老健で提供するリハビリテーションの内容とは?職種別の仕事内容や加算要件について解説

2022.12.05

老健は高齢者向けのリハビリテーション施設ですが、提供されるリハビリテーションの回数や時間に制限があるのをご存じでしょうか。老健で行われるリハビリテーションは、病院で行われるリハビリテーションとは内容が異なります。それは、リハビリテーションを行う目的がそれぞれ異なるためです。

ここでは老健で提供するリハビリテーション内容のほか、職種別の仕事内容や加算要件について解説しています。

老健で提供するリハビリテーションの内容

老健で提供するリハビリテーションの内容は、利用者の状態・目標によって異なるため、個別にメニューが作成されます。

リハビリテーション内容としては、起き上がりからベッドと車いす間の移乗、歩行訓練など日常生活が送れることを目指します。

リハビリテーション期間は3か月~6か月で、期間内に高齢者が在宅復帰を果たせるように支援します。

なお、老健についてもっと詳しく知りたい方は下記をご参照ください。※新規ページに遷移させる

老健の人員体制

老健とほかの介護施設との違いは、医療ケアに力を入れているため、医師の常勤が義務つけられていることです。

さらに高齢者の在宅復帰を目的とするため、介護・看護・リハビリテーション専門職のほか、施設サービス計画書の作成を行う支援相談専門員や食事の提供を行う栄養士などで人員体制が組まれています。

医師

利用者の医学的管理を行い、診断や治療利用者の情報を把握し、看護師やリハビリテーション専門職へ指示を行います。利用者の病状が悪化した場合に施設内で可能な治療を行います。

看護・介護職員

看護職員は医師と協力して利用者の医学的管理を行うとともに、医学的知識を活かして適切な看護ケアを提供します。

介護職員は日常的なケアと、ほかの専門職と協力のもと専門的なケアを行います。移動・食事・清潔保持などに関する日常的ケアを提供します。

介護支援専門員

利用者の希望をふまえて介護サービスの利用方法などをコーディネートします。施設サービス計画書の作成や居宅ケアマネジャーと連携し、サービスの選定・調整を行います。

支援相談員

相談窓口的な機能を担い、その方らしく地域で暮らしていくために必要な社会的支援や家族と施設、加速と利用者といった関係をコーディネートします。入所者の受け入れのほか、日常的な生活相談や家族からの相談に乗り、利用者を支援します。

リハビリテーション専門スタッフ(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)

リハビリテーション専門スタッフは利用者に対する評価とリハビリテーション計画書の作成、専門的リハビリテーションの提供、多職種も含めて実践する生活機能向上プログラムの指導を行います。

なお、個別の仕事内容に関しては、次章で詳しく解説します。

栄養士

利用者の栄養状態の維持・向上のために食事に関するすべてについてコーディネートを行います。栄養状態のアセスメントと維持・向上のためのプランを作成し、利用者の状態に合わせた食事形態を設定します。

リハビリテーション専門スタッフ別の仕事内容

前章で紹介したリハビリテーション専門スタッフの仕事内容についてみていきましょう。

理学療法士

理学療法士は、けがや病気によって身体に障害がある方や障害の発生が予想される方に対して、基本動作能力(座る・立つ・歩く)の回復や維持、また障害の悪化予防を目的に自立した日常生活が送れるように支援するのが役割です。

息切れや痰詰まりなど、呼吸機能の低下を改善する訓練を行います。

作業療法士

作業療法士は、日常生活などの作業活動を通して躁うつ病や摂食障害などの精神障害の患者の方を含め、身体と心のリハビリテーションを行う幅広い方を対象とした支援を行うのが役割です。

利用者が興味を持てる貼り絵や手芸などの作業を治療に用いて、楽しみながら無理なく手先の動きを引き出し、回復を促します。機能回復だけでなく、精神的安定や脳の活性化させる目的もあります。

言語聴覚士

言語聴覚士は、コミュニケーション機能に障害がある方に対して、検査・訓練及び助言・指導その他の援助などを行います。専門的なかかわりを持つことで、対象者の機能の獲得や維持・向上を図り、生活の質の向上を支援するのが役割です。

医師や管理栄養士と嚥下造形検査などを行い、安全に食事をするための姿勢や食べ方、食事形態などについて指導を行います。

老健で受けられるリハビリテーションの頻度

老健で受けられるリハビリテーションの頻度

老健では一般的に20分から30分のリハビリテーションを、週2回以上行う規定があります。ただし、入所してから3か月間に限り、短期集中リハビリテーションを週3回から毎日受けることが可能です。リハビリテーションの回数については、施設によって異なります。

なお、過去3か月以内に別の老健に入所されていた場合、短期集中リハビリテーションは受けることができません。

老健のリハビリテーションによる加算

老健で提供されるリハビリテーションには加算要件があり、加算要件はリハビリテーションの種類によって異なります。

短期集中リハビリテーション実施加算

短期集中リハビリテーション実施加算とは、老健に入所してから3か月間に集中的にリハビリテーションを実施することで発生する加算のことです。

単位数240単位
算定要件・医師もしくは医師の指示を受けた理学療法士、作業療法士、または言語聴覚士が、集中的なリハビリテーションを実施すること

・過去3ヵ月以内に老健に入所していない利用者に対して、入所日から3ヵ月以内に1週間に概ね3回以上、1日当たり20分以上のリハビリテーションを集中的に実施すること

※ただし過去3か月以内に老健に入所していても、下記の条件を満たす場合には算定が可能です。

・4週間以上入院の再入所で、早期にリハビリテーションが必要な入所者

・4週間未満の入院後に再入所し、脳梗塞や脳出血など特定の疾患がある入所者

(※)参考:参考資料(介護老人保健施設)

在宅復帰・在宅療養支援機能加算

在宅復帰・在宅療養支援機能加算とは、在宅復帰支援を目的とする施設に対して、役割を評価する目的で設けられた加算のことです。

加算Ⅰと加算Ⅱに区分され、単位数と算定条件が異なります。

単位数在宅復帰・在宅療養支援機能加算(Ⅰ)34単位
在宅復帰・在宅療養支援機能加算(Ⅱ)46単位
算定要件在宅復帰・在宅療養支援機能加算(Ⅰ)

・介護保健施設サービス費(Ⅰ)(ⅰ)、介護保健施設サービス費(Ⅰ)(ⅲ)、ユニット型介護保健施設サービス費(Ⅰ)ユニット型介護保健施設短期入所療養介護費(ⅰ)、ユニット型介護保健施設サービス費(Ⅰ)経過的ユニット型介護保健施設短期入所療養介護費(ⅰ)のいずれかを算定していること

・在宅復帰・在宅療養支援等指標(※)により算定した数が「40以上」であること
地域に貢献する活動を行っていること

在宅復帰・在宅療養支援機能加算(Ⅱ)

・介護保健施設サービス費(Ⅰ)(ⅱ)、介護保健施設サービス費(Ⅰ)(ⅳ)、ユニット型介護保健施設サービス費(Ⅰ)ユニット型介護保健施設短期入所療養介護費(ⅱ)、ユニット型介護保健施設サービス費(Ⅰ)経過的ユニット型介護保健施設短期入所療養介護費(ⅱ)のいずれかを算定していること

・在宅復帰・在宅療養支援等指標(※)により算定した数が「70以上」であること

リハビリテーションマネジメント加算

リハビリテーションマネジメント加算とは、適切なリハビリテーションを提供するためにS(Survey調査)、P(Plan計画)、D(Do実行)、C(Check確認)、A(Action改善)のサイクル構築とリハビリテーションの継続的な管理を評価する加算のことです。

単位数リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)60単位
リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)150単位
算定要件在宅復帰・在宅療養支援機能加算(Ⅰ)

・訪問リハビリテーション計画の進捗状況を定期的に評価し、必要に応じて当該計画を見直していること

 ・指定訪問リハビリテーション事業所のPT、OT又はSTが、介護支援専門員を通じて、指定訪問介護の事業その他の指定居宅サービスに該当する事業にかかる従業者に対し、リハビリ テーションの観点から、日常生活上の留意点、介護の工夫等の情報を伝達していること

在宅復帰・在宅療養支援機能加算(Ⅱ)

・リハビリテーション会議を開催し、リハビリテーションに関する専門的な見地から利用者の状況等に関する情報を構成員と共有し、当該リハビリテーション会議の内容を記録すること

・訪問リハビリテーション計画について、医師が利用者又はその家族に対して説明し、同意を得ること

・3月に1回以上、ハビリテーション会議を開催し、利用者の状態の変化に応じ、訪問リハビリテーション計画を見直していること

 ・指定訪問リハビリテーション事業所のPT、OT又はSTが介護支援専門員に対し、リハビリテーションに関する専門的な見地から利用者の有する能力、自立のために必要な支援方法 及び日常生活上の留意点に関する情報提供を行うこと


 ・以下のいずれかに適合すること

(一)指定訪問リハビリテーション事業所のPT、OT又はSTが、居宅サービス計画に位置付けた指定訪問介護の事業その他の指定居宅サービスに該当する事業にかかる従業者と指定訪 問リハビリテーションの利用者の居宅を訪問し、当該従業者に対し、リハビリテーションに関する専門的な見地から、介護の工夫に関する指導及び日常生活上の留意点に関する助言を 行うこと

(二)指定訪問リハビリテーション事業所のPT、OT及びSTが、指定訪問リハビリテーション事業所の利用者の居宅を訪問し、その家族に対し、リハビリテーションに関する専門的な見地から、 介護の工夫に関する指導及び日常生活上の留意点に関する助言を行うこと

・上記のすべてに適合することを確認し、記録すること

リハビリテーション会議は、利用者及びその家族を基本としつつ、医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護支援専門員、居宅サービス計画に位置づけた指定居宅サービス等の担当者その他の 関係者が構成員となって実施される必要がある。

(※)参考:参考資料(介護老人保健施設)

まとめ

介護老人保健施設で提供されるリハビリテーションに関する加算は、多岐に分かれるうえに非常に複雑です。請求に関しては、加算が占める割合が高くなるため、ミスなく効率的に業務を行う必要があります。加えて多職種で利用者の支援を行うため、スムーズな情報連携が欠かせません。

情報連携が必要な現場では「ワイズマンの介護ソフト」をお使いいただくことで、計画的なケアマネジメントの実施が可能となります。軽減税率にも対応しているためスムーズに請求業務を行うことができ、作業効率化につながります。

もし、今働いている事業所に介護ソフトが導入されていないなら、業務効率化を図れるように担当者に導入を相談してみてください。これから老人保健施設で働かれるのであれば、事業所に介護ソフトが導入されているかチェックされることをおすすめします。

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