介護保険ソフトの導入メリットとは?正しい選び方と導入手順を解説

2023.10.03

介護施設の事務業務を効率化できるとして、介護保険ソフトが注目されています。
ただ、介護保険ソフトに興味があるものの、具体的なメリットを描ききれていない方も多いのではないでしょうか

本記事では、介護保険ソフトの基本機能をお伝えしつつ、4つの導入メリットを紹介します。
事務業務の効率化をご検討中の方は、ぜひご参考ください。

【基礎知識】介護保険ソフト(介護ソフト)とは?

介護保険ソフトは、主に介護保険の請求業務を効率化するシステムです。
ただ、近年はアセスメント・ケアプランの作成や、利用者情報の管理などにも対応した多機能なソフトが一般的です。

本章では、介護保険ソフトの基本機能と国保中央会介護伝送ソフトとの違いを紹介します。

介護保険ソフトの基本機能

介護保険ソフトといっても、価格やカバーしている業務範囲は様々です。
多くの介護保険ソフトに標準搭載された機能を、業務範囲ごとに表へまとめました。

日常業務の機能利用者情報の管理機能
評価・分析機能
ケアプラン作成機能
介護サービス記録機能
給与計算・勤怠管理関連の機能勤怠管理機能
給与計算機能
請求機能
その他統計・レポーティング機能

上記表の各機能について、以下で簡単に説明します。

  • 利用者情報の管理機能
    利用者が多くなれば、それに伴って管理する情報量も増えていきます。

    必要な時に必要な情報がすぐに見つけられることはもちろん、個人情報はセキュリティ面も非常に重要なので、利用者情報の管理機能は大変便利です。
  • 評価・分析機能
    介護保険ソフトは、必要事項を入力することで、利用者の容態を客観的に評価できます。
    分析内容をもとにケアプランを作成するため、利用者一人ひとりに合った適切なサービスを提供できます。
  • ケアプラン作成機能
    介護保険ソフトは、アセスメントとケアプランが連動して必要項目の入力を助けてくれるので、ケアマネージャーの業務効率を向上させられます。
  • 介護サービス記録機能
    介護保険ソフトは、日々の介護記録の記録の抜け漏れ防止やわかりやすい記載をサポートしてくれるので、担当者の業務負担を減らすことができます。
  • 請求機能
    介護保険ソフトは、請求機能も搭載していますので、事業規模が大きな事業者でもスピーディな請求業務が可能です。
    紙媒体でのアナログ管理や、目視での情報確認では限界もあるので、請求機能を利用することで業務効率を高めましょう。
  • 勤怠管理機能
    事業所によっては、タイムカードや別々のソフトやアプリで管理していて、記録忘れ緊急出勤・夜勤の対応など管理の煩雑さに悩まされているケースもあります。

    介護保険システムに搭載されている勤怠管理機能を使えば、勤怠状況の確認がスムーズです。
  • 給与管理機能
    勤怠情報に基づいて、給与計算が自動化されるので、毎月の業務負荷を軽くすることができます。
  • 統計・レポーティング機能
    各事業所の現状分析や、経営会議のためのレポート統計データ作成も、介護保険ソフトがあれば、簡単に作成可能です。

介護保険ソフトと国保中央会介護伝送ソフトの違い

「国保中央会介護伝送ソフト」は、公益法人「国保中央会」が提供する伝送ソフトで、介護請求の作成と伝送が行えるパッケージ形式(期限が来たら再購入が必要)のソフトです。

ここでは、民間の介護保険ソフトとは何が異なるのかを解説します。
わかりやすく以下に機能比較を表にしましたので、ご覧ください。

民間介護保険ソフト国保中央会介護伝送ソフト
請求作成機能
伝送機能
サポート機能*×
料金○*
サポート
*介護記録や勤怠管理などの機能。
*3年毎に更新料が必要で、購入費用に加えて電子証明書発行の手数料などがかかります。

上記を見るとわかるように、国保中央会介護伝送ソフトは「請求」と「伝送」に特化しているので、民間ソフトのようなケアプラン作成や勤怠管理などの各種サポート機能はありません。

純粋に請求業務だけを行いたい、それ以外の機能が必要な事業者向けのソフトであると言えます。
導入コストは、民間の介護保険ソフトに比べて安価ですが、パッケージ形式になるので、オンラインでのアップデートには対応していません。

そのため、3年毎に更新料を支払うことと、購入費用に加えて電子証明書発行の手数料などがかかる点に注意が必要です。

また、国保中央会介護伝送ソフトは、サポートデスクの対応時間が介護保険の請求期間と請求期間外で分かれています。
請求期間外だと土日祝に対応していないので、休日も稼働している事業所の場合は注意しましょう。

民間であれば、サポートデスクの対応時間が長かったり、土日祝対応していたりと、事業所の状況に柔軟に対応しているケースが多いです。

介護保険ソフトを導入する4つのメリット

ここまでは介護保険ソフトの基本機能と国保中央会介護伝送ソフトとの違いを中心に説明してきました。
なんとなく介護保険ソフトの使用イメージが沸いた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ここでは、介護保険ソフトの導入によって、具体的に日々の業務がどのように変化するのかをお伝えしたいと思います。

介護保険・請求業務を効率化できる

介護保険ソフトに請求機能が搭載されていれば返戻率の改善が図れます。
毎月、介護利用者の情報を元に、提供したサービスに対しての料金を計算して、利用者と国保連へ請求する業務が必要です。

内容に不備があった場合は返戻される場合があり、その場合は再提出のために修正する時間がかかります。
請求期間に間に合わなかった場合には、該当月に売上計上ができなくなりますので「返戻率」は経営上、大変重要な指標だと言えるでしょう。

人件費を節約できる

介護保険ソフトを導入することで、各業務の遂行がスムーズになり、そこにかけていた時間を短縮することができるので、結果として人件費を抑えることができます。

例えば、請求業務の返戻対応、ケアプラン作成、各種データの資料化、介護担当者の給与計算など、複数の業務を一度に効率化することが可能です。

これまでの運用が人に依存するアナログ管理の事業者ほど、介護保険ソフトの効果は大きいと言えるでしょう。

情報管理の負担を軽減できる

介護保険ソフトを利用すると、担当者の情報管理がスムーズになります。
特に、介護サービスの進捗確認や評価において、必要な情報にすぐアクセスできることは必要不可欠です。

複数のデータを異なるフォーマットで管理していると、管理業務も煩雑になりがち。
また、介護利用者の介護記録などは、大変重要な個人情報なので、情報漏洩やハッキングのリスクにも留意する必要があります。

介護保険ソフトを利用することは、セキュリティ面の信用を高めることにも繋がります。

情報の一元管理により経営判断を円滑化できる

介護利用者の特徴や介護過程を分析したり、介護担当者の勤務状況を確認するなど、情報がひとつのソフトで一元管理できていれば、データ抽出や図表化の手間が省け、経営指標の確認がスピーディに行えます。

事業所の目標作成や利益改善を考える際、必要になる情報は多岐に渡りますので、わかりやすい情報管理を考えることは、スムーズな経営判断には必要不可欠ですね。

自施設にあった介護保険ソフトを選ぶための4つのポイント

介護保険ソフトは、製品によって、提供形態や対応する業務範囲などが異なります。

また、運用開始後に操作性が悪いと感じたり、サポート体制が自施設に合っていなかったりというトラブルもありますので、以下のポイントを参考に、比較検討してみてください。

介護保険ソフトの提供形態

介護保険ソフトの提供形態は、大きくパッケージ型とクラウド型の2つに分けることができます。
パッケージ型の場合、提供ディスクを購入するか、販売元のホームページからダウンロードインストールして利用します。

定期的に新しいバージョンを購入する必要があり、ローカル環境(PC等のHDDや独自サーバー)にデータを保存するので、万が一に備えてバックアップも不可欠です。

障害対応のスピードが遅い場合がある点にも注意しましょう。クラウド型は、クラウド上でデータを管理する形式です。
アップデート対応が自動で、サーバーの確保・保守・保全の必要がないので、運用コストを抑えられる点が特徴です。

また、パッケージ型が基本的には端末1台につきソフトが1本必要なのに対して、複数人の同時利用が可能というメリットもあります。

介護保険ソフトが対応する業務範囲

介護保険ソフトは、メーカーごとにカバーしている業務範囲が異なりますので、自施設に合ったソフトを選びましょう。
例えば、小規模事業者であれば、介護記録やケアプラン作成などの業務負荷が小さい、スタッフが少ないので給与計算が容易、といったケースもあるでしょう。

その場合には、介護保険ソフトに求める機能は最小限でも良いと思います。
反対に、中規模・大規模事業者では、利用者もスタッフも多くなるので、業務効率化した場合のメリットが大きく、経営状況が大幅に改善することもあると考えられます。

介護保険ソフトの操作性は優れているか

介護保険ソフトをすでに利用している事業者には、導入した介護保険ソフトの操作性に不満があったり、不明点がなかなか解決できないということもあります。

タブレットやスマホで直感的な操作ができるか・文字や見やすいか(拡大縮小に対応しているか)など、実際に利用したらどうかをイメージして検討してみることも大切です。

サポート体制が充実しているか

介護保険ソフトによって、サポート体制は異なります。
対応時間が長い、チャット対応ができる、土日祝にも対応が可能など、事業所の対応時間や担当者の運用スキルを考えて、必要なサポートが必要なタイミングで受けられるかを確認しましょう。

介護保険ソフト導入から運用までの流れ

ここまでのお話で、介護ソフトを導入すると業務環境がどのように変化するのか、具体的にイメージができたかと思います。
では、実際に介護保険ソフトを導入するためにはどのような手順が発生するのかを見ていきましょう。

導入

  1. 各メーカーや代理店に問い合わせ
  2. PCやタブレット端末の準備(オンプレミス型の場合にはサーバー契約も)
  3. 製品料金の支払い
  4. 介護保険ソフトをダウンロード
  5. 運用開始

運用開始後

操作方法に関する不明点や、ソフトの不具合があった場合にはサポート窓口へ問い合わせます。
メーカーや代理店によっては、初期運用に担当者が同席したり、アップデート対応や法改正に準拠して定期的に研修会を実施してくれる場合もあります。

介護保険ソフトの導入費用

導入にあたって機能の次に気になるのは導入費用だと思います。
ソフト形式に応じて必要な費用が異なるので、導入時の予算や、ランニングコストで比較検討しましょう。

パッケージ型

導入時に費用を一括支払いするパッケージ型の場合、導入時のコストは大きいですが、長期で運用することで月換算の運用コストが抑えられる場合が多いです。
定期的(3年に一度など)にアップデートが必要になるので、新しいバージョンを再購入します。

クラウド型

クラウド型の場合、パッケージ型に比べると導入コストが抑えられます。
月額費用がかかる代わりに導入時には無料であったり、アップデートが自動で行われるので、新しいバージョンを再購入するコストが不要といったメリットがあります。

伊谷 俊宜氏
伊谷 俊宜氏

昨今少しずつ介護現場でも、タブレット端末やスマートフォンを業務に活用する事業所が増えてきました。昔の現場は記録できる場所(PCが設置してある場所など)に移動しなければ記録ができないのが当たり前でした。そして、まだまだこのような現場が多いのが現実です。タブレット端末等を活用することで、記録する場所に縛られないというのは大きなメリットです。 また、今後注目かつ活用していただきたいのは音声入力です。手書きのメモを見ながら、入力する形が主流だと思いますが、タブレット端末等と音声入力機能を活用すれば、手書きメモも不要です。音声入力の精度も以前とは比較にならないレベルで進化しています。 各業態で使用するソフトの使い勝手は異なりますので、HCRなどの展示会に積極的に足を運んで、比較検討してみることをお勧めいたします。

ワイズマン提供 ケア記録支援ソフト すぐろくTableのご紹介

株式会社ワイズマンでは「すぐろくTablet」というケア記録支援ソフトを提供しています。
シンプルで快適な操作性を求めている事業者にピッタリなソフトなので、導入検討の参考にしてみてください。

すぐろくTabletの基本機能

  • 利用者別一覧
    介護利用者ごとに、介護記録の入力有無を確認できます。
    介護記録を個別もしくは一括で入力できるので、記録業務の時短が図れます。
  • 時間別一覧
    24時間の時間軸から介護記録を確認できます。体調が悪そうな場合に、介護利用者の過去の様子を確認する時などに便利です。
  • 定型文入力
    介護記録の備考は、定型文が用意されているので、簡単に入力ができます。
    もちろん、直接入力音声入力にも対応しています。
  • 申し送り一覧
    対応する画面から、申し送り事項を一覧で確認できるので、確認漏れを防げます。
    申し送りにはボタンをタッチするだけなので、直感的に簡単に操作できます。
  • ワークシート
    介護保険請求・記録システム「ワイズマンシステムSP」で作成したケアプランと連動させることで、作成されたケアプランを確認して、実施記録もつけることができます。

すぐろくTabletのオススメポイント

タブレットを使うので、持ち運びしやすく、現場からリアルタイムで記録・確認ができます。
また、スマートフォンにも対応しているので、新たにタブレットを購入しなくても、現在所有しているデバイスを生かして運用ができます。

オプション機能

「すぐろくTablet」は介護保険請求・記録ソフトシステムの「ワイズマンシステムSP」と連動することが可能です。
これによって、作成したケアプランを現場のTabletで確認しながら介護サービスを実施できます。

また「すぐろくTablet」で入力した情報がリアルタイムで「ワイズマンSP」にも同期されるので、請求業務のために情報を再度入力する手間が省けます。

料金

導入時に必要なコストは、保守や法改正費用を含めた「5年使用権パック」の購入費用と、システム設定や操作説明に必要な「初期導入費用」のみです。

導入の流れ

導入までの基本的な流れは以下の通りです。スムーズに現場で運用開始ができるように、手厚いサポート体制を敷いています。

  1. お問合せ
  2. お客様の現状ヒアリングと導入プランのご提案
  3. お見積りとスケジュールのご案内
  4. 導入決定
  5. 納品とオリエンテーション
  6. 稼働支援・操作説明
  7. 本稼働

まとめ

本記事では、介護保険ソフトの新規導入を検討している事業者に向けて、基本的な機能のご説明や、メリットどのようなポイントに注目して製品を選べば良いのかなどを解説しました。

メーカーによって、搭載している機能や使い勝手が異なるので、本記事の情報をひとつの基準として、比較検討にお役立て頂ければと思います。

介護保険ソフトは業務効率化を図れる一方で、導入時や運用にはどうしてもコストは必要です。

導入後に足りない機能が見つかったり、操作性に不満が出たりということを防ぐためにも、ぜひ慎重にご検討を進めて頂ければ幸いです。

監修:伊谷 俊宜

介護経営コンサルタント

千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。

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