2022.08.24
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【小濱道博の介護戦略塾】業務継続に向けた取組の強化(BCP)〜自然災害編〜 【第3回】

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前回:【小濱道博の介護戦略塾】業務継続に向けた取組の強化(BCP)〜自然災害編〜<第2回>の続き

③どうやって作ればいいのか?

BCPは、業務継続マネジメント(BCM)のサイクルで作成します。

●BCP委員会で作成を進める

BCPの作成は全社で取り組むものです。そのためにBCP委員会を設けます。構成メンバーは、各拠点、各サービスの管理者または責任者が委員として参画します。拠点が1拠点または少数の場合は、各部署の責任者等で委員会を構成します。

●⑴ 事業を理解する

基本的にBCPは、厚生労働省が用意したひな型の順に作成を進めて行きます。項目毎に、介護施設の現状を確認して、問題点をピックアップして行きます。事業を理解するとは、介護施設をアセスメントして分析する作業を言います。そして、感染症や自然災害に被災したときの被害を、職員の出勤率などのパターンを幾つか想定して、その被害状況に応じて、継続する介護サービスの優先順位を決めます。また、継続が最優先であっても、出勤率やライフラインの状況に応じて、提供出来る業務と、提供が難しい業務を事前に想定します。例えば、非常食や衛生用品の備蓄という項目であれば、現在の備蓄品を棚卸して一覧表を作成して、その品目毎に作成委員会で検討する作業を進めます。

●⑵ BCPの準備、事前対策を検討する。

このプロセスでは、①でピックアップした問題点に対する、事前準備や対策を検討していきます。例えば、先の備蓄品という項目であれば、その備蓄量の根拠の確認と修正の必要の有無の確認を行います。不足すると判断された品目は、購入しておきます。また、保管場所が適切かどうかも検討します。重量にある水のペットボトルなどを一階の倉庫に保管していた場合に、浸水被害が起こったときにどうするか。停電が発生してエレベータが使えないとき、少ない出勤者で、3階や4階と言った高層階にどうやって移動させるか等を、実際に被害が起こったことを想定して検討していきます。そのような状況を想定して、検討した結果として、高層階については、事前に各部屋にペットボトルを2本配付しておく等の事前対策に行き着きます。このプロセスでは、テーマによっては、委員が各拠点に持ち帰って、一般職を含めての検討も必要になります。

●⑶ BCPを策定する。

②でまとまった事前対策や被災時の対応策をBCPに書き込んでいきます。厚生労働省のひな型の項目に沿って、①から③のプロセスを繰り返し実行していきます。また、BCPを発動する基準を設定して、役割分担を明確にします。職員の参集基準や地域との連携も検討しなければなりません。それらを厚生労働省のひな型に書き込んで文章化していきます。BCPの作成プロセスは、現状を計画に落とし込む作業では無い事にお気づきでしょうか。現状を分析して、対策を検討して、その結果をBCPにまとめる作業です。そのため、一人では作成出来ず、組織として取り組む必要があります。

●⑷ BCPの文化を定着させる。

作成されたBCPは、非常時に発動して速やかな対策を実施することが役割です。そのためには、BCPの内容を全ての職員の身体に染みこませておくことが必要です。そのために、定期的な研修と訓練を実施します。厚生労働省の通知では、介護施設は年2回、在宅サービスは年1回とされています。これを繰り返し、繰り返し、全職員で実施することで組織にBCPが定着します。

●⑸ BCPの維持、更新を行う。

研修と訓練を実施すると、頭の中で考えた対策や方法とのギャップが出てきます。「これはチョット違う」「もっと良い方法がある」等です。BCPは研修と訓練を終える度に見直し作業を行います。そして、最初のBCMの事業を理解するに戻ります。これが、BCMのマネジメントサイクルの意味です。

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小濱 道博氏

小濱介護経営事務所 代表

株式会社ベストワン 取締役

一般社団法人医療介護経営研究会(C-SR) 専務理事

C-MAS 介護事業経営研究会 最高顧問

日本全国でBCP、LIFE、実地指導対策などの介護経営コンサルティングを手がける。

介護事業経営セミナーの講師実績は、北海道から沖縄まで全国で年間250件以上。

全国の介護保険課、各協会、社会福祉協議会、介護労働安定センター、一般企業等の主催講演会での講師実績は多数。

介護経営の支援実績は全国に多数。

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