【介護ソフト向け】IT導入補助金2023年|スケジュールや概要をわかりやすく解説
2024.01.19
介護施設は、介護ソフトを使用すると業務改善が可能です。
しかし、興味があっても介護ソフトの導入コストがネックになっている方が多いのではないでしょうか。
介護ソフトの導入では、IT導入補助金が使える可能性があります。
IT導入補助金を利用すると、最大450万円補助されるため、負担を軽減できます。
本記事では、IT導入補助金の概要・スケジュール・利用の手順について解説します。
介護ソフトの導入をお考えの方は、ぜひ最後までご覧ください。
なお、株式会社ワイズマンでは介護ソフトの入れ替えを検討している方に向けて「介護ソフト選びガイドブック」を無料配布しています。
介護ソフトの導入時によくある問題と対策についても記載していますので是非ご活用ください。
目次
【基礎知識】IT導入補助金とは?
IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際に、ツールの購入額やそのほか関連費用を補助する制度です。
要件を満たせば、最大で450万円補助されます。
本章では、IT導入補助金の概要として、対象事業者と補助金の種類を紹介します。
IT導入補助金の対象となる介護事業者
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者の介護事業者であれば申請できます。
介護事業者の場合、以下の法人が当てはまります。
- 資本金の額が5,000万円以下の会社
- 常勤の従業員が100人以下の会社
- 医療法人又は社会福祉法人で常勤300人以下の会社
IT導入補助金の種類
介護施設が導入できる、IT導入補助金には5種類あります。
ITツールをどのような目的で導入するかで、種類が分けられています。
以下は5種類のIT導入補助金と概要です。
枠 | 類型 | 機能要件 |
---|---|---|
通常枠 | A類型 | 業務工程や業務種別が1プロセス以上 |
通常枠 | B類型 | 業務工程や業務種別が4プロセス以上 |
セキュリティ対策推進枠 | 「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているいずれかのサービス | |
デジタル化基盤導入枠 | デジタル化基盤導入類型 | 会計、受発注、決済、EC ・~50万円部分:上記のうち1機能以上 ・50万円超~:上記のうち2機能以上 |
デジタル化基盤導入枠 | 商流一括インボイス対応類型 | 以下両方の機能を有するもの ・インボイス制度に対応した受発注機能 ・受注側の事業者にアカウントを無償で発行できる機能 |
介護ソフトに適用できるのは、通常枠のA類型・B類型が一般的です。
IT導入補助金を適用できるかどうかは、介護ソフトのベンダー企業(提供会社)によっても異なります。
IT導入補助金を利用したい場合は、導入を検討している介護ソフトがどの補助金に対応しているのかを確認しておきましょう。
【介護ソフト向け】IT導入補助金 通常枠(A・B類型)の概要
ほとんどの介護ソフトは、通常枠(A・B類型)が適用されます。
ここでは、通常枠(A・B類型)の対象になるITツール・補助される金額を紹介します。
「IT導入補助金 通常枠(A・B類型)」の対象となるITツール
通常枠(A・B類型)の対象となるITツールには、条件があります。
なお、通常枠A類型・B類型の棲み分けは以下のとおりです。
- 通常枠A類型:1プロセス以上を内包するITツール
- 通常枠B類型:4プロセス以上を内包するITツール
対象となるプロセスは、以下のとおりです。
引用:通常枠(A・B類型)|IT導入補助金2023年
- 顧客対応、販売支援
- 決済、債権債務、資金回収管理
- 供給、在庫、物流
- 会計、財務、経営
- 総務、人事、給与、労務、教育訓練、法務、情報システム
- その他業務固有のプロセス
- 汎用、自動化、分析ツール(A枠はこの要件単体は申請不可)
例えば、請求業務のみに対応したソフトは、「会計、財形、経営」プロセスのみなのでA類型が適用されます。
一方、施設業務全体に対応する介護ソフトは、B類型が適用されます。
「IT導入補助金 通常枠(A・B類型)」の補助額
「IT導入補助金 通常枠(A・B類型)」の補助額は、それぞれ以下のとおりです。
補助額(下限・上限) | 補助率 | |
A類型 | 5万~150万円未満 | 1/2以内 |
B類型 | 150万~450万円以下 | 1/2以内 |
IT導入補助金の申請前〜交付までの流れ
IT導入補助金は、補助金が交付できるか審査を受ける必要があります。
審査に通らないと、補助金が交付されないため注意が必要です。
本章では、IT導入補助金の基本的な申請手順を解説します。
- 手順1:IT導入補助金 申請前の準備
- 手順2:IT導入支援事業者とITツールの選定
- 手順3:交付申請(IT導入支援事業者と共同)
- 手順4:ITツールの発注・契約・支払い
- 手順5:事業実績報告(IT導入支援事業者と共同)
- 手順6:補助金交付
手順1.IT導入補助金 申請前の準備
まずは、IT導入補助金を申請する前に3つの準備が必要です。
「gBizIDプライム」アカウントの取得 | 行政サービスを利用するのに必要なアカウント。 アカウント取得に約2週間必要なため、早めの申請が必要。 |
「SECURITY ACTION」の実施 | 「一つ星」又は「二つ星」の宣言をしている。 「一つ星」:「情報セキュリティ5か条」を読み、目標を決めて申請する。 「二つ星」:「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」の実施と、情報セキュリティ基本方針を定め、申請する。 |
みらデジ経営チェックをする | PC・スマートフォンから解答することで、デジタル化の推進状況を把握できる。「gBizIDプライム」のアカウントが必要。 |
「gBizIDプライム」は、申請してから取得まで、約2週間かかります。
そのため、まずは「gBizIDプライム」の申請から準備すると良いでしょう。
手順2.IT導入支援事業者とITツールの選定
次にすべきことは、IT導入支援事業者とITツールの選定です。
自分たちが導入したい介護ソフトを、目的に応じて探すようにしましょう。
選定した介護ソフトが補助金制度の対象かどうかは、IT導入補助金2023のサイトから確認できます。
手順3.交付申請(IT導入支援事業者と共同)
IT導入補助金とITツールを選定したら、交付申請を行います。
具体的には、以下の手順で進めていきます。
- IT導入支援事業者から『申請マイページ』を共有してもらい、代表者氏名などの申請者基本情報を入力する。
- 交付申請に必要としている情報入力・書類添付を行う。
- IT導入支援事業者が情報を入力する。(導入するITツール情報、事業計画値)
- 『申請マイページ』上で入力内容の漏れ・ミスがないかチェックし、申請に対する宣誓を行い事務局へ提出する。
また、交付申請する際には、書類の準備が必要です。
- 履歴事項全部証明書
- 法人税の納税証明書(納税額等証明用又は所得金額用)
手順4.ITツールの発注・契約・支払い
交付申請をすると、事務局から審査完了の通知が来ます。
「交付決定」の通知が来たら、ITツールの発注・契約・支払いを進めましょう。
申請書類や申請内容に不備があった場合は、不採用の通知が来ます。
不採用の通知が来た際には、不備があった部分を訂正して提出しなおします。
また、ITツールを交付前に発注・契約・支払いをすると補助金が交付されません。
交付決定の通知がくるまでは契約しないようにしましょう。
手順5.事業実績報告(IT導入支援事業者と共同)
交付決定通知書が届いた後は、事業実績報告をします。
申請はすべて、『申請マイページ』から行いましょう。
作成後、IT導入支援事業者が確認、必要情報の入力をします。
全て完了したら、事務局に事業実績報告を提出しましょう。
手順6.補助金交付
事業実績報告が終了すると、補助金が交付されます。
補助金交付は、事務局が書類の検査をします。
また、必要に応じてヒヤリングや立ち入り検査を行う場合もあります。
補助金交付額の決定通知は、『申請マイページ』から確認できます。
内容に相違がなければ、『申請マイページ』から承認すると補助金が交付されます。
承認しないと補助金が交付されないため、注意してください。
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【2023年】IT導入補助金 通常枠(A・B類型)のスケジュール
IT導入補助金(後期)の交付申請は、2023年8月1日から開始されています。
また、2023年12月現在で申請に間に合うのは9次〆切分以降です。
令和5年度中に申請を考えている介護事業者の方は、早めに申請するようにしましょう。
9次締切分 | 10次締切分 | ||
締切日 | 2023年12月25日 (月) 17:00 | 2024年1月29日 (月) 17:00 | |
交付決定日 | 2024年1月29日 (月) (予定) | 2024年3月4日 (月) (予定) | |
事業実施期間 | 交付決定~2024年7月31日 (水) 17:00 | 交付決定~2024年8月30日 (金) 17:00 | |
事業実績報告期限 | 2024年7月31日 (水) 17:00 | 2024年8月30日 (金) 17:00 |
IT導入補助金を申請するうえでの注意点
IT導入補助金は、介護事業施設が介護ソフトを導入する際に利用したい制度です。
しかし、利用する際には気をつけるべきポイントが存在します。
本章では、特に注意しなければいけない以下3つの点について解説します。
- 補助金対象外の介護ソフトも存在する
- 審査を通過できなければIT導入補助金を受けられない
- 補助金交付後も事業実績の報告が必要
注意点を理解して、ITツールを導入する際のトラブルを防ぎましょう。
補助金対象外の介護ソフトも存在する
1つ目は、補助金対象外の介護ソフトが存在する点です。
IT導入補助金は、「IT導入補助金2023」が事務局となっています。
事務局が採択していないITツールおよびベンダーが申請していないソフトは、補助金対象外です。
使いたいITツールが補助金対象か確認するには、検索ツールを利用しましょう。
こちらのサイトでは、2023年IT導入補助金に採択されているITツールのみが表示されます。
予算や都道府県など条件付きで調べられるため、とても便利です。
補助金対象外のソフトもあるため、ぜひ検索サイトを利用していきましょう。
審査を通過できなければIT導入補助金を受けられない
2つ目は、介護事業者も審査を通過しないと補助金を受けられない点です。
審査基準は定かではありませんが、特に申請情報の入力ミスによる審査落ちが多いです。
必要書類や申請情報を入力する際は、必ず誤りがないかを確認しましょう。
なお、不明点がある場合は、IT導入支援事業 コールセンターや介護ソフトのIT導入支援事業者へ問い合わせるのがおすすめです。
補助金交付後も事業実績の報告が必要
3つ目は、補助金交付後に事業実績の報告が必要になる可能性があります。
これは、制度運営側が、提出された計画書をもとに、ITツールが運用されているかを把握するためです。
事業実績の報告書作成には手間もかかるため、注意が必要です。
ただ、不明な箇所は、IT導入支援事業者もサポートしてくれます。
介護ソフトを導入する際には、信頼できるIT導入支援事業者を選び、良好な関係を構築しておきましょう。
日本の時間当たり労働生産性はOECD加盟38カ国中27位となっています。このように世界と比較して、労働生産性が低い状況であるにも関わらず、更に人口減少フェイズの我が国は40年後の労働人口が約4割減少すると予測されています。こういった数字を並べると如何に危機的な状況下にあるかがわかります。
こうした予測に対して各事業者が取るべき対策は、「生産性向上」と「柔軟な雇用体制の推進」です。前者の具体例がICTの積極的に活用で、後者は定年の引き上げや育児をしながら働ける環境整備などになるでしょう。国もこうした流れに対応するため様々補助金を用意しています。こうした補助金を活用していきたいのですが、補助金申請は非常に複雑で分かりづらいものが多いため、専門家に相談のうえ進めることも検討していきましょう。
まとめ
本記事では、介護ソフトに活用できるIT導入補助金の概要を紹介しました。
介護ソフトに適用される補助金は、以下の2つが一般的です。
補助額(下限・上限) | 補助率 | |
A類型 | 5万~150万円未満 | 1/2以内 |
B類型 | 150万~450万円以下 | 1/2以内 |
ぜひ、IT導入補助金を活用し、介護ソフトを導入しましょう。
なお、株式会社ワイズマンでは「介護ソフト選びガイドブック」を無料で配布中です。
すでに介護ソフトを導入していている方も、介護ソフトの入れ替えを検討している方も、自身に最適なプロダクトを選ぶために重要な4つのポイントを解説していますので是非ご活用ください。
監修:伊谷 俊宜
介護経営コンサルタント
千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。