誤薬防止システムとは?介護現場のトラブル防止と業務効率化を目指す

2024.04.11

配薬は薬の種類やタイミングを間違わないように、細心の注意を払う必要があります
昨今、介護対象者の増加を受けて、現場の業務がひっ迫しているケースも多いでしょう。

ひっ迫した状況下では、人為的ミスや誤薬トラブルが発生しがちです
こうしたトラブルを防止する方法として、誤薬防止システムが注目されています。

この記事では、誤薬防止システムにどんなメリットがあるのか、また、導入にあたってはどんな点を考慮すれば良いかを解説します。
誤薬防止システムを検討するにあたって、役立つ情報をまとめていますので、ぜひ導入の検討の参考にしてみてください。

誤薬防止システムとはどんなシステムなのか?

配薬は、介護従事者が最も注意する業務のひとつです
介護現場のIT化が進むまでは、人の手によるメモや、口頭でのコミュニケーションで管理されていました。

しかし、アナログな管理ではヒューマンエラーが生じる割合が多く、介護現場では悩みの種でした。
誤薬防止システムは、介護対象者ごとの服用データを一元管理できるシステムです

介護職員が専用端末やスマートフォンで、簡単で正確かつスピーディに配薬が行えるため、ヒューマンエラーの発生を最小限に抑えることができます。

誤薬防止システムは簡単に導入できる

システム導入と聞くと、なにやら大掛かりで膨大な時間と大量のコストが掛かりそうなイメージがありませんか
しかし、誤薬防止システムの導入は比較的手軽に実行できます。

サービスごとに違いはありますが、基本的には、介護対象者のデータを入力して、服薬データと連携させることで、すぐに導入が可能です。
専用端末やスマートフォンなどから登録したデータを呼び出して簡単に確認することができるので、繁忙を極める現場でも、スピーディかつ正確な配薬を行えます。

誤薬防止システムは操作が簡単

誤薬防止システムは、専用端末やスマートフォンで介護対象者の情報を検索したり、対象のQRコードを読み取ったりすることで、素早く配薬情報を取得することができます
普段から使い慣れたスマートフォンで服薬データを管理できるため、現場への定着も図りやすいでしょう

また、誤薬防止システムは、煩雑な現場業務でも誤薬を防止できるよう、飲み忘れ防止メールなどに対応しています

誤薬防止システムはデータ管理がしやすい

誤薬防止システムには、お薬のデータのほか、介護対象者に関するデータが紐づけられています。
また、誰がいつ配薬したのかの時系列データも確認できるため、複数のファイルを行き来する手間を省けます

なお、院内のデータを単一のデータベースで管理するため、担当者が交代する場合でもスムーズに引き継げるでしょう
システムの活用は誤薬防止のみならず、業務の効率化や属人化リスクの回避にもつながります。

誤薬防止システムを導入するメリットは何か?

誤薬防止システムのメリットは、以下の3つがあげられます。

  • ヒューマンエラーの防止
  • 介護職員の負担軽減
  • 配薬業務の効率化

本章では上記のメリットに加え、副次的なメリットについても紹介します。

ヒューマンエラーの防止

令和2年に札幌市が発表したデータによると、介護現場事故のうちのなんと4割以上が「誤薬が原因の事故」とのこと。
誤薬の発生率が高い主な要因は、薬の渡し間違えや渡し忘れなどのヒューマンエラーだと考えられます

誤薬防止システムには、上記の問題を解決するための機能が備わっています。
例えば、お渡しする薬をシステムでチェックしたり、日々の服薬データを管理し、服薬漏れを検知したりなどです。

なお、薬の情報も管理できるため、服薬時にはスマートフォンで適切な服用量を把握できます
これにより、薬の飲み間違えも防止できるでしょう。

参照:令和2年度介護サービス事業者集団指導資料|札幌市保健福祉局

介護職員の負担軽減

配薬業務は日々行われる業務です。
だからこそ、誤薬防止のために細心の注意が求められる業務でもあります。

介護対象者ごとに異なるデータを照合するプロセスはもちろん、ミスが許されない、重大な事故につながってしまうという懸念が介護職員に与える精神的ストレスも大変な負担になります。
誤薬防止システムを導入することは、介護職員の負担を軽減し、結果として彼らを守ることにつながります

配薬業務の効率化

正確性とスピードが求められる介護現場では、配薬業務の効率化も課題です。
「誰が」「誰に」「どの薬を」「いつ」「どれだけ」配薬したのかを確認することは、従来とても手間の掛かる業務でした。

労働環境や介護職員の状態によっては、データを誤認する可能性もあります。
誤薬防止システムは、簡単な操作で介護対象者のデータを確認でき、お薬の情報が紐づいているので、効率的に業務が遂行できます。

誤薬防止システムの導入にあたって注意すること

これまでのお話で、誤薬防止システムのメリットについてはご理解頂けたと思います。
では、システムの導入にあたって注意すべきことはないのでしょうか。

導入前に確認しておくべきポイントは以下の3つ

  • 誤薬事故やヒヤリ・ハットの発生原因を分析して、必要な機能を考える
  • 自社の介護職員にとって扱いやすいシステムを導入する
  • 導入事例を確認する

まず、自社の誤薬事故やヒヤリ・ハットがなぜ起きてしまうのか、統計的に確認しましょう。
そうすることで、どのプロセスが重要なのかが明確になり、必要な誤薬防止システムの機能がわかります

また、自社の介護職員が扱いやすい形で導入することが、スムーズな現場対応につながります
例えば、デジタル端末の扱いに不慣れな従業員が多い現場ではどうでしょうか。

携帯端末やスマートフォンを使うシステムよりも、ロボット式の方が適している場合もあります。

そして、導入実績があるのか確認することも重要です。
実績の乏しいシステムの場合、導入後に不備が散見されたり、現場で使いにくいインターフェースになっていたりすることもあります。

誤薬防止システムの種類について

誤薬防止システムとひとことで言っても、いくつか種類があります。
介護現場の状況や職員の特性に応じて、自社に最適なシステムを選ぶことが大切です。

モバイル端末(スマホ)ダウンロード型

専用のアプリケーションを使って、配薬の情報を記録・確認するタイプの誤薬防止システムです。
使用場所に縛られずに使用でき、スマートフォンにダウンロードするだけなので、導入の手間やコストが省ける点がポイント。

専用端末型

専用の端末を使って、各介護対象者のバーコードを読み取ることで、配薬情報を確認するタイプの誤薬防止システムです。
スピーディに確認ができるので、日々の業務量が多い現場に最適だと言えます

ロボット型

あらかじめ設定した情報を元に、然るべくタイミングで自動的に配薬するタイプの誤薬防止システム
現場に介護職員が不在でも配薬が行えるので、複数の介護対象者を抱える事業者におすすめの方法です。

伊谷 俊宜氏
伊谷 俊宜氏

人間がやることですからミスはつきものです。ただし、薬に関しては取り返しのつかないミスになり得る可能性もあります。日頃から2重3重のチェックをしつつ服薬介助を実施している施設が多いのではないでしょうか。それでも、服薬にまつわるヒヤリハットや事故は減らないのが現状です。ヒューマンエラーであり続ける以上、一定数の服薬事故が起こることは避けられないでしょう。その都度、事故報告書やヒヤリハット報告書も記載するとなると、それでなくても人手が足りずひっぱくしている現場業務を更に圧迫することは容易に想像できます。こういったシステムを活用することは、事故防止と業務量を減らす観点からも非常に重要であることがわかります。自施設の課題を丁寧に分析したうえで、積極的に導入していきましょう。

誤薬防止システム「服やっくん」のご紹介

「服やっくん」株式会社ワイズマンのソリューションと連携できる誤薬防止システムです。
お薬の渡し間違いと渡し忘れを防止することにフォーカスした、iOSとAndroid対応のモバイル端末(スマホ)ダウンロード型のシステムです。

「服やっくん」の特徴

  • 配薬確認のタイミング
  • 渡し忘れ防止機能


「服やっくん」の特徴は、まず配薬確認のタイミングです。
服用直前の確認なので、事前確認で複数の介護対象者の情報を扱った場合に比べて、ヒューマンエラーの可能性を抑えられます。

また、渡し忘れを防止するために2つの機能が付いています。

1つ目は、配薬チェックの情報がすぐにサーバーに保存され、PCで確認できます
配薬状態が色分けで表示されるため、渡し忘れを即座に発見可能です。

2つ目に、服薬情報の共有です。
スマートフォンなどを介して、配薬情報がリアルタイムで共有されるので、複数人が配薬を行っていても渡し忘れに気づくことができますね。

そして、飲み忘れ防止のリマインドメール配信もあるので、業務多忙などで携帯端末での確認ができない時でも安心です。

他の誤薬防止システムと何が違うのか?

「服やっくん」と他の誤薬防止システムとの大きな違いは「システム連携」にあります

1つは、お薬手帳のQRコード用データを取り込むことで、その介護対象者がこれまでどんなお薬を服薬していたのかが簡単に確認できること。
介護対象者の氏名でも検索できるので、仮に落薬があった場合にも、誰のお薬なのか見当をつけやすいでしょう。

2つ目に、介護記録ソフトとの連携です。
現在は「メルタス+」をはじめ、さまざまな介護記録ソフトと連携が可能です

これらのソフトを導入している事業者では、介護記録ソフトで配薬情報も同時に確認できるので、データ入力の二度手間など、介護職員の負担を軽減することができるでしょう。

「服やっくん」の導入事例

「服やっくん」は複数の事業者での導入実績があります。その中からいくつかの事例をご紹介します。

スミリンフィルケア株式会社 様

スミリンフィルケア株式会社は、令和5年7月23日時点で、住友林業グループ内に、17ヶ所の有料老人ホームと、3ヶ所のデイサービスを運営しています。
誤薬防止は重要な課題のひとつで、お薬の確認はダブル・トリプルチェックで万全を期してきたそうです。

従来では、指差し確認や、介護対象者のお名前の読み上げなどを実施していたとのこと。
介護職員の体調や疲労から来るヒューマンエラーの危険性を認識して、導入を決めたそうです。

ポイントとなったのは「服やっくん」の操作がシンプルなところと、導入が簡単なところだと担当者は話しています。
手間を増やさずに、リアルタイムに配薬情報が共有でき、業務に対する安心感につながっていると現場から評価の声が上がっているそうです。

医療法人社団 三ツ山病院 様

デイサービスセンターと訪問介護ステーションも併設した総合病院、医療法人社団三ツ山病院が母体です。
医療・看護・介護をトータルサービスとして提供しています。

従来から「人」によるチェック体制を徹底してきたそうですが、そこに「システム」を加え、より精度の高い医療体制を目指すために導入を決定したそうです。
導入後には、誤薬のヒヤリ・ハットが実際に防げたケースもあり、効果を実感しているとのこと。

スムーズな配薬が行えて、お薬の残量などもひと目で確認できるなど、業務効率化に貢献しているとの評価を頂いています。

参照元:服やっくん公式サイト

「服やっくん」との連携が可能なワイズマンソリューション

弊社「株式会社ワイズマン」は、医療向け・介護向けソリューションを数多く提供しているほか、企業様の課題へ対応した複数の製品をラインナップしています。

また、いずれも「服やっくん」との連携が可能なため、誤薬を防止しつつ、業務全体の効率化を実現できます
誤薬防止システムの導入を検討中の方や、院内データの一元管理を目指している方は、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。

なお、弊社が提供する製品に興味がある方は、以下よりご覧くださいませ。

誤薬防止システムのまとめ

介護現場における重要な業務「配薬」をサポートする「誤薬防止システム」。
お薬の渡し間違いや渡し忘れを防止してくれる機能は、高齢化で介護対象者が増加する現場にとっては、大きな導入メリットのあるシステムだと言えます。

ヒューマンエラーの防止に限らず、介護職員の業務負担の軽減や、配薬業務全体の効率化も実現することが可能です。

自社のオペレーションや対応状況を踏まえて、導入するシステムにどの機能を重視するのか、また、モバイル端末(スマホ)ダウンロード型、専用端末型、ロボット型のどのシステムを採用するのかを検討してみましょう

導入事例を公開しているメーカーもあるので、参考になる情報もあると思います。

これまで人力で誤薬防止を徹底してきた事業者様、あるいは、誤薬事故が実際に起きてしまい、再発防止を徹底したい事業者様など。
ぜひ誤薬防止システムの導入をご検討されてみてはいかがでしょうか。

監修:伊谷 俊宜

介護経営コンサルタント

千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。

介護・福祉に関連するコラム

資料をダウンロード

製品・ソリューションの詳細がわかる総合パンフレットを無料でご覧いただけます

ダウンロードはこちら
検討に役立つ資料をダウンロード

製品・ソリューションの詳細がわかる総合パンフレットを無料でご覧いただけます

ダウンロードはこちら