【医療業界動向コラム】第27回 令和5年度診療報酬の特例措置を確認する

2023.01.17

令和4年12月、医療DXの更なる推進といまだ続く医薬品安定供給問題への協力支援として、診療報酬上の特例が設けられることとなった。なお、新型コロナの感染拡大が続いている中、電話診療・オンライン診療に関する特例も現在継続している。本稿では、令和5年度の特例措置に焦点を当て、その経緯と内容について紹介する。

●医療情報・システム基盤整備体制充実加算の点数見直し

令和4年4月の改定で「電子的保健医療情報活用加算」として、オンライン資格確認の体制を評価するものとして新設されたものの、患者の負担が上がることに批判が集まり、同年10月には「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」と見直され、オンライン資格確認体制のある医療機関での受診に際しての患者負担はオンライン資格体制のない医療機関の受診に比べて低いものとなった。さらに、初診のみの対応で、再診は対象外となった。

その後、国を挙げての医療DXの積極的推進とスピードアップを図ることとなり、年末の令和5年度予算に向けた大臣折衝などを通じて、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」をさらに見直し、今度は患者側にマイナンバーカードに保険証の機能を紐づける「マイナ保険証」化を促す内容となった。これまでは、医療機関側にオンライン資格確認体制の構築を求める内容だったといえるが、今回の見直しは患者側に行動変容を促すような内容ともいえる(図1、図2)。

図1 医療情報・システム基盤整備体制充実加算①.jpg

図1:医療情報・システム基盤整備体制充実加算①

図2 医療情報・システム基盤整備体制充実加算②.jpg

図2:医療情報・システム基盤整備体制充実加算②

なお、あくまでも特例措置ということで、令和5年4月から同年12月までの期間限定の対応となる。医療機関側からも患者に対してマイナ保険証に関する説明など、今から準備しておきたい。合わせて、オンライン資格確認の受付・受診業務のフローなど改めて確認すると共に、健診情報・薬剤情報の確認をしたことを記録上に残せるようにしておく必要があるだろう。

●医薬品の安定供給問題への対応としての後発医薬品に関する見直し

後発医薬品の製造に関する一連の不祥事に端を発し、いまだに安定供給に問題が続いている。そうした問題対応への協力推進を名目に、後発医薬品に関する診療報酬に関する特例措置が設けられることとなったもの。こちらも令和5年4月~同年12月までとなっている(図3)。

図3 医薬品の安定供給問題への対応としての後発医薬品に関する見直し.jpg

図3:医薬品の安定供給問題への対応としての後発医薬品に関する見直し

後発医薬品については、令和6年度からの新たな医療費適正化計画においてバイオシミラーを含めた後発医薬品の使用促進策が盛り込まれる見通し。バイオシミラーについては、令和4年度中に数値目標を設定・公表することとなっている。例えば、今回の特例措置の対象となる「後発医薬品使用体制加算」は入院基本料に対する加算だが、バイオシミラーも後発医薬品として外来を含めた医療機関全体での使用割合をあげていくことがポイントになる。今回の特例対応を機会の一つととらえて、医療費適正化への対応を促進する体制作りにしたいところだ。

山口 聡 氏

HCナレッジ合同会社 代表社員

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