通所介護における看護師の配置時間｜適切な配置方法を解説

少子高齢化が進む昨今、通所介護事業所における看護師の役割はより重要になりました。
利用者の安心・安全なサービス利用のためには、看護師の適切な配置時間の設定が不可欠です。

しかし、配置基準や加算の要件、慢性的な看護師不足への対策など、多くの事業所が課題を抱えているのではないでしょうか。

本記事では、通所介護における看護師の配置時間について解説します。
さらに2025年最新版の配置基準、看護師不足への具体的な対策も解説するので、ぜひ参考にしてください。

通所介護における配置時間とは

通所介護における看護師の配置時間とは、通所介護事業所において看護師が勤務する時間のことです。
単に勤務時間全体を指すのではなく、利用者へのサービス提供に直接関わる時間、あるいはサービス提供に必要な業務にあてられる時間を含みます。

看護師の配置時間は、利用者の状態や事業所の規模、サービス内容によって大きく変動するものです。

 例えば、利用者の平均年齢が高く、医療的ケアが必要な利用者が多い事業所では、より多くの看護師の配置時間が確保される傾向があります。
逆に、比較的健康状態の良い利用者が多い事業所では、必要となる配置時間は少なくなります。

配置時間は、利用者の安全と健康を確保するために必要な時間を適切に確保することが重要です。
単に法律で定められた最低限の時間数を満たすだけでなく、個々の利用者のニーズに応じた柔軟な対応が求められます。

適切な配置時間の設定は、利用者の安全・安心を確保するだけでなく、事業所の運営効率の向上にもつながります。

通所介護における看護師の役割

通所介護において、看護師はより質の高いサービスを提供するうえで欠かせません。
本章では、通所介護における看護師の役割について解説します。

利用者の健康管理と医療的ケア

通所介護における看護師のもっとも重要な役割の一つは、利用者の健康管理と医療的ケアです。
看護師には、利用者の状態を詳細に把握し、健康状態の変化にいち早く対応することが求められます。

通所介護の看護師が行う業務は以下のとおりです。

業務内容	詳細
バイタルサイン測定	体温・脈拍・呼吸数・血圧などを定期的に測定し、異常があれば速やかに対応する
服薬管理	医師の指示に基づき、利用者の服薬状況を確認し、適切な服薬を支援する
健康相談	利用者や家族からの健康に関する相談に対応し、適切なアドバイスを提供する
血糖値・血圧管理	必要に応じて、血糖値や血圧の測定を行い、管理を行う
褥瘡ケア	褥瘡（床ずれ）の予防と治療を行う
その他医療処置	医師の指示に基づき、注射や点滴などの医療処置を行う

これらの業務を通じて、利用者の健康状態を維持・改善し、安心して通所介護サービスを受けられるようサポートします。

緊急時対応と連携

通所介護では、利用者の急な体調不良や事故などが発生する可能性があります。
そのため、看護師は緊急時の対応を迅速かつ的確に行うことが求められます。

通所介護における看護師に求められる緊急時対応は、以下のとおりです。

緊急時対応	詳細
応急処置	出血・骨折・意識障害など、緊急事態が発生した場合、適切な応急処置を行う
救急隊への連絡	必要に応じて、速やかに救急隊を呼ぶ
医療機関への搬送	必要に応じて、医療機関への搬送を手配する
関係機関との連携	医師・ほかの医療従事者・家族など、関係機関と連携を取りながら、適切な対応を行う
記録作成	緊急時の対応内容を詳細に記録する

緊急時対応においては、迅速な判断力と的確な行動力が求められます。
日ごろから、関係機関との連携を密にしておくことが重要です。

看護師の専門性に基づいたサービス提供

通所介護における看護師は、単なる介護職員ではなく、看護師としての専門性を活かしたサービス提供が期待されています。
看護師に期待されるサービス提供は以下のとおりです。

専門性に基づいたサービス	詳細
アセスメント	利用者の状態を詳細に評価し、適切なケアプランを作成する
個別ケアプランの作成	利用者一人一人の状態やニーズに合わせた個別ケアプランを作成する
健康教育	利用者やご家族に対して、健康に関する教育を行う
チーム医療への参加	医師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など、多職種と連携してチーム医療に取り組む
介護職員への指導・教育	必要に応じて、介護職員に対して、健康管理や医療に関する指導・教育を行う

看護師の専門性を活かすことで、利用者にとってより質の高い、安全なサービス提供を実現できます。

【2025年最新版】通所介護の看護師配置基準

通所介護の看護師配置基準は、配置時間を定めるうえでも無視できない要素です。
本章では、2025年現在の通所介護の看護師配置基準について解説します。

加えて、配置加算についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

参照：人員配置基準等｜厚生労働省

　　　指定通所介護事業所の看護職員配置に係るQ&A｜東京都福祉局

　　　通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護｜厚生労働省

　　　通所介護事業所（利用定員11人以上）における看護職員の配置について｜三重県公式サイト

常勤・非常勤看護師の配置基準

通所介護における看護師の配置基準は、施設の規模や特性によって異なります。
厚生労働省の告示や各都道府県の条例などを参照し、正確な情報を把握することが重要です。

常勤・非常勤看護師の配置基準は以下のとおりです。

項目	内容	備考
利用定員	11名以上	単位ごとに看護職員1名以上配置が必要（原則）
10名以下	看護職員または介護職員1名配置で可（地域密着型通所介護）	事業所の規模や利用者の状況によって異なる場合があります
常勤換算	非常勤の場合も考慮	具体的な計算方法は、最新のガイドラインを参照してください
資格・経験	看護師または准看護師	事業所のニーズや利用者の状態に応じて必要な経験年数などが考慮される場合があります

利用定員11名以上の通所介護事業所では、単位ごとに看護職員（看護師または准看護師）1名以上の配置が求められます。
ただし、平成27年4月の介護報酬改定により、配置基準は緩和されました。

配置基準の要件は、事業所の規模・利用者の状態・提供するサービス内容などによって異なります。
常勤・非常勤に関わらず、看護師の配置は利用者の安全確保と質の高いサービス提供において不可欠です。

非常勤看護師を配置する場合、常勤換算による人員配置基準の充足が求められるケースもあります。
常勤換算の計算方法や、必要な資格・経験なども、最新のガイドラインを確認しましょう。

看護職員配置加算の算定要件

通所介護事業所では、看護職員の配置状況に応じて看護職員配置加算が算定される場合があります。
この加算は、適切な看護体制を確保し、質の高いサービス提供を促進するためのものです。

加算の算定要件は、配置する看護職員の数・資格・勤務時間など、複数の要素によって決定されます。
具体的な要件は、介護報酬改定の内容・事業所の規模・利用者の状況などによって異なるので、最新の介護報酬改定資料を確認しましょう。

また、病院・診療所・訪問看護ステーションとの連携により確保した看護職員は、加算要件で求められる人員配置には含められません。

看護師不足への対策

通所介護事業所が良質なサービスを提供するには、看護師の配置時間を適切に設定する必要があります。

しかし、十分な人数の看護師を確保できなければ、適切な配置時間は実現できません。
特に昨今は少子化の影響もあり、看護師不足が深刻化している状況です。

そのため、看護師不足への対策を講じる必要があります。

本章では、以下の対策を紹介します。

• 働きやすい職場環境づくり
• 外部人材の活用（派遣・紹介）
• キャリアアップの支援
• ICT活用による業務効率化

それぞれの対策について、順番に解説するので、ぜひ参考にしてください。

働きやすい職場環境づくり

看護師の離職を防ぎ、新規採用を促進するためには、働きやすい職場環境の整備が効果的です。
働きやすい職場環境は看護師の定着率を上げ、採用の成功率を高める効果が期待できる施策です。

具体的には、以下のような対策があります。

対策	具体的な取り組み例
労働時間・勤務体系の改善	残業時間の削減・夜勤体制の見直し・フレックスタイム制の導入・週休2日制の実施など
休暇取得の促進	有給休暇の取得を推奨する社風づくり・夏季休暇や年末年始休暇の充実など
待遇改善	給与や賞与のアップ・各種手当の充実（通勤手当・住宅手当など）・福利厚生制度の充実（保養所利用・健康診断など）など
チームワークの強化	定期的なミーティングの実施・意見交換の場を設ける・職場のコミュニケーション活性化など
育児・介護支援	育休や介護休業制度の活用支援・保育所の確保支援・時短勤務制度の導入など

働きやすい環境づくりにつながる施策には、人件費の負担を減らす効果が期待できるものもあります。
事業所の状況に合わせて、積極的に実施しましょう。

外部人材の活用（派遣・紹介）

慢性的な人材不足を解消するための手段として、看護師派遣会社や紹介会社の活用も有効的です。
派遣・紹介によって、短期間の補充や特定のスキルを持った看護師の確保が可能になります。

近年は看護師に特化した業者も増えているため、上手く活用すれば、必要な人材をスムーズに補えます。

キャリアアップの支援

看護師のモチベーション維持・向上、離職防止のためには、キャリアアップ支援が不可欠です。
専門性を高めるための研修機会の提供や、キャリアパスを示すことで、やりがいを感じ、長く勤め続けようという意欲を高められます。

キャリアアップの支援を実施するなら、以下のような取り組みを実施しましょう。

支援策	具体的な取り組み例
資格取得支援	専門資格取得のための費用補助・研修参加の推奨など
キャリアパスプランの提示	将来的なキャリアプランを示し、目標設定を支援する
リーダーシップ育成	リーダーシップ研修の実施・チームリーダーへの昇進機会の提供など
専門分野への特化	特定の分野（糖尿病ケア・認知症ケアなど）に特化した研修や配置

ICT活用による業務効率化

ICT（情報通信技術）の活用は、看護師の業務負担軽減と効率化に大きく貢献します。
電子カルテ・オンライン診療システム・遠隔モニタリングシステムなどを導入すれば、看護師の業務が効率化され、働きやすい環境を実現します。

ICTツール	効果
電子カルテ	紙カルテの管理の手間を削減・情報共有の効率化・医療ミス削減
オンライン診療システム	医師との連携強化・通院負担の軽減
遠隔モニタリングシステム	利用者の状態をリアルタイムで把握・早期発見や早期対応が可能
業務支援システム	シフト管理・勤怠管理・給与計算などの業務を効率化

ICTの導入は業務を効率化し、人件費などのコスト削減にもつながる施策です。
ただし、導入コストが発生したり、システムの定着に時間がかかったりすることがあるため、スムーズな導入を目指すなら専門家のサポートを受けましょう。

ICTによる業務効率化を実現するならすぐろくタブレットを活用しよう

ICTによる業務効率化を実現するなら、弊社ワイズマンのすぐろくタブレットをご活用ください。

すぐろくタブレットは通所サービス向けの介護ソフトであり、利用者の状況の記録や情報共有といった作業をスムーズに実践できます。

すぐろくタブレットは業務の効率化や情報共有の円滑化を実現できるツールです。
配置時間や人員配置基準を適正化するうえでも役立つので、ぜひ導入をご検討ください。

通所介護における看護師の配置時間は重要

通所介護において、看護師の配置時間は利用者の安全とサービスの質を確保するうえで重要な要素です。
適切な配置時間の設定は、事業所の運営効率だけでなく、利用者満足度にも直結します。

看護師の配置時間を適正化するなら、厚生労働省が定めた配置基準を把握し、必要な人数の看護師を確保する必要があります。

加えて、看護師が定着しやすいように、さまざまな取り組みを実施することも効果的です。
特にICTの活用は業務を効率化し、働きやすい環境づくりに役立ちます。

ICTを活用する際は、ぜひワイズマンにご相談ください。
システム導入だけでなく、運用を見据えたソリューションを提供することで、スムーズなICT化を実現します。