老健で働く看護師の役割は?仕事内容や1日の流れを解説
2023.04.10
介護老人保健施設(老健)は、利用者が在宅復帰を目指すための施設です。老健で働く看護師は、医療的ケアだけでなく介護やリハビリのサポートなどにも関わります。また、老健では夜勤業務があるのも大きな特徴です。
この記事では、老健で働く看護師の役割や配置基準、老健での看護師の仕事内容と1日の流れ、老健の看護師の平均給与、仕事のやりがいや老健が向いている人の特徴などについて解説します。
なお、株式会社ワイズマンでは介護ソフトの入れ替えを検討している方に向けて「介護ソフト選びガイドブック」を無料配布しています。
介護ソフトの導入時によくある問題と対策についても記載していますので是非ご活用ください。
目次
老健で働く看護師の役割
老健で働く看護師の業務は多岐にわたりますが、利用者の医療的管理やケアを行いながら健康管理をすることが主な役割です。
介護職員とともに利用者の生活支援(食事、入浴、排泄などの介助)を行うことが多く、健康状態を把握して質の高いケアを提供します。日常的に医師や介護職員、介護支援専門員などと一緒に仕事をするため、他職種との連携・調整役を担うこともあります。
老健の施設の特徴や入所条件、サービス内容について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:「老健(介護老人保健施設)とは?種類や施設の特徴、入所条件やサービス内容を解説」
老健における看護師の配置基準
老健における看護師の配置基準は、利用者3人に対して看護師と介護職員の総数が1人以上である必要があり、利用者数によって異なります。さらに、看護師と介護職員の総数のうち7分の2程度が看護師である必要があります。
例えば、利用者が21人の場合は、看護師と介護職員の総数が7人以上である必要があり、そのうち看護師は2人ほど必要です。利用者数が21の倍数で増えていく場合を考えると、以下の表のようになります。
【利用者数に対する看護師の配置数の具体例】
利用者数 | 看護師数と介護職員数の総数 | 看護師数 |
21人 | 7人以上 | 2人程度 |
42人 | 14人以上 | 4人程度 |
63人 | 21人以上 | 6人程度 |
84人 | 28人以上 | 8人程度 |
105人 | 35人以上 | 10人程度 |
このように見ていくと、利用者が100人の場合には看護師数は9人程度必要になることが分かります。
老健では看護師や介護職員のほかにも、さまざまな職種の職員が働いています。老健の職種について詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:「老健(介護老人保健施設)の仕事がきついといわれる理由|仕事内容や職種、向いている人も解説」
老健で働く看護師の仕事内容
老健で働く看護師の仕事には、以下があります。
健康管理
利用者の健康管理は、看護師が老健で行う重要な業務の一つです。毎日の利用者の体温、脈拍、呼吸、血圧、意識レベルといったバイタルサインをチェックするのはもちろん、利用者とコミュニケーションを取りながら日々の健康状態を把握し、不調や異常があれば医師に報告して適切な処置を行います。
医療行為
利用者に対する医療行為も看護師の業務の一つです。老健では医療的処置が必要な利用者もいるため、医師の指示のもとで適切な医療行為を行います。看護師が行う医療行為の例は以下の通りです。
- インスリン注射
- 人工呼吸器の管理
- 痰(たん)の吸引
- 経管栄養
- 褥瘡(じょくそう)の処置
- カテーテルの管理
利用者の健康状態を維持するために、このような医療行為が日々の業務では欠かせません。
日常生活の補助
老健は利用者の在宅復帰を目指す施設であり、リハビリに注力しているのも大きな特徴です。看護師も、利用者の機能回復のためのサポートをしたり、介護職員と一緒に食事、入浴、排泄などの日常介助を行ったりなど、利用者が日常生活を送るために必要となる補助や支援を行います。
服薬の管理
看護師の業務には服薬管理もあります。利用者の中には、病気や心身機能維持のために日常的に服薬している人が少なくありません。そのため、利用者の身近な医療従事者である看護師が一人ひとりの処方薬について理解し、適切に管理することが求められるのです。
また、利用者の心身の状態に変化が見られたらすぐに医師に相談し、薬を調整するなどの対応も必要になります。
利用者およびご家族とのコミュニケーション
日常業務では、利用者やそのご家族とのコミュニケーションも大切です。利用者に日常生活を快適に過ごしてもらうためには、業務的なやり取りだけでなく、普段の何気ない会話も欠かせません。利用者の話を傾聴することも大切です。利用者の価値観やこれまでの生き方に対して共感したり、褒めたりすることで、積極的に話してくれることもあるでしょう。
ご家族に対しては、利用者の心身の状態についてしっかり説明することが求められます。普段は離れて暮らしている利用者が充実した日常生活を送っていることを知ることで、ご家族も安心します。こうしたコミュニケーションで利用者やご家族との信頼関係を築けば、満足度の向上にもつながるでしょう。
老健で働く看護師の1日の流れ
ここでは、老健で働く看護師の1日の流れをご紹介します。日勤の場合と夜勤の場合の1日の流れの具体例を、それぞれ見ていきましょう。
【日勤の場合】
8:00 | ・出勤 ・夜勤者からの申し送りを受ける ・利用者の状態を確認 |
8:30 | ・利用者が内服薬を摂取したかの確認 ・バイタルチェック |
10:00 | ・医師に利用者の状態を報告 ・医師の診察のサポートや医療処置 ・リハビリ職員とのミーティング ・介護職員の介助のサポート |
11:30 | ・昼食で利用者が服薬するための準備 |
12:00 | ・利用者の昼食のサポート ・利用者が食べ物を飲み込めるかといったような嚥下機能のチェック・評価 |
13:00 | ・休憩 |
14:00 | ・他職種とのカンファレンス ・利用者に関する情報の共有 |
15:00 | ・利用者におやつを配り、コミュニケーションを図る |
16:00 | ・看護記録を記入する |
17:00 | ・夜勤スタッフに申し送りを行う ・退勤 |
【夜勤の場合】
17:00 | ・出勤 ・日勤者からの申し送りを受ける ・利用者の状態を確認 |
17:30 | ・バイタルチェック ・夕食で利用者で服薬するための準備 |
18:00 | ・利用者の夕食のサポート ・利用者が内服薬を摂取したかの確認 |
19:00 | ・利用者の健康状態を確認 |
21:00 | ・利用者の就寝 ・介護スタッフと協力しておむつ交換などを行う |
23:00 | ・巡視 ・深夜は順番に仮眠を取っていく |
2:00 | ・巡視 |
4:00 | ・巡視 |
6:00 | ・利用者が起床 ・利用者の健康状態を確認しトイレ介助などを行う |
7:00 | ・利用者の朝食のサポート |
8:00 | ・看護記録を記入する ・日勤者に申し送りをする ・退勤 |
老健は医療が目的の施設ではないので、夜勤業務は介護業務が多いのが特徴です。ただし、夜間は医師が不在のことが多いため、緊急時には看護師が率先して対応します。
なお、株式会社ワイズマンではすでに介護ソフトを導入しているが、介護ソフトの入れ替えを検討している方に向けて、「介護ソフト選びガイドブック」を無料で配布中です。ダウンロードしてご活用ください。
老健で働く看護師の平均給与
次に、老健で働く看護師の給与について見ていきます。「令和2年度介護事業経営実態調査結果(※1)」によると、老健を含む介護事業所における常勤看護師の平均給与(令和元年度決算)は以下の通りです。
介護老人保健施設 | 448,962円 |
訪問看護 | 440,368円 |
訪問リハビリテーション | 437,296円 |
通所介護 | 354,319円 |
小規模多機能型居宅介護 | 362,799円 |
ほかの介護事業所と比べると、老健の看護師の給与水準は高くなっています。これは、老健では夜勤業務が多いためと考えられます。「特別養護老人ホーム・介護老人保健施設における看護職員実態調査」によると、介護老人保健施設で仕事に従事する看護職員の69.3%(※2)が「夜勤あり」と回答しています。
(※1)参考:令和2年度介護事業経営実態調査結果
(※2)参考:特別養護老人ホーム・介護老人保健施設における看護職員実態調査報告書
老健で働く看護師の仕事のやりがい
では、老健で働く看護師の仕事にはどのようなやりがいがあるのでしょうか。
介護施設で医療に携われる
老健は介護施設ですが、医療にも携われます。これは、老健では医療行為を行う頻度が高く、介護施設の中でも医療に近い施設であるためです。
老健では常勤医師の配置が定められてはいるものの、夜間などは不在のことが多く、状況次第では看護師が医療行為を行うことがあります。介護施設で働きながら医療ケアの技術を学び経験を積む機会があるのは大きなメリットです。病院における働き方と似ているので、病院勤務の看護師が老健に転職しても仕事に馴染みやすいでしょう。
利用者の回復をそばで見守ることができる
老健では、利用者の回復をそばで見守れるのが大きな魅力です。老健は病院と比較して入所期間が長いため、長期的に利用者と向き合いサポートできます。
また、老健は在宅復帰を目的としており、利用者自身が明確な目標に向かって日々努力している姿を見ることが刺激にもなります。リハビリテーションによって利用者自身でできることが増えていき、ADL(日常生活動作)が向上すると、サポートする側の職員もやりがいを感じられるでしょう。
さまざまな職種のスタッフと関わりながら仕事ができる
さまざまな職種のスタッフと関わり合いながら仕事ができることも、老健でのやりがいにつながるでしょう。医師や看護師、介護職員以外にも、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリスタッフとも連携を取りながら仕事を進めます。ほかの分野の専門家と一緒に業務を行うことで、他職種の専門領域についての知見も広げられるでしょう。
また、他職種とチームとして連携することでスタッフ一人ひとりの負担を分散でき、業務効率の向上も期待できます。
老健の看護師に向いている人
老健での看護師に向いている人の特徴について見ていきましょう。
高齢者と話すのが好きな人
病院はさまざまな年代の人が利用しますが、老健などの介護施設の利用者は高齢者です。高齢者との関わりを楽しいと感じられる人は、老健で仕事をするうえでの大きなアドバンテージになるでしょう。
チームで協働して仕事がしたい人
老健では他職種のスタッフと同じ目標に向かって連携を取り、情報を共有したりカンファレンスを行ったりすることがあります。他職種の人と一緒に仕事をすることで業務に普段とは違った視点が生まれますし、新たな発見もあるでしょう。チームで一体となって利用者の在宅復帰に向けた貢献がしたいという人におすすめです。
看護師の実務経験がある人
老健では、医師が不在の緊急時において、看護師が適切な判断をしなければいけません。冷静な判断をするには、看護師としてのある程度の実務経験が必要です。利用者の容体が変化しても落ち着いた対応ができる人は、老健でも重宝される存在となるでしょう。
性格が穏やかな人
老健では看護師が手際よく仕事をすることも大切ですが、利用者がゆったりと過ごせる環境づくりも重要です。利用者に対して強い態度を取ったり、きつい言葉を投げかけたりせず、優しく見守れるような心にゆとりのある人が向いているでしょう。
なお、株式会社ワイズマンでは「介護ソフト選びガイドブック」を無料で配布中です。
すでに介護ソフトを導入していている方も、介護ソフトの入れ替えを検討している方も、自身に最適なプロダクトを選ぶために重要な4つのポイントを解説していますので是非ご活用ください。
まとめ
老健で働く看護師は、利用者の医療的ケアだけでなく、健康管理や介護業務なども行います。他職種の職員とも連携して業務を行うため、専門外の分野についても経験が積めるでしょう。夜勤業務もあるため他の介護事業所に比べて給与水準は高いですが、夜間は介護職員とも協力して利用者の介助等を行います。
利用者への対応以外に事務的な作業もこなす必要があるため、職員には十分な体力も必要です。そのような中で日々の業務効率を上げるには、介護老人保健施設向けの「介護ソフト」の導入がおすすめです。他職種との連携が求められる老健において業務効率がアップするだけでなく、利用者へのサービスの質の向上にもつながるでしょう。
「ワイズマン」では、介護老人保健施設向け介護ソフトをご提供しています。
介護ソフトの資料のご請求やデモンストレーションをご希望の際は、こちらからお問い合わせください。
>>「介護老人保健施設向け介護ソフト」