【斉藤正行のはなまる介護】「訪問介護と通所介護を組み合わせた新サービスの創設」
社会保障審議会介護保険部会での議論は大詰めを迎えており、年内残り3回の議論で介護保険法改正案の取りまとめが行われることになります。11月14日開催の審議会では、「地域包括ケアシステムの深化・推進について」をテーマとする議論が行われ、いくつもの視点で検討の方向性が示されました。今回はその中で、訪問介護と通所介護を組み合わせた複合型の新しいサービス種別の創設の検討方針が示されましたので、議論のゆくえと業界への影響について論考します。
唐突な方針発表に感じる人も多いかもしれませんが、私はかねてよりこの組み合わせ検討を厚労省が行っていることを何度も発信してきました。昨年度の老健事業における「在宅生活継続にあたり通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護が果たす役割に関する調査研究事業」における報告書の中でも通所介護事業と訪問介護の組み合わせに対する事業者の意向調査が行われていた経緯から、新サービス創設の可能性を指摘していました。更には、今年度の老健事業においても「地域の特性に応じた訪問介護サービスの提供体制のあり方に関する調査研究事業」において、通所介護と訪問介護の組み合わせに関する調査が行われているところであります。
今後はまず、年内に取りまとめられる改正法案の中に新サービスの創設が盛り込まれるかどうかが焦点となりますが、先の審議会で参加委員からの否定的な意見は無かったことからも盛り込まれる可能性は高いと思います。その後は、来年より開催される介護給付費分科会において具体的な中身の議論へと繋がることとなります。議論の焦点をいくつか列記すると、報酬体系をどのようにするのか?包括払いとするのか否か?また、人員配置体制をどのようにするのか?訪問サービスを提供することとなるなら介護職に資格要件を定めるのか?更には、ケアマネジメントをどのように扱うのか?内部にケアマネジャー配置を義務付けるのか?居宅介護支援のケアマネジャーが担当するのか?こういった点についてどのような中身で決着するかが今後の注目ポイントとなります。
最後にこの新サービスが創設されることになれば、小規模多機能型居宅介護や訪問介護、通所介護とのすみ分けをどのように考えていくのかが難しい問題となります。既存の事業者にとっても新サービスを踏まえた新たな事業展開を模索していかなければなりません。この新サービスのゆくえは在宅介護業界に大きな影響をもたらすこととなります。今後の動向を注視していきましょう。
斉藤 正行氏
一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長
- 一般社団法人全国介護事業者連盟 理事長
- 株式会社日本介護ベンチャーコンサルティンググループ 代表取締役
- 一般社団法人日本デイサービス協会 名誉顧問
- 一般社団法人日本在宅介護協会東京支部 監査
- 一般社団法人全日本業界活性化団体連合会 専務理事
- その他、介護関連企業・団体の要職を歴任
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