【令和4年度】サ高住の補助金とは?支給要件や申請期限、支給されないケースも解説

2022.12.12

少子高齢化の加速に伴い、国土交通省が供給の拡大を図っているのがサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住と略す)です。サ高住の新規開設・改修を行う際、事業者は国からの補助金を受けることができます。

しかし、補助金を受け取るための支給要件や申請期限が定められており、それらに適さないとみなされて支給されないケースもあるようです。

この記事では、サ高住の補助金を受け取るための条件や申請方法について、詳しく解説します。

サ高住の補助金とは?

サ高住は国土交通省の補助制度の対象となり、建設や改修を行う際に補助金を受け取ることができます。建物のバリアフリー化などでサ高住の建設費用は高額となるため、補助金制度をうまく活用しましょう。

令和4年度の申請募集は4月1日からはじまっており、期限は令和5年2月28日です。

なお、補助金を受けるためには「サービス付き高齢者向け住宅の登録制度の登録要件」と「補助金申請の要件」を満たす必要があります。要件の詳細については、後述します。

サ高住の補助金制度ができた背景

サ高住とは、60歳以上の介護を必要としない自立された高齢者だけでなく、要支援や要介護状態の方、認知症の方も入居可能な高齢者向け住宅です。

国の補助金制度を受けて、サ高住の登録件数は右肩上がりに増加(※)を続けています。高齢者の増加を受け、高齢者向け住宅の需要が高まったことがサ高住の補助金制度ができた背景です。

(※)参考:サービス付き高齢者向け住宅の登録状況(R4.6末時点)

サ高住は高齢者等居住安定化推進事業の対象

サ高住は国土交通省の高齢者等居住安定化推進事業の対象となるため、建設や改修によって補助金の支給を受けることができます。

施設ではなく賃貸住宅扱いとなるため、固定資産税や不動産取得税など税制面での優遇措置を受けられるメリットもあります。

サ高住で補助金を申請するための要件

補助金の申請を行うには、2つの要件を満たさなければいけません。

要件①サ高住の事業者として認められる登録要件

まず、サ高住の事業者として認められるため以下の登録要件を満たす必要があります。

条件
建物・原則各戸25㎡以上であること
・トイレや洗面の設置等の一定の基準を満たすこと
・バリアフリー構造になっていること
サービス内容・安否確認サービス、生活相談サービスを提供すること
契約内容・高齢者の居住の安定が図られた契約であること
・前払家賃等の返還ルール及び保全措置が講じられていること

(※)参考:サービス付き高齢者住宅の登録制度の概要

要件②サ高住の補助金申請が認められる要件

サ高住の事業者としての登録要件を満たしただけでは、補助金申請を行うことはできません。補助金の申請を行うためには、さらに以下の要件を満たす必要があります。

法令・高齢者住まい法に基づくサ高住として10年以上登録すること
都市計画・市町村のまちづくり方針と整合していること
省エネ・新築のサ高住は原則として省エネ基準に適合すること
賃料・入居者の家賃の額が、近傍同種の住宅の家賃の額と均衡を失しないように定められていること
・入居者からの家賃等の徴収方法が前払いによるものに限定されていないこと
・家賃の限度額は、所在市区町村に応じて設定した額(11.2~24.0万円/月)とすること
事業者・運営情報の提供を行うこと
・入居者が任意の事業者による介護サービスを利用できること
災害対策・市町村地域防災計画に位置づけられたサ高住について、避難計画を作成し、避難訓練を実施すること
・新築のサ高住の立地が、土砂災害特別警戒区域及び浸水被害防止区域に原則該当しないこと
・新築及び改修のサ高住では、地方公共団体からサ高住に対して応急仮設住宅又は福祉避難所としての利用について要請があったときは、協定締結等の協議に応じること。また、発災時には、運営上支障がある等の特段の事情がある場合を除き、地方公共団体と協議のうえ、要配慮者(原則としてサ高住入居資格を有する者)を受け入れること

(※)参照:サービス付き高齢者向け住宅について -制度の概要-「サービス付き高齢者向け住宅整備事業の概要」

サ高住の補助金はいくら支給される?

サ高住の補助金は、新築か改修かで支給される金額が異なります。

新築の場合は最大で建築費の10%

補助金の上限は、床面積の広さによって異なります。建築費の10%または限度額のいずれか低い方の金額が、補助金として支給されます。

ただし、床面積30㎡以上のサ高住で135万円を受け取れるのは全住戸数の2割までです。2割を超える住戸については120万円/戸となります。

床面積補助率限度額
30㎡以上1/10135万円/戸
25㎡以上1/10120万円/戸
25㎡未満1/1070万円/月

東京都の例

【基本額】
新築:建設費の10分の1(上限120万円/戸)

【加算額】
①床面積40平方メートル以上かつ基本設備を全て設置する住戸 20万円/戸
②①に加えて共用部分に収納スペースを有する住戸 40万円/戸

  • 木密事業等推進加算 30万円/戸
  • 医療・介護連携強化加算 10~105万円/戸

※床面積ではなく、基本額+加算額として記載しています。

改修の場合は最大で工事費の3分の1

アパートやマンションを改修してサ高住を開設する場合、工事費の3分の1または限度額のいずれか低い方の金額が補助金として支給されます。

床面積補助率限度額
30㎡以上1/3135万円/戸
25㎡以上1/3120万円/戸
25㎡未満1/370万円/月

なお、調査設計計画にかかる費用も補助金の支給対象となります。既存ストック型サービス付き高齢者向け住宅を整備する場合に限り、事業のための調査設計計画を実施する費用の一部が申請可能です。

サ高住の補助金が支給されないケースとは?

以下の条件に当てはまる場合はサ高住の補助申請対象外となるため、ご注意ください。

  • 一戸あたりの家賃が30万円/月以上の住居
  • 事業目的達成のために必要な範囲を逸脱する華美または過大な設備

一戸あたりの家賃が所在市区町村の上限額を超えている住居や、事業の目的を達成するために華美または過大な設備を導入している住居は補助申請対象外となります。

サ高住の建設には税制優遇や融資も利用できる

サ高住の建設には税制優遇や融資も利用できる

補助金のほかにも税制面での優遇措置や融資を利用できるメリットがあります。

固定資産税・不動産取得税に関する税制優遇

固定資産税は新築から5年間にわたり、税額の1/2以上5/6以下の範囲内において市町村が条例で定める割合が軽減されます。

建物の不動産取得税は、課税標準から1戸あたり1,200万円が控除されます。土地は4万5,000円か「土地の評価額/m2× 1/2(特例負担調整措置) ×家屋の床面積の2倍(200m2を限度)×3%」のうちいずれか大きい額が控除されます。

税制優遇を受ける条件は以下の通りです。

  • 床面積:30m2以上/戸(共用部分含む。一般新築特例は40m2以上/戸)
  • 戸数:10戸以上
  • 補助:国または地方公共団体からサービス付き高齢者向け住宅に対する建設費補助を受けていること
  • 構造:主要構造部が耐火構造または準耐火構造であること

住宅金融支援機構の融資

さらにサービス付き高齢者向け賃貸住宅の建設資金として、住宅金融機構の融資を受けることができます。

融資額は融資対象事業費の100%以内(10万円以上、10万円単位)です。ただし、融資を受けるには以下の条件を満たす必要があります。

  • 返済期間を通じてサービス付き高齢者向け賃貸住宅を適切に経営し、確実な返済が見込まれる方
  • 個人のお申込みの場合で、お客さまの年齢が満65歳以上のときは、満65歳未満の後継者と連名によりお申込みいただける方
  • 法人のお申込みの場合で、機構が必要と認めるときは、法人の代表者と連名によりお申込みいただける方
  • 建設される土地について所有権または借地権(地上権・賃借権)をお持ちの方(取得される予定の方を含みます。
  • 融資の返済に関し、十分な保証能力のある法人または個人(法人によるお申込みの場合でその法人の経営者の方に限ります。)の連帯保証人をつけていただける方(サービス付き高齢者向け賃貸住宅建設融資(一般住宅型)の場合に限ります。)
    なお、法人を連帯保証人とする場合は、十分な保証能力のある法人のほか、お申込みの時点で機構が承認している保証機関をご利用いただけます。
    ※サ-ビス付き高齢者向け賃貸住宅建設融資(施設共用型)を利用する場合は、連帯保証人は不要です。
  • 個人(日本国籍の方または永住許可等を受けている外国人の方)または法人

なお令和4年度の申し込み分より、借入申し込みを受け付けるサービス付き高齢者向け賃貸住宅融資について、サービス付き高齢者向け住宅整備事業にかかる補助金の交付を受けていることが利用条件に追加されています。

サ高住の補助金申請に必要な書類と流れ

サ高住の新規事業、改修事業に伴う補助金申請に必要な書類と流れを解説します。

サ高住の補助金申請に必要な書類一覧

  • 令和4年度サービス付き高齢者住宅整備事業交付申請書
  • 印鑑証明書
  • 委任状
  • サ高住登録通知の写し
  • サ高住登録申請書の写し
  • 申請建物の平面図、配置図、案内図
  • 住戸タイプごとの平面詳細図
  • 用途別求積図、面積表
  • 按分面積表
  • 工事内訳書
  • 建設工事発注先の妥当性説明書
  • 事業費統括表
  • 需要予測書
  • 地域との連携計画書
  • ローンの審査承認を得たことを証する書類
  • 意見聴取に対する回答書の写し
  • 既存物件の運営情報公開報告書
  • 土砂災害特別警戒災害区域及び浸水被害防止区域と建設地との関係が分かる資料

流れ①各自治体にサ高住の登録を申請

「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」に登録後、都道府県(あるいは政令市、中核市)の登録窓口に添付書類と共に申請します。

所管官庁による審査後、許可要件を満たしていると判断されれば登録完了です。

流れ②整備事業事務局に交付申請書を提出

国土交通省が定める整備事業事務局あてに交付申請書類を提出します。 提出時の注意点は下記の通りです。

  • 金融機関の融資を受ける事業は、融資の内諾を得たうえで金融機関から融資の内諾の証明する書類がある場合は写しを提出すること
  • 工事と調査設計計画の交付申請書は別々に提出すること
  • 事業期間は交付決定後から令和4年度末までとなり、年度をまたぐ事業は全体設計承認の手続きをすること
  • 新築または改修を含む事業の場合、新たに補助を受けるサービス付き高齢者向け住宅の運営情報を公開する必要がある

流れ③事業着手

補助事業の着手は、交付決定通知日以降に可能となります。なお、交付決定通知日以降、令和4年度中に着手するものが補助の対象となります。

流れ④整備事業事務局に完了実績報告書を提出

補助事業完了の1か月前までに事前相談を行ったあと、整備事業事務局に完了実績報告書を提出します。

流れ⑤補助金の受領

完了実績報告書の審査が行われ、報告の補助事業の成果が補助金交付決定の内容および条件に適合すると認められた場合、補助金の交付額が確定し、支払いの手続きが実施されます。

確定通知の発出後、およそ2か月後に補助金が支払われます。
(※)参考:令和4年度サービス付き高齢者向け住宅整備事業 交付申請要領

サ高住の補助金の期間についての注意点

補助金交付の対象になるのは、令和4年度中に事業に着手するものに限ります。交付申請を行った事業のうち、事業着手に至らないものは補助金交付を受けることができません。

整備事業は令和4年度中に事業完了する事業を対象としているため、事業期間は原則として令和4年度末までとなります。

なお、交付決定後に事業者の都合で補助事業の期間を変更した場合は、必ず補助事業の計画変更の手続きを行い、整備事業事務局の承認を得る必要があります。

まとめ

国からの補助金や住宅金融支援機構の融資などを受け、サ高住の建設は今後さらに広がっていくことが予想されます。それに伴い、働きやすい職場環境を整えることが非常に重要です。

働きやすい職場環境の要素の一つとして、介護ソフトを使って業務効率化を図ることが挙げられます。

「ワイズマンのサ高住向け介護ソフト」は、特定施設に入居している利用者の情報管理や請求業務など、さまざまな業務の効率化をサポートします。安否確認の見守り情報をシステムに自動記録したり、ケア記録オプションを使うことで利用者の健康状態を適切に把握できたりします。

介護ソフトの資料請求や、デモンストレーションをご希望の方はこちらから簡単にお問い合わせいただけます。
>>「サ高住向け介護ソフト(サービス付き高齢者向け住宅管理システムSP)

これからサ高住の新規開設・改修を行う方は補助金申請とあわせて、働きやすい職場環境の整備を進めることをおすすめします。

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