居宅介護支援事業所の特定事業所加算の算定要件|単位数と算定時の注意点を解説
2024.05.07
特定事業所加算の算定要件を把握しておけば、事業所のケアサービスを適切に評価してもらい、介護報酬を加算・減算して請求できます。
居宅介護支援事業所における特定事業所加算の算定要件を把握しておくことで、加算算定により収益を向上させられます。
本記事では居宅介護支援事業所における特定事業所加算の算定要件について詳しく解説します。
算定要件ごとの単位数と算定時の注意点を併せて解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
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介護ソフトの導入時によくある問題と対策についても記載していますので是非ご活用ください。
目次
特定事業所加算とは?
特定事業所加算とは、訪問介護サービスと居宅介護支援事業所の質を評価するために、介護保険法によって設けられている評価制度です。
一定の条件を満たしたケアサービスを提供した事業所に対して、加算算定を行って介護報酬を上乗せで支払います。
特定事業所加算は、要件を満たすごとに加算されていき、介護報酬を多くもらえる制度です。
そのため、訪問介護サービスや居宅介護支援事業所におけるサービスの質や体制の向上が期待できます。
居宅介護支援事業所の特定事業所加算要件まとめ
居宅介護支援事業所の特定事業所加算要件をまとめると、次のとおりです。
算定要件 | 特定事業所加算(Ⅰ) | 特定事業所加算(Ⅱ) | 特定事業所加算(Ⅲ) | 特定事業所加算(A) | 各要件を満たす根拠書類 |
サービスを実施する主任ケアマネージャーを常勤で2人以上割り付けている | 2人以上 | 1人以上 | 1人以上 | 1人以上 | ・主任介護支援専門員研修修了証書の写し ・介護支援専門員証の写し |
サービスを実施するケアマネージャーを常勤で3人以上割り付けている | 3人以上 | 3人以上 | 2人以上 | ・常勤1人以上 ・非常勤1人以上 (他事業所と兼務してもOK) | ・従業者の勤務体制や勤務形態を確認できる資料 ・介護支援専門員証の写し |
情報共有・コミュニケーションを目的とした会議を定期的に開催する | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ・週単位の予定表(1年分) ・課題入りの会議録様式 |
24時間連絡がつく体制を整え、必要に応じて利用者からの相談に対応できる | ◯ | ◯ | ◯ | ◯(他事業所と兼務してもOK) | ・24時間連絡体制を示した重要事項説明書等(具体的な連絡方法を記載したもの) ・加算(A)を利用する場合のみ、利用者やその家族に説明・同意を得る資料 |
月の利用者の40%が要介護レベル3~5である | ◯ | ー | ー | ー | 申請月を含む直近3ケ月の利用者の要介護度一覧表 |
従業員に対してに計画的な研修を行っている | ◯ | ◯ | ◯ | ◯(他事業所と兼務してもOK) | 本年度の介護支援専門員全員の研修実施計画 (目標・内容・期間・実施時期などが記載されているもの) |
地域包括支援センターからサービス提供が難しい事例を紹介された場合でも、的確なサービスを提供している | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | サービス提供が難しい事例に的確なサービスを実施する旨を宣言したもの |
地域包括支援センターなどが開催する事例検討会などに参加している | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ・募集通知と申込書 ・検討会への参加状況を確認できるもの |
居宅介護支援費にかかわる運営基準減算や特定事業所集中減算を適用していない | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | 特定事業所集中減算算定表(直近分) |
ケアサービスを受ける利用者の介護支援を行う従業員1人につき40人未満である | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | 国保連に提出した介護給付費請求書(直近3カ月分) |
実務研修科目「ケアマネジメントの基礎技術に関する実習」などに協力している | ◯ | 45人未満 | ◯ | ◯ | 介護支援専門員実務研修に協力している旨を確認できる書類 |
他社と共同して事例検討会や研修会などを実施している | ◯ | ◯ | ◯ | ◯(他事業所と兼務してもOK) | 検討会を他社と共同で実施する旨を記載した計画書(内容・時期など) |
多種多様な利用者が快適にケアを受けられるような居宅サービス計画を作成している | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | 多種多様な利用者に向けた居宅サービス計画を作成することを宣言したもの |
加算算定を受けるためには、管轄の自治体に必要書類を提出し承認を得なければなりません。
実際に加算要件を満たしているかを証明できる書類を提出する必要があるため、上記の表から算定要件ごとの必要書類をチェックしておきましょう。
また特定事業所加算は、(Ⅰ)・(Ⅱ)・(Ⅲ)・(A)とそれぞれの区分に別れており、まとめて算定できません。
加算算定を行う際には、いずれかの区分で算定する必要があります。
どの区分で加算算定を行うべきか検討して、各自治体ホームページより算定要件と必要書類を確認しておいてください。
居宅介護支援事業所の特定事業所加算の算定要件
居宅介護支援事業所の特定事業所加算は、(Ⅰ)・(Ⅱ)・(Ⅲ)・(A)の4区分にわかれています。
各区分の算定要件を把握しておけば、適切に加算算定を行って介護報酬に上乗せして請求できます。
加算算定を適切に行うためには、それぞれ区分別の算定要件を把握しておかなければなりません。
居宅介護支援事業所の特定事業所加算の算定要件を、区分別に紹介しますので、チェックしておきましょう。
居宅介護支援事業所の特定事業所加算(Ⅰ)の算定要件
居宅介護支援事業所における特定事業所加算(Ⅰ)の算定要件は、次のとおりです。
- サービスを実施する主任ケアマネージャーを常勤で2人以上配置している
- サービスを実施するケアマネージャーを常勤で3人以上配置している
- 情報共有・コミュニケーションを目的とした定例会議を開催する
- 24時間連絡がつく体制を整えて、必要があれば利用者の相談に対応できる
- 利用者のうち40%が要介護レベル3〜5である
- 従業員に対して、計画的に研修を行っている
- 地域包括支援センターから難しい事例を紹介された場合でも、的確なサービスを実施している
- 地域包括支援センターなどが開催する事例検討会などに参加している
- 居宅介護支援費にかかわる運営基準減算や特定事業所集中減算が適用されていない
- ケアサービスを受ける利用者の数がサービス提供を行う従業員1人につき40人未満である
- 実務研修科目「ケアマネジメントの基礎技術に関する実習」などに協力している
- 他社と共同して事例検討会や研修会などを開催している
- 多種多様な利用者が快適にケアサービスを受けられるような居宅サービス計画を作成している
参照元|船橋市公式ホームページ「特定事業所加算(居宅介護支援事業所)(Ⅰ)~(Ⅲ)」
居宅介護支援事業所の特定事業所加算(Ⅱ)の算定要件
居宅介護支援事業所における特定事業所加算(Ⅱ)の算定要件は、次のとおりです。
- サービスを実施する主任ケアマネージャーを常勤で1人以上配置している
- サービスを実施するケアマネージャーを常勤で3人以上配置している
- 情報共有・コミュニケーションを目的とした定例会議を開催するこ
- 24時間連絡がつく体制を整えて、必要があれば利用者の相談に対応できる
- 従業員に対して、計画的に研修を行っている
- 地域包括支援センターから難しい事例を紹介された場合でも、的確なサービスを実施している
- 地域包括支援センターなどが開催する事例検討会などに参加している
- 居宅介護支援費にかかわる運営基準減算や特定事業所集中減算が適用されていない
- ケアサービスを受ける利用者の数がサービス提供を行う従業員1人につき40人未満である
- 実務研修科目「ケアマネジメントの基礎技術に関する実習」などに協力している
- 他社と共同して事例検討会や研修会などを開催している
- 多種多様な利用者が快適にケアサービスを受けられるような居宅サービス計画を作成している
参照元|船橋市公式ホームページ「特定事業所加算(居宅介護支援事業所)(Ⅰ)~(Ⅲ)」
居宅介護支援事業所の特定事業所加算(Ⅲ)の算定要件
居宅介護支援事業所における特定事業所加算(Ⅲ)の算定要件は、次のとおりです。
- サービスを実施する主任ケアマネージャーを常勤で1人以上配置している
- サービスを実施するケアマネージャーを常勤で2人以上配置している
- 情報共有・コミュニケーションを目的とした定例会議を開催する
- 24時間連絡がつく体制を整えて、必要があれば利用者の相談に対応できる
- 従業員に対して、計画的に研修を行っている
- 地域包括支援センターから難しい事例を紹介された場合でも、的確なサービスを実施している
- 地域包括支援センターなどが開催する事例検討会などに参加している
- 居宅介護支援費にかかわる運営基準減算や特定事業所集中減算が適用されていない
- ケアサービスを受ける利用者の数がサービス提供を行う従業員1人につき40人未満である
- 実務研修科目「ケアマネジメントの基礎技術に関する実習」などに協力している
- 他社と共同して事例検討会や研修会などを開催している
- 多種多様な利用者が快適にケアサービスを受けられるような居宅サービス計画を作成している
参照元|船橋市公式ホームページ「特定事業所加算(居宅介護支援事業所)(Ⅰ)~(Ⅲ)」
居宅介護支援事業所の特定事業所加算(A)の算定要件
居宅介護支援事業所における特定事業所加算(A)の算定要件は、次のとおりです。
- サービスを実施する主任ケアマネージャーを常勤で1人以上配置している
- サービスを実施するケアマネージャーを常勤1人以上・非常勤1人以上配置している
- 情報共有・コミュニケーションを目的とした定例会議を開催する
- 24時間連絡がつく体制を整えて、必要があれば利用者の相談に対応できる
- 従業員に対して、計画的に研修を行っている
- 地域包括支援センターから難しい事例を紹介された場合でも、的確なサービスを実施している
- 地域包括支援センターなどが開催する事例検討会などに参加している
- 居宅介護支援費にかかわる運営基準減算や特定事業所集中減算が適用されていない
- ケアサービスを受ける利用者の数がサービス提供を行う従業員1人につき40人未満である
- 実務研修科目「ケアマネジメントの基礎技術に関する実習」などに協力している
- 他社と共同して事例検討会や研修会などを開催している
- 多種多様な利用者が快適にケアサービスを受けられるような居宅サービス計画を作成している
参照元|船橋市公式ホームページ「特定事業所加算(居宅介護支援事業所)(Ⅰ)~(Ⅲ)」
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居宅介護支援事業所の特定事業所加算の単位数
居宅介護支援事業所の特定事業所加算の単位数は、次のとおりです。
加算区分 | 単位数 |
特定事業所加算(Ⅰ) | 505単位 |
特定事業所加算(Ⅱ) | 407単位 |
特定事業所加算(Ⅲ) | 309単位 |
特定事業所加算(A) | 100単位 |
それぞれ区分ごとに定められている算定要件を満たせば、上記の単位数が加算されます。
また、上記の単位数は1カ月あたりに加算される単位です。
区分ごとの単位数を把握して、加算算定を行う際の単位計算に役立てましょう。
複雑な算定要件が敬遠されていた特定事業所加算ですが、国が誘導している効果もあり、その算定率は年々向上しています。その大きな理由のひとつとして、手厚い報酬単価が挙げられるでしょう。現行要介護1・2が1,076単位/月、要介護3~5で1,398単位/月となっています(2024年1月17日現在)。特定事業所加算(Ⅲ)の算定のケースですと、さらに309単位/月算定できるので、算定していない事業所と比較して、約20%~30%近く増収となることがわかります。2024年介護報酬改定において、逓減制の更なる軽減(条件あり)が決定されケアマネ1人あたり最大49名のプランを担当可能となることから、特定事業所加算算定事業所は更なる増収が見込まれます。居宅介護支援事業所の経営は特定事業所加算算定ありきで設計していきましょう。
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すでに介護ソフトを導入していている方も、介護ソフトの入れ替えを検討している方も、自身に最適なプロダクトを選ぶために重要な4つのポイントを解説していますので是非ご活用ください。
【注意】特定事業所加算の算定は正確に
特定事業所加算の算定を行う際には、正確に加算・減算を計算しなければなりません。
特定事業所加算の算定でミスを起こしてしまえば、行政指導の対象となるため注意しなければなりません。
行政指導となれば事業所の存続に発展するリスクがあるため、人的ミスを防止する対処法が必要です。
加算算定を正確に行うためには、ICTなどを導入して対策しましょう。
ICTを導入すれば、加算算定をシステム上で自動化し人的ミスを軽減できます。
計算ミスや記入ミスを防止して単位計算を効率化するために、ICTの導入がおすすめです。
まとめ
居宅介護支援事業所を運営するには、特定事業所加算を正確に行う必要があります。
特定事業所加算で加算算定を多く行えれば、事業所の評価を高くし介護報酬に上乗せして請求できます。
特定事業所加算は(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)(A)の4区分にわかれているため、それぞれの算定要件を把握しておくことが大切です。
ただし、どうしても手動で加算算定を行う際は、人的ミスが発生するリスクがあるため対策を実施しなければなりません。
加算算定の計算ミスを防止したい事業所は、ワイズマンシステムSPの導入を検討しましょう。
ワイズマンシステムSPには、居宅介護支援事業所を運営するためのさまざまな機能が搭載されています。
監修:伊谷 俊宜
介護経営コンサルタント
千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。