【医療業界動向コラム】第114回 12月2日以降の窓口での資格確認

2024.11.12

令和6年10月31日、第184回社会保障審議会医療保険部会が開催された。12月2日以降、健康保険証の新規発行が終了することに伴う医療機関・薬局における対応についての確認と共に、患者が混乱しないための広報活動について議論されている。12月2日以降の窓口対応で押さえておきたいポイントについて当日の資料を用いて理解を深めたい。

〇12月2日以降も、発行済みの健康保険証は有効期限の範囲内で使用可能

あくまでも新規発行が終了するということで、12月2日以降も発行済みの健康保険証は有効期限内であれば利用できる。ただし、有効期限を過ぎた後は利用ができなくなる。マイナンバーカードに保険証の利用登録を実施せずに健康保険証の有効期限を迎えることになる場合は、特に申請しなくとも無償で保険者より健康保険証の代わりとなる「資格確認書」が交付されることになっており、引き続き受診が可能だ(図1)。

図1_12月2日以降の窓口確認について(※画像クリックで拡大表示)

また、マイナンバーカードの有効期限は5年となっている。その有効期限が切れた後3か月間は利用でき、3か月経過後は、資格確認書が交付されることとなっている。

ところで、「資格確認書」と「資格情報のお知らせ」の違いについて確認しておきたい。例えば、私は協会けんぽに入っているが、その協会けんぽから最近「資格情報のおしらせ」という紙製カードが送られてきている。これは、「資格確認書」ではないので、それ単体では受診で使えない。マイナ保険証を使えない場面(オンライン資格確認ができない状況など)でマイナンバーカードと合わせて利用(資格情報がわかるマイナポータルの画面の提示でも可)することで受診可能となるもの。患者の勘違いも起こりえるので注意が必要だ(図2)。

図2_マイナ保険証・資格情報のお知らせ・資格確認書について(※画像クリックで拡大表示)

なお、初診においてマイナンバーカードはあるものの、マイナポータルの画面提示や資格情報のお知らせがなかった場合については、被保険者資格申立書に記載してもらうことで、窓口負担は3割となる対応は可能だ。

〇保険証の新規発行終了と共に、限度額適用認定証も新規発行は終了となる

マイナ保険証を活用するメリットの一つが、限度額適用認定証の事前申請が不要であることだ。12月2日以降は、その限度額適用認定証の新規発行も終了となる。ただし、12月1日までに発行された限度額適用認定証については令和7年7月31日までは利用可能だ。今後については、マイナ保険証を持たない場合は、資格確認書で対応することとなるが、オンライン資格確認ができない医療機関等の場合は患者の所得区分のわかる資格確認書が必要とされることもある。その場合は、患者は保険者に申請が必要になることを知っておこう。

〇オンライン資格確認の進展で、負担の軽減と医療費適正化が進みつつある

マイナ保険証の利用率が高い施設の方がレセプト返戻があった施設割合が減少しており、マイナ保険証の利用がレセプト返戻の減少の要因の1つと考えられる、という資料が提示されている(図3)。

図3_マイナ保険証の効果(※画像クリックで拡大表示)

医療DXの進展は、医療費の適正化と負担軽減を着実に進めているといえる。令和6年度診療報酬改定では、処方箋料の引き下げがあったが、この引き下げは一般名処方の推進とオンライン資格確認や電子処方箋などの利活用による業務負担軽減に伴うものであるといえる。医療DXの取組は、診療報酬の妥当な評価に近づけるとともに、患者の新たな負担なく医療サービスの向上につながることを改めて理解したい。

山口 聡 氏

HCナレッジ合同会社 代表社員

1997年3月に福岡大学法学部経営法学科を卒業後、出版社の勤務を経て、2008年7月より医業経営コンサルティング会社へ。 医業経営コンサルティング会社では医療政策情報の収集・分析業務の他、医療機関をはじめ、医療関連団体や医療周辺企業での医 療政策や病院経営に関する講演・研修を行う。 2021年10月、HCナレッジ合同会社を創業。

https://www.hckn.work

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