介護業務を効率化するための5つのアイデア!改善の手順とポイントを解説
2023.12.06
介護施設では利用者のケアだけでなく、介護記録の作成や利用者のスケジュール管理など、さまざまな業務が発生します。
そのため、スタッフの負担を減らしたり、運営を円滑化したりするためにも介護業務の効率化が重要です。
他方で、実際に効率化に着手しようと思っても、「どの業務から手をつければいいかわからない」「効率化するアイデアがない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では介護業務を効率化するアイデアや、改善の手順などについて解説します。
ぜひ参考にしてください。
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目次
介護業界で業務の効率化が求められる2つの理由
まずは介護業界で業務の効率化が求められる背景について解説します。
昨今、介護業界では業務の効率化を目指す動きが活発になっていますが、その主な理由は以下の通りです。
- 介護人材の不足
- 介護ニーズの増加
いずれも今後の介護施設運営に関わる重要な要素であり、運営方針を定めるうえでも意識しなければなりません。
それぞれ順番に解説します。
介護人材の不足
介護業界は離職率が高いために、長年深刻な人手不足に悩まされてきました。
介護業界は同僚だけでなく利用者やその家族、医療関係者などさまざま立場の人と関わるため、人間関係の悩みが生じやすい傾向があります。
そのような状況では、従業員のモチベーションが下がりやすくなり、離職を誘発するリスクが高まります。
働きやすい環境を構築しなければ、スタッフの定着率が低下するでしょう。
そのため、業務効率化による働きやすい環境の構築は、人材を確保するうえで欠かせない取り組みです。
2.介護需要の増加
介護業界の人手不足が解消されない一方で、介護需要は年々増加しています。
参照元:介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン 改訂版|厚生労働所老健局
上記の資料によると、年間数十万人のペースで必要となる介護人材数が増加しています。
将来的にも需要拡大が続くと予測されています。
しかし、人手不足が深刻化されている状況で、ニーズに応えられるだけのサービスの維持は困難です。
そのため、限られた人員でサービスの質を維持し、生産性を向上させられる業務体制が必要になります。
業務体制の刷新はサービスの質だけでなく、スタッフの定着率にも影響する取り組みです。
書類作成・記録の管理・スケジュールの把握などさまざまな業務を効率化すれば、利用者のケアに集中できる体制を作れます。
【厚生労働省ガイドライン】介護業務を効率化するための業務改善アイデア
介護業務の効率化には、さまざまなアイデアがあります。
厚生労働省のガイドラインでも紹介されている代表的なアイデアは以下の5つです。
- 職場環境の整備
- 介護業務の流れを変更・再構築
- 手順書を作成して作業を標準化
- システム・ICT機器の活用
- 情報共有の工夫
参照元:より良い職場・サービスのために今日からできること|厚生労働省
いずれのアイデアも、介護業務を改善するうえで役立ちます。
また、自施設が抱える課題を洗い出す際の着眼点にもなるため、ぜひ把握しておきましょう。
1.職場環境の整備
職場環境を整備する際は5Sを意識しましょう。
5Sとは「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の頭文字を取った用語であり、安全かつ快適な職場環境を作る指針となるものです。
いずれも当たり前のことのように見えますが、5Sを意識して職場環境を整備すると効率的な業務を実現しやすくなります。
必要なものを必要な時に取り出せるように整理すれば、物を探す時間を減らし、サービスの提供スピードを向上させられます。
また、床に置いた物でスタッフがつまずくような事故を防げるなど、安全な職場環境の構築にも役立てられるでしょう。
2.介護業務の流れを変更・再構築
業務全体の流れを変更したり、再構築したりする取り組みも重要です。
ルーティンワークに3M(ムリ・ムダ・ムラ)があると、スタッフに過剰な負担がかかったり、役割分担に偏りが発生したりと、さまざまな問題が発生します。
3Mを取り除くためにも、介護業務の流れをあらためて見直し、無駄な業務の省略や役割分担の変更などを積極的に実施しましょう。
なお、業務改善での対応が難しい場合は、業務の流れ全体を再構築し、それぞれのタスクを配置し直す方法も効果的です。
再構築によってスタッフが手薄になる時間帯や、特定の従業員に業務が偏る瞬間を改善すれば、無理のない業務を実現できます。
3.手順書を作成して業務を標準化
自施設の業務を記載した手順書は、業務の標準化に役立ちます。
介護業務は従業員のスキルや経験の影響が出やすく、能力にムラがあると、従業員の業務負担の偏りやサービス品質の低下を招きかねません。
自施設のサービス品質を維持するためにも、手順書を活用した従業員のスキルの底上げやサービスの均質化は不可欠です。
また、手順書による業務の平準化はスキルや経験に依らない業務分担も実現します。
業務分担が最適化されると、スタッフのチームワークが向上し、より効率的に業務を回せるでしょう。
4.システム・ICT機器の活用
効率化において、システムやICT機器の活用は欠かせません。
介護業務に紙媒体を用いる施設は多い一方で、介護記録作成や請求書の発行などの業務が大きな負担となります。
また、一度手元の記録用紙にバイタル情報を記載してから別の書類に転記するような二度手間が発生するなど、無駄な業務の温床になりがちです。
より効率的な業務フローを実現するには、介護業務に特化したシステムやICT機器を積極的に導入しましょう。
昨今の介護業務向けのツールは必要な記録や書類を電子化するだけでなく、機器からインプットされた情報を自動で書類に反映できるなど、無駄な業務の削減にも役立てられます。
5.情報共有の工夫
介護業界は交代制でスタッフが配置されているため、スタッフ間の引き継ぎが何度も行われます。
しかし、紙やPHSを用いた従来の情報共有は、記録資料を取りに行く手間を発生させたり、複数人での同時通信ができないなど、さまざまな難点がありました。
よりスムーズな情報共有を実践するには、介護業務向けのシステムを活用しましょう。
近年普及している介護業務向けのシステムはパソコンやタブレットなど、さまざまなデバイスと連携できるため、業務の合間でもスムーズに記録の共有ができます。
また、インカムを活用すれば複数人が同時に連絡できるため、タイムラグのないシームレスな連絡が可能です。
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効率化に向けた業務改善の手順
介護業務の効率化は、あらかじめ手順を立てて実施するとスムーズに進みます。
効率化に向けて業務改善を行うなら、以下のステップを意識しましょう。
- 手順1.業務改善の準備
- 手順2.介護業務の課題を可視化
- 手順3.改善案を模索し実行計画を策定
- 手順4.業務改善の実施
- 手順5.業務改善の効果を検討
各工程の要点をまとめているので、ぜひ参考にしてください。
手順1.業務改善の準備
業務改善をする前に、まずは準備を進めましょう。
施設全体の業務を改善するには、マネジメントや現場の業務に関わっている人材で構成されたチームが不可欠です。
それぞれの意識や知識を持ち合わせれば、課題を改善する道筋が見えやすくなります。
さらに一枚岩になって業務改善をすることにより、施設全体が一丸となって取り組みやすくなるでしょう。
しかし、施設によっては人員不足でチームの立ち上げが難しい場合もあります。
その場合は改善に取り組めるスタッフのみでチームを構成し、課題の可視化から始めるとスムーズに進めやすくなります。
また、外部の研修会やコンサルティングを活用し、第三者の協力を得る方法もおすすめです。
手順2.介護業務の課題を可視化
業務改善において、介護業務の課題を可視化するプロセスは不可欠です。
どのようなアイデアも現場の実態にそぐわないと本来の効果を発揮しないだけでなく、根本的な原因を改善できません。
また、課題を可視化すれば、業務の問題だけでなく、管理職と現場のスタッフの認識の差を把握できます。
課題の可視化はスタッフへのヒヤリングや、課題把握シートのようなチェックシートを活用しましょう。
この際、ルーティンワークの洗い出しを並行して行うと、課題と業務の因果関係が見えやすくなります。
なお、部署や立場を横断して情報収集を行えば、より多角的な観点からの現状分析が可能です。
手順3.改善案を模索し実行計画を策定
業務改善の準備や課題の洗い出しが終わったら、実行計画を策定して具体的な改善案を模索します。
改善案を模索する際は、具体的に内容を決めましょう。
「この業務を一生懸命やろう」「この課題を意識しよう」のような抽象的な改善案では、途中経過を把握しにくいだけでなく、正確な成果が出ません。
「特定のツールを導入する」「無駄な業務を削減し新たなフローを組む」など、具体的に決定すれば、達成までの道筋が明確になります。
手順4.業務改善の実施
実行計画を策定したら、いよいよ業務改善を実施します。
業務改善はスモールスタートを心がけ、着実に結果を出していきましょう。
スモールスタートで小さな成果を重ねていけば、モチベーションが維持できるだけでなく、ノウハウの蓄積によって新たなアイデアを創出する可能性が高まります。
小さな業務改善を着実に実行し、PDCAサイクルを回せば、やがて大きな業務改善を達成する道筋が把握できます。
関連する業務改善を同時進行で遂行していけば、よりスムーズな効率化を実現できるでしょう。
手順5.業務改善の効果を検討
業務改善はただ実行するだけでなく、効果の検討も重要です。
業務改善の効果は「業務改善がどれだけの影響をもたらしたか」「副次的な変化が発生していないか」など、多角的な観点からの検討を心がけましょう。
もし業務改善に不備があったり、悪影響が発生したりしたら、PDCAサイクルを回し、次に講じる新たな改善策を決めます。
新たな改善点を見出せば、より効果的な業務改善を実践できます。
介護業務の効率化を成功させるためのポイント
業務改善の効率化は、成功させるうえでいくつかのポイントに注意しなければなりません。
効率化において注意すべきポイントは、以下の3つがあります。
- 介護業務の効率化とサービスの品質向上の両方を目指す
- 介護スタッフの協力を得る
- 介護システムを「上手く」活用する
いずれのポイントも業務改善を実践する重要な要素です。
それぞれのポイントを意識し、介護業務の効率化を成功させましょう。
介護業務の効率化とサービスの品質向上の両方を目指す
介護業務の効率化を実施するには、並行してサービスの品質向上も目指す必要があります。
介護業務の効率化において、手順書の作成やシステム・ICT機器の導入などは欠かせない取り組みです。
しかし、効率性を重視するあまり、肝心のサービスの品質向上ができないと意味がありません。
例えば新たな手順書の作成は、スタッフ間のスキルやサービスの質を均質化する効果がありますが、これは画一化を意味するものではありません。
個々の利用者に合わせた柔軟な対応をするために、最低限のスキルを担保することが、手順書の本来の役割です。
むしろ手順書があるからこそ、利用者ごとに必要なケアを模索し、実践する必要があります。
このように効率化と並行してサービスの品質向上に努めることは、業務改善において重要なポイントです。
自施設やスタッフだけでなく、利用者にも恩恵が得られるような取り組みを目指しましょう。
介護スタッフの協力を得る
介護業務の効率化は介護スタッフからの協力を必ず得ましょう。
自施設の業務フローを改善する場合、マネージメントする側だけで改善策を決めても、現場で働くスタッフが実践できなければ効果は得られません。
そのため、介護業務の効率化を実践する際は介護スタッフへのヒアリングを欠かさず行い、彼らの協力を確実に得られるように体制を整える必要があります。
スタッフから協力を得られれば、より効果の高い改善策を生み出しやすくなるでしょう。
介護システムを「上手く」活用する
効率化の過程で介護システムを導入する際は、「上手く」活用することを意識しましょう。
介護システムは業務の効率化に欠かせないツールですが、不適切な運用だと本来の効果を発揮せず、かえってスタッフの業務負担を増やす恐れがあります。
介護システムを導入する際は、あらかじめ運用方法や研修方法を決め、迅速に定着が図れるようにしましょう。
さらに運用を進める中で、PDCAサイクルを回していけば、運用方法を最適化できます。
介護は対人の仕事であり、福祉職でもあることから、どうしても「効率化」などといったキーワードに対しモヤモヤする気持ちを抱く方も多いのではないでしょうか。マネジメントする立場の方なら「もっと利用者と関わりたいのに全然時間が取れない!それなのに更に効率化とは何事か!!」というような声を現場から聞くことも珍しいことではないでしょう。素晴らしい心掛けなのですが、効率化に関して大きな誤解があります。それは、深刻な人手不足に陥る介護業界では業務効率化することこそが、利用者と関わる時間を確保することに他ならないということです。効率化するのは利用者とのコミュニケーションではなく、記録業務等利用者とは関わることのない業務なのです。利用者との時間を大切にするためにも、徹底的に効率化していくことをお勧めいたします。
介護業務の効率化にはワイズマンソリューションがおすすめ
介護業務を効率化をするには、ワイズマンソリューションがおすすめです。
弊社「ワイズマン」は介護業務を効率化するシステム・介護業界向けの人材支援サービス・介護業界向けのセミナーなど、さまざまなソリューションを実践しています。
また、さまざまな形態の介護施設に対応しているため、現場の事情に合わせたきめ細かな支援が可能です。
さらにワイズマンは介護施設と医療機関・利用者の家族を連携するソリューションも提供しており、業務の効率化だけでなく、シームレスな情報共有もサポートしています。
介護業務の効率化だけでなく、施設のさらなる成長を実現する糸口が見つかるでしょう。
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すでに介護ソフトを導入していている方も、介護ソフトの入れ替えを検討している方も、自身に最適なプロダクトを選ぶために重要な4つのポイントを解説していますので是非ご活用ください。
まとめ
介護人材の不足や介護ニーズの増加に際し、介護業務の効率化は多くの施設が解決に取り組む課題です。
厚生労働省が提示しているように、介護業務の効率化にはさまざまなアイデアがあります。
とりわけ業務フローの見直しや新たな介護システムの導入などは、効率化において大きな効果を発揮します。
ただし、いずれのアイデアも手順を踏み、成功するポイントを意識しなければ、達成できません。
もし自施設だけで効率化の実現が難しいなら、ワイズマンのソリューションを活用しましょう。
ワイズマンのサポートを上手く取り入れれば、効率化を達成する可能性が高まります。
監修:伊谷 俊宜
介護経営コンサルタント
千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。