介護支援専門員とは?仕事内容や給与、なり方について解説

2023.02.13

介護支援専門員とは、介護を必要とされる方が適切な介護サービスを受けられるようにケアプランの作成や関連するサービス事業所との調整を行う仕事です。しかしそれはほんの一部に過ぎず、介護支援専門員の業務は多岐にわたります。介護現場で働く介護職員から見ると、介護支援専門員の仕事がどんなものか分からないかもしれません。そこで介護支援専門員の仕事内容や給与、なるにはどうすればよいかを詳しく解説します。

介護支援専門員(ケアマネジャー)とは?

介護支援専門員は、通称ケアマネとも呼ばれています。介護支援専門員の主な役割は、介護を必要とする利用者が自立した生活を手に入れられるようにケアプランを作成し、プランを達成するために関連する事業所や医療機関との連絡調整を行うことです。

介護支援専門員と混同されやすい2つの職種との違いについて解説します。

介護支援専門員と生活相談員の違い

仕事内容

生活相談員の主な仕事は、相談・連絡・調整です。利用者や利用者のご家族からの連絡を受けたり、介護職員や介護支援専門員への連絡調整を行ったりします。


対して介護支援専門員の仕事はケアプランを作成したり、事業所や外部機関などと連絡調整を行ったりするのが主な業務となります。書類作成が多いためデスクワーク中心となりますが、利用者宅の訪問や役所手続きなどで外出することもしばしばあります。

資格要件

一部の自治体では介護の実務経験さえあれば、無資格でも生活相談員になることはできます。

しかし、介護支援専門員になるには、保険医療分野または生活相談などの実務経験が5年以上(900日以上)が必要です。また、試験に合格して研修を受講したのち、介護支援専門証の交付を受ける必要があります。したがって無資格では介護支援専門員になることはできません。

就業場所

生活相談員の就業場所は、特別養護老人ホーム、介護付有料老人ホーム、デイサービスなどの高齢者福祉施設です。


対して介護支援専門員は高齢者福祉施設のほか、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターが主な就業場所となります。

介護支援専門員と社会福祉士の違い

仕事内容

介護支援専門員も社会福祉士も、関係各所と連絡調整を行う仕事である部分はよく似ています。


両者の違いは、介護支援専門員が介護に特化した職業であるのに対して、社会福祉士は介護だけでなく児童福祉や障碍者福祉など福祉専門の職業である点です。両者の仕事内容は異なるものの、深い関係性があるため業務で関わるケースは多いといえます。

介護支援専門員も社会福祉士も、関係各所と連絡調整を行う仕事である部分はよく似ています。


両者の違いは、介護支援専門員が介護に特化した職業であるのに対して、社会福祉士は介護だけでなく児童福祉や障碍者福祉など福祉専門の職業である点です。両者の仕事内容は異なるものの、深い関係性があるため業務で関わるケースは多いといえます。

資格要件

介護支援専門員も社会福祉士も資格が必要ですが、介護支援専門員が公的資格であるのに対して社会福祉士は国家資格です。社会福祉士の受験には、以下のいずれかの条件をクリアする必要があります。

  • 4年制福祉系大学で指定科目を履修して卒業
  • 3年制福祉系短大で指定科目を履修して卒業、相談援助業務経験1年
  • 2年制福祉系短大で指定科目を履修して卒業、相談援助業務経験2年
  • 社会福祉士養成機関を修了、相談援助業務経験2年
  • 相談援助業務経験4年以上、一般養成施設で1年履修
  • 一般4年制大学を卒業、一般養成施設で1年履修
  • 3年制一般短大を卒業、相談援助業務経験1年、一般養成施設1年履修
  • 2 年制一般短大を卒業、相談援助業務経験2年、一般養成施設1年履修

受験資格のハードルは高いですが、介護支援専門員の5年ごとに更新研修を受ける必要があるのに対し、社会福祉士は取得すると有効期限がなく生涯有効となります。

就業場所

社会福祉士はさまざまな分野の専門職と連携する必要があるため、介護支援専門員と比べると就業場所の範囲が広いです。就業場所としては、介護支援専門員の就業場所である高齢者福祉施設や地域包括支援センターのほか、以下が挙げられます。

  • 児童福祉施設
  • 学校施設
  • 障がい者施設
  • 地方自治体の福祉事務所
  • 医療機関

施設別の介護支援専門員の仕事内容

介護支援専門員の主な業務はケアプランの作成ですが、働く場所によって業務内容が異なります。居宅・施設・地域包括支援センターで働く場合の仕事内容について、詳しく紹介します。

居宅介護支援事業所で働く場合

居宅支援事業所で働く介護支援専門員は、要介護者や要支援者からの相談を受け、アセスメントを通して目標設定を行います。

アセスメントの結果をもとにケアプランを作成して利用者に交付しますが、事前に利用者の同意が必要です。利用者の同意を得たケアプランは居宅サービス提供事業者に交付され、居宅サービス提供事業者が個別サービス計画を作成後、利用者に同意を得て初めて介護サービスが開始されます。

介護サービスの開始後は定期的に利用者宅を訪問し、目標の進捗状況を評価するためにモニタリングを行います。

施設の介護支援専門員で働く場合

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設、介護療養型医療施設などの施設で働く介護支援専門員は、施設利用者が自立した生活を送れるようにアセスメントを行い、それをもとにケアプランを作成します。施設の場合でも作成したケアプランは利用者の同意が必要です。ケアプランは介護職員や看護職員に交付され、ケアプランに基づいてサービスの提供が開始されます。

施設で働く介護支援専門員も、サービス開始後は定期的にモニタリングを行う必要があります。

地域包括支援センターで働く場合

地域包括支援センターで働く介護支援専門員は、介護予防ケアマネジメントが主な業務となります。

介護予防ケアマネジメントとは、介護予防ケアプランを作成して要支援認定を受けた方が介護を必要とする状態に陥らないように支援することです。


また、要介護となった場合に状態悪化を防ぐ目的も持ち合わせています。介護予防ケアプランを作成するうえで大事なのは、機能低下の予防だけでなく活動や参加といった社会とのつながりを重視することです。

地域包括支援センターでは、介護支援専門員よりも知識・経験が豊富な主任介護支援専門員が多く在籍しています。

介護支援専門員の平均給与

厚生労働省が発表した「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(※)」によると、介護支援専門員(常勤)の1か月の平均給与は353,560円、実労働時間は162.7時間となっています。

労働時間がほぼ同等のホームヘルパーの平均給与(316,610円)と比較すると、介護支援専門員の方が高くなっていますが、この差は業務の専門性と重要性の違いにあるといえるでしょう。

(※)参考:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果

介護支援専門員の1日の流れ

ここで介護支援専門員の1日の流れを紹介します。
(始業・終業時間は事業所によって異なります)

時間業務業務内容
9:00出社朝礼で前日の申し送りや当日のスケジュールを確認します。
10:00 利用者宅を訪問モニタリングを行い、ケアプランに沿った目標の進捗状況や困りごとはないか聞き取りをします。同様に2件目、3件目の訪問を行います。
11:30帰社ほかのケアマネジャーと利用者の支援方針について認識のすり合わせをします。午前中に入った電話があれば、折り返し連絡を入れます。
12:00食事休憩時間がない場合は移動中に済ませる場合もあります。
13:00ミーティング午前中に訪問した利用者のモニタリング結果を各事業所に報告し、情報共有を図ります。
14:00デスクワーク午前中に訪問した利用者のモニタリング結果を各事業所に報告し、情報共有を図ります。
16:00ケアマネジャー会議空き時間を使って新規利用者のケアプランの作成や次月の提供票の作成、午後の訪問先に持参する書類を準備します。
17:00利用者宅へ訪問事業所加算について、ケアマネジャー間で話し合います。
18:00退社アセスメントを行い、ケアプランを作成するために現在の健康状態やニーズの聞き取りをします。

介護支援専門員になるには

介護支援専門員になるためには、受験資格を満たしたうえで試験に合格する必要があります。ここでは介護支援専門員実務研修受講試験の概要と、受験資格について解説します。

受験申し込み期間5月下旬~7月頃※都道府県ごとに異なる
提出書類勤務証明書
受験料1万円前後※都道府県ごとに異なる
本試験毎年10月上旬の日曜日(年1回)
試験時間10時~12時(120分)
試験問題介護支援分野25問+保健医療福祉サービス35問(計60問)
合格ライン   正答率70%
合格率10%~20%
受験資格法定資格所有者(介護福祉士・社会福祉士・看護師など)で、資格取得後に通算5年以上従事した日数が900日以上であること相談援助業務経験者(生活相談員・支援相談員など)で、資格取得後に通算5年以上従事した日数が900日以上であること

試験合格後は、介護支援専門員実務者研修を受講する必要があります。研修最終日に実施される修了評価に合格すると、研修修了書を受け取ることができます。


なお、介護支援専門員として働くには、研修終了日から3か月以内の登録申請と介護支援専門員の交付申請が必要なので、忘れずに行いましょう。

介護支援専門員のキャリアアップ

介護支援専門員のキャリアアップとして、主任介護支援専門員になる道があります。主任介護支援専門員とは、介護支援専門員として従事した期間が通算5年(60か月)以上の人、規定の条件を満たして地域包括支援センターで専任従事していた人が主任介護支援専門員研修を受けることで認められる資格のことです。

地域包括支援センターで働く主任介護支援専門員は多く、超高齢社会が加速する中で今後の需要がますます広がっていくことが予想されます。

まとめ

介護支援専門員の仕事は、関係各所との連絡調整や膨大な帳票作成・出力作業などがあり、社内業務が非常に多いです。しかし、アセスメントやモニタリングなどで利用者宅を訪問する機会が多いため、机に座って仕事をする時間が取りにくい点が課題です。課題を解決するためには、業務の効率化を図る必要があります。

ワイズマンの介護ソフト」は、利用者のアセスメントやモニタリングなどのデータの自動取り込みや請求業務など、外出先でもタブレット端末からデータ入力や閲覧が可能です。もし、今働いている事業所に介護ソフトが導入されていないなら、業務効率化を図れるように担当者に導入を相談してみてください。これから介護支援専門員として働かれるのであれば、事業所に介護ソフトが導入されているかチェックされることをおすすめします。

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