サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の職種とは?人員配置や役割、平均給与などを解説

2023.02.13

サ高住は、比較的自立した高齢者向けの施設です。施設内ではさまざまな職種の人が働いています。この記事では、サ高住で働く人の職種や平均給与、仕事の1日の流れ、仕事に役立つ資格等について解説します。これからサ高住で働きたいと考えている方はもちろん、現在サ高住で働いている方もぜひ参考にしてみてください。

サ高住とは

サ高住は「サービス付き高齢者向け住宅」の略で、住宅の設備などが一定の条件を満たし、利用者が安否確認や生活相談などのサービスを受けられる施設です。原則60歳以上の高齢者、または要介護・要支援認定を受けている方が入居できます。

サ高住の設備の特徴・原則として各専用部分の床面積が25㎡以上であること
・各専用部分に、台所、水洗トイレ、浴室、収納設備、洗面設備を備えること
・バリアフリー構造であること
主なサービス・安否確認サービス
・生活相談サービス
の2つが必須のサービス。
これら以外に、食事の提供や入浴等の介護(介護保険サービスを除く)などのサービス提供をしているサ高住もある。
入居条件・60歳以上、または60歳未満で要介護認定を受けていること
・入居者の配偶者や60歳以上の親族も同居人として入居可能
関連記事:「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは?入居条件や設備の特徴、サービス内容を解説」

サ高住の人員配置

サ高住の最低限のサービスとなるのが、安否確認と生活相談です。これらのサービス提供のために日中常駐すべきサ高住の人員は、以下の資格を持つことが求められます。

「社会福祉法人、医療法人、指定居宅サービス事業所等の職員または医師、看護師、介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、ヘルパー2級以上の資格を有する者」

引用:厚生労働省 高齢者向け住まいについて「サービス付き高齢者向け住宅の登録基準」

また、サ高住は大きく「一般型」と「介護型」に分けられます。介護型は有料老人ホームのように特定施設入居者生活介護の指定を受けているため、以下のように人員配置が定められています。

管理者

1人
介護職員・看護職員要支援者:入居者10人に対して1人
要介護者:入居者3人に対して1人
ただし、看護職員は入居者1〜30人まで1人、入居者31人以上は50人ごとに1人。
機能訓練指導員1人以上
生活相談員要介護者等100人につき1人
介護支援専門員
(ケアマネジャー)
1人以上

サ高住で働く人の職種

施設管理者は施設の運営や管理を行います。入居者募集のための営業、出入金の管理、職員の採用・シフト管理、医療機関との連携、自治体への届出書類の作成といったように、その業務は多岐にわたります。

施設管理者

施設管理者は施設の運営や管理を行います。入居者募集のための営業、出入金の管理、職員の採用・シフト管理、医療機関との連携、自治体への届出書類の作成といったように、その業務は多岐にわたります。

介護職員

介護職員は入居者の基本的な生活を支援する役割を担います。業務内容は、入居者の安否確認と生活相談が主です。生活相談では、入居者の日々の生活の中での困り事に対して助言やサポートを行い、場合によってはほかの専門の相談窓口を紹介することもあります。このほか、電話対応や施設内の掃除、イベントの準備なども行います。

看護職員

看護職員は入居者を医療的な観点から支える役割を担っています。業務内容は、利用者のバイタル測定や服薬管理、医療機関との調整、緊急時対応、医療措置全般(インスリン注射、じょく創のケアなど)です。

生活相談員

生活相談員は主に入居者やそのご家族に対する施設の窓口的役割を担います。具体的には、入居者やそのご家族からの生活相談や入退居に関する相談のほか、入居希望者に対する施設見学の対応、施設の契約に関する説明などがあります。

介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護支援専門員(ケアマネジャー)は、利用者のケアプランの作成から調整、見直しを行います。

また、介護サービス事業者との連携や調整を行うなど、利用者と事業者の橋渡し的役割も担っています。介護支援専門員として働くには「介護支援専門員証」の取得が必要です。

サ高住で働く人の平均給与

次に、サ高住で働く人の給与について見ていきます。

「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果(※)」によると、特定処遇改善加算を令和3年から新たに取得した事業所(新規加算取得事業所)における介護職員の平均給与額のうち、全体平均、通所介護、特定施設入居者生活介護の額はそれぞれ以下の通りです。

なお「特定処遇改善加算」とは、人材不足の介護業界においてやりがいをもって働けるような職場環境づくりを行い、技能や経験が豊富な介護職員の給与アップを促進する制度です。

特定処遇改善加算を令和3年より新たに取得した事業所における介護職員の平均給与額の状況(月給・常勤の者)

令和3年9月令和2年9月
全体平均293,800円280,390円
通所介護275,670円264,730円
特定施設入居者生活介護313,160円299,590円

サ高住は「介護型」の場合には有料老人ホームと同じ特定施設入居者生活介護に分類されるので、令和3年のサ高住の平均給与額は313,160円と全体平均(293,800円)よりも19,360円高いことが分かります。通所介護と比較するとその差はさらに大きくなり、37,490円高くなっています。

また、介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅱ)をすでに取得している事業所(特定処遇改善加算取得事業所)における介護職員、看護職員、生活相談員、ケアマネジャーの令和3年と令和2年の平均給与額の状況(いずれも月給・常勤者)は以下の表の通りです。

特定処遇加算取得事業所における介護従事者等の平均給与額の状況(月給・常勤の者)

 職種令和3年9月令和2年9月
介護職員323,190円315,410円
看護職員371,340円364,610円
生活相談員344,790円336,370円
介護支援専門員(ケアマネジャー)356,310円348,070円
(※)参考:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果

なお、上記の表はすでに特定処遇改善加算を導入している事業所データのため、先に示した介護職員の平均給与額よりも高い数値となっています。また、看護職員、生活相談員、ケアマネジャーの平均給与額は介護職員より高い給与水準にあることがわかります。

サ高住で働く介護職員の1日の流れ

サ高住で働く介護職員は日々どのように働いているのか、訪問介護サービスを併設しているサ高住を例とし、1日の流れを見てみましょう。始業・終業の時間は施設によって異なりますが、ここでは始業が8時、終業が17時の日勤、休憩1時間のケース(1日8時間労働)で見ていきます。

時間業務業務内容
8:00朝礼夜勤者から日勤職員への申し送り
8:30朝食配膳・食事介助・服薬介助・口腔ケア・体調確認
9:30清掃入居者の部屋や施設の共有スペースなどの清掃
12:00h昼食配膳および食事介助、後片付け
14:00生活相談安否確認、排泄・服薬介助、生活相談の記録
15:30入浴介助入浴準備・入浴介助・後片付け
17:00退勤日勤職員から夜勤者への申し送り後、退社

サ高住は未経験・無資格でも働ける?

サ高住は、未経験・無資格の人でも働けます。介護は人と関わる仕事であるため、資格や経験の有無よりも人柄を重視して採用しているところは少なくありません。

業務内容は限られますが、窓口業務や利用者の身の周りの世話などからスタートして経験を積み、ゆくゆくは資格を取得してキャリアアップを図るという流れがおすすめです。研修が用意されている施設もあるので、募集要項を確認してみましょう。

サ高住で働くのに役立つ資格

ここでは、サ高住で働くために持っておくと役立つ資格をご紹介します。介護施設で働いた経験のある人にとっては取得済みの資格もあるかもしれません。あわせて取っておくと良い資格もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

介護職員初任者研修

介護職員初任者研修は、介護のお仕事が未経験の人におすすめの資格です。長くても数ヵ月で取得することができます。取得することで介護の基本的な知識と技術が身につきます。訪問介護サービスを提供しているサ高住で身体介護ができるようにもなり、介護現場での活躍の場が広がります。

実務者研修

介護福祉士実務者研修では、介護業務におけるコミュニケーションなどの基本的技術はもちろん、医療ケアなどのより専門的な知識や技術を習得できます。

また、実務者研修を受けることで、国家資格である介護福祉士国家試験の受験資格の一つをクリアできます。サ高住で身体介護業務を行う際に自信を持って行えるようにもなるでしょう。

介護福祉士

介護福祉士は介護分野における国家資格で、介護のスペシャリストの証となります。取得することで転職が有利になったり雇用が安定したりなどさまざまなメリットがありますので、介護現場で長く働きたいと考えている場合は取得を目指したい資格です。

受験するためには、介護福祉士実務研修の修了かつ介護の実務経験3年が求められます。

社会福祉士

社会福祉士は「ソーシャルワーカー」とも呼ばれる、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく国家資格です。福祉の相談援助の高度な専門的知識や技術を活かし、福祉や医療の現場において相談援助を行います。

国家資格のため転職が有利になったり、給与アップが期待できたりします。サ高住においては利用者にとっての良き相談者ともなれるでしょう。

介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護支援専門員は「ケアマネジャー」とも呼ばれ、要介護者・要支援者やそのご家族の相談対応、ケアプランの作成、市町村・サービス事業者との連絡調整を行うなどの業務を担います。サ高住においては、介護が必要になる方向けに的確なアドバイスをする役割も担います。

介護支援専門員は、超高齢社会が進む我が国において今後ますますニーズが高まる資格です。試験を受けるためには、保健医療福祉分野における指定業務を5年以上かつ900日以上経験していることが求められます。

まとめ

サ高住では多くの人がさまざまな職種で働いていることを説明しました。1日の流れでは、各担当者は引き継ぎなどでスムーズに情報共有を行う必要があることもわかりました。

なお、情報共有を漏れなくスムーズに行うには個々のコミュニケーション能力が必要ですが、より正確にかつ効率よくサービスを提供するために介護ソフトを活用する施設が増えています。

例えばワイズマンの介護ソフト「サービス付き高齢者向け住宅管理システムSP」は、職種の垣根を超えた情報共有や管理がスムーズに行えます。利用者の安否確認などの情報もリアルタイムに入力でき、作業効率アップが可能です。

施設に介護ソフトが導入されているかは、業務効率化が図られているかを判断できる目安の一つになるはずです。今働いている施設で介護ソフトの導入がされていないなら、ぜひ担当者に導入を相談してみましょう。

介護ソフトの資料請求や、デモンストレーションをご希望の方はこちらから簡単にお問い合わせいただけます。

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