居宅介護支援の初回加算とは?算定要件やポイントを解説
2023.02.27
居宅介護支援の初回加算は、新規の利用者に対する居宅サービス計画や介護予防サービス計画作成を評価する加算のことです。初回加算ができる場合とできない場合の違いや、どういうときに新規になるのか分からないなど、疑問を持っている担当者もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事では初回加算の算定要件やポイントについて、詳しく解説します。ぜひ最後までお読みください。
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目次
初回加算とは
居宅介護支援事業所が、利用者と初めて行うサービス計画の作成を評価する加算のことを「初回加算」といいます。居宅介護支援と介護予防支援において加算されます。
利用者と初めてかかわる際は、まず担当のケアマネジャーが利用者宅を訪問し、以下のような点についてヒアリングを行います。
- 利用者の心身状態
- 日常生活の様子
- 利用者本人やご家族の希望
利用者の日常生活や身の回りに関するさまざまな情報を収集し、利用者がその方らしく生活できるよう、ケアプランを作成します。また、ケアマネジャーは介護サ―ビス事業所とも連携しながら、調整役としても活躍します。
このように、初回はさまざまな情報収集ややり取りが必要です。それらを居宅介護支援事業所側の「手間」ととらえ、加算を行うことにしています。この記事では、居宅介護支援に特化して解説をします。
居宅介護支援における初回加算の単位数
初回加算は、ケアプランを新規に作成する利用者に対して、1ヵ月あたり300単位を算定します。介護報酬の算定は、この単位を基準に計算されます。1単位はおよそ10円程度ですが、地域や人件費・介護度などによって異なります。一律としないのは、地域ごとの格差などを調整するためです。単位は3年に一度、見直しが行われます。
居宅介護支援における初回加算の算定要件
居宅介護支援において、初回加算をするための4つの要件について解説します。利用者の身体状態が変化すると新たに初回加算ができる場合もあります。一つひとつの要件について詳しく見ていきましょう。
新規に居宅サービス計画を作成する
新規に居宅サービス計画を作成すると、初回加算ができます。新規とは、過去2ヵ月以上に渡って居宅支援サービスの提供がされておらず、居宅介護支援費が算定されていない利用者に対して、ケアプランの作成を行った場合をいいます。
この場合、実際に契約をしているかどうかは関係ありません。前回契約をしていたとしても、2ヵ月以上が経過していれば、再度ケアプランの作成時に算定ができるということです。
要支援者が要介護認定を受けた際に居宅サービス計画を作成する
要支援者が要介護認定を受けて居宅サービス計画を作成すると、算定が可能となります。
要介護認定は介護サービスの必要度を表しています。介護サービスの必要度は、コンピュータによる一次判定と学識経験者による二次判定で決定されます。コンピュータによる一次判定では、5分野(直接生活介助・間接生活介助・BPSD関連行為・機能訓練関連行為・医療関連行為)について推計されます。そのうえで、要介護認定等基準時間が算出された結果と認知症加算が合計され、要支援1~要介護5が判定されるのです。
一方、要介護者が要支援者に変更となった場合でも、初回加算が算定可能です。この場合はこれまでケアプランの作成を担っていた居宅介護支援事業所が、地域包括支援センターの委託で新規に予防ケアプランを作成するケースでも算定要件を満たします。
要支援から要介護へあるいは要介護から要支援へ変わった場合は、新しいケアプランを作る必要があります。その際には、あらためて利用者の身体状況や日常生活に関する情報の取得、サービス事業所との調整が必要です。それを新たな「手間」とみなすため初回加算が算定できるのです。
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要介護状態区分が2区分以上変更された際に居宅サービス計画を作成する
要介護状態区分が2区分以上変更となり、居宅サービス計画をあらためて作成した場合も、初回加算の要件を満たします。要介護(要支援)状態区分と心身状態の具体例は以下の表の通りです。
要介護(要支援)状態区分 | 心身状態の具体例 |
要支援1 | 家事、身支度などで支援を要する |
要支援2 | 家事、身支度に加えて、入浴や排せつにおいても支援を要する |
要介護1 | 入浴、排せつ、身だしなみ、衣服の着脱などで一部介護を要する |
要介護2 | 入浴、排せつ、身だしなみなどで一部介助または全介助を要する |
要介護3 | 入浴、排せつ、身だしなみ、衣服の着脱などで全介助を要する |
要介護4 | 入浴、排せつ、身だしなみ、衣服の着脱などの全般において全介助を要する |
要介護5 | 生活全般において、全面的な介助を要する |
この表からも分かるように、要介護状態区分が2区分以上変わると、心身状態も大きく変わります。それによってサービス計画にも大きな変更が予想できるため、初回加算が算定できるのです。
例えば、要介護2から要介護5といったように介護度が重くなる場合だけでなく、要介護3から要介護1のように軽くなる場合においても算定が可能です。
運営基準減算に該当しない
運営基準減算に該当しない条件下でも、初回加算は算定できます。運営基準減算とは、ケアプラン作成等についての運営基準を満たしていないときに適用される項目です。所定単位数の100分の50相当が減算され、2ヵ月以上に渡って運営基準減算が継続していると、所定単位は算定できません。
居宅介護支援における減算要件は以下の通りです。この要件に該当しないようにすれば、初回加算が算定できます。
(1)居宅サービス計画の新規作成・変更にかかる減算条件
- 介護支援専門員が、利用者宅を訪問し本人やそのご家族と面接していない
- 介護支援専門員が、サービス担当者会議の開催等を行っていない
- 介護支援専門員が、居宅サービス計画の原案の内容を利用者とそのご家族に説明し、文書によって利用者の同意を得たうえで、その計画を利用者と担当者に交付していない
(2) 介護支援専門員が、サービス担当者会議等を行っていないときの減算
- 新規に居宅サービス計画を作成した場合
- 利用者が要介護認定を受けており、要介護更新認定を受けた場合
- 利用者が要介護認定を受けており、要介護状態区分の変更について認定を受けた場合
(3) 居宅サービス計画作成後、計画実施についての把握(モニタリング)状況による減算
- 介護支援専門員が、1ヵ月の間に利用者宅を訪問して面接を行なっていない場合
- 介護支援専門員が、1ヵ月以上に渡りモニタリングの結果を記録していない場合
上記の場合の減算される期間は、減算事由の発生した月から、当該事由が解消されるまでに至った月の前月までです。
居宅介護支援における初回加算のポイント
居宅介護支援における初回加算にはいくつかの条件があり、場合によっては初回加算ができなくなるなど、注意すべき点もあります。3つのポイントを解説します。
報酬請求が初めての場合は算定できる
報酬請求が初めてであれば算定できます。たとえ契約をしていても、これまでに一度も報酬請求をしなかった場合は新規として扱われ、初回加算を算定できます。
また、転居等の理由により介護予防支援事業所が変更になった場合においても、初回加算の算定ができます。転居先の介護予防支援事業にとってみれば、その利用者を初めて担当することになるからです。
一方、地域包括支援センターの委任を受けている居宅介護支援事業所が変更になった場合は、初回加算が行われません。アセスメントを行う地域包括支援センターにとっては、居宅介護支援事業所が変更になったとしても、その利用者を初めて担当するわけではないからです。
このように初回加算は、新たにケアプラン等を作成する際に実施するアセスメント等に対する評価なのです。
退院・退所加算とあわせて算定はできない
初回加算は、退院・退所加算と合わせた算定はできません。
退院・退所加算とは、医療連携の強化・推進を目的として行われるものです。病院や介護保険施設等からの退院・退所にあたって情報共有を行ったことを評価します。
情報共有とは、利用者の退院・退所の際に病院・診療所・介護保険施設など
の施設職員と面談して利用者に関する必要な情報を提供してもらい、ケアプラン作成やサービス利用の調整を行うことです。
同一の退院・退所に対して一回を限度に、医療連携の方法や回数に応じた区分について加算が算定できます。
退院・退所加算ができる条件は以下の通りです。
- 退院または退所をし、自宅で居宅サービスあるいは地域密着サービスを利用する場合
- 入院あるいは入所期間中に行った連携方法や回数に応じて一回まで算定できる
- 利用者が退院あるいは退所してから7日以内に情報を得ている
- 入院中にカンファレンスに参加した場合には、その日時、場所、内容、出席者などをケアプランに記録する
以上の条件を満たさずに退院・退所加算をする場合は、初回加算ができないので注意が必要です。
再契約の場合は算定できない
利用者に対して初めて対応をする際の手間などを評価するのが、初回加算の本来の趣旨です。そのため再契約をした場合のように、契約が実質的に継続していると判断できる場合には算定できません。一定の空白期間を置いたあとに再契約をした場合も同様です。
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まとめ
初回加算は「初回」と呼ばれる通り、何度も算定をすることはできません。初回加算の算定にあたっては、提出書類の作成などすべきことは多々あります。ほかの業務も同時にこなしながらの申請になるため、時間に追われて間に合わなくなってしまうようなこともあるかもしれません。
時間に余裕を持って初回加算をするには、請求業務を給付管理業務システムで管理できる「居宅介護支援事業所向け介護ソフト」の導入がおすすめです。
導入による効果が実感できれば、利用者に対するサービスの質の向上にもつながるはずでしょう。介護ソフトの資料請求や、デモンストレーションをご希望の方はこちらから簡単にお問い合わせいただけます。