介護施設向け見守りシステムとは?導入するメリットや準備を徹底解説!

2023.08.30

厚生労働省は介護現場でのテクノロジー活用を推奨しており、見守りシステムはそのうちのひとつです。
介護施設向け見守りシステムを導入すれば、業務効率の改善や従業員の負担軽減などさまざまなメリットが得られます

なかには、「見守りシステムとはどのようなものだろう?」「どのようなメリットがあるの?」とお考えの方も多いでしょう。

本記事では、介護施設向け見守りシステムについて、導入するメリットや必要な準備を交えて徹底解説します
介護業界で見守りシステムの導入を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

介護施設向け見守りシステムとは?

介護施設向け(高齢者向け)見守りシステムとは、要介護者の部屋にカメラ・センサーを設置して、利用者の様子・状態を介護従事者に伝えるシステムのことです。
転落やバイタル異常・容態の急変などが発生した際に、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末やナースコールへ伝達されます。

そのため、要介護者に緊急事態が発生した際に、的確で迅速な対応が可能です。
厚生労働省も介護施設向け見守りシステムを含む、介護ロボットの導入を推奨しています

自宅や介護施設での介護に役立ち、終始見守れない要介護者の容態感知をリモートで可能です。

約30%の事業所が介護施設向け見守りシステムを導入している

介護施設向け見守りシステムは厚生労働省が推奨しており、全国の介護事業所で導入されています。
2023年3月16日に厚生労働省が公表した「介護現場でのテクノロジー活用に関する調査研究事業」の調査結果によると、約30%の事業所が介護施設向け見守りシステムを導入していました。

参照:厚生労働省|介護現場でのテクノロジー活用に関する調査研究事業

さらに、介護施設向け見守りシステムの活用頻度は「ほぼ毎日利用している」と回答した事業所が91.1%です。
介護業務を効率化するテクノロジーとしては「入浴支援システム」や「介護業務支援システム」などが挙げられますが、各システムの導入割合は次の通りでした

移乗支援システム9.7%
移動支援システム1.2%
排泄支援システム0.5%
見守り支援システム30.0%
入浴支援システム11.1%
介護業務支援システム10.2%

介護業務に活用できるシステムはさまざまですが、見守りシステムの導入割合が非常に高いです。
見守りシステムは要介護者の急変や異変をすぐに察知し、迅速な対応を促進できるため、必要性が高い特性があります。

厚生労働省の推奨もあり、近年は多くの事業者が導入しています。

介護施設向け見守りシステムで把握可能な内容

介護施設向け見守りシステムを導入する際には、「どの程度の内容をシステムで把握できるのか」を知っておくことが大切です。
介護施設向け見守りシステムを導入すれば、次のような内容を把握できます。

  • 離床・入床
  • 転落・転倒
  • 一定時間の不在・徘徊
  • ドアの開閉・入室・外出
  • 利用者の健康状態

要介護者がベッドに入ったり出たりする離床・入床状況を、カメラやセンサーで把握できます。
また、転落・転倒があった際にもすぐにナースコールやスマートフォンで察知できるため、迅速な対応を実現できます。

ベッドや部屋から一定時間離れた際にはアラートで知らせてくれるシステムもあるため、夜間の徘徊にも対応可能です。
センサーによってドアの開閉を把握できるため、要介護者の入出・外出状況を把握できます。

他にもトイレの利用状況や心拍数・呼吸頻度・睡眠状況など、要介護者の健康状態を把握するために必要な情報をシステムで把握・分析できます。

介護施設向け見守りシステムが推奨される理由

介護施設向け見守りシステムが推奨される理由は、次の通りです。

  • 要介護者の異常を察知できる
  • 要介護者が自分で助けを呼べない可能性がある
  • 介護従事者のリソースが不足している

通常、高齢者や要介護者がベッドから転落・転倒した場合、介護従事者が見に行かないと気づきません。
ナースコールや連絡ができる状態であれば問題ありませんが、自分で緊急事態を伝えられない場合は非常に危険です。

介護施設向け見守りシステムが推奨される理由として、要介護者の異常をすぐに察知できることが大きな要因となります。
また、介護従事者が夜間の見守りや定期巡回を行うことで、緊急事態・トラブル発生に対応してきましたがリソースに限界があります。

特に人手不足が深刻化している現代では、介護従事者1人あたりのタスクが多く、人的リソースが不足している状態です。
介護施設向け見守りシステムを導入すれば、人的リソースをかけずに要介護者の状態を把握可能です。

今まで定期巡回に使っていたリソースを他の業務に回せるので、質の高いケアを実現できます。

介護施設向け見守りシステムの仕組み

介護施設向け見守りシステムの導入を検討している方は、「どのように要介護者を見守るのか」仕組みを把握しておきましょう。
介護施設向け見守りシステムの仕組みを把握するため、次の内容を解説します。

  • 介護施設向け見守りシステムの種類
  • 介護施設向け見守りシステムの検知方法
  • 介護施設向け見守りシステムで状態を把握できる仕組み

それぞれの内容を確認して、介護施設向け見守りシステムの仕組みを理解しておきましょう。

介護施設向け見守りシステムの種類

介護施設向け見守りシステムには、以下の3種類があります

  • 天井埋め込みタイプ
  • ベッド設置タイプ
  • ドア設置タイプ

天井埋め込みタイプは、名前通り天井にカメラやセンサーを搭載した見守りシステムを設置して、要介護者の容態や状態を把握します。
部屋全体の様子を遠隔で把握できるため、異常を察知しやすく詳細な状態を把握しやすい見守りシステムです。

ベッド設置タイプでは、バイタルセンサーなどをベッドマットの下に設置して、要介護者の容態を把握します。
天井埋め込みタイプに比べて、ベッド設置タイプは簡易的にシステムを設置できるので導入が簡単です。

ドア設置タイプは、ドアやドア横の壁に設置する見守りシステムで、センサーにより要介護者の入出・外出を把握します。
ドアの開閉による入出・外出のみ把握するシステムなので、要介護者の細かい状態や容態を把握できません。

システムの種類ごとに特性やメリット・デメリットがあるため、導入する見守りシステムの種類を確認しておきましょう。

介護施設向け見守りシステムの検知方法

介護施設向け見守りシステムの検知方法として、次の方法があります。

  • カメラ
  • 赤外線
  • マイク
  • バイタル

介護施設向け見守りシステムの検知方法として、カメラによる遠隔での視覚検知や、赤外線でのセンサー検知が多いです。
他にもマイクによる聴覚検知や、バイタルサインが検知できなくなったときに作業するバイタル検知など、検知方法は豊富にあります。

1種類の検知方法で要介護者を見守るのではなく、複数の検知方法を組み合わせた見守りシステムを導入すると安心して介護サービスを提供できます。

介護施設向け見守りシステムで状態を把握できる仕組み

介護施設向け見守りシステムを設置すれば「なぜ要介護者の状態を把握できるのか?」仕組みを理解しておきましょう。
介護施設向け見守りシステムで状態を把握できる仕組むは、次の通りです。

  1. センサーやカメラを設置する
  2. センサーやカメラをシステムと連携する
  3. 異常の検知し通知する

先ほど解説したように、見守りシステムの検知方法はカメラやセンサー・マイク・バイタルなどさまざまです。
まずセンサーやカメラのような検知システムを要介護者の周辺に設置します。

続いて、センサーやカメラが検知した情報を受け取るシステムと連携します。

見守りシステムと検知システムが連携されてはじめて、要介護者の容態に異常があった際に介護従事者へ通知されるのです。

介護施設向け見守りシステムを導入するメリット

介護施設向け見守りシステムを導入するべきか悩んでいる企業は、導入するメリットを確認しておきましょう。
介護施設向け見守りシステムを導入するメリットは、次の通りです。

  • 業務負担を軽減できる
  • ヒヤリハット・転落事故を防止できる
  • 介護従事者の肉体的・精神的負担を軽減できる
  • ケアの質を向上できる
  • 介護従事者の確保・離職防止につながる
  • 利用者の生活リズムを把握できる
  • 利用者(家族)の安心につながる

このように介護施設向け見守りシステムを導入するメリットは、たくさん存在します。
それぞれのメリットを詳しく解説しますので、見守りシステムを導入するべきか社内で協議してください。

業務負担を軽減できる

介護施設向け見守りシステムを導入するメリットは、業務負担を軽減できることです。

介護施設では、職員が利用者の安全を確保するために24時間体制で対応しなければなりません
夜間の容態変化・非常事態に対応するためにも、夜間の見回りが欠かせません。

その点、介護施設向け見守りシステムを導入すれば、介護従事者のリソースを軽減できます。
多忙な業務負担を軽減して、より効率的な業務運営を実現できます。

システムが異常を検知し適切な対応を促すため、職員の負担が分散されて、より質の高いケアが可能です。
介護施設向け見守りシステムの導入により、業務負担の軽減ができます。

ヒヤリハット・転落事故を防止できる

介護施設向け見守りシステムを導入すれば、ヒヤリハット・転落事故を防止できるメリットがあります
要介護者がベッドや車椅子から転落したり、トイレへの行き来で転倒したりするヒヤリハットは、迅速に対応しなければなりません。

介護施設向け見守りシステムは、センサーやカメラ・バイタルによる検知機能で、要介護者に非常事態が起きた旨を、ナースステーションや介護従事者のスマートフォンに通知できます

離れた場所で作業をしていても、見守りシステムからアラートが鳴るため、非常事態をすぐに察知することが可能です。
介護施設向け見守りシステムは、ヒヤリハット・転落事故を防止できる、命に関わる重要な検知システムとなります。

介護従事者の肉体的・精神的負担を軽減できる

介護施設向け見守りシステムを導入するメリットは、介護従事者の肉体的・精神的負担を軽減できることです

実際、厚生労働省が公表した「介護現場でのテクノロジー活用に関する調査研究事業」によれば「見守りシステムを導入した理由」と「見守りシステム導入により実感できた効果」の第1位は「職員の精神的・肉体的負担の軽減」でした。

見守りシステムを活用すれば、たとえ介護従事者が異常を認識できなかった場合でも検知が可能です。
システムが、万が一の際の最終的な抑止力として機能するので、介護従事者の負担を軽減できるでしょう

参照:厚生労働省|介護現場でのテクノロジー活用に関する調査研究事業

ケアの質を向上できる

介護施設向け見守りシステムを導入するメリットは、ケアの質を向上できることです。
見守りシステムの導入により介護従事者のリソースを軽減できれば、空いたリソースを活用してケアの質を向上できます。

今までは手が回らなかったケアサービスに注力ができ、より質の高いケアを利用者に提供できます
介護施設向け見守りシステムを導入して、提供するケアサービスの質を向上させましょう。

介護従事者の確保・離職防止につながる

介護施設向け見守りシステムを導入することで、介護従事者の確保・離職防止につながります

介護業界は労働過多・人材不足により、従業員の離職率が高い業種です。
実際、先ほど紹介した厚生労働省の「介護現場でのテクノロジー活用に関する調査研究事業」でも「職員の確保・離職防止・定着率向上」を理由に、見守りシステムを導入している企業が多い傾向にありました。

介護従事者が離職を防止し人材を確保するためには、リソースを軽減し働きやすい環境を整える必要があります

介護施設向け見守りシステムを導入すれば、介護従事者の負担を軽減して離職防止につなげられます
介護業界を志す求職者も、見守りシステムを導入している企業の方が安心して働けるでしょう。

そのため、見守りシステムの導入が人材確保にもつながり、定着率向上が期待できます。

利用者の生活リズムを把握できる

介護施設向け見守りシステムを導入するメリットは、利用者の生活リズムを把握できることです
カメラやマイク・センサーやバイタルでは、利用者の入出・外出状況や入眠・徘徊などの生活リズムを把握できます。

夜間の徘徊や不眠症・無呼吸症候群で悩まされる要介護者の生活リズムを把握できれば、課題を解決する対処法を講じられます。
介護施設向け見守りシステムを導入して、利用者の生活リズムを把握し、より手厚いケアを行いましょう。

利用者(家族)の安心につながる

介護施設向け見守りシステムを導入するメリットは、利用者(家族)の安心につながることです。
利用者やその家族からしても、見守りシステムで行動・健康状態を把握してくれている介護施設は、安心して利用できます。

特に家族の方は「他人に任せても大丈夫か?」と心配されるケースもあるので、見守りシステムで24時間対応がしている旨を伝えておきましょう。
見守りシステムは介護従事者や要介護者だけでなく、利用者の家族に安心を与えてくれます。

介護施設向け見守りシステムを導入するための準備

介護施設向け見守りシステムを導入したい企業は、導入するための準備をしておきましょう。
介護施設向け見守りシステムを導入するための準備は、次の通りです。

  • 現状の課題を把握しておく
  • センサーが検知できる範囲を確認する
  • システムを設置するためネット環境を整える
  • システムから情報が伝達される方法を確認する
  • 既存システムとの連携可否を確認する

システム導入の準備を整えて、ケアサービスの向上とリソースの軽減につなげましょう。

現状の課題を把握しておく

介護施設向け見守りシステムを導入するために、現状の課題を把握しておきましょう
現状の課題を解決できる見守りシステムを導入しなければ、リソースを軽減しケアの質を向上させられません。

夜間の見回りでリソースが不足している場合は、バイタル・センサー・カメラなどの検知機能で非常事態を察知できる見回りシステムを導入する必要があります。
夜間の徘徊やベッドからの転落事故が不安な場合は、利用者の状態をカメラやセンサーで把握できる見回りシステムが必要です。

どのシステムを導入すべきか検討するために、現状の課題を把握しておきましょう。

センサーが検知できる範囲を確認する

介護施設向け見守りシステムを導入するための準備として、センサーが検知できる範囲を確認しておいてください。
見守りシステムによってセンサーで検知できる範囲は異なるため、利用する場所や把握したい範囲に適したシステムを選ぶ必要があります。

ドアの開閉だけを検知したいのであれば、ドアの範囲だけをセンサーが検知できれば十分です。
しかし部屋全体の様子を把握したいのであれば、ベッドの入出や室内の行動を把握できるカメラ付きのシステムが求められます。

現状の課題を解消するためにも、利用者の行動を把握したい範囲を明確にしておきましょう。
さらにシステムを選ぶ際に、センサーが検知できる範囲を確認しておくと、希望通りの役割を果たしてくれます

システムを設置するためネット環境を整える

介護施設向け見守りシステムを設置するためには、ネット環境を整えなければなりません

検知機能により異常や容態をシステムに通知するには、ネット環境が必要不可欠です。

システム導入に向けて施設内のネット環境を見直して、必要なネット環境を整備してください

システムから情報が伝達される方法を確認する

介護施設向け見守りシステムを導入する準備として、システムから情報が伝達される方法を確認しておきましょう。
システムから情報が伝達される方法が、ナースステーションへのアラート機能かスマートフォンやタブレットへのアラート機能かによって、整備しておく環境が変わります

また、各介護従事者がナースステーションを離れる場合には、スマートフォンへの通知ができるシステムの方が良いです。
システムから情報が伝達される方法を確認して、見守りシステム導入に向けて準備しましょう。

既存システムとの連携可否を確認する

介護施設向け見守りシステムを導入する準備として、既存システムとの連携可否を確認しましょう
既存の介護システムと連携できる見守りシステムを導入すれば、より高精度なケアを実現できます。

見守りシステムと介護ソフトを連携できれば、入眠時間や起床時間・心拍数や睡眠深度をシステムに自動記録して、より質の高いケアを提供できます。
介護施設向け見守りシステムを導入する際には、既存システムと連携ができるシステムを探して、高精度なケアを実現しましょう。

伊谷 俊宜氏
伊谷 俊宜氏

一昔前は「うちの施設の売りは手厚い人員配置です!」という施設も数多く存在しました。そして未曾有の人材不足に喘ぐ現在では、このような施設はめっきり減っています。更に介護報酬単価も減らされる一方ですので、多くの施設で人員配置基準ギリギリで運営しないと経営が成り立たなくなっているのです。こういった状況下で見守りシステム等を活用し、効率的な運営と顧客の安全を担保しようという施設が増えるのは当然のことといえます。見守りシステムは『顧客のプライバシー侵害』の恐れがあることから導入を躊躇する施設も多いと想像できます。しかしながら、最近のシステムはプライバシーにも十分配慮され開発されています。業務の効率化と顧客の安全を同時に訴求できるシステムですので、積極的に導入していきましょう。

ワイズマンは介護施設向け見守りシステムと連携できる!

ワイズマンが提供するワイズマンシステムSPは、介護施設向け見守りシステムと連携できます。
システムとの連携により、介護業務にかかるタスク・時間を軽減しリソースの削減が可能です。

ベッドセンサーによる検知やバイタル検知・ナースコールによるSOSにも、ワイズマンシステムSPは対応しており、迅速な対応を実現できます。

見守りシステムを活用して介護業務の負担を軽減しよう!

見守りシステムを活用すれば、介護業務の負担を軽減できます。
介護業務の負担を軽減すれば、介護従事者の精神的・肉体的負担を軽減して離職防止・定着率向上へとつながります。

また利用者の生活リズムも把握し、利用者や家族の安心にもつながるため、見守りシステムの導入がおすすめです。

厚生労働省からも導入が推奨されている見回りシステムは、導入前にセンサーの検知方法や検知範囲・既存システムとの連携の有無を確認しておくことが大切です。
この記事で紹介した見守りシステムを導入するための準備やメリットを確認して、導入を検討してみましょう。

監修:伊谷 俊宜

介護経営コンサルタント

千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。

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