障がい福祉ソフトとは?基本機能・導入メリット・比較ポイントを解説
2023.10.03
障がい福祉施設の運営において、職員の業務負担が大きく、本来の利用者へのサービスに集中できていないと感じていませんか。
ケアをするスタッフの負担だけでなく、毎月の請求業務が煩雑で処理に時間がかかる、記録方法がバラバラでスタッフ間の共有がとりにくい、という課題もあるでしょう。
業務の効率化や、請求書業務に「障がい福祉ソフト」の導入をおすすめします。
障がい福祉ソフトでは、障がい者サービスに特化した機能を搭載し、事業所のかかえる課題をサポートしてくれます。
本記事では、障がい福祉ソフトの機能や導入する際に検討すべきポイントを解説します。
事業所が抱える課題の解決に向けて、最適な障がい福祉ソフト選びに役立ててください。
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障がい福祉ソフトとは
障がい福祉ソフトとは、国保連への介護給付費や訓練等給付費などの請求業務や、利用者の情報管理など、障がい福祉事業にかかわる業務全般をサポートしてくれるシステムです。
主に以下の施設で導入されます。
- 障がい者総合支援法
- 児童福祉法
- 地域生活支援事業
上記の施設における居宅または訪問介護や、同行援護、自立訓練などの支援における業務のサポートが可能です。
障がい福祉施設では、障がい者福祉事業所や児童養護施設における介護給付費請求や利用者ケース記録といった、他の医療や介護とは異なる形式の書類の取り扱いが多くあります。
障がい福祉ソフトでは、障がい福祉の業務に特化させることで、こうした書類の処理を効率化できます。
障がい福祉ソフトの主な機能
障がい福祉ソフトによって搭載される機能に違いはありますが、主に搭載される機能は以下のようなものがあります。
計画業務の支援
計画相談支援事業所や訪問事業所、障がい児通所などそれぞれの福祉施設に応じた計画書を作成します。
障がい福祉ソフトでは、テンプレートや入力フォーマットが用意されているため、必要データを入力するだけで各計画書を作成できます。
また、一度作成した計画書はデータベース上で管理されるため、2回目以降は既存の計画書に改善を加え、最適化を目指すことも可能です。
障がい福祉ソフトを活用することで、多くの工数がかかっていた計画業務を効率化できます。
介護給付費請求
障がい福祉サービスでは、国保連への請求を毎月月初におこないます。
かかった費用9割を給付費として国保連へ、残りの1割を利用者へ、請求する形です。
ただし、利用者の収入などの状況に応じて負担額の上限が4段階に分かれていて、上限を超えた分は国保連への請求になります。
こうした複雑な流れの請求業務を自動算定してくれます。
一般的に、障がい福祉サービスの国保連への請求は以下のような流れです。
参考までに確認しておきましょう。
- 利用者と契約、障がい福祉サービスを提供する
- 利用者ごとの上限額管理をおこなう
- 月末~月初にかけて国保連と利用者への請求書作成、請求業務
- それぞれからの給付費、支払いを受け取る
国保連、利用者、行政への帳票も日々のサービス記録から自動で作成されます。
入金管理
国保連、利用者個人への請求後、入金状況を確認できる機能です。
未収金がある場合には、次の請求に合わせて再請求する機能もついています。
利用者情報の記録、サービス記録
サービスの提供日時やサービス内容(実績)、利用者の様子などを日々、記録できます。
利用者の様子で変化があったり、気づいたことがあったりすれば、連絡機能(申し送り機能、メモ機能)で他のスタッフに共有が可能です。
動画や写真での記録も可能なシステムがあり、当日担当していないスタッフにも詳しく伝えられます。
また、医療施設と連携をとっていれば、医師への共有も可能です。
スケジュール管理
訪問サービスがある場合には、訪問予定も、通所のみの場合は利用者の利用予定を管理。
計画書に合わせて自動で予定を作成します。
また、訪問予定や利用者数、職員の希望に合わせてシフトを作成することが可能です。
必要な職員数に満たない場合にはお知らせされるなど、運営に不足のないようチェックする役割も兼ねています。
障がい福祉ソフトを導入する4つのメリット
障がい福祉ソフトを導入する具体的なメリットには以下の4つが挙げられます。
- 請求書作成業務の効率化
- ペーパーレス化による経費削減
- 業務の属人化を防止
- 法改正への対応力が向上
それぞれのメリットについて詳しく見てみましょう。
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請求書作成や記録業務の効率化
日々のケア記録から請求書を自動で作成できるので、請求書作成にかかる時間が短縮できます。
また、手書きで記録していた日々のケア記録についても、ケアをしながら入力できるので、転記する必要もありません。
一度入力した記録が請求書や家族への連絡帳などへ反映されるので、形式の違う書類を作り直すといった手間を省けます。
業務がスムーズになり、時間短縮、スタッフの負担の軽減につながります。
ペーパーレス化による経費削減
障がい福祉ソフトでは、記録業務に使用していた紙が必要ありません。
記録のファイリングや保管スペースに使用する棚なども不要となります。
これらの記録にかかっていた経費が、長期的に見ると大きな経費削減につながるでしょう。
また、ファイリングに充てていた時間の短縮により、スタッフの稼働時間が短縮できること、業務負担が軽減できることも、ペーパーレス化によるメリットの1つです。
業務の属人化を防止
障がい福祉ソフトを導入することで、記録内容を統一し、担当者ごとのばらつきを無くせます。
誰が見ても正しい情報を得られるので、業務が特定の担当に依存するケースを軽減できます。
手書きの記録ではスタッフの書き方に偏りがあったり、曖昧な表現を統一させたりすることが困難でした。
記録内容に差があったり、担当以外の利用者については普段の担当者へ確認しないと分からなかったりと、多くの課題が生じます。
障がい福祉ソフトでは、入力フォームが用意されているため、記録方法の統一を図りやすいでしょう。
結果、いつ誰が担当しても、同じようにケアでき、サービスの品質向上にもつながります。
法改正への対応力が向上
障がい福祉に限らず、福祉や医療では、常に社会の状況に応じて、報酬制度などが改正されてきました。
2024年には「障がい者総合支援法」も改正されることが決定しています。
今回の改正をさっと見てみるだけでも、業務に変化を与える改正は以下のようなものがあります。
- 小規模の事業所において特定事業所加算を組み込む
- 就労継続支援A型でスコア方式を導入
- 収録継続支援B型で段階に応じた報酬制度が設定
- 医療型短期入所や共同生活援助に医療ケア児者を受けいれた場合の加算制度の新設
参照:厚生労働省資料
※ここで紹介している改正内容は一例です。
これらの法改正を正しく反映させるとなると、経理への負担が大きく、ヒューマンエラーのリスクも大きくなります。
障がい福祉ソフトを導入すれば、算定方法などをシステム側で改定してもらえるので、即座の対応が可能です。
担当する職員の混乱を少しでも抑えることができ、法改正への対応がスムーズにできます。
障がい福祉ソフトの比較ポイント
現在では多くの障がい福祉ソフトが開発され、いざ導入する際には「何を見て選べばいいのか」分からない場合もあるでしょう。
障がい福祉ソフトを選ぶ時には、以下のポイントで比較するのがおすすめです。
- 障がい福祉ソフトが対応する業務範囲
- 障がい福祉ソフトの提供形態
- 操作性が優れているか
- ベンダー企業のサポート体制が充実しているか
それぞれのポイントについて、より詳しく解説します。
なお、株式会社ワイズマンではすでに介護ソフトを導入しているが、介護ソフトの入れ替えを検討している方に向けて、「介護ソフト選びガイドブック」を無料で配布中です。ダウンロードしてご活用ください。
障がい福祉ソフトが対応する業務範囲
障がい福祉ソフトは対応する業務によって「総合型」と「特化型」に分かれます。
「特化型」では、請求や記録のみの機能が搭載されているタイプです。
対して「総合型」では、請求や記録以外にもスタッフの勤怠管理や給与計算までカバーしているものです。
事業所の求めるカバー範囲から、「総合型」か「特化型」かを選びましょう。
将来的に機能が多い方がいいのでは、と考えがちですが、総合型の方が一般的に、料金が高くなる傾向があります。
必要な機能を洗い出してから、実際に使用するであろう機能を選び取ることが大切です。
障がい福祉ソフトの提供形態
障がい福祉ソフトは導入形態によっても2つに分かれます。
それぞれの特徴を以下のようにまとめてみました。
オンプレミス(インストール) | クラウド(ASP) | |
データ保存 | 自社のサーバに保存 | システム会社のサーバに保存 |
システム利用の方法 | インターネットなしで利用 | インターネットを経由して利用 |
導入費用 | 初期費用がかかりやすい | ランニングコストがかかる |
共有可能 | 拠点が離れていると共有不可 | 離れた場所からでも共有可能 |
訪問サービスなどもふくむ場合は、複数の拠点やタブレット端末からの操作も可能なクラウドの方がおすすめされます。
一方で、インターネットトラブルを回避できることや、少ない端末数ならクラウド型より安く導入できることがオンプレミス型の特徴です。
自社の規模やサービス形態(訪問サービスの有無など)に合わせて導入形態を選ぶといいでしょう。
操作性が優れているか
ケアの間に端末から記録をすることがメインになるので、操作性も重視したいポイントです。
音声入力や選択式での入力、または手書き入力など、入力方法ひとつでもさまざまなタイプがあります。
選択式の入力では入力時間を大幅に削減できそうです。
また、画面の見やすさも大事な要素です。
ケアの前後に利用者の情報を確認する際、情報量が多すぎて見えにくいこともマイナスですが、必要事項が表示されないことも業務に支障が出てしまいます。
見やすく、ケアに必要な情報が把握できる程度の画面になっているかを見てみましょう。
操作性については、システム会社が提供するデモンストレーションを、実際に使用するスタッフに確認してもらうことも大切です。
ベンダー企業のサポート体制が充実しているか
導入後のサポート体制についてもあらかじめ確認しましょう。
今使用している記録を登録してくれるサービスがあれば、導入前後にスタッフに大きな負担がかかることがありません。
また、ソフトの使用方法についてレクチャーがあるかどうかも要確認です。
低価格のソフトだと、操作方法を動画などで説明しているのみで、研修サポートなどをおこなっていない場合もあります。
端末操作が不得意でなければいいかもしれません。
しかし、スタッフが端末操作をそれほど得意でなければ、レクチャーがある方が安心です。
さらに、サポート体制については、トラブル時の対応も確認しなければなりません。
自社の稼働時間にサポートしてもらえるのであれば、トラブル時もスムーズに解決できます。
電話対応か訪問対応かの対応方法や、24時間体制か土日休みか、など細かなところまでチェックしましょう。
2018年の介護報酬改定にて、共生型サービスが創設されました。国は介護、障がい、保育などの分野を超え、複数の福祉施設を一体的に運営できるよう政策誘導しています。共生型サービスはその一環といえるでしょう。障がい福祉ソフトを導入することで業務効率をアップさせる必要があるのは、障がい福祉業界も介護業界同様必須であることは言うまでもないでしょう。導入は最低限として、先に触れた介護、障がい、保育などの分野を超えた一体化を見据えてのシステム導入が必要です。障がい福祉だけではなく、介護・保育分野にも実績のあるソフトの導入を積極的に検討していきましょう。
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ワイズマンの障がい福祉サービス向けソフト
ワイズマンの提供する障がい福祉サービス向けソフトは、他者製品のなかでもクラウド型を早くから開発してきました。
1983年の設立以来、多くの福祉・医療サービスでシステム導入のサポート実績があります。
障がい福祉ソフトについての主な特徴を紹介します。
幅広いサービス種別に対応
特化型の障がい福祉ソフトでは、対応するサービスが限られてしまうことがデメリットとも言えます。
ワイズマンのソフトは幅広いサービスへ対応しているため、事業所の規模が大きくても、運用が可能です。
地域医療連携に強い
電子カルテシステムなども開発しているため、福祉にかぎらず、医療分野との連携が可能です。
そのため、地域全体での医療介護連携システムの構築にも活用できます。
今後、医療機関との連携を考えている事業所には特におすすめです。
まとめ
障がい福祉ソフトの機能や選び方について解説してきました。
ソフトの導入によって、業務負担が軽減されることはスタッフが働きやすく、新しい働き方への足掛かりにもなります。
また、業務負担の軽減で、ケアに集中でき、より高い質のケアを提供できることも、利用者への大きなメリットです。
福祉業界では将来的に人材確保が厳しいことも問題視されています。
今後、事業をより良く、継続させていくためにも障がい福祉ソフトの導入を検討してみてください。
本記事が参考になり、より良い事業所運営に活かされると幸いです。
監修:伊谷 俊宜
介護経営コンサルタント
千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。