介護ソフトの使い方!効果的な活用方法と注意点を解説

2024.06.12

介護ソフトを導入すれば、円滑な業務の遂行や煩雑な作業の削減を実現できます。
しかし、介護ソフトの機能を理解し、それを使いこなせなければ、これらの効果は得られません。

高い導入効果を得るためには、介護ソフトの使い方をマスターする必要があります。

本記事では、介護ソフトの機能別に効果的な活用方法を解説します。
後半では、運用時の注意点も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

【基礎知識】介護ソフトとは

介護ソフトは、その名のとおり介護事業所の業務をサポートするためのソフトウェアを指します。
介護ソフトを導入すれば、介護報酬の請求業務や、ケアの記録・利用者情報の管理など、さまざまな業務を効率化できます。

従来の介護ソフトは、介護報酬の請求業務に特化したものが一般的でした。
しかし近年は、経営管理・勤怠管理などさまざまな機能を搭載した製品が増えています。

また、有料老人ホーム・訪問介護・通所介護など、各業種に特化した介護ソフトも登場し、より現場のニーズに対応できるようになりました。

厚生労働省も介護ソフトの導入を推進

いまだにケアサービスの記録や請求書の作成を紙媒体で実施している事業所も多く見られます。
こうした従来型の作業方法では、記入ミスが発生したり、作成に時間がかかったりなど多くの課題に直面します。

この課題を解決すべく注目されているのが、介護ソフトです。
介護ソフトでは人手の作業を大幅に削減できるため、ミスの削減・業務の効率化が期待できます。

そのため厚生労働省は、ICT支援導入事業を立ち上げたり、導入時の手引きの提供やセミナーの開催を行ったりするなど、介護事業所の介護ソフト導入を支援しています。

介護ソフトの役立つ機能と使い方

介護ソフトには、さまざまな機能が搭載されており、用途に合わせて適切に運用する必要があります。
代表的な機能は、以下の5つです。

  • 介護報酬等の請求処理
  • 利用者情報の管理
  • ケアサービスの記録
  • 新しい法規制への対応
  • LIFEとの連携

本章では、上記機能の概要と使い方・活用方法を解説します。

介護報酬等の請求処理

介護報酬や利用者料金などの各種請求処理は、介護ソフトのもっとも代表的な機能です。

これらの業務は作業が煩雑化しやすく、ミスの温床になっていました。
万が一書類に不備があれば、介護報酬の支払いが適切に行われないなどのリスクもあります。

その点、介護ソフトではケア記録や日誌データと連携して請求書を作成できるため、各種請求処理をスムーズに完了させられます。

また、製品によっては、過去の請求データや入金・出金データなどに基づいて経営状況を分析できる機能もあり、財務状況の精査にも役立てられます。

利用者情報の管理

介護ソフトには生活環境・心身の状況・病歴など、利用者情報を管理する機能もあります。
介護ソフトで利用者情報を管理するとペーパーレスを実現でき、書類整理やファイリングなどの作業から解放されます。

また、さまざまな端末に対応している介護ソフトなら、訪問先からでも即座に必要情報を参照できます。
例えば、タブレットやスマートフォンから、任意の利用者情報をチェックするなどです。
訪問介護や訪問看護のように、利用者宅で必要情報を参照する機会の多い業種におすすめです。

ケアプランの作成と管理

ケアプランの作成・管理は、利用者にサービスを提供するうえで欠かせない機能です。
介護ソフトでケアプランの作成・管理ができれば、手書きで作成する手間が省けるうえに、利用者への情報開示もスムーズにできます。

加えて、ケアプランデータ連携システムと併用すれば、複数の介護事業所に向けたケアプランの共有も容易です。
多職種連携を行う事業所にとって、大きなメリットのある機能です。

新しい法令制度への対応

介護ソフトは、新しい法令制度に対応しやすい点も魅力です。

従来は、法令制度が改正されるたびに各種書類の書式を変更したり、書類の内容を確認したりなど、さまざまな作業が発生していました。
しかし、介護ソフトでは自動的に新たな法令制度へとアップデートされます。
特に介護報酬改定は収益に大きく影響するため、介護ソフトを導入して制度改正への対応力を強化しておくと良いでしょう。

LIFEとの連携

介護ソフトを活用すれば、LIFEとの連携が円滑になります。

LIFEとは、科学的介護システムとも呼ばれ、厚生労働省が近年推奨しているツールです。
ケアの記録や、利用者の情報などを厚生労働省と共有し、科学的な観点から分析・フィードバックを受ける仕組みです。

フィードバックの活用によ、介護事業所が抱える課題の解決やサービスの品質向上につながります。

LIFEを活用するうえで、各種記録データを電子化して保存できる介護ソフトは効果的です。
介護ソフトを使えば、必要なデータをCSVに変換してアップロードするだけで提出が完了するため、作業時間を大幅に短縮できます。

介護ソフトの使い方がわからない場合の対応方法

介護ソフトを運用していくと、施設運営者・現場スタッフともに「〇〇機能の使い方がわからない」と悩む場面もあるでしょう。
使い方がわからないと一時的に業務が停滞するため、事前に対処法を決めておくことが大切です。
基本的には、以下の方法で対応します。

  • マニュアルを熟読する
  • ベンダーに確認する
  • 研修を行う

それぞれの対応方法について、順番に解説します。

マニュアルを熟読する

使い方がわからない際は、まずは介護ソフトのマニュアルを確認しましょう。
介護ソフトのマニュアルは、製品導入時に提供されていたり、ベンダーの公式サイトからダウンロードできたりします。

マニュアルを確保したら、該当箇所を確認し今後のために他のスタッフへも共有しましょう。
ただし、製品によってはマニュアルが複雑なため、疑問点を解消できない可能性もあります。
その場合は、疑問点を放置するのではなく、ベンダーへ確認するなどして対応してください。

ベンダーに確認する

マニュアルではわからない事柄があった際は、ベンダーに直接確認しましょう。

介護ソフトを提供するベンダーの多くは、コールセンターを設置していたり、チャットボットやメールでの支援体制を構築していたりします。
基本的には、営業時間内であればいつでも対応してもらえるため、使い方に困った際は積極的に活用しましょう。

ただし、問い合わせるタイミングによっては、レスポンスが遅れる場合もあります。
そのため、不明点はなるべく早めに確認しておくと安心です。

研修を行う

即効性はありませんが、スタッフを集めて介護ソフトの運用に関する研修を実施するのも効果的です。
介護ソフトの基本的な使い方はもちろん、担当業務ごとに細かな運用方法まで共有しておけば、「使い方がわからず業務が停滞する」リスクを減らせます。

また、自施設での研修が難しい場合は、ベンダーの導入・運用支援サービスを検討しましょう。
なかには担当者が、直接研修を実施してくれる場合もあります。
ベンダーの担当者なら介護ソフトを熟知しているため、スタッフ同士で教え合うよりスムーズに使い方を習得できるでしょう。

ただし、導入・運営支援サービスが有料で提供されている場合もあるため注意が必要です。
研修を依頼する際は、各種料金設定を必ず確認してください。

介護ソフトを使用する際の注意点

介護ソフトを現場で使用する際は、以下の点に注意が必要です。

  • 適宜フォローアップを行う
  • 個人情報の漏洩に注意する

いずれも、介護ソフトを円滑に運用するうえで、意識しなければならないものです。
介護ソフトを使用する前に、必ずチェックしましょう。

適宜フォローアップを行う

介護ソフトを運用する際は、適宜フォローアップを行いましょう。

介護ソフトを導入しても、誤った使用方法が定着していたり、重要な機能が活用できていなかったりするケースもあります。
スタッフの習熟度をチェックし、本来の使い方を定着させるためにも、フォローアップは不可欠です。

また、介護ソフトはアップデートによって新たな機能が追加されたり、仕様が変更したりする可能性もあります。
現場への影響を考慮し、適切な支援を実施してください。

個人情報の漏洩に注意する

介護ソフトには利用者の情報が集約されるため、データの取り扱いにはいっそう注意しなければなりません。
基本的に、介護ソフトは強固なセキュリティで守られているため、個人情報が漏洩するリスクは低いとされています。

ただし使い方が誤っていると、どれだけセキュリティ面の優れた介護ソフトを使用していても情報が漏洩する恐れがあります。
例えば、仕事を持ち帰るために管理データを私用端末へ移した場合、情報漏洩のリスクは高まります。

個人情報の漏洩を徹底的に防止するには、データの取り扱い方法を整備したり、アクセス権限を整備したりなど細やかな対応が必要です。
また、個人情報の扱い方をスタッフに指導するなど、情報漏洩に対する意識を高める取り組みも実践しましょう。

介護ソフトの導入事例

本章では、介護ソフトの導入事例を解説します。

  • 業務効率化によるケアサービスの品質向上(特別養護老人ホーム)
  • スムーズな情報共有によりサービスの均質化を実現(介護老人保健施設)
  • タブレットによるリアルタイムでの情報共有(訪問介護事業所)
  • バイタルや入浴など各種記録のICT化(通所介護事業所)
  • 介護報酬請求業務の効率化(通所介護事業所)

いずれも、独自の方法で介護ソフトを適切に運用しています。
ぜひ介護ソフトを運用する際の参考にしてください。

業務効率化によるケアサービスの品質向上(特別養護老人ホーム)

ある特別養護老人ホームでは、法人全体で介護ソフトの導入をはじめとするICT化に取り組みました。

特定の担当者を置かず、スタッフが一丸となって業務上の課題や状況の把握を行い、ICT化の展望を明確にしました。
その結果、スタッフのICTへの意識が統一され、ICTの進歩に事業所全体がついていける体制作りを実現しています。

この法人の取り組みは、介護記録にかかる負担が軽減され、スタッフがケアサービスの品質向上への意識が高まるきっかけを作っています。

参照:ICT化をスタッフ全員で取り組みサービスの向上を目指す|株式会社ワイズマン

スムーズな情報共有によりサービスの均質化を実現(介護老人保健施設)

ある介護老人保健施設は、人件費の高騰を抑制するため、介護ソフトの導入を含めたICT化の推進に着手しました。

結果、申し送り時間の大幅な縮小や、正確な情報共有など、業務効率化を実現しています。
さらに情報共有がスムーズになったため、スタッフ間で利用者の状況を確認する意識が高まり、サービスの品質向上や均質化にもつながっています。

この施設は、ソフトウェアの扱いが苦手なスタッフが自発的にマニュアルを作成したり、ベンダーの提案以外の運用体制を検討したりするなど、組織全体が一丸となってICT化に取り組みました。
この事例は、介護ソフトの導入において、全スタッフの協力を得ることの重要性を示す好例です。

参照:施設が一丸となり取り組んだ業務効率化の成果!|株式会社ワイズマン

タブレットによるリアルタイムでの情報共有(訪問介護事業所)

ある訪問介護事業所では、タブレット端末で各種記録を記入・閲覧できる介護ソフトを導入しました。

元々この訪問介護事業所では、ケアを終えたスタッフが事業所に戻ってサービス提供記録を作成・提出していました。
しかし、タブレット端末でデータ入力・共有を完結できるようになったことで、訪問先から直帰できるようになりました。
また、当該介護ソフトは介護報酬請求用のソフトと連携しているため、請求業務にかかる時間の短縮にも成功しています。

参考:居宅サービス事業所におけるICT 機器・ソフトウェア導入に関する手引きVer.1.1|厚生労働省

バイタルや入浴など各種記録のICT化(通所介護事業所)

介護ソフトを搭載したタブレットを活用し、利用者のバイタル・入浴などの記録をICT化した通所介護事業所もあります。
この事業所では、連絡帳・業務日誌・介護日誌を紙媒体で管理しており、転機作業に多くの時間がかかっていました。

介護ソフトを導入してからは、入力データが3つの記録帳へ自動的に連携されるようになったため、作業時間の削減に成功しています。
この事業所の取り組みは、スタッフがケアに費やす時間を増加させたうえに、残業時間の削減にもつながりました。

参考:居宅サービス事業所におけるICT 機器・ソフトウェア導入に関する手引きVer.1.1|厚生労働省

介護報酬請求業務の効率化(通所介護事業所)

ある通所介護事業所では、サービスの提供記録を含む各種記録が介護報酬請求と連動している介護ソフトを導入しました。
報酬請求に関するデータを入力すると、自動的に請求書類が作成されるため、作業時間を大幅に削減できています。

また、介護ソフトの導入に際し、ベンダーの担当者とともに徹底的な研修を実践しています。
研修では介護ソフトの操作方法や、報酬請求ソフトとの連携利用方法の指導などを共有しました。

スタッフに向けた手厚い研修は、介護ソフトのスピーディーな定着だけでなく、業務効率化を迅速に実現しました。

参考:居宅サービス事業所におけるICT 機器・ソフトウェア導入に関する手引きVer.1.1|厚生労働省

伊谷 俊宜氏
伊谷 俊宜氏

2023年4月より厚労省の肝いりでケアプランデータ連携システムが本格稼働されました。しかし、利用事業所の数はなかなか増えず、全体のわずか5%程度に留まっています。こうした背景もあってか、2024年介護報酬改定において、居宅介護支援事業所では、ケアプランデータ連携システムの導入と事務職員の配置を要件に、ケアマネ1人あたりの担当件数を49名まで拡大することが可能となりました。厚労省としては、ケアプランデータ連携システムの活用を通じて、介護業界の労働生産性を是が非でも向上させたいのです。増え続ける介護保険利用者と反比例する形で生産人口が減少するなかで、ICTの活用が急務であることを厚労省自ら率先して示している構図となっています。各事業者もこの流れに乗り遅れることは許されない状況と言えるでしょう。

現場で役立つ介護ソフトならワイズマンシステムSPがおすすめ

弊社「株式会社ワイズマン」が提供しているワイズマンシステムSPは、多くの施設で運用されている介護ソフトです。

ワイズマンシステムSPなら煩雑になりがちな介護報酬請求を効率化できるうえに、月遅れ請求・返戻などのようなイレギュラーにも柔軟に対応できます。
請求データはシステム上で一括管理できるため、過去のデータの確認や、請求漏れの防止にも役立てられます。

経験豊富な担当者による手厚いフォロー

株式会社ワイズマンでは、介護ソフトを導入する際に、経験豊富な担当者が手厚くフォローいたします。
運用体制の構築や、権限の割り振りなど、導入事業者様だけでの対応が難しいプロセスでも徹底的にサポートします。

全国に支店を配置しており、現地スタッフによるきめ細やかな支援が可能です。
また、製品の使い方や運用方法に関する質問は電話対応でも受け付けています。

お困りごとを迅速かつ丁寧に対応し、導入事業者様の業務を支援いたします。

ワイズマンには各介護事業所向けのソフトも豊富

ワイズマンシステムSPだけでなく、さまざまな業種の事業所に向けたソフトも豊富に取り揃えています。

訪問介護・デイサービス・ケアハウスなど、さまざまな業種に特化した製品を提供しているため、自施設の課題を解決できるでしょう。
さらに、多職種が連携する複雑な業務体制に特化した介護システムもあり、地域包括ケアシステムを構築するうえでも効果的です。

介護ソフトの使い方をマスターして理想的な運用を実現しよう

多くのメリットが期待できる介護ソフトは、機能が豊富なゆえに使い方・運用方法で困るケースも多く見られます。
理想的な介護ソフトの運用を実現するなら、使い方を学び、より現場のニーズに合った運用体制を構築しましょう。

なお、自施設のみでの運用に不安を抱えている方は、サポートの充実した介護ソフトがおすすめです。

弊社では、専任のオペレーターによる導入〜運用のサポート体制を整備しています。
ワイズマンシステムSPやその他介護ソフトに関する疑問を迅速かつ丁寧に解消していきます。

監修:伊谷 俊宜

介護経営コンサルタント

千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。

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