介護ソフトの導入率とは?4つの導入効果と成功のポイントを徹底解説!
2024.06.12
近年、多くの施設で介護ソフトの導入が進んでいます。
法令制度や補助金による支援も充実化しており、以前よりも導入のハードルが低くなっています。
では、介護業界全体を見ると、介護ソフトはどの程度普及しているのでしょうか。
この記事では、厚生労働省の資料をもとに介護ソフトの導入率を解説します。
また、導入時に直面する課題や成功のポイントも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
関連記事:介護ソフトとは?主な搭載機能と選び方、おすすめのソフトを詳しく紹介!
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介護ソフトの導入時によくある問題と対策についても記載していますので是非ご活用ください。
目次
ICT導入支援事業の状況から見る介護ソフトの導入率
厚生労働省の資料によると、調査対象のうち67.5%の施設で介護ソフトが導入されています。
また、その他のICT機器の導入率は以下のとおりです。
導入されたICT機器などの種類 | 割合 |
介護ソフト | 67.5% |
モバイルPC | 10.9% |
タブレット端末 | 53.6% |
スマートフォン | 9.1% |
Wi-Fi機器 | 20.8% |
バックオフィスソフト | 2.4% |
その他 | 8.6% |
導入された介護ソフトの種類は、クラウド型が70.3%・オンプレミス型が27.0%と、インターネットを経由してアクセスするクラウド型が主流でした。
また、「ICT導入支援事業」も活発化しており、助成事業所数は令和元年の195事業所から、令和3年度には5,371事業所にまで増加しました。
数多くの介護事業所が、ICT導入支援事業を活用して介護ソフトを導入したことがわかります。
介護ソフトの導入により解消できる課題
介護ソフトの導入で解消できる課題は、次のとおりです。
- 深刻な人材不足
- 従業員の労働負担
それぞれの課題について解説しますので、自施設に該当する課題がないかチェックしておきましょう。
深刻な人材不足
近年の介護業界では、人材不足が深刻化しています。
厚生労働省が公表した「一般職業紹介状況」によると、令和4年度の介護サービスにおける新規求人倍率は7.29・有効求人倍率は4.01でした。
つまり、求職者1人につき有効な介護求人が4件あるほど、人手不足が深刻化しているのです。
さらに厚生労働省が発表した「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数」によれば、将来的に必要となる介護職員数は以下のように増加すると予測しています。
年度 | 介護職員の必要数 |
2019年 | 約211万人 |
2023年 | 約233万人 |
2025年 | 約243万人 |
2040年 | 約280万人 |
実際の介護職員数は、2019年が約210万6,000人、2022年で約215万4,000人だったため、必要数を満たせていません。
少子高齢化が加速する日本では、介護需要の増加と職員不足が重なり、今後さらに人手不足が加速する見込みです。
この課題への対応策として、介護ソフトを活用した業務効率化が注目されています。
参照:一般職業紹介状況|厚生労働省
参照:介護職員数の推移|厚生労働省
参照:第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について|厚生労働省
従業員の労働負担
先ほどの内容に付随して、従業員が抱える労働負担も大きな課題です。
介護職員として働くと、身体的な負担だけでなく、精神的な負担もあります。
さらに人手不足による長時間労働・連続勤務により、疲弊する従業員も一定数存在します。
介護ソフトを導入し従業員の業務効率を向上させれば、労働負担を軽減することが可能です。
介護ソフトの導入効果
介護ソフトの代表的な導入効果は、次の3つが挙げられます。
- 入力・転記作業を削減し業務が効率化される
- ペーパーレスによるコストの削減
- 法令制度改正への対応力が向上する
それぞれのメリットを確認して、介護ソフトを導入するべきか検討してみてください。
入力・転記作業を削減し業務が効率化される
介護ソフトを導入して得られる効果は、入力・転記作業の削減とそれに伴う業務の効率化です。
紙媒体のケアプランや計画書などの書類を扱っていると、入力・転記作業だけで膨大な時間が掛かってしまいます。
一方、介護ソフトはタブレットやスマートフォン、PCから記入が可能です。
さらに利用者情報や過去のケア実績を連携させ、別書類に自動転記できるため、記入・転記作業を大幅に削減できます。
ペーパーレスによるコストの削減
介護ソフトを導入することで、ペーパーレスとそれに伴うコスト削減を実現できます。
紙媒体の書類を扱っている場合、用紙代やインク代、書類を保管する場所代など、さまざまなコストが発生します。
介護ソフトで電子書類を扱うようになれば、用紙代やインク代だけでなく書類を保管する場所も不要になるため、事業所内のスペースを有効活用できます。
外部倉庫などを書類の保管場所として借りていた場合は、レンタル料も不要となるため、大幅なコストカットが実現可能です。
法令制度改正への対応力が向上する
介護ソフトを導入するメリットは、法令制度改正への対応力が向上することです。
基本的に、法令制度改正によって書類の作成方法や申請方法が大きく変わるため、事業所ではその都度、体制を変更しなければなりません。
一方介護ソフトの場合、ベンダーがソフトの機能やフォーマットをアップデートしてくれます。
つまり、自施設でシステムの仕様を変更する必要がなく、常に最新の法令制度を遵守できるのです。
なお、株式会社ワイズマンではすでに介護ソフトを導入しているが、介護ソフトの入れ替えを検討している方に向けて、「介護ソフト選びガイドブック」を無料で配布中です。ダウンロードしてご活用ください。
介護ソフトの導入を妨げる要因
介護ソフトの導入を妨げる主な要因は、以下の2つです。
- ICTに関するノウハウ・スキル不足
- 導入コストやランニングコスト不足
それぞれの要因を解消する対処法も併せて解説しますので、介護ソフト導入に向けて確認しておきましょう。
ICTに関するノウハウ・スキル不足
介護ソフトの導入を妨げる要因として、ICTに関するノウハウ・スキルが不足していることが関係しています。
パソコンやソフトウェアなどのICTに関するノウハウ・スキルが乏しいと、介護ソフトを導入しても適切に運用することが難しいです。
また、職員の間でICTへの苦手意識がある場合は、従来のアナログな方法で作業を続ける傾向があります。
こうした状況下では、せっかく介護ソフトを導入しても、思うように定着せず、想定していた効果を得られない恐れがあります。
もし、自施設の人員のみで導入作業を進めることに不安を感じている場合は、ベンダー企業(ソフトを提供する企業)やコンサルタントなどに依頼して支援してもらうのがおすすめです。
専門的な知識のもとサポートしてもらえるため、介護ソフトを導入し適切に運用することが可能です。
導入コストやランニングコスト不足
介護ソフトの導入を妨げる要因には、ソフトの導入コストやランニングコスト不足があります。
介護ソフトの導入で発生するコストとして、パソコンやタブレットなどのハードウェア代金と、利用するアプリ・ソフトの利用料金が必要です。
予算が限られている事業所では、導入コストやランニングコストがネックとなり、介護ソフトの導入を断念してしまうケースもあります。
対処法としては、補助金や助成金の活用が効果的です。
補助金や助成金には返済義務がないため、給付された資金を全額介護ソフトの導入に充てられます。
限られた予算で介護ソフトを利用するためにも、管轄の自治体で補助金・助成金を活用できないか確認しておきましょう。
介護ソフトの導入を成功させるためのポイント
介護ソフトを導入してから適切に運用して、介護現場の課題を解消するためには、次のポイントを確認しておきましょう。
- 導入目的・課題を明確化する
- 中長期的な視点で介護ソフトを導入する
- アフターケアが充実しているベンダー企業を選ぶ
介護ソフトの導入を成功させるためのポイントを確認して、従業員の負担を軽減し高精度なサービスを実現してください。
導入目的・課題を明確化する
介護ソフトの導入を成功させるためには、導入目的や現状の課題を明確化することが大切です。
目的や解決する課題が不明確では、適切な介護ソフトを選択できないためです。
介護ソフトの機能や特徴は製品ごとに異なるため、まずは自施設の要件を整理してください。
なお、製品選定では、要件との適合度はもちろん、ベンダーの信頼性やソフトの使いやすさなど複数の要素で比較・検討しましょう。
中長期的な視点で介護ソフトを導入する
介護ソフトを選ぶ際には、中長期的な視点で介護ソフトを導入してください。
法令制度は今後も継続して改正される見込みがあり、その都度介護ソフトの仕様や管理体制が変わる可能性があります。
そのため「現在はこの機能があれば十分」と短期的な視点で介護ソフトを選ぶのではなく、「法改正に伴うアップデートを対応してもらえるか?」「将来必要になる機能にも対応しているか?」など、中長期的に利用できる介護ソフトを導入する必要があります。
アフターケアが充実している介護ソフトのベンダー企業を選ぶ
介護ソフトの導入を成功させたいなら、アフターケアが充実しているベンダー企業を選びましょう。
特に、自施設にICTの知見・ノウハウを持つ人材が不在の場合、ベンダー企業の助けを借りる機会は多いでしょう。
そのため、導入時のみならず運営後も相談対応をしてくれたり、トラブルが発生した際にいつでも対応してくれたりなど、支援体制が充実したベンダーを選定してください。
2024年介護報酬改定は1.59%のプラス改定となりました。このうち0.98%が介護職員の処遇改善に充てられていることからも、介護業界の深刻な人材不足がうかがえます。表向きはプラス改定となっていますが、業態によって(訪問介護等)は基本報酬が減算となっていたり、加算の算定が難しく実質減算となっていたりする業態も多々あります。すでに全人口が減少フェイズに突入し、高齢者人口の急増と反比例して、生産人口が減少している我が国では、社会保障費を削減(=介護報酬削減)させるしかない状況となっています。このような“実質マイナス改定”とも言える内容になるのも致し方ないかもしれません。今後この状況はさらに悪化していきます。限られた人員で経営していくためにも、ICT等の活用が急務であることは間違いありません。
なお、株式会社ワイズマンでは「介護ソフト選びガイドブック」を無料で配布中です。
すでに介護ソフトを導入していている方も、介護ソフトの入れ替えを検討している方も、自身に最適なプロダクトを選ぶために重要な4つのポイントを解説していますので是非ご活用ください。
介護ソフトの導入は「ワイズマン」におまかせください
介護ソフトの導入を検討している方は、弊社「ワイズマン」の製品をご検討ください。
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請求処理や集計資料の出力、タブレットを活用したケア記録など、日々の業務をサポートします。
また、データはクラウドにて一元管理が可能です。
いつでもリアルタイムで情報を共有でき、スタッフ間・事業所間の連携度を高められます。
現状の課題を解消するために介護ソフトを導入しよう!
深刻な人手不足や従業員の労働負担を解消するためには、ICTによる効率化が不可欠です。
現在抱える課題を解消するためには、ぜひ介護ソフトの導入をご検討ください。
ただ、介護ソフトの導入には、ICTに関するノウハウやスキルが求められます。
現状、自施設にこれらを持つ人材がいない場合は、サポート体制の充実したベンダー企業を選定しましょう。
なお、弊社の「ワイズマンシステムSP」は、介護事業所に求められる機能が備わっており、業務全般をサポートできます。
また、介護ソフトの比較検討〜導入・運用をサポートする体制も整備していますので、お困りごとや不安を抱えている場合はお気軽にお問い合わせください。
監修:伊谷 俊宜
介護経営コンサルタント
千葉県佐倉市出身。大学卒業後、教育サービス業界に入社したが、障がい者との交流を機 に「高齢や障がいを理由に、不当な差別を受けることのない社会を作りたい」と、介護事業者の門をたたいた。これまで、数々の特別養護老人ホーム、 グループホーム、デイサービスの立ち上げ、運営に参画。現在は、“現場第一主義!”を旗印とし、高齢者住宅、デイサービスを中心に「人気の施 設づくり」を積極的にサポートしている。