睡眠計測センサーを用いた見守り支援システムの特徴とは?介護ソフトと連携するメリット・夜勤職員配置加算への影響を解説

2024.07.05

高齢者施設では人手不足が深刻化し、夜間帯には最小限の人員で業務を行う施設も珍しくないでしょう。
スタッフの数が少なければ少ないほど、利用者の状況を把握しづらく、転倒や容態変化に気付きづらくなります。

見守り支援システムの導入を検討している事業者様も多いのではないでしょうか。

本記事では、睡眠計測センサーを用いた見守り支援システムの機能や導入メリットを解説します。

パラマウントベッド社製「睡眠計測センサーを用いた見守り支援システム」とは

睡眠計測センサーを用いた見守り支援システムとは、マットレスの下に設置して体動(寝返り、呼吸、心拍など)を検出し、睡眠状態を測定するセンサーを用いた見守り支援システムです。
利用者の呼吸や心拍(※)をリアルタイムで計測し、連携した介護ソフトへと情報を共有します。

万が一、利用者が起き上がったり、ベッドから離れたりした場合には、タイムリーに通知され状態変化を検知できます。

センサーそのものはマットレスや敷布団の下に設置するため、利用者の体に触れることはありません。
自然な睡眠の状態を保ちながら、体動を検出し、睡眠状態を把握できる点が大きな特徴です。

睡眠計測センサーを用いた見守り支援システムの機能

見守り支援システムには、主に下記3つの機能があります。

  • 「睡眠・覚醒・離床など」利用者の状態ををリアルタイムでモニタリング
  • 睡眠状況の記録
  • 呼吸数・心拍数(※)推移の記録 

それぞれの機能について詳細を紹介します。

「睡眠・覚醒・離床など」利用者の状態をリアルタイムでモニタリング

メインとなる機能は、リアルタイムで利用者の状態をモニタリングする機能です。
睡眠・覚醒・離床といった利用者の状況が随時、専用ソフトを通じてPCに表示されます。

利用者の呼吸数・心拍数(※)の推移が確認できます。
また、夜間に立ち上がり、転倒するリスクが考えられる利用者については、ベッド上で上体が起き上がると通知でお知らせする機能もあります。

睡眠状況の記録

見守り支援システムでは、利用者の睡眠の状況を記録できます。
通常、睡眠の状況を施設職員が常にチェックするのは現実的でないうえに、利用者にとっても大きなストレスになるでしょう。

しかし見守り支援システムでは、マットレスの下に設置したセンサーで情報を記録できるため、施設職員や利用者への負担を軽減できます。
また、収集した睡眠情報を分析することで、投薬の効果検証などのアセスメントツールとして活用できます。

呼吸数・心拍数(※)推移の記録

心拍数や呼吸数を介護ソフトに記録できます。
日々の呼吸数・心拍数(※)の推移を確認することで、医師や看護師に相談しやすくなります。

一人ひとりの睡眠状況を把握することで、利用者ごとに適したケアプランの検討に活用できます。

見守り支援システムの代表的な導入目的

見守り支援システムは、夜間巡視のオペレーション変更等に加えて、以下の目的で導入するケースが多く見られます。

  • 睡眠状況、呼吸数・心拍数(※)の推移の把握
  • 利用者の状態に合わせたケアへの活用

それぞれの目的について解説します。

睡眠状況、呼吸数・心拍数(※)の推移の把握

見守り支援システムでは、利用者の現在の状態や呼吸数・心拍数(※)などの情報をリアルタイムでモニタリングするため、状態に応じた訪室などの対応ができます。
いつもの状態と違うと感じた際には、早めに医師へ相談したり、家族へ連絡をしたりといった対応も取れます。

また、見守り支援システムのアプリをスマートフォンで使用していれば、離れた場所にいる職員でも状態の変化に気づくことができ、迅速に利用者の元へ駆けつけられるでしょう。

利用者の状態に合わせたケアへの活用

見守り支援システムは、通知設定をしておくことで、ベッドから離れたことを通知してくれます。
そのため、認知症の方や、一人で徘徊してしまう利用者の状態把握に効果的です。

特に、足腰が弱っている方は転倒のリスクが高く、職員の目が行き届かないところで転倒して発見が遅れる恐れもあります。
見守り支援システムを、「起きあがり」で通知設定をすれば、ベッドから起き上がった段階でサポートに向かえるため、離床通知よりも早いタイミングでの訪室が可能になります。

見守り支援システムと介護ソフトを連携するメリット

見守り支援システムと介護ソフトの連携により、下記のメリットが期待できます。

  • 利用者の睡眠習慣をより正しく把握できる
  • 利用者の睡眠の質を改善できる

それぞれのメリットについて解説します。

利用者の睡眠状態をより正しく把握できる

睡眠の記録から、利用者の睡眠時間や覚醒時間(頻度)、起床時間などを把握できます。
そのため、利用者があまり睡眠をとれていない場合には生活習慣を見直し、日中の活動を増やすといった改善策をとれます。
利用者の睡眠状態をより良い方向へと改善する際に役立ちます。

利用者の睡眠習慣を改善できる

見守り支援システムの導入により、利用者の睡眠を妨げることなく夜間の見守りができます。

利用者によっては、巡回するドアの開閉音やスタッフの足音で起きてしまうこともあります。
見守り支援システムを活用すれば、入室する前に利用者が睡眠中か覚醒した状態かの判断が可能です。

眠っている利用者の部屋を訪問した際に、ドアの開閉音や物音で起こしてしまうといったことを減らせるでしょう。
また、トイレ誘導やおむつ交換なども利用者の覚醒時に合わせてできるため、睡眠を妨げてしまうリスクを回避できます。

※呼吸数・心拍数は体動から算出した推定値です

見守りシステム導入時の注意点

見守りシステムを導入する際には、注意点を意識して選定することが大切です。
ここでは、見守りシステムを導入する際の注意点を解説します。

安定したネットワーク環境を整備

見守りシステムでは、介護ソフトと連携して利用者のモニタリングをおこないます。
連携には、インターネット環境が必要です。

仮に通信が安定していない場合、データ連携に時間がかかり、リアルタイムでの情報取得ができない恐れもあります。

正確かつリアルタイムでモニタリングできるように、安定したネットワーク環境の整備が必要です。

介護ソフトとの連携が可能か

既存の介護ソフトやインカムなどのICT機器がある場合には、見守りシステムと連携できるかが肝心です。
導入後に連携できないことが発覚すれば、人手作業が増えたり、最悪新たなシステムへ入れ替えたりする必要があります。

システムの入れ替えともなれば、追加で多くのコスト・手間がかかります。
そのため、まずは現状の既存システムを洗い出し、仕様を確認することから始めましょう。

なお、自施設の人材では連携の可否がわからない場合は、既存システムの担当者もしくは見守りシステムの担当者へ相談するのがおすすめです。
安易に選定・導入を進めると後戻りが効かないため、入念に下調べをして適切な見守りシステムを見つけてください。

伊谷 俊宜氏
伊谷 俊宜氏

介護サービスの有効求人倍率は3.46(厚生労働省一般職業紹介状況より)と依然高水準となっています。中でも特養や有料老人ホームなど24時間365日のケアを提供している施設では夜勤業務が必要です。シフトで日勤帯の業務も行いつつ夜勤も行うというのは、私も経験がありますがなかなかハードであることは想像に難くないでしょう。利用者の体調急変なども何故か夜間に多く、時には救急搬送も必要だったりと夜勤者の身体的・精神的負担は非常に大きいものになっています。こうしたなかで眠りスキャンをはじめとした介護ロボットの活用が注目されています。2024年介護報酬改定では、特養に続き老健なども見守りセンサーなどの導入を要件に夜間の職員配置基準が緩和されました。国も後押ししているので積極的に導入していきましょう。

パラマウントベッド社製「睡眠計測センサーを用いた見守り支援システム」との連携が可能

ワイズマンの提供する介護ソフト「ワイズマンシステムSP」では、見守りシステムとの連携が可能です。
また、ベッドセンサーをはじめ、バイタル機器、ナースコールシステムと連携できます。

12メーカー以上に対応

「ワイズマンシステムSP」の見守りシステム連携オプションでは、下記のメーカーとの連携が可能です。

  • パラマウントベッド株式会社
  • 株式会社バイオシルバー
  • アイホン株式会社
  • ジーコム株式会社
  • トーテックアメニティ株式会社
  • 株式会社リコー
  • フランスベッド株式会社
  • パナソニックホールディングス株式会社
  • エコナビスタ株式会社
  • ノーリツプレシジョン株式会社
  • 株式会社ナカヨ
  • 積水化学工業株式会社

さまざまな見守りシステムに対応しているため、既存のセンサーと連携させたい場合にも対応しやすいでしょう。
また、今後見守りシステムを導入する場合でも、主要メーカーを網羅しているため、見守りシステムの選択肢が狭められる可能性は低いと言えます。

記録業務の負担も軽減

見守り機器から届くバイタルや睡眠記録は、ワイズマンシステムSPへ自動で記録されます。
計測・記録漏れを防ぐと同時に、スタッフの業務効率化や負担軽減が実現されます。

また、バイタル記録を一覧で記録できるため、容態の変化にもいち早く気付けるでしょう。
電子カルテシステムと連携することも可能で、医師へもタイムリーに情報を共有できます。

自施設に合った見守りシステムを検討しよう

多くの介護施設では、夜間帯の人手不足やスタッフへの業務負担が課題となっています。
こうした課題に効果的なのが、見守りシステムです。

見守り支援システムと介護ソフトを連携させることで、少ない人員で、効率的な業務が可能となります。
また、夜間の利用者の安全確保や体調管理にも役立ちます。

見守り支援システムを導入する際には、既存の介護ソフトやICT機器との連携に対応しているかが大切です。
導入をお考えの方は、自施設の要件や既存システムの仕様を洗い出し、適切な見守りシステムを選定してください。

監修:伊谷 俊宜

介護経営コンサルタント

千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。

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