看護カンファレンスのテーマ例8選!実施する目的や進め方を解説

2024.07.16

看護現場における利用者の満足度を向上させ、従業員同士のチームワークを強化するには、カンファレンスの実施がおすすめです。
看護カンファレンスによって、高精度な医療・看護サービスを実現し、ケア内容の情報共有を円滑化できます。

看護カンファレンスを実施する際には、事業所に適したテーマを選択しましょう。
本記事では、看護カンファレンスのテーマ例を8種類ご紹介します。
看護現場におけるカンファレンスの目的と進め方をあわせて解説するため、ぜひ最後までご覧ください。

看護現場におけるカンファレンスとは

看護現場におけるカンファレンスとは、看護ケアや患者に関する情報交換を行う場のことです。
そもそもカンファレンスとは、大規模な会議のことを表し、一般的なビジネスシーンでも使用されます。

ただし看護現場におけるカンファレンスは、関係者間の情報共有を目的としており、一般的なビジネスシーンで行われる会議とはまったくの別物です。
ビジネスシーンでは、経営方針や教育方針のすり合わせをカンファレンスの目的とすることが多く、規模や実施する意図が大きく異なります。

看護カンファレンスは、高精度な医療・看護サービスの提供が目的であり、患者やケア内容などの情報共有をテーマに話し合います。

看護現場におけるカンファレンスの目的

看護現場におけるカンファレンスの目的は、次のとおりです。

  • 高精度な医療・看護サービスの提供
  • 医療・看護ケアの情報共有
  • 従業員同士のチームワーク向上やスキルアップ

各目的を確認して、看護現場におけるカンファレンスの重要性を理解しましょう。

高精度な医療・看護サービスの提供

看護現場におけるカンファレンスの目的は、高精度な医療・看護サービスを提供することです。
高精度な医療・看護サービスとは、患者一人一人に合った適切な治療や看護ケアを実施することです。

看護現場には、看護師や医師をはじめさまざまな職種の従業員が連携して、患者を支えています。
カンファレンスによって関係者間で情報共有を行い、共通認識や意見交換を実施すれば、一貫したケアを実現できます。

また、高精度な医療・看護サービスを提供することで、医療ミスや患者とのトラブルを回避し、利用者満足度の向上につながります。

医療・看護ケアの情報共有

看護現場におけるカンファレンスを実施する理由は、医療・看護ケアの情報共有が目的の一つです。
看護師のなかでも、経験年数や所属部署によって意見や患者との向き合い方が異なります。

看護カンファレンスを実施することで、看護師同士の考え方や意見をすり合わせられます。
また多職種間が連携することで、各自の専門性を生かしてスムーズに患者の課題を解消することが可能です。

従業員同士のチームワーク向上やスキルアップ

看護カンファレンスを実施する目的は、従業員同士のチームワーク向上やスキルアップを行うことです。
カンファレンスを定期的に開催すれば、従業員同士のコミュニケーションを活性化させ、チームワーク向上が期待できます。

また先輩看護師が培ってきた知識やスキルを新人看護師に教えることで、組織全体のスキルアップにつながります。
事業所独自のルールや看護現場におけるノウハウを共有でき、看護ケアの質を向上させることが可能です。

看護現場におけるカンファレンスのテーマ例8選

看護カンファレンスを開催する際には、事業所や部署の課題に適したテーマを選択することが大切です。
看護現場で実施される主なカンファレンスのテーマとして、次の8種類が挙げられます。

  • ケアカンファレンス
  • チームカンファレンス
  • ストラテジーカンファレンス
  • 術前・術後カンファレンス
  • 入院カンファレンス
  • 退院前カンファレンス
  • デスカンファレンス
  • オープンカンファレンス

各テーマ内容を確認して、事業所で実施するべき看護カンファレンスの内容を検討しましょう。

ケアカンファレンス

ケアカンファレンスは、看護現場における患者のケアについて話し合う場です。
医師や看護師、薬剤師などさまざまな職種の人と、患者やその家族が参加し、治療方法や処置方法について話し合います。

入院中の計画だけでなく、介護施設での生活について話し合うケースもあります。
看護や介護のいずれのケアカンファレンスでも、各専門性に特化した職種の人材が集まり、患者により良いケアを実施できるよう情報共有を行います。

チームカンファレンス

チームカンファレンスは、医師や看護師などの医療従事者だけでなく、薬剤師や理学療法士、栄養管理士などさまざまな職種が集まって治療やケアの方針を話し合う場です。
チーム医療を実施し、高精度な治療とケアを実現し、各分野のチームワークを向上させることが目的です。

病棟単位で行われる「病棟カンファレンス」や栄養に関する議題を中心に扱う場合は「栄養カンファレンス」と別の名称で呼ばれるケースがあります。
チームカンファレンスは、複数の職種が一堂に会し情報共有・意思伝達を行うことで、患者の課題を解消することが目的です。

そのため、日ごろから患者の健康状態や心理状態などを把握しておき、カンファレンスで課題点を話し合うことが大切です。

ストラテジーカンファレンス

ストラテジーカンファレンスは、管理職や経営層など一部の役職に就いている人材が参加する会議です。
一般的なビジネスにおけるカンファレンスに近い役割があり、医療施設の安定的な経営や発展を目的に、今後の方針や課題に対する打開策を話し合います。

そのため、一般的なケア内容や方針を話し合うのではなく、人材戦略やマネジメント戦略など経営戦略の立案を主な目的にしています。

術前・術後カンファレンス

術前・術後カンファレンスは、手術の前後に実施するカンファレンスです。
手術前に患者の病態や状態、アレルギーや既往歴などの情報をもとに、担当医師や看護師、薬剤師など手術に関わる人材が集まって話し合います。

安全に手術を成功させることを目的としており、手術の流れや安全面に関する注意点などを話し合うことが大切です。
また患者の看護計画について、関係者間に周知させる役割もあります。

入院カンファレンス

入院カンファレンスは、患者が入院してからの治療方針や退院までの目標を話し合う場です。
患者の状態や今後の治療方針を話し合う場であり、入院中の患者に関わる医師や看護師などが参加します。

患者が充実した入院生活を送るために、サポート内容やケアに関する注意点を話し合うため、利用者満足度の向上につながるカンファレンスです。

退院前カンファレンス

退院前カンファレンスは、入院中の患者が退院後に社会や家庭へスムーズに復帰できるよう話し合う場です。
医師や看護師だけでなく患者やその家族、ケアマネジャーや保健師に行政のサービス担当者も参加します。

入院中の容態や経過から患者が「退院後にどのような生活を送るのか」を考え、適切なサポート体制を整えることが大切です。

デスカンファレンス

デスカンファレンスは、故人となった患者の看護を振り返り、今後の看護ケアを充実させる目的で開催される話し合いの場です。
故人となった患者が入院してからの経過を整理し、看護師として「できたこと」と「できなかったこと」を話し合います。

また看護ケアにおける課題点や患者の家族とケア計画を立てるケースもあり、医師など医療従事者が参加することも多いです。
多職種と合同でカンファレンスを実施することで、職種間のすれ違いや価値観のズレを修正して、より高精度な医療・看護サービスを提供できます。

オープンカンファレンス

オープンカンファレンスは、知識の蓄積と交流を目的としたカンファレンスです。
具体的には、講演会や学会のように最先端の技術や機器の使い方や研究成果の発表を行う場です。

開催する病院の関係者だけでなく、看護や医療に精通する人材であれば、病院外からでも参加できます。
オープンに参加者を募り、技術や知識の伝達を目的とするからこそオープンカンファレンスと呼ばれています。

看護現場におけるカンファレンスの進め方

看護現場におけるカンファレンスを実施する際には、適切な流れを把握しておく必要があります。
看護カンファレンスを開催する際には、次の流れで進行しましょう。

  1. 役割を決める
  2. テーマを選定する
  3. 事前準備を行う
  4. カンファレンスを実施する

各進行方法を確認して、看護カンファレンスを実施する際の参考にしてください。

1.役割を決める

まずはカンファレンスの役割を決めましょう。
看護カンファレンスを開催する際には、次のような役割が必要です。

ポジション名役割
カンファレンス係テーマを提供する
司会者司会進行を担当する
書記議会の記録を行う
メンバー議会に参加する

ただしテーマや事業所によっては、役割が異なる可能性もあるため、指導者の指示に従って必要な人材を集めましょう。

2.テーマを選定する

役割を決めた後は、カンファレンス係(事例提供者)がテーマを選定します。
各メンバーの意見を参考に、話し合うべきテーマを決めることでより良い看護ケアを実現します。

また、カンファレンス係が決まっていない場合は、グループ内で現在の課題や取り組むべき議題を話し合ってテーマを決めましょう。

3.事前準備を行う

カンファレンスのテーマが決定した後は、役割ごとに事前準備を行う必要があります。
書記やメンバーは、カンファレンス当日に役割をまっとうすれば十分ですが、カンファレンス係や司会者は事前準備が必要です。

ポジション名事前準備
カンファレンス係計画内容を指導者に伝え、許可や助言をもらう
司会者計画書を読み、テーマの目的や当日の流れを確認する

4.カンファレンスを実施する

事前準備が終われば、カンファレンスを開催します。
司会者の進行によってカンファレンスが進み、メンバー同士で意見交換を行いましょう。

テーマによって話し合うべき内容が異なるため、計画書を入念に作成しカンファレンスを実施する目的を定めておくことが大切です。

看護現場におけるカンファレンスの注意点

看護現場におけるカンファレンスの注意点は、次のとおりです。

  • 時間管理を徹底する
  • 参加者同士で尊重する
  • 積極的に参加する

各注意点を確認して、看護カンファレンスの目的を達成できるようメンバー同士の話し合いを活性化させましょう。

時間管理を徹底する

看護カンファレンスを開催する際には、時間管理を徹底する必要があります。
長々と話し合いを続けてしまうと、カンファレンスの目的が遂行されないため、事前に予定時間を定めておくことが大切です。

「1回の発言は30秒まで」などルールを定めて、予定した時間内に話し合いが収まるよう工夫してください。
また司会者が進行状況に合わせて、余分な議論をカットして時間超過を防ぐことも大切です。

参加者同士で尊重する

看護現場におけるカンファレンスを実施する際には、参加者同士で意見を尊重し合うことが大切です。
異なる職種や立場で意見交換を行うため、意見が対立するケースもあります。

しかし自分とは異なる価値観や考えに対立すると、話し合いをスムーズに進められず、職種間での対立を招いてしまいます。
カンファレンスをスムーズに進めるためには、自分とは異なる価値観や考えを尊重し、相手の発言は敬意を持って傾聴する姿勢が必要です。

積極的に参加する

看護カンファレンスを開催する際の注意点は、メンバー全員が積極的に参加する姿勢を持つことです。
発言者に対して興味がないような態度を取ったり、自主的に発言しなかったりと、消極的な姿勢のメンバーがいるとチーム内のモチベーションが低下します。

自分の意見を発表したり、他のメンバーが発言しているときに真摯な態度で向き合ったりと、積極的に参加する姿勢が必要です。

伊谷 俊宜氏
伊谷 俊宜氏

カンファレンスのなかでも入院・退院前カンファレンスの重要性が増しています。2024年の介護報酬改定において、入院時情報連携加算が拡充されました。これは従来の退院・退所加算(介護保険)、入退院支援加算(医療保険)と併せて、入退院時の連携強化促進を目的としています。医療機関と介護事業所(主に居宅介護支援事業所)が互いに患者の情報等を共有することで、双方に加算が得られる建付けが年々強化されています。また、居宅介護支援事業所にとっては、退院前カンファレンスの場をサービス担当者会議とすることもできるため、利用者の情報把握と共に、帳票作成の観点と、報酬の面でもメリットが大きなものになっています。特に退院・退所加算の上位区分算定にはカンファレンス参加が必須であるため積極的に連携していきましょう。

看護システムを導入してカンファレンスを円滑に進めよう

看護システムを導入すれば、カンファレンスを円滑に進められます。
看護カンファレンスは、テーマ選定や計画書の準備、メンバー間の情報共有が必要です。

看護システムを活用することで、作業を効率化しスムーズにカンファレンスを開催できます。
参加者全員が積極的な姿勢でカンファレンスに参加するよう、掲示板機能を活用して注意喚起を行えば、充実した話し合いの場を設けられます。

看護ケアや患者に関する課題を解消し、利用者満足度の向上につなげるために、看護システムを導入してカンファレンスを効率化しましょう。

監修:伊谷 俊宜

介護経営コンサルタント

千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。

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