2022.11.11
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【斉藤正行のはなまる介護】『介護現場に対する物価高騰対策。6000億円の臨時交付金が確保』

介護現場において、現在、深刻な課題となりつつあるのは、物価の高騰です。言うまでもなくウクライナ情勢に端を発した物価高騰はあらゆる産業に影響が生じており、生活場面にもその影響は派生しています。介護現場においても、長引くコロナ禍の影響により、感染対策を講じるための経費負担の増大が続く中で、更に、物価高騰による水道光熱費、ガソリン代、食材費などの経費負担が、事業者の収益環境を圧迫しています。

この物価高騰の影響は、介護業界に限ったことではありません。あらゆる業界や、各家庭の生活にも影響を及ぼしています。しかしながら、介護業界においては、特殊事情があり、他の産業以上に深刻な影響となっています。それは、介護事業者の収入のほとんどは公的に価格が定められた介護報酬であるということです。小売店や飲食店等の他の業界においては、物価高騰による仕入れコストの増大が生じていることから、商品の値上げを実施し、利益確保を図る対策を講じています。他方で、介護業界においては、保険外収入など一部対応の余地も残されてはいますが、値上げ対策を講じることは困難であります。我々は現在、ただただ、経費が増大し、利益が圧迫され続けている状況下にあります。

このような情勢をふまえ、私が代表を務める全国介護事業者連盟をはじめとする介護関係団体が政府に対する支援策の要請を繰り返し行ったことにより、政府は9月9日に「物価・賃金・生活総合対策本部」の会合の場において、『新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金』の予算6000億円を積み増す決定を行い、8種類の推奨事業メニューが示され、その1つに介護業界が組み入れられることとなりました。

現在、全国の自治体では地方議会の場で、この臨時交付金をどのように配分するかが検討されており、一部自治体ではすでに対応策が決められ、介護現場に対する物価高騰対策の補助金の申請受付が開始されています。その他の自治体についても今後、同様に対策が決定され、通知されることとなります。金額や内容は自治体ごとに異なります。皆さんの事業所が存在する都道府県及び市区町村からの通達をしっかりと確認し、せっかくの補助金ですから申請し、有効に活用するようにしてください。

ただし、この支援補助金についてはあくまで一時金の支払いの形となります。現在の戦争の状況を鑑みると長期が予想されており、今後も継続して物価高の状況が続くことが想定されるとともに、更なる値上げ等の可能性も考えられる状況にあります。来年度の予算においても追加的な介護現場に対する物価対策支援を検討してもらう必要もあると思います。皆さんも是非、今後の状況を注視してください。

斉藤 正行氏

一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長

  • 一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長
  • 株式会社日本介護ベンチャーコンサルティンググループ 代表取締役
  • 一般社団法人日本デイサービス協会 名誉顧問
  • 一般社団法人日本在宅介護協会東京支部 監査
  • 一般社団法人全日本業界活性化団体連合会 専務理事
  • その他、介護関連企業・団体の要職を歴任
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