【医療業界動向コラム】第30回 令和5年4月からの診療報酬の特例措置が告示。疑義解釈も合わせて公表される。

2023.02.07

令和5年4月から同年12月までの期間限定の診療報酬の特例措置が実施される。その告示が1月31日に行われた。そして同時に疑義解釈が公表されている。

今回の特例措置では、2つの特例が設けられる。一つ目はオンライン資格確認体制の推進及び患者のマイナンバーカードに健康保険証の機能を紐づけることを促す「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」に対する新たな加算。二つ目は医薬品安定供給に対する協力支援ともなる「後発医薬品に関する診療報酬(一般名処方加算、後発薬品使用体制加算、後発医薬品調剤体制加算等)」への加算。

オンライン資格確認体制については、令和5年4月より原則義務化となるが、経過措置が設けられている。なお、今回の「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」に関して、診療報酬のオンライン請求を12⽉31⽇までに始めることを医療機関や薬局が届け出れば施設基準を満たすとされる。

「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」は特例措置の期間は3つのグレードでの評価となる(図1)。

図1:医療情報・システム基盤整備体制充実加算の特例措置

加算1は初診・調剤時のマイナ保険証の利用の有無で評価が変わるもの。マイナ保険証を利用しての受診であれば従来通り2点の加算だが、マイナ保険証を利用しない受診の場合は従来よりも2点高い6点となる。

加算2は再診時の評価。従来ではマイナ保険証の利用の有無に関係なく評価はされないものだったが、マイナ保険証を利用しない患者の場合のみ加算が発生することとなった。

医療機関としては、患者に対してマインバーカードの取得もさることながら、マイナンバーカードに健康保険証の機能を紐づけることをPRしていくことを検討しておきたい。患者の経済的負担の軽減につながることになる。

加算3は患者の同意の上でオンライン資格確認を通じて処方・健診情報を確認するというもの。マイナ保険証であれば、マイナポータルを通じて患者本人も処方・健診情報を閲覧することができるが、その情報を診療に活かすことを評価するものだ。本年1月26日よりスタートしている電子処方箋では、マイナ保険証を利用することでリアルタイムに処方情報などを入手でき、重複投薬・多剤投与の検知につながっていることが分かっている。加算3は、マイナ保険証の利用価値を医師・患者双方が体感してもらうものとも言える。

なお、疑義解釈にもあるがオンライン診療・訪問診療では「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」の算定は不可となる。また加算3について、患者の同意が前提となっているが、患者の同意が得られない場合でも問診等で情報を聞き取ることができれば算定可能となっている(図2)。

また、後発医薬品に関する特例措置(図3)については医薬品の供給状況によって投与する薬剤を変更する可能性があること、変更する場合は⼊院患者に⼗分説明するといった情報を院内掲示することが求められる。医薬品安定供給に関する問題は供給側の問題であって、患者側が責任を負うものではないが、今回の特例措置では患者に負担を担ってもらう内容と受けとめられるものとなっている。そのため、丁寧な説明が必要となるだろう。院内掲示においても、わかりやすい掲示を意識したい。

図3:医薬品の安定供給に関する診療報酬の特例措置

山口 聡 氏

HCナレッジ合同会社 代表社員

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