊急時対応の記録を徹底する
- 適切な加算区分を選択する
それぞれのポイントについて、順番に解説します。
緊急時対応の記録を徹底する
緊急時加算を算定するためには、緊急時対応の内容を詳細に記録することが不可欠です。
記録が不十分な場合、加算の算定が認められない可能性があります。
緊急時対応の記録は、以下のように記載しましょう。
記録項目 | 具体的な記録例 |
緊急事態発生日時 | 2024年10月27日 14時30分 |
利用者の状態 | 意識レベル低下・呼吸困難・血圧低下など、具体的な症状を記載 |
実施した対応 | 酸素投与・バイタルサイン測定・医師への連絡・救急車の要請など、具体的な対応内容を記載 |
対応時間 | 14時30分~15時00分(30分) |
対応結果 | 症状の改善・安定化・搬送状況など、結果を具体的に記載 |
担当者の氏名 | 〇〇〇〇 |
記録は、電子カルテや紙カルテなど、明確に管理できる方法で行い、事実関係を正確に、かつ詳細に記述しましょう。
曖昧な表現は避け、客観的な事実を基に記録することで、後から加算の算定根拠を明確にできます。
また、記録は、緊急時対応に関わったすべてのスタッフで共有し、確認を行う体制を整えることも有効です。
適切な加算区分を選択する
緊急時加算には、いくつかの区分があり、それぞれの区分で算定要件が異なります。
そのため、利用者の状態や実施した対応内容に応じて、適切な区分を選択することが重要です。
誤った区分を選択すると、加算が算定されない、もしくは減額される可能性があります。
例えば、緊急時訪問看護加算と、夜間・早朝訪問看護加算を併せて算定できるケースや、できないケースがあります。
不明な点があれば、管轄の保険者や専門機関に問い合わせるなど、正確な情報を基に判断しましょう。
加算区分を正しく選択し、記録と照合することで、算定漏れを防ぎ、適切な報酬を請求できます。
レセプトデータとカルテの記録を照合し、算定漏れがないか定期的にチェックする仕組みを作ることも有効です。
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スムーズに緊急時加算を請求するなら、弊社ワイズマンのすぐろくHomeをご利用ください。
すぐろくHomeは訪問サービス向けの介護ソフトであり、日々の業務の記録や請求業務などを効率化できます。
スマートフォンやタブレットにも対応しているため、訪問先でも利用できる点も魅力です。
すぐろくHomeは訪問看護の記録を手入力だけでなく、音声入力でも記載できるため、緊急時対応のような状況でもスムーズな記録が可能です。
緊急時加算を算定するうえでも、すぐろくHomeはおおいに役立ちます。

訪問看護事業所数は右肩上がりで増え続け、2024年には17,329件となっています。国が看取りの場所を、病院から介護施設(サ高住などを含む)や自宅へシフトさせようとしていることもあり、そのニーズは増すばかりです。まだまだ母数は少ないものの、新卒の訪問看護従事者も増えてきました。病棟勤務と異なり、訪問看護は原則夜勤がなく、労働時間の変則性が病棟より少ないのも就業先としてのメリットとなっています。緊急訪問看護加算は、24時間365日の対応が必要なため、看護師にとって先述のメリットが減少する内容かもしれません。しかし、2024年介護報酬改定において、条件付きではありますが、看護師以外の職員が電話対応する形でもOKと緩和されました。体制を整え緊急時加算を算定することが、事業経営上でも非常に重要です。
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緊急時加算を正しく理解して適切に活用しよう

訪問看護における緊急時加算を正しく理解し、適切に活用することで、訪問看護ステーションの運営は大きく改善されるでしょう。
緊急時加算の算定漏れは、ステーションの収益に直接影響するため、細心の注意が必要です。
日々の業務の中で、緊急時対応が発生した際には、ただちに記録を整備し、適切な加算区分を選択しましょう。
また、定期的な見直しを行い、システムや体制の改善を図ることで、より効率的な運営の実現が可能です。
訪問看護における緊急時加算の請求を効率化するなら、ワイズマンのすぐろくHomeの導入を検討しましょう。
請求作業はもちろん、日々の訪問看護にも役立つ機能も搭載されているので、ぜひご活用ください。

監修:伊谷 俊宜
介護経営コンサルタント
千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。