サ高住管理者とは?仕事内容・資格・給料・キャリアパスを徹底解説

2025.04.27

高齢社会が進む中、サ高住(高齢者住宅)の需要が増加しています。しかし、サ高住の運営には、専門的な知識と技術が求められるため、管理者の役割が重要です。

サ高住管理者の仕事内容や1日の流れを確認して、キャリアパスを形成する際の参考にしてください。

この記事では、サ高住管理者とは何者なのか、主な仕事内容や1日の流れを詳しく解説します。年収相場や給料アップにつながる資格、サ高住の人員配置基準まで網羅的に解説するので、サ高住管理者を目指す方や、すでに勤めている方はぜひ最後までご覧ください。

サ高住管理者とは

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)は、高齢者が安心して生活できる住まいを提供する施設です。サ高住の運営をスムーズに進める上で、サ高住管理者は重要な役割を担っています。

サ高住における管理者の役割と、具体的な仕事内容を確認して、キャリアパスを見直す参考にしてください。

サ高住における管理者の役割と重要性

サ高住の管理者は、施設の運営全般を統括する責任者です。入居者の生活をサポートするだけでなく、従業員の育成や管理、関係機関との連携、収支管理など、さまざまな業務を担当します。

管理者の役割は、入居者が快適で安全な生活を送れるように、質の高いサービスを提供することです。そのため、高いコミュニケーション能力やリーダーシップ、問題解決能力が求められます。

具体的には、以下のような役割を担います。

  • 入居者の安心・安全の確保:健康管理、緊急時対応、防犯対策など
  • 質の高いサービスの提供:生活相談、アクティビティの企画・実施、食事の提供など
  • 職員の育成・管理:研修の実施、業務指導、モチベーションの維持など
  • 関係機関との連携:医療機関、介護事業所、地域包括支援センターなど
  • 収支の管理:予算管理、経費削減、入居率の向上など

サ高住管理者の主な仕事内容

サ高住管理者の仕事内容は多岐にわたりますが、主に以下の4種類です。

運営管理

施設の円滑な運営を維持するために、以下の業務を行います。

  • 入居者の募集・契約:入居希望者への説明、契約手続き、入居後のオリエンテーションなど
  • 入居者の生活サポート:生活相談、安否確認、緊急時対応、各種サービスの提供など
  • 施設の維持・管理:設備の点検・修繕、清掃、衛生管理、防災対策など
  • 関係機関との連携:医療機関、介護事業所、地域包括支援センターなどとの連携、情報共有など

人事管理

職員が働きやすい環境を整え、質の高いサービスを提供するために、以下の業務を行います。

  • 採用:求人募集、面接、採用決定など
  • 労務管理:勤怠管理、給与計算、社会保険手続きなど
  • 研修:職員のスキルアップのための研修企画・実施
  • 評価:人事評価制度の運用、面談の実施

労務管理

労働関連の法令を遵守し、適切な労務管理を行うことは、従業員の満足度向上やサービスの質向上につながります。具体的な業務内容は、以下のとおりです。

  • 労働時間管理:適切な労働時間管理、残業時間の削減
  • 有給休暇管理:有給休暇の取得促進、計画的な休暇取得の推奨
  • 安全衛生管理:労働災害の防止、健康診断の実施
  • ハラスメント対策:ハラスメント防止のための研修実施、相談窓口の設置

収支管理

施設の経営状況を把握し、安定的な運営を維持するために、以下の業務を行います。

  • 予算管理:予算の策定、執行管理
  • 経費削減:無駄な経費の削減、効率的な運営
  • 入居率向上:空室対策、入居促進のための企画
  • 財務諸表の作成・分析:経営状況の把握、改善策の検討

サ高住の管理者になるために、特別な資格は必須ではありません。しかし、上記の業務を円滑に進めるためには、介護や福祉に関する知識、経営に関する知識、コミュニケーション能力などが求められます。

サ高住管理者の1日の流れ:スケジュール例と業務のポイント

サ高住管理者の1日は多岐にわたる業務で構成されており、入居者の安全と安心を守るために重要な役割を果たしています。

一般的なサ高住管理者の1日の流れは、以下のとおりです。

  • 午前:入居者の健康状態確認と安否確認
  • 午後:事務作業、関係機関との連携、イベント企画
  • 夕方:引継ぎ、緊急時対応

それぞれの流れを確認して、各業務のポイントを確認していきましょう。

午前:入居者の健康状態確認と安否確認

午前中は、入居者の健康状態の確認と安否確認が中心です。

時間業務内容ポイント
8:00~9:00出勤、申し送り確認夜勤担当者からの申し送り事項を詳しく確認し、当日の業務に備えます。
9:00~10:00入居者の安否確認各居室を訪問し、入居者の健康状態や様子を確認します。
10:00~11:00健康相談、服薬管理健康上の相談に対応し、服薬のサポートを行います。
11:00~12:00記録業務安否確認や健康状態に関する記録を作成します。

業務のポイント:

  • 入居者一人一人の表情や様子を注意深く観察し、いつもと違う点がないか確認します。
  • 体温、血圧測定など、必要に応じて健康チェックを行います。
  • 異常を発見した場合は、速やかに医師や看護師に連絡し、指示を仰ぎます。

午後:事務作業、関係機関との連携、イベント企画

午後は、事務作業や関係機関との連携、入居者のためのイベント企画など、多岐にわたる業務があります。

時間業務内容ポイント
13:00~14:00事務作業請求書処理、報告書作成、会議準備などを行います。
14:00~15:00関係機関との連携医療機関、介護サービス事業者などと連絡を取り、情報交換や連携を行います。
15:00~16:00イベント企画、準備入居者向けのレクリエーションやイベントを企画し、準備を行います。
16:00~17:00入居者、家族からの相談対応入居者や家族からの相談に対応し、適切なアドバイスやサポートを行います。

業務のポイント:

  • 事務作業は正確かつ効率的に行い、期日を守ることが重要です。
  • 関係機関との連携は、円滑な情報共有と協力体制の構築が必要不可欠です。
  • イベント企画は、入居者のニーズや希望を反映させ、楽しんでもらえる内容を心がけます。
  • 相談対応は、親身になって話を聞き、適切な情報提供や支援を行うことが大切です。

夕方:引継ぎ、緊急時対応

夕方は、夜勤担当者への引継ぎや、緊急時の対応が主な業務です。夜間の安全を確保するために重要な時間帯です。そのため、夜間担当者への引継ぎを行います。

時間業務内容ポイント
17:00~18:00夕食準備、配膳夕食の準備や配膳のサポートを行います。
18:00~19:00夜勤担当者への引継ぎ日中のできごとや入居者の状況などを夜勤担当者に詳しく伝えます。
19:00~20:00緊急時対応緊急コールへの対応や、急病人の対応などを行います。

業務のポイント:

  • 引継ぎは、口頭だけでなく、記録やメモを活用し、正確に情報を伝えることが重要です。
  • 緊急時対応は、冷静かつ迅速に行い、適切な判断と行動が求められます。
  • 夜勤担当者と協力し、入居者の安全を確保するための体制を整えます。

サ高住管理者の1日は、入居者の生活を支えるために、さまざまな業務が組み込まれています。上記はあくまで一例であり、施設によってスケジュールや業務内容は異なりますが、入居者の安全と安心を第一に考え、日々の業務に取り組むことが重要です。

サ高住管理者に必要な資格・要件

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の管理者として活躍するためには、特定の資格は必須ではありません。しかし、入居者の安全と安心を守り、円滑な施設運営を行うためには、さまざまな能力が求められます。

必須資格はない

サ高住の管理者になるために、法律で定められた必須の資格はありません。有料老人ホームやデイサービスなどの施設長に関しても同様で、資格がなくても問題なく務められます。

しかし、介護に関する知識や経験は必要となるため、介護業界出身者が多い傾向にあります。また、異業種からの転職者もマネジメント能力を活かして活躍しているケースも少なくありません。

求められる能力

サ高住の管理者に求められる能力は、下記のようにさまざまなものがあります。

能力詳細
コミュニケーション能力入居者やその家族、職員、関係機関など、さまざまな立場の人と円滑なコミュニケーションを図る能力が必要です。相手の気持ちを理解し、適切な言葉で伝えることが求められます。
マネジメント能力施設の運営全体を管理し、職員を指導・育成する能力が必要です。目標を設定し、計画を立て、実行していく力が求められます。
リーダーシップ職員をまとめ、目標達成に向けて牽引していくリーダーシップが求められます。困難な状況でも冷静に対応し、解決策を見出す力が必要です。
問題解決能力入居者間のトラブルや施設内の問題など、さまざまな問題に対して、迅速かつ適切に対応する能力が必要です。
介護に関する知識入居者の健康状態や介護に関する知識が必要です。適切な介護サービスを提供するために、介護職員と連携し、指示を出すことが求められます。
医療に関する知識入居者の健康管理を行う上で、医療に関する基本的な知識が必要です。緊急時には、適切な判断を下し、医療機関と連携することが求められます。
事務処理能力施設の運営に関する事務作業を正確かつ効率的に行う能力が必要です。書類作成、経理処理、報告書作成など、さまざまな事務作業をこなす必要があります。
情報収集能力介護保険制度や関連法規など、常に最新の情報を収集し、施設の運営に反映させる能力が必要です。

上記の能力をバランス良く身につけることで、サ高住の管理者として、入居者の方々が安心して生活できる環境を提供し、質の高いサービスを提供できます。

サ高住管理者の給料・年収目安

サ高住管理者として働くうえで、気になるのが給料や年収です。サ高住管理者の給料相場と、給与アップにつながる資格やキャリアパスについて解説します。

サ高住管理者の給料・年収目安を確認するために、次のポイントを押さえておきましょう。

  • サ高住管理者の給料相場
  • 給与アップにつながる資格やキャリアパス

それぞれのポイントを押さえて、サ高住管理者としてのキャリアパスを検討しましょう。

サ高住管理者の給料相場

サ高住管理者の給料相場は、地域や施設の規模、運営方針、経験年数などによって異なります。一般的には、月給25万~40万円程度、年収300万円~500万円程度が相場です。

ただし、上記の金額はあくまで目安であり、都市部や大規模な施設では、より高い給料が期待できるケースもあります。また、資格や経験、マネジメント能力などが評価されれば、給与交渉も可能です。

項目給料相場
月給25万円~40万円
年収300万円~500万円

※上記はあくまで目安であり、実際の給与は施設によって異なります

給与アップにつながる資格やキャリアパス

サ高住管理者の給料を上げるためには、資格取得やキャリアアップが効果的です。以下に、給与アップにつながる可能性のある資格やキャリアパスをご紹介します。

  • 介護福祉士:介護に関する専門的な知識・スキルを証明する国家資格です。介護の現場経験がある方は、資格取得を目指せば、給与アップにつながる可能性があります。
  • 社会福祉主事任用資格:社会福祉に関する専門知識を持つことを証明する資格です。サ高住の運営や入居者の相談援助に役立ちます。
  • ケアマネジャー(介護支援専門員):介護サービス計画(ケアプラン)を作成する専門家です。ケアマネジャーの資格を取得することで、より専門的な知識・スキルを身につけ、給与アップにつながります。

上記の資格を取得すれば、専門知識やスキルが向上し、より高度な業務を担当できるため、給与アップにつながります。

また、サ高住の管理者として経験を積んだ後、複数の施設を統括するエリアマネージャーや、運営会社の幹部など、より責任のあるポジションを目指すことも可能です。

資格取得やキャリアアップを通じたキャリアパスを目指して、大幅な給与アップにつなげましょう。

資格・キャリアパス給与アップの可能性備考
介護福祉士介護の専門知識・スキルを証明
社会福祉主事任用資格サ高住の運営に役立つ
ケアマネジャーケアプラン作成の専門家
エリアマネージャー複数施設を統括
運営会社幹部非常に高い経営に関わる

※上記はあくまで一般的な傾向であり、個人の能力や実績によって異なります

サ高住で働きながら年収を増額させるためには、能力や技術の向上が重要です。

サ高住管理者は、入居者の生活を支える重要な役割を担うと同時に、自身のキャリアアップも目指せる魅力的な仕事です。ぜひ、資格取得やキャリアパスを検討し、より充実したサ高住管理者としてのキャリアを築いてください。

サ高住の人員配置基準

サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)を運営するうえで、適切な人員配置は入居者の生活の質を保つために必要不可欠です。人員配置基準は、サ高住の種類(一般型または介護型)によって異なり、それぞれに満たすべき要件があります。

サ高住の人員配置基準を把握するため、下記のポイントを押さえておきましょう。

  • 一般型サ高住の人員配置基準
  • 介護型サ高住の人員配置基準
  • 日中に専門職の常駐が不要なケース
  • 職務を兼務できる

それぞれのポイントを押さえて、サ高住の運営に必要な人員配置基準を満たしましょう。

一般型サ高住の人員配置基準

一般型サ高住は、比較的自立した高齢者を対象としており、人員配置基準は介護型に比べて緩やかです。厚生労働省は、一般型サ高住において、安否確認サービスと生活相談サービスを提供するために、少なくとも日中はケアの専門家が建物に常駐するよう求めています。

ケアの専門家には、以下の職種が含まれます。

  • 社会福祉法人、医療法人、指定居宅サービス事業所などの従業員
  • 医師
  • 看護師
  • 介護福祉士
  • 社会福祉士
  • 介護支援専門員
  • 介護職員初任者研修課程修了者

夜間については、緊急通報システムの活用や、夜勤スタッフを配置するなどの対応が一般的です。

介護型サ高住の人員配置基準

介護型サ高住(特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設)は、より手厚い介護サービスを必要とする高齢者を対象としており、人員配置基準は一般型よりも厳しい傾向があります。具体的な基準は以下のとおりです。

職種配置基準
管理者1人
生活相談員要介護者等100人に対し1人
看護・介護職員①要支援者10人に対し1人②要介護者3人に対し1人※ただし、看護職員は要介護者等が30人までは1人、30人を超える場合は50人ごとに1人
機能訓練指導員1人以上(兼務可)
計画作成担当者介護支援専門員1人以上(兼務可)※ただし、要介護者等100人に対し1人を標準とする

日中に専門職の常駐が不要なケース

2022年9月の高齢者住宅関連法案の改正により、一定の条件を満たす場合、一般型サ高住では日中のスタッフ常駐が不要となりました。具体的な条件は、以下の3点です。

  1. 毎日一回以上、適切な方法で状況把握サービスを行うこと
  2. 各居住部分に緊急通報装置を設置すること
  3. 生活相談サービスを適切な方法で提供すること

上記の条件を満たすことで、ICTを活用した見守りサービスなどを導入し、効率的な運営を実現できます。

職務を兼務できる

サ高住では、人員配置基準を満たしながら、効率的な運営を行うために、一部の職務を兼務できるよう認められています。例えば、介護型の機能訓練指導員や計画作成担当者は、他の職務との兼務が可能です。

ただし、兼務を行う場合でも、それぞれの職務に必要な知識やスキルを持ち、適切なサービスを提供できる体制を整える必要があります。

サ高住の登録基準

サ高住として登録されるためには、人員配置基準だけでなく、建物の設備や提供するサービスなど、さまざまな基準を満たす必要があります。

サ高住の基準は、「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」に基づいて定められています。都道府県や市町村が策定する「高齢者居住安定確保計画」により、独自の基準を設けている可能性があるため、事前に確認しておきましょう。

登録基準を満たしておけば、サ高住としての信頼性を高め、入居者の安心・安全な生活をサポートできます。

斉藤 圭一氏
斉藤 圭一氏

高齢化が進む中、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は重要な役割を担っています。サ高住の管理者は、入居者の安心・安全を確保しながら、職員の育成や施設運営、関係機関との連携を行う多岐にわたる業務を担当します。

特に、管理者に求められる能力として、介護・医療の知識に加え、コミュニケーション能力やリーダーシップが挙げられます。適切な人員配置や収支管理を行いながら、入居者が快適に過ごせる環境を整えることが重要です。また、資格取得やキャリアアップにより、給与アップや管理職への昇進の道も開かれます。

本記事は、サ高住管理者を目指す方だけでなく、現在従事している方にとっても、スキル向上やキャリア形成の参考になる内容となっています。今後のキャリアを考える際に、活用していただければ幸いです。

まとめ|サ高住管理者として輝くために

サ高住管理者は、入居者の方々が安心して快適な生活を送れるよう、運営管理、人事・労務管理、収支管理など、幅広い業務を担う重要な存在です。資格は必須ではありませんが、さまざまな能力や経験、知識が求められる仕事です。

この記事が、サ高住管理者を目指す方、またはサ高住管理者の仕事についてより深く理解したい方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。

サ高住での勤務にご興味をお持ちの方、キャリアアップを目指したい方は、ぜひさまざまな求人情報をチェックしてみてください。ご自身のスキルや経験を活かせる場所がきっと見つかるはずです。

監修:斉藤 圭一

主任介護支援専門員、MBA(経営学修士)

神奈川県藤沢市出身。1988年に早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業後、第一生命保険相互会社(現・第一生命保険株式会社)に入社。その後、1999年に在宅介護業界大手の株式会社やさしい手へ転職。2007年には立教大学大学院(MBA)を卒業。 以降、高齢者や障がい者向けのさまざまなサービスの立ち上げや運営に携わる。具体的には、訪問介護・居宅介護支援・通所介護・訪問入浴などの在宅サービスや、有料老人ホーム・サービス付き高齢者住宅といった居住系サービス、さらには障がい者向けの生活介護・居宅介護・入所施設の運営を手がける。 また、本社事業部長、有料老人ホーム支配人、介護事業本部長、障害サービス事業部長、経営企画部長など、経営やマネジメントの要職を歴任。現在は、株式会社スターフィッシュを起業し、介護・福祉分野の専門家として活動する傍ら、雑誌や書籍の執筆、講演会なども多数行っている。

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