【小濱道博の介護戦略塾】2022年在宅サービスの運営指導対策 <第4回>
事前準備のための主なチェックポイント解説
1.人員基準のチェックポイント
①従業者の員数
常勤換算職員を含めて、出勤状況の確認として勤務実績表とタイムカードとの突き合わせ作業が行われます。これは、人員基準に規定された数の職員が、適正に日々において配置されているかの確認作業です。専門職の職員については資格者証の確認と共に、その兼務状況などにポイントを置いてチェックされます。そのため、資格者証のコピーの保存は必須です。常勤専従の配置が要件の職種については、勤務時間内で、他の業務を行っていないかを中心に確認されます。常勤専従とは、勤務時間全体に於いて、その職種のみを担当することを言います。サービス提供時間が終わったからといって、併設の有料老人ホームの業務を担当することは認められていません。
②管理者
基本的に管理者は常勤専従ですので、勤務時間全体において、他の業務を行ってはいけません。ただし、特例として管理者の業務に支障が無い場合においては、同一敷地内で他の職種を兼務出来るという規定があります。管理者は兼務が出来るのでは無く、あくまでも特例であることに留意すべきです。運営指導での指導項目が多い場合は、兼務によって支障が出ていると判断されて兼務が認められないことになります。運営指導では、勤務実績表とタイムカードで勤務状況が確認されるとともに、兼務している他職種の勤務時間の比重が多い場合も指導対象となるので注意が必要です。
2.設備基準のポイント
許認可申請書に添付した事業所の見取り図と、現在の間取りや役割は同一でしょうか。見取り図では、事務室であるが、現在は重度者が増えたために、静養室となっている場合は、用途変更で変更届けが必要です。
3.運営基準のポイント(1)
①介護サービスは個別サービス計画に沿って実施する
介護サービスの提供にあたっては、ケアプランに沿った個別サービス計画を作成します。すなわち、ケアプランに無いサービスを位置づけて提供する事は出来ず、ケアプランに位置づけられたサービスは、必ず個別サービス計画に位置づけることが求められます。これを整合性と言います。そのため、事業所にはケアプランの控えが時系列で保存されている必要があります。ケアプランが無いと、個別サービス計画は作成出来ないからです。作成された個別サービス計画は、利用者または家族に口頭で説明し、控えを交付して同意を得ます。この同意があって初めて個別サービス計画は本プランとなり、利用者へのサービス提供が可能となります。ケアプランと個別サービス計画は、整合性が必要です。ケアプランに沿って個別サービス計画を作り、個別サービス計画に従って介護サービスを提供します。サービスが終了すると提供記録を作成します。このときの流れは、真っ直ぐ一本でなければならなりません。ケアプランに位置づけられたサービスが、個別サービス計画に位置づけられていない(凹み)。または、ケアプランに無いサービスが、計画に位置づけられている(膨れ)。と言った指導が増加しています。整合性では、途中で膨らんでも、凹んでもならないのです。ケアプランに無いサービス提供は認められず、請求も出来ません。
②勤務体制の確保等
【ポイント】
サービスを直接担当する職員とは、必ず雇用契約を締結して、管理者の指揮命令下におく必要があります。運営指導では、職員の雇用契約書が確認されます。雇用契約以降に、配置転換などがあった場合は、辞令などが確認されます。また、管理者の業務として計画的な職員の能力向上が規定されています。その確認として、年間の研修スケジュール表などが確認され、研修の実施記録も重要な証憑書類です。また、勤務実績表とタイムカードも、定期的に突き合わせを行って、常に一致することを確認しておきます。
小濱 道博氏
小濱介護経営事務所 代表 株式会社ベストワン 取締役 一般社団法人医療介護経営研究会(C-SR) 専務理事 C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問 日本全国でBCP、LIFE、実地指導対策などの介護経営コンサルティングを手がける。 介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。 全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター、一般企業等の主催講演会での講師実績は多数。 介護経営の支援実績は全国に多数。 |