R4システムとは?導入するメリット・デメリットを徹底解説!
2023.10.03
介護業界で働く方は、「R4システム」という言葉を耳にする機会があるでしょう。
R4システムとは、介護ケアサービスの質を向上させる仕組みのことです。
より高精度なケアを実現し、顧客満足度を向上させたい企業にR4システムが適しています。
この記事では、R4システムについて導入するメリット・デメリットを交えて解説します。
最後まで読めばR4システムを導入すべきか判断できますので、ぜひ介護ケアサービスを向上させる参考にしてください。
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目次
R4システムとは?
R4システムとは、公益社団法人全国老人保健施設(全老健)が、介護施設におけるケアレベルを向上させるケアマネジメント方法をシステム化したものです。
R4システムの特徴として、アセスメントを段階的に細分化して介護ケアレベルを向上させます。
細分化されたアセスメントを、国際生活機能分類(ICF)を活用した生活機能評価スケールによって評価・分析して、精度の高いケアを実現します。
「R4システムとは?」「R4システムを本格導入すべきか悩んでいる」など、R4システムの導入を悩んでいる企業は、次のポイントをご確認ください。
- R4システムのアセスメント構成
- 国際生活機能分類(ICF)とは?
- R4システムの目的
それぞれのポイントを詳しく解説しますので、R4システムについて理解を深めておきましょう。
R4システムのアセスメント構成
R4システムのアセスメント構成は、大きく分けて4種類に分類されます。
- アセスメント(R1)
- ケアプランの作成(R2)
- ケアプランの実施と確認(R3)
- 変化のチェックとモニタリング(R4)
参照|厚生労働省:介護保険サービスにおける質の評価に関する調査研究事業
4段階の構成でケアサービスを見直し・改善することで、より高精度なケアを実現できます。
それぞれアセスメントごとの特徴を確認して、R4システムの構成を把握しましょう。
アセスメント(R1)
R4システムの第一構成として、アセスメント(R1)があります。
アセスメントとは「適切なケアを実現するための分析・評価」のことです。
従来の介護ケアでは「アセスメント」とひとくくりにまとめていた利用者の評価・分析工程を、R4システムのアセスメントでは「A-1〜4」の4段階に分けて実施します。
R4システムのアセスメント工程は、次の4段階です。
- A-1「インテーク(ニーズアセスメント)」
- A-2「インテーク(適正アセスメント)」
- A-3「生活機能(ICF)アセスメント」
- A-4「専門職(チーム)アセスメント」
まず介護施設への入所前や訪問介護サービスを申し込む際に、「プレインテーク」と呼ばれるサブツールがあります。
ブレインテークでは、利用者や家族に現状の把握・介護ケアへの希望を明確化してもらう工程です。
A-1の「インテーク(ニーズアセスメント)」では、入所前に利用者の介護ケアレベルや状況・課題、ケアサービスの目標や利用目的を把握します。
A-2の「インテーク(適正アセスメント)」で、利用者の運動機能・言語機能・知覚機能など、適正を測定し必要なケアサービスを分析します。
入所後に行うA-3「生活機能(ICF)アセスメント」は、利用者の生活状態・容態を分析し評価する工程です。
さらにA-4「専門職(チーム)アセスメント」では各専門職の担当者が、利用者の介護ケアレベルや課題を測定し、必要なケアを分析します。
ケアプランの作成(R2)
R4システムの第2工程として、ケアプランの作成があります。
R1工程で評価・分析した結果をもとに、ケアプランを作成します。
ケアプランとは、利用者が自立した生活を送れるようにどのような介護サービスを提供するか記した計画書のことです。
R2工程で利用者の介護レベル・課題に合ったケアプランを作成することで、実施すべきケア内容・施策が明確になります。
利用者が快適に過ごし自立した生活を送れるよう、目標達成に向けたケアプランを作成しましょう。
ケアプランの実施と確認(R3)
R4システムの第3工程ケアプランは、ケアプランの実施と確認(R3)です。
R2工程で作成したケアプランに沿って、実際にケアを実施します。
ケアプランに記された内容の他に、食事・排泄・入浴・就寝などの日常生活に欠かせない業務も徹底して行いましょう。
ケアプランの実施と確認を徹底して、利用者と家族が安心して過ごせる介護サービスを提供しましょう。
変化のチェックとモニタリング
R4システムの最終工程は、変化のチェックとモニタリングです。
ケアプランに沿って実施した施策の効果・利用者の変化を評価します。
変化のチェックには国際生活機能分類(ICF)をもとに、誰でも普遍的に評価できる「ICFステージング」を活用しましょう。
変化のチェックにより施策の有効性と改善すべき施策、今後実施すべきケア内容を社内で協議する必要があります。
変化のチェックがモニタリングの基本データになるため、R4工程でケアプランを見直しましょう。
ケアプランを見直して現在必要な施策・ケアを可視化することで、より高精度なケアを実現できます。
国際生活機能分類(ICF)とは?
R4システムでは、国際生活機能分類(ICF)をもとに、効果測定・ケアプランの作成が行われます。
国際生活機能分類(ICF)は、「生きることの全体像」の共通語と定義されています。
1980年に世界保健機関(WHO)が定めた国際疾病分類(ICD)の補助として設定されました。
世界基準で健康状態の指標を示し、介護ケアのレベルを判断するために、国際生活機能分類(ICF)が使用されます。
ICFを設ける目的は、次の通りです。
- 健康に関する状況、健康に影響する因子を深く理解するため
- 健康に関する共通言語の確立、関係者間のコミュニケーションを円滑化するため
- 国・専門分野・サービス分野・立場・時期などの違いを超えたデータの比較
ICFを活用することで、誰が見ても明確に状況判断・ケアの効果を判断しているのです。
R4システムはICFをもとに介護ケアレベルを設定しているため、全国で統一化された指標をもとにケアを実施しています。
R4システムの目的
R4システムの目的を理解した上で、導入を検討することが大切です。
R4システムの目的は、次のようなものが挙げられます。
- 利用者や家族の希望を重視して、自立支援を促進
- 在宅復帰を実現するためケアを確率
- 利用者の状態を客観的に把握し、課題・改善点を可視化
- ケアプランに沿ったケアの実施と記録
- リスクマネジメントの徹底
- 介護ケアの質を評価・改善
- さまざまな介護形態に活用
- 認知症や廃用症候群などへの対応
利用者や家族が安心して介護サービスを受けられるよう、高精度なケアを実現することがR4システムの目的です。
R4システムを導入して、利用者の在宅復帰・社会復帰を目指し、ケアの質を向上させましょう。
R4システムを導入するメリット
R4システムを導入するメリットは、次の通りです。
- ICFに基づいた適切な評価ができる
- 在宅復帰機能向上につながる
- リスクマネジメントにつながる
- 関係者間の情報共有を円滑化できる
それぞれのメリットを確認して、R4システムを採用するべきか社内で協議しましょう。
ICFに基づいた適切な評価ができる
R4システムを導入するメリットは、ICFに基づいた適切な評価ができることです。
ICFに基づいた「ICFステージング」によって、ケアプランの効果を分析・評価するため適正に分かりやすく結果を測定できます。
ICFステージングでは、全老健で統一化されたデータをもとに利用者の心身機能を複数の分野で測定し、5段階の絶対値評価を行います。
測定したデータをイラストや数値を活用して、介護従事者でなくても一目で評価結果を判断できる点がICFステージングの特徴です。
そのため、利用者や家族に現状や課題を伝える際にも、わかりやすく説明できるでしょう。
参照|公益社団法人全国老人保健施設協会:新全老健版ケアマネジメント方式~R4システム~
在宅復帰機能向上につながる
R4システムを導入すると、在宅復帰機能向上へつながるメリットが期待できます。
全老健が公表したデータによると、R4システムを導入している施設は在宅復帰率が高いことが判明しました。
R4システム導入状況 | 在宅復帰率(1〜11月平均値) |
全体的に導入 | 28.74% |
一部に導入 | 19.37% |
導入を検討中 | 19.59% |
導入する予定なし | 16.11% |
R4システムを導入している施設の在宅復帰率は、導入していない施設に比べて約10%も高いです。
さらにR4システムを全体的に導入した施設は在宅復帰率が向上し、ベッドの回転率も向上しました。
R4システム導入状況 | 回転率(1〜11月平均値) |
全体的に導入 | 9.8% |
一部に導入 | 7.4% |
導入を検討中 | 7.5% |
導入する予定なし | 7.0% |
そのためR4システムを導入した施設は、多くの利用者を受け入れることが可能です。
在宅復帰率・回転率が向上するため、満足度の向上や受け入れ拒否による機会損失の防止につながります。
リスクマネジメントにつながる
R4システムを導入するメリットは、リスクマネジメントにつながることです。
R4システムは4段階のアセスメント構成を採用しており、利用者をケアする適切な環境に配慮できます。
そのため、介護従事者が安全にケアができるよう最適なケアプランを作成できます。
R4システムでケアプランを作成することで、サービスの品質が向上し介護従事者・利用者双方への負担を軽減できるでしょう。
関係者間の情報共有を円滑化できる
R4システムでは、R2工程で作成したケアプランを、R3工程で関係者間に共有します。
そのため、R4システムを導入することで、関係者間の情報共有を円滑化できるメリットがあります。
例えば、システム上でケアプランの作成・確認ができ、オンライン上でリアルタイムに共有が可能です。
また、従業員間だけでなく利用者や家族への情報共有を円滑化できるため、業務の効率化とサービス利用の安心感へとつながります。
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R4システムを導入するデメリット
R4システムを導入するメリットを把握した後は、併せてデメリットを確認しておくことが大切です。
R4システムを導入するデメリットは、次の通りです。
- コストがかかる
- 操作性に慣れる必要がある
それぞれのデメリットを確認して、R4システム導入に向け対策しましょう。
コストがかかる
R4システムを導入するデメリットは、コストがかかることです。
導入するシステムによってコストは異なりますが、無料で利用できるものより導入コストがかかる有料のものが多いです。
企業の予算によってはR4システムの導入コストがネックとなる可能性があるため、事前に発生するコストを確認しておくと安心です。
複数のR4システムを比較検討するには、各メーカーに問い合わせ・見積もりを依頼しましょう。
メーカーによっては利用する機能や導入方法で、利用コストが変わるものもあるため、一度見積もり依頼をしておくことをおすすめします。
できるだけ複数のR4システムのコストを比較すれば、自社の予算内で採用できるシステムを適切に選ぶことが可能です。
操作性に慣れる必要がある
R4システムを採用するため介護支援システムを導入するには、操作性に慣れる必要があります。
業務を効率化し生産性を向上させるためにR4システムを導入しますが、操作性に慣れるまでは時間と手間がかかります。
社内でシステムの操作性を教育し、操作ルールを周知する必要があるため、導入初期は余計に時間と手間がかかるかもしれません。
そのため繁忙期や人の入れ替わりが激しい時期にR4システムを導入すると、操作性に慣れるためにリソースを費やして余計に業務負担が大きくなる可能性があります。
多忙な介護現場において新しいシステムの導入で、リソースが奪われるデメリットは避けたいものです。
R4システムを導入する際は、操作性に慣れるまでの時間と手間を考慮して、導入するタイミングを検討しましょう。
リハビリテーションと在宅復帰を促進させるためのツールがR4システムです。R4システム最大の特長はICF(国際生活機能分類)の活用にあります。介護業界は残念ながら、現状ICFを活用しているとは言い難い状況です。障がいではなく、生活の全体を捉え広い視点から総合的に捉えるICFは、在宅復帰やそのためのリハビリテーションと非常に親和性が高いのです。リハビリテーションは本来目的ではなく手段です。つまり、老健は「在宅復帰」のために「リハビリテーション」を提供する場なのです。その機能強化を求められていることは報酬単価をみれば明らかでしょう。R4システムを活用し、質の高いリハビリテーションや在宅復帰率を向上させることはスタッフモチベーション向上にも繋がります。積極的な導入をお勧めいたします。
R4システムを導入するならワイズマンの「介護老人保健施設管理システムSP」がおすすめ
R4システムの導入を検討しているなら、ワイズマンの「介護老人保健施設管理システムSP」がおすすめです。
「介護老人保健施設管理システムSP」は、新全老健版ケアマネジメント方式の「R4システム」に準拠しています。
ケアプランの作成・利用者情報の管理をシステム上で行えるため、従来の紙媒体の書類を使った事務業務のリソースを軽減できます。
システムを通じてオンラインでのリアルタイムコミュニケーションを実現できるため、関係者間でのやり取りをスムーズに行なえます。
全老健のR4システムに準拠した「介護老人保健施設管理システムSP」を導入して、より高精度なケアを実現しましょう。
なお、株式会社ワイズマンでは「介護・福祉向け製品総合パンフレット」を無料で配布中です。
手軽に業務改善を始めたいとお考えの方は是非ご活用ください。
R4システムを導入して高精度なケアを実現しよう!
R4システムを導入すれば、利用者の在宅復帰機能を向上させる高精度なケアを実現できます。
実際、R4システムを導入した施設は、在宅復帰率・ベッド回転率が向上する結果が判明しました。
利用者や家族の満足度を向上し、より多くの利用者を受け入れられます。
そのため、利用者満足度だけでなく企業の生産性向上にもつながり、より充実した環境でケアサービスを提供できます。
R4システムの4段階アセスメント構成により、関係者間の情報共有を円滑化しリスクマネジメントを行いながら、高精度なケアを実現可能です。
ICFに基づいた適切な評価結果からケアプランを作成・改善できるため、利用者や家族への説明もしやすくなります。
R4システムを導入すべきか悩んでいる企業は、ワイズマンの「介護老人保健施設管理システムSP」を導入しましょう。
「介護老人保健施設管理システムSP」は全老健のR4システムに則った業務管理・進行ができるため、はじめてR4システムを導入する企業にもおすすめです。
「介護老人保健施設管理システムSP」を導入して、より高精度なケアを実現してください。
監修:伊谷 俊宜
介護経営コンサルタント
千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施設づくり」を積極的にサポートしている。