介護ソフトの乗り換え手順|乗り換え前にやるべき準備と移行先の選び方
2024.04.08
介護ソフトを乗り換えるには、正しい手順を踏むことが大切です。
誤った方法をとると、現状の課題を解消できなかったり、かえって状況が悪化したりする恐れがあるためです。
では、一体どのような手順で乗り換え作業を進めれば良いのでしょうか。
本記事では、準備段階も踏まえつつ、介護ソフトの乗り換え手順を紹介します。
後半では、製品の選び方・おすすめな介護ソフトも解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
なお、株式会社ワイズマンでは介護ソフトの入れ替えを検討している方に向けて「介護ソフト選びガイドブック」を無料配布しています。
介護ソフトの導入時によくある問題と対策についても記載していますので是非ご活用ください。
介護ソフトを乗り換える前にやるべき3つのこと
自施設の業務がうまく回っていないからといって、早計に「介護ソフトを乗り換えよう」というのは危険です。
介護ソフトの乗り換えには費用も労力もかかるため、本当に必要な取り組みなのかを精査しなければなりません。
また、新たな介護ソフトの要件を整理するためにも、以下3つを行いましょう。
- 業務改善を検討・実施
- 現状の問題点・上手く機能している点を洗い出す
- 介護ソフトを乗り換える目的を設定
それぞれの項目について、具体的にどのようなことをするのか、確認していきましょう。
業務改善を検討・実施
まずは、施設内の業務フローがソフトの機能をうまく活用できているかを見直してみましょう。
現状、介護ソフトを導入していて「業務がうまく回っていない」と感じるのは、そもそもソフトに合わせた業務フローになっていない可能性も考えられます。
例えば直接ソフトに入力できる内容にも関わらず、ソフト導入前のように一度、担当者がメモしてからソフトに入力している、など無駄な業務が入っていませんか?
また、個人のやり方が定着してしまっているために時間がかかってしまっているといったケースも考えられます。
介護ソフトの乗り換えには、多くのコストがかかります。
真っ先に介護ソフトを入れ替えるのではなく、業務改善での対応が可能かどうかを検討すると良いでしょう。
現状の問題点・上手く機能している点を洗い出す
介護ソフトを乗り換える際は、現状の問題点だけでなく、うまく機能している点も洗い出します。
問題点の洗い出しには、過去にあったトラブルや困りごとをスタッフにヒアリングすることが大切です。
事業者側では把握しきれていない問題点や、スタッフの臨機応変な対応で知らないうちにクリアされてきた問題点にもフォーカスしてみましょう。
それぞれの機能がうまく活用できているのかどうかを見極めておくことで、自施設に本当に必要な機能が何なのかが見えてくるでしょう。
もし今の介護ソフトの機能に不足があるなら、機能を追加できないかなどをシステム会社と相談してみるのも1つの手です。
介護ソフトを乗り換える目的を設定
介護ソフトをやみくもに乗り換えても、現状の課題をすべて解決できるとは限りません。
問題点を把握しないままに乗り換えることによって、これまで以上に業務フローが複雑になってしまう事態を引き起こす可能性もあります。
介護ソフトを乗り換える前に、乗り換えの目的を設定してみてください。
- 解決したい問題点
- 新しいソフトに求める機能
- 効率化したい業務フロー
上記の内容をふまえて目的を設定すると、どの介護ソフトが自施設に適しているのかが分かりやすくなってくるでしょう。
介護ソフトを乗り換える手順
介護ソフトを乗り換える手順は、5段階に分けられます。
- 既存ソフトの使用・データ量を調査
- 介護ソフトの乗り換え計画を策定
- 新たな介護ソフトの選定
- データを移行し新たな介護ソフトを稼働
- 介護スタッフの教育
ここでは、それぞれの手順について解説します。
介護ソフトの乗り換えには事前準備からシステム運用まで結構な労力と時間がかかるため、手順を知ることでイメージを持ちやすくなります。
手順1.既存ソフトの仕様・データ量を調査
まず自施設で現在導入している介護ソフトのデータ量を把握しておきましょう。
現状のデータ量によって、移行作業の所要時間が大きく異なります。
また、介護ソフトの仕様も確認してみてください。
例えば、データが保管されているファイルの形式や、アップデート状況などです。
既存ソフトの仕様によって、データの移行方法が異なります。
スムーズに乗り換えを完了させるためにも、既存ソフトについてしっかりと調査しておきましょう。
手順2.介護ソフトの乗り換え計画を策定
既存の介護ソフトの仕様・データが把握できたら乗り換え計画を作成していきます。
介護ソフトの乗り換え計画をあらかじめ立てておけば、どのようなタイミングで誰が、何をするのかが担当者全員で共有できます。
乗り換え計画がない状態では、都度、誰が何をするのかを相談することになり、余計な時間がかかってしまいます。
乗り換え計画の策定には以下のポイントを記載してください。
概要
介護ソフトの乗り換えの方針や業務への影響などを記載します。
乗り換えの必要性や今後の方向性を共有できるため、新しい介護ソフトの導入から運用まで職員が同じ目的を持って業務を進めていけます。
移行中の影響
移行中の業務への影響も、計画を立てる時点で確認しておきましょう。
介護は、利用者へのサービスを完全に停止することが難しい職種です。
万が一、移行中に利用者情報を確認できないようであれば、業務に支障をきたします。
そのため、介護ソフトの「乗り換えによってどのような影響が出るのか」と、「その対応策」もあわせて検討しましょう。
なお、詳しい内容は、導入する介護ソフトが決まった後、ベンダー企業(提供会社)に相談するのがおすすめです。
これまでの経験や知識をもとに、親身に対応してもらえるでしょう。
移行スケジュール
介護ソフトの乗り換えに必要な全工程を洗い出し、完了までのスケジュールを設定します。
工程を整理する際は、大きな区分から徐々に細分化していくのがおすすめです。
この方法であれば、タスクの見落としを防止できるうえに、タスク間の依存関係も把握しやすいためです。
なお、スケジュールを設定したら、関係者へ共有して認識のズレがないかを確認しましょう。
手順3.新たな介護ソフトの選定
次に、介護ソフトの乗り換え先を選定していきます。
乗り換え先の選定には、現状の課題を解決できるかどうかがもっとも重要なポイントです。
また、データ移行の方法やサービスの有無も確認しておきましょう。
なかには、データ移行の機能があっても、移行自体は施設で対応しなければならなかったり、別で料金がかかったりすることもあります。
ただ、移行中には、誤った対応でデータが消失するリスクもあります。
自施設での実施が不安な場合は、サポート体制が整った介護ソフトを選びましょう。
手順4.データを移行し新たな介護ソフトを稼働
乗り換え先の介護ソフトが決まると、移行段階に入っていきます。
移行段階では、データの移行が中心の作業となるでしょう。
データ移行の方法は、大きく以下の2つがあります。
- CSV移行
- データパンチ移行
それぞれの特徴は、以下のとおりです。
移行種別 | 取り込み方 | 特徴 |
CSV移行 | CSVファイルを取り込む | 手軽に移行できる CSVへの対応が必須 取り込める情報量が少ない |
データパンチ移行 | 人力でデータを入力 | 移行データを自由に決められる 労力と時間がかかる システムの種類は限られない |
取り込みたいデータ量とデータ移行にかけられる時間、労力とのバランスでどちらの移行方法を採用するか決めましょう。
また、新しい介護ソフトを稼働する際には、他に連携しているシステムがあれば、それらとも連携をし直さなければなりません。
他システムとの連携も、システム会社でサポートしてもらえるのかをあらかじめ確認しておきましょう。
手順5.介護スタッフの教育
ソフトの乗り換えができたら、新しいソフトの操作方法などの研修を行います。
介護施設のスタッフは平均年齢が高いこともあり、操作方法の習得までに時間がかかる場合もあります。
また、操作方法を統一しないと、業務効率の悪化を招きます。
操作方法を統一できるように、時間をかけたトレーニングが必要です。
責任者や、トラブル時の対応方法も、研修段階で再確認しておくといいでしょう。
乗り換え先の介護ソフトを選ぶ際のポイント
介護ソフトの乗り換えを検討していると「一体どこがいいのかわからない」「結局どこを使っても一緒では?」と悩む方もいるでしょう。
ここでは、乗り換え先の介護ソフトを選ぶポイントを3つあげます。
- 移行できるデータの範囲を許容できるのか
- サポートサービスの内容が自施設にあっているか
- 自施設の機能要件を十分に満たしているか
それぞれについて詳しく解説しますので、乗り換え先を選ぶ時の参考にしてみてください。
なお、株式会社ワイズマンではすでに介護ソフトを導入しているが、介護ソフトの入れ替えを検討している方に向けて、「介護ソフト選びガイドブック」を無料で配布中です。ダウンロードしてご活用ください。
移行できるデータの範囲を許容できるのか
介護ソフトの乗り換えで大きな課題になりやすいのがデータの移行についてです。
データ移行では、下記の情報を移行できれば、業務に大きな影響はないでしょう。
- 利用者名・性別・生年月日・住所
- 介護保険情報
- 親族関係者・緊急連絡先
- 口座情報
- 介護計画書
- 法人・事業所情報
しかし、CSV出力できるデータ、また取り込みできるデータで双方に違いがあれば、上記の情報も移行できない可能性があります。
そのため、既存の介護ソフトと乗り換え先のソフト双方の移行可能なデータを確認しておきましょう。
サポートサービスの内容が自施設にあっているか
介護ソフトは、業務の多くをサポートすることが多いため、システムの不具合があると業務にも大きく影響します。
これまで導入していた介護ソフトを使用していてトラブル時にどう対処したか、システム会社からどのようなサポートがあったかを思い出してみてください。
思うようなサポートが受けられずに、施設の職員が困ってしまっていたなどがあれば、より手厚いサポート体制が整っているシステムを選ぶ方がいいでしょう。
自施設の人材や状況を考慮し、適切なサポートサービスを提供する介護ソフトを選びましょう。
自施設の機能要件を十分に満たしているか
乗り換える介護ソフトが自施設で必要となる機能要件を満たしているか、といったポイントも大切です。
機能要件には、下記のようなものがあげられます。
帳票要件
請求書、計画書、記録書などの必要となる帳票の種類や形式がそろっているか、といった要件です。
今まで使用していた様式があれば、似たようなレイアウトにできればスタッフの混乱もできるだけ抑えられます。
バッチ要件
経営状態の把握や施設全体の管理にかかわる数値を、自動で集計できる機能の有無も確認しましょう。
これまでに活用してきた集計方法などがあれば、同様の機能が付いていれば、継続して施設の管理をおこなっていけます。
データ要件
施設で管理したい情報を記録・管理できるかというのも重要です。
活用してきた利用者情報などを、新システムでは管理できないとなると大きな混乱を招いてしまいます。
どのような情報を記録できればいいのかをあらためて確認してみましょう。
外部インターフェース要件
外部システムとの連携が可能かどうかが外部インターフェース要件です。
複数の施設を運営している場合には、外部との連携が必須の要件となる場合もあるでしょう。
あらかじめ他施設で使用しているシステムを確認し、連携の可否を確認しておきましょう。
「変わりたくない」という気持ちは誰の心の中にもあります。特に介護業界ではこの気持ちが顕著であるように思います。様々な利用者との関わりのなかで試行錯誤しながら構築してきた『やり方』を変えたくないという気持ちはよくわかります。『今が忙しすぎて変えている暇はない』という気持ちもよくわかります。しかしながら、現場が変わりたくないと思っていても、現場を取り巻く環境が大きく変わってきてしまっているのです。ダーウィンは「最も強いものが生き残るのではない。最も変化に敏感なものが生き残る。」という名言を残しました。今、介護業界に最も必要なものは“変化を恐れない心”ではないでしょうか。介護ソフトを乗り換えるというのは間違いなく大きな変化です。生き残る事業者になるためビジョンを見直したうえで検討していきましょう。
介護ソフトの乗り換えはワイズマンにお任せ
ワイズマンの提供する介護ソフトは、他システムとの連携が可能なほか、大規模な事業所にも対応しています。
日々の介護業務をより効率よく進められるオプションもそろっているため、現場のスタッフが介護サービスにより注力できるでしょう。
LIFE(科学的介護情報システム)に対応
介護分野においては、あらゆる介護実績情報を集約するLIFE(科学的介護情報システム)が開始されています。
LIFE申請は様式が複雑なこともあり、事業所によっては申請する手間が省けず、申請できていないこともあるでしょう。
しかし、経営拡大を図るのであれば、LIFEへの申請は今後、必須となってきます。
今から介護ソフトを乗り換えるのであれば、LIFE申請に対応したタイプがおすすめです。
記録支援オプション「すぐろくTablet」
充実したオプション機能の一つに、介護記録をその場で完結できる『すぐろくTablet』があります。
画面が見やすく、シンプルな操作性のため、端末操作の苦手なスタッフがいても簡単に習得できます。
その場で記録して共有できるため、スタッフ間での情報の行き違い防止にもつながるでしょう。
過去の記録をすぐに確認できることで、利用者の変化にもいち早く気付けます。
ワイズマンは、居宅介護や訪問介護など様々な施設に対応するため、複数の製品を提供しております。
なお、株式会社ワイズマンでは「介護ソフト選びガイドブック」を無料で配布中です。
すでに介護ソフトを導入していている方も、介護ソフトの入れ替えを検討している方も、自身に最適なプロダクトを選ぶために重要な4つのポイントを解説していますので是非ご活用ください。
まとめ
介護ソフトの乗り換えには、既存のソフトを使用してきたなかでのトラブルや、現状の業務の課題を洗い出すなど、現状の把握からスタートしましょう。
施設でかかえる困りごとを相談してみると、システム会社から解決策を得られることもあります。
また、どのような機能やサポート体制が必要かなどが明確になることで、乗り換え先のソフト選定もスムーズに進められます。
自施設に合った介護ソフトを導入できれば、施設職員の働きやすさや、より良い介護サービスの提供にもつながるでしょう。
本記事を参考に、施設に合った介護ソフトへの乗り換えを進めてください。
監修:伊谷 俊宜
介護経営コンサルタント
千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。