【医療業界動向コラム】第38回 初診からのオンライン診療・電話診療に関する診療報酬上の特例措置が7月31日で終了へ。

2023.04.11

令和5年3月31日、新型コロナ感染拡大に伴い実施されていた初診からのオンライン診療・電話診療の診療報酬上の特例措置を7月31日に終了することが明らかにされた。そして時を同じくして、オンライン診療の適切な実施に関する指針の一部改訂がおこなわれ公表されている。

新型コロナが5類に移行することに伴う診療報酬上の特例の見直しについては、5月8日を境に院内トリアージ料や救急医療管理加算等から行われることとなっているが、オンライン診療・電話診療の特例についてはこれまで明確にされてきていなかった。また、第16回健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用ワーキンググループにて「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第6.0版が了承されたこともあり、サイバーセキュリティ対策などを従来の指針に新たに盛り込み、アップデートした形となった。

  • 特例措置の終了、そして今後は?

新型コロナ感染拡大に伴って実施されてきた初診からのオンライン診療・電話診療はついに廃止される(図1)。

図1_オンライン診療・電話診療に関する特例の見直し

とはいうものの、昨年の指針の改訂、診療報酬改定でオンライン診療は初診からでも要件を満たせていれば実施は可能となっていた。対象となる医学管理料も大幅に拡大していることに改めて着目して、退院後のフォローアップや外来診療における働き方改革につなげる取組をこれを機会に検討してみたい。なお、8月以降については、指針の記載内容に基づいた体制整備をし、令和5年度診療報酬改定で設定された診療報酬点数での実施となる。電話診療については再診のみとなる。

  • オンライン診療の指針を改訂。情報セキュリティへの対応を求める内容に。医療情報システムの安全管理に関するガイドライン6.0版、サイバーセキュリティ対策チェックリスト案も確認を。

オンライン診療の適切な実施に関する指について、大幅な改訂、というよりも医療情報システムの安全管理に関するガイドラインの改訂や昨今のサイバーセキュリティ対策への対応を踏まえた内容へとアップデートしたもの。ポイントは以下になる。

・セキュリティリスクを患者に説明する。また、患者の合意取得だけではなく、オンライン診療に用いるシステムを利用することも合意を得、合意したことを診療録に記載すること。

・診療計画を作成する際、オンライン診療システムに伴うセキュリティリスクと対策、責任の所在について患者からの問い合わせに対応できるよう、説明文書または対応者を準備すること。また、情報及び医療機関の問い合わせ先をオンライン診療システム上に掲載する。

・セキュリティソフトをインストールすること。

・責任分界点について事業者に確認するとともに、システムの導入のリスクを十分に理解する。

・汎用サービスを使用する際は、汎用サービスが医療情報システムに影響を与えない設定とする。なお、通信の管理者権限を患者に委譲しないこと。

・オンライン診療では画像とはなるべく画面共有機能を使い、、患者から提示された二次元バーコードやURL等のリンク先へのアクセス及びファイルのダウンロード等はセキュリティリスクが高いため、セキュリティリスクが限定的であることを医療機関が合理的に判断できる場合を除き、このようなアクセスやダウンロード等は行わないことが望ましい。

ところで、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第6.0版について当初は4月1日に施行する予定であったが、5月中旬へと変更された。オンライン資格確認の原則義務化も始まり外部との接続が当たり前となる環境に合わせて、全体構成の見直しを慎重に行ってきたためだと考えられる。また、本年4月1日より都道府県が行う病院立入検査(医療法第25条第1項・第3項に基づくもの)にてサイバーセキュリティ対策実施の有無をチェックする医療法施行規則改正が行われ、順調にいけば本年6月以降の立入検査から実施される見通しだ。厚生労働省では「サイバーセキュリティ対策に関するチェックリスト」を作成し、その案を公表している(図2)。

図2_サイバーセキュリティの確認のためのチェックリスト(案)

オンライン診療に関する特例の見直しを契機に、退院後のフォローアップや外来診療の働き方改革への活用を、また5月にもアップデートされる医療情報システムの安全管理に関するガイドラインを確認し、ウィズコロナ時代にあっても対応できる医療機関へと体制を整えておきたい。

山口 聡 氏

HCナレッジ合同会社 代表社員

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